終わり見えない福島原発事故、反原発の動きに勢い

2011年 04月 10日 09:11 JST
 
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 [東京 8日 ロイター] 東日本大震災で被災した東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所の事故は依然として出口の見えない状況が続く中、日本国内では、これまであまり目立っていなかった反原発の動きが勢いを増している。

 政府は2030年までに、総発電電力量に占める原子力発電の割合を現在の30%から50%に高めることを目標にしているが、国内の原発議論が過熱すれば、その達成は難しくなるかもしれない。

 福島原発の様子は連日新聞やテレビ、インターネットで報道され、放射性物質の流出を封じ込めようとする取り組みを世界中が固唾(かたず)をのんで見守っている。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故以来、最悪の事態に陥っている今回の事故。日本国内では、現在運転中の原発54基の安全性と、政府の増設計画を疑問視する声が増えている。

 福島県選出の自民党の吉野正芳衆院議員は6日、記者会見の質疑応答で「原子力を推進してきた立場の1人として、原子力政策をこのまま推進していいかどうか、大いに迷っているところだ」と心情を吐露。「きちんとした検証を踏まえて政治家として判断していかなくてはならないと頭では分かっているが、ただ、体ではもう要らないという立場だ」と述べた。

 中国電力(9504.T: 株価, ニュース, レポート)は先月、山口県の上関町で進めている原発の敷地造成工事を一時中断すると発表。上関原発は2018年の運転開始を計画しているが、福島原発の事故を受けて「ムードが変わった」と反原発活動家の1人は指摘する。「原発は安全だという強硬論を繰り返してきた市長たちと議員らは沈黙している。市民も原発は危険だと言うようになった」という。

 資源の乏しい日本では、政府はこれまで長く、原子力の重要性を強調してきた。昨年発表されたエネルギー政策では、2030年までに少なくとも14基の原発を増やす計画を明らかにしている。

 また有権者も、原発が国内総電力の約30%をまかなう状況にあることに加え、温室効果ガス削減にも寄与するということで、概して原子力エネルギーの役割を支持してきた。

 しかし、福島第1原発の事故で多くの地域住民が避難を余儀なくされ、雨水や海水、農産物や魚介類への放射能汚染の懸念が高まるに従い、風潮は変わってきたようだ。   続く...

 
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