雪の魔女の洞窟

 

 

キャラクターコンバート&タイタンの神話(2) --Caverns of the Snow Witch-- 

 

 というわけで、そろそろ夏真っ盛りの8月に突入いたしますが、ブリッツ君の冒険は身も心も縮み上がる北の氷指山脈へ。『雪の魔女の洞窟』のスタートです!!

 

 まずはその前にキャラクターコンバート。

 能力値は原点までリセット。そして達成点を1点獲得し、これは原体力点の上昇に使う。結果、彼の能力値はこうなりました。あそうそう、前回の冒険でグロナールの祝福効果により原運点が上昇していますのでヨロシク。

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点13/13

 

 体力点が20点到達!これでどうにかスタミナ面は解消できるので、これからは5回分の冒険を何とかこなし、原技術点の上昇に充てたいと思う。まあ、生き残ればの話だが・・・。

 そしてルールの確認。今回の著者はイアン・リビングストンで、彼らしいオーソドックスなFighting Fantasyスタイルに戻りました。体力点+4の食料はハウスルールにより5個。原点回復薬は体力点用の「力の薬」1服分持って行くことに。魔法はナシよ。

 所持金はどうなるかというと・・・サソリ沼で手に入れた宝の中で金になりそうなのは、スミレ石が金貨30枚、金の鎖が金貨10枚、クモの護符が金貨5枚、<友情><繁茂>の魔法石が各金貨5枚。こんな感じかな。しめて(金貨55枚)+(もともとあった金貨28枚)÷108.3初期所持金は金貨8からスタートだ!!

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

 さてそれでは、タイタン世界の紹介コーナー。創世記の続きだ。前回は6/26に掲載しているから、約1ヶ月ぶりだね。

 

 平安極まる「神の時代」にも、知らぬ間に恐怖が忍び寄っていた。それは言うまでもなく悪神の“死”と兄弟たちの悪企みだ。

 ある夜、“死”とその兄弟たちは、月の神を捕らえ、タイタンに上らぬようにした。おかげで地表は真っ暗闇。その闇に乗じて、彼らは盗んだ土塊から形成した“混沌の生き物”を世界に放ったんだ。クモの王アーハロゲン、トカゲのバジリスク、巨大海獣ビヒモス、ガーゴイル、さらにハシャクという神なんかは、自分が創った生き物であるオークを世界の影の部分に配置し、勝手に繁殖するようにしてしまった。

 そして夜が明けたときタイタンの神々は恐怖した。地表では自分たちの作った人間、エルフ、ドワーフ、その他の動物たちが、その怪物たちに大虐殺されていたのだ。

 ショックを受ける天の王宮。そこに間髪いれず“死”、“疫病”、“腐敗”、スラングやタニットやハシャクのような下位神、さらには様々なデミゴッドまで、醜悪で残忍な悪の神々がオールスターでやってきた。なぜか彼らは大きな袋を担いでおり、それはもごもごと動いている。

 “死”は慇懃無礼な挨拶を他の神々に行うと、袋の中を開けた。何と中に入っていたのは、策略の神ロガーンだったのだ。“死”は言った。

 

「この神は何とも間抜けな奴で、遠くの異界に首を突っ込んで、ちょっと変わったものに出会ったらしい。それは新しい神だ。諸君、私は君たちにこの新しい神、“時”を与えよう!!」

 

 そうしてもうひとつの袋を開けると、中から転がり出てきたのは、、最初は生まれたてのような子供、そのうち中年の荒れた皮膚になり、やがてしわだらけの老人の肌になり、絶えずおびえながら自分の姿を変転し続ける神様だった。これこそがタイタンに現れた新しい神の“時”だ。

 さらに“死”は神々を脅し続ける−−タイタンの地表全土を我のものにすることを認めよ。そうしないと、全宇宙に“時”を放ってしまうぞ。“時”の存在意義は新しいもののために、古いものを置き換えることだ。そうなったら、不死はもはや存在しなくなる。神々ですら私の力に屈する。つまり「死ぬ」ことができるようになる!−−と。

 もちろん、脅迫された神々の答えは「いやだ!そんなことはさせないぞ!」と誇り高く拒絶した。悪の神々は交渉が決裂すると荒々しく天の王宮を出て行った。かくして「最初の戦い」が始まることになった。

 

 「最初の戦い」の顛末は、伝説によるとこうだ。

 

 悪の神々は異界で作り出した“混沌の生き物”の軍勢を率いて、天の王宮に突撃した。しかし、天の王宮はもぬけの殻だった。相手の神々は来るべき戦いに備えてタイタンに下り、善の軍団を編成していたからだ。

