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【格闘技】

粟生隆寛はお仕置きKO

2011年4月9日 紙面から

 4回、挑戦者ウンベルト・グティエレスに強烈なパンチを放つ粟生隆寛=神戸ワールド記念ホールで

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◇WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦

(8日・神戸ワールド記念ホール)

 予告通りのお仕置きパンチがさく裂した。4回、粟生の右のボディーブローがグティエレスの土手っ腹にめり込んだ。「ウッ」とうめいて、うずくまったグティエレスは、もう立てなかった。

 「世界戦初KO? もっとしっかりしたチャレンジャーに勝って、強さを証明していきたい。最初からボディーを狙う作戦だったけど、昨日の“アレ”があったんで、やっぱり狙うならボディーかなと思った」

 ボクシングをナメるな。粟生は前日の計量会場で怒りに震えていた。グティエレスがあろうことか、2度の計量に失敗。髪の毛も切り、うつろな目で3度目にようやくのパスした。「しっかり仕上げてこいと。しょせん、元暫定王者。こうなったら試合でお仕置きするしかない」と制裁を予告していた。

 負けられない理由は、ほかにもあった。3月11日に発生した東日本大震災以来、自問自答してきた。自分に何ができるんだろう。まず、募金をした。世界戦の会場内で販売される自身のグッズの販売収益の全額寄付も表明した。3月29日のサッカー東日本大震災復興支援慈善試合で感動のゴールを決めたキング・カズこと三浦知良に激しく心を揺さぶられた。ボクサーとしての自分ができることは何なのか。それは単純明快。勇敢に戦う姿を見せることだった。

 「We are with you Tohoku Kanto(みんながついている。東北と関東)」。地震と原発問題で揺れる日本の団結を訴える文字をトランクスに入れてリングに立った。

 「日本が大変な状況でボクシングをやっていいのかと、正直思った。でも、やってよかったと思う。会場も盛り上がってたし、テレビを見ている人も一人でも元気になってくれればいいなと。ボク一人でどうこうできることでもない。みんなで頑張っていくしかない」。復興を目指す日本、そして、最強を目指す粟生の戦いもまだまだ始まったばかりである。 (竹下陽二)

 

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