【Q4 外国人の子どもの学習についての解説】日本にはたくさんの外国人が住んでいます。大人もいれば子どももいて、日本語の話せる人とそうでない人がいます。日本語を話せない外国人の子どもたちも学校で勉強したいと思うはず。でも、それができないとしたら…
A.「公共政策憲」からの答え
学ぶ権利は「児童(子ども)の権利に関する条約」ですべての子どもたちに保障されていますが、その実現は必ずしも十分ではありません。日本に住む外国人は、以前は在日コリアンのかたの割合が多かったのですが、近年ではブラジルやペルーなど中南米出身のかたも増え、多様です。日本の学校に通っていて、日本語の指導が必要な子どもたちは約2万2千人、その母語は60ヶ国語以上といわれています(2006年)。日本語を話せず、出身国や文化を共有する仲間が少ない子どもたちが学ぶためには、どんなサポートが必要でしょうか。
子ども自身にとっては、まず、学習の基盤となる日本語の習得や日本文化の理解があげられます。言葉や文化の厚い壁が不登校や早期退学につながることもあります。家族にたいするサポートも重要です。就学の権利や支援についての情報提供の機会はもちろんですが、経済的な事情があったり親が不法就労の状態にあったりすると、よりきめの細かい支援が求められます。また、親がもつ文化や言語を継承することも大事で、難しい課題です。
国や自治体の施策も重要です。浜松市のように独自に教育支援計画を作っている自治体もあります。学校のとりくみも増えてきています。しかし、柔軟できめの細かいサポートが求められるこのような分野では、NPO法人や市民活動団体の活動が大きな役割を果たしてきました。日本語教室、就学相談や情報提供をはじめ、リーガルサポートや生活情報の多言語翻訳など親をふくめた家族への支援、フリースクールなど居場所やコミュニティづくり、日本人との文化交流など、さまざまな活動を展開しています。国や自治体、学校と連携しつつ、国、自治体、また社会にたいする政策提言や課題提起も行ってきました。子どもだけでなく、ひとびとが多様な文化や価値観をお互いに尊重しながら共存できる「多文化共生社会」という理念がその基礎にあります。このように、さまざまな存在が連携協力し、社会の大きな目標や理念にむけた政策を実現していくことが、こんにちの公共政策のありかたでもあります。〔土山希美枝・地方自治〕