 二つの軍勢はタイタンの地表、広い、とてつもなく広い草原で対峙することになった。

 悪の軍勢は、総大将の“死”、双子の兄弟の“疫病”“腐敗”、さらに蛇、狼、バジリスク、クモ、不定形のよくわからん怪物。空には堕落したコウモリやハゲタカの群れが飛び回っている。雑兵は武装したオークやトロール、ゴブリン。しんがりを勤めるのはシス、イシュトラ、マイユール、レレム、ヴラドナなどの「魔王子」だ。魔王子は戦いの切り札となる捕らえた“時”の周りをがっちりと固めていた。

 対する善の軍勢は、主神タイタン、スロッフ、スーク、ガラナ、その他偉大な神々。さらには人間、エルフ、ドワーフの兵士たち。ケンタウロス、ライオン、トラ、もう存在しない高貴な動物たち。

空にはホークロード率いる鷹の軍団が舞い、しんがりには太陽神グランタンカの僕で「竜王」を拝命した金竜キラニラックスだ。

 

 戦いは骸骨戦士の角笛で開始された。悪の軍団の奔流を善の軍団が押し返し、上空では魔法が炸裂する。両軍とも多大な死傷者を出しながら、何度も、何度も、両軍は激突した。

 そして、そのうち転回点が訪れた。“死”とその兄弟たちが力を合わせた悪の波動がスロッフを討ち、彼女の肌は哀れにも焼き焦げさせたのだ。

 それに対し善の軍団は報復した。彼女の姉のガラナ、竜王キラニラックス、グランタンカから発射された猛烈なる稲妻だ。善のパワーを秘めた稲妻はものすごい威力で、敵の軍勢をまっすぐ、まっ二つに切り裂いた。光の通った跡は一切合切、何もかもが蒸発してすべからく残らない。

 そしてその光線は悪の軍勢の最も奥まで届き、幽閉されていた“時”を直撃した!!!

 宇宙中に雷鳴が轟いた。その破壊の様に恐れおののいた悪の軍勢は士気が崩壊し、散り散りに列を乱して逃げ去ってしまった。善の軍勢は己の持つ最終兵器で勝利したのだ。

 しかし“時”もまた、ばらばらに吹き飛ばされた。タイタン中に撒き散らされた。こうしてタイタンの住む生き物全ては、「死ぬ」ことが義務づけられてしまったのだ。

 

 戦後処理として、大神タイタンに捕えらえた悪の神々は、虚空の異界へと追放された(最初彼は悪の神々を抹殺するつもりでいたが、「それでは“死”のやろうとしたことと同じである」とスロッフから助命嘆願されたことにより、追放刑に軽んじた)。

 それから善の神々は、自分たちの美しい創造物に「時間」というひどい苦痛と災いを与えたことを恥じながら、タイタンを去った。

 今や彼らは、毎晩天上からこの世界を見下ろしている。星座という姿で微動だにしないが、何とかこの世界を“時”の影響から守ろうとしている。彼らは神であるがゆえに不滅だが、定命の者たちは常に歳をとり、寿命にしたがって死ななければならない。ガラナやスロッフによって守られている種族のエルフとドワーフは、ロガーンの作り出した人間に比べて、その守護により少しの間は長く生きられる。でもやっぱりいつかは墓に入らなければならないのだ・・・

 

 というわけで今回はここまで。

 ブリッツくんが無事生還できたら、これに引き続いて、神々が去った後のタイタンの歴史を語ることにしよう。

 それでは氷雪たなぶく北の大地へ!!(^v^)ノ

 

 

 

前哨砦を襲った怪物 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点13/13

 

 俺は今、猛烈に後悔している。だって・・・

 めっさ寒いんだもーん━━━━(TДT)━━━━!!

 ここはお国を何百里、アランシア北部の氷指山脈近辺。隊商ビッグ・ジム・サン率いる6台の荷馬車とともに、のろのろと旅している途中だ。

 目的地は山脈の麓にある前哨砦。ビッグ・ジムの話では、そこには北辺に住む民が様々な値打ち物を持って取引に来るらしい。毛皮、マンモスの牙の彫刻、エトセトラ・・・

 ビッグ・ジムに付き合って、何でこんな雪の中を歩いているかっていうとだな。俺がトカゲ王の火山島で拾ってきた小娘アンセリカ(元タイガー・ガール)の生まれ故郷がここら辺で、名うての毛皮猟師が父親らしい、だったら感動の親子の対面を見るのもうれしいねえ、そこまで無事に送り返してやるよ。という理由だ。

 それから北の特産品と俺の領地で生えるアンセリカの実(『サソリ沼の迷路』参照)を交換して、貿易で一儲けするのも悪くはねえなあ、という理由もある。

 だけどおