(cache) 被災地で拾得物の現金数千万円 持ち主の特定難しく - 47NEWS(よんななニュース)
  47NEWS >  共同ニュース  > 記事詳細
  •  ニュース詳細     
  • 被災地で拾得物の現金数千万円 持ち主の特定難しく


     警察に届けられた拾得物のバッグ。現金や預金通帳などが入っていた=2日、宮城県警石巻署

     東日本大震災で、被災地の東北地方沿岸部にある警察署に、多額の現金が拾得物として届けられていることが9日、捜査関係者への取材で分かった。岩手、宮城両県で数千万円に上るとみられるが、現金は持ち主の特定がほぼ不可能。被災者からは「持ち主に戻せないなら、せめて復興に役立ててほしい」との声が上がっている。

     岩手、宮城両県警によると、津波被害の大きかった沿岸部の警察署には、捜索活動などをする自衛隊や、一般の人から泥まみれの現金や金庫など1日数百点もの貴重品が届く。

     遺失物法では、拾得物は届け出から3カ月の保管期間に落とし主が現れないと拾い主のものになる。拾い主が権利を放棄するか、2カ月以内に受け取らなければ、権利は発見場所の施設占有者や都道府県に移る。

     東北地方の沿岸部は津波で多くの家屋が流失し、拾われた現金や金庫はどこから流れてきたか分からないのが実態。岩手、宮城両県警は犠牲となった人の物も多数含まれているとみている。

     宮城県警によると、震災後、持ち主が特定され、返却された貴重品は1割にも満たない。県警幹部は「特に現金は、身元を示す財布に入っていたりしない限り、返すのは不可能」と指摘する。

     一般の人が届けた現金は、ほとんどが権利放棄されていない状態。宮城県南三陸町の佐々木茂子(ささき・しげこ)さん(64)は避難所で「拾った人は、そのまま自分のものにせず、被災地に寄付してもらいたい」と注文を付けた。

     同県警石巻署に4月上旬の夕方、泥まみれの黒いバッグを持った男性(69)が訪れた。石巻市内の自宅に、見覚えのないバッグが流れ着いていたという。署員が確認すると、中には現金約10万円や女性の免許証が。「助かっていればいいけどね」とつぶやいた男性は、権利を放棄した。

      【共同通信】