2011年3月20日21時38分
文部科学省は20日、上空からちりなどとともに落ちた降下物に含まれる放射性物質の量を都道府県ごとに発表した。場所によって一時、放射性セシウムが通常の1千〜2千倍あった。専門家は「直ちに健康に影響は出ないが、注意が必要」としている。
群馬県と栃木県では18日から19日にかけて、セシウム137がそれぞれ1日1平方メートルあたり84ベクレル、62ベクレル検出された。この値はこれまでに検出された1日あたりの量の約1200〜2100倍に相当する。翌日にかけて値は63ベクレル、45ベクレルに下がった。
放射能の量が半分になる半減期が8日間のヨウ素131は、栃木県で1300ベクレル、群馬県で230ベクレル検出され、いずれも翌日は下がった。
福島県は、震災の影響でデータを得られなかった。
気象研究所の報告によると、チェルノブイリ原発事故が起きた直後の1986年5月には、茨城県内でセシウム約130ベクレルを検出。1日あたりだと4.3ベクレル。米ソなどが核実験を繰り返していた60年代には、東京都で月間500ベクレルほど、1日あたりで約17ベクレルを検出していた。
セシウム137は放射能が半分になるまでの期間が30年と長く、地表にたまりやすい。今後、雨が降れば、大気中の放射性物質が落下して、降下物に含まれる値が高まることも予想されている。
学習院大の村松康行教授(放射化学)は、「今回の値ですぐに健康に影響が出るわけではないが、汚染は確実に進んでいる。高い値がこれからも続くのか、注意してみていく必要がある」と話している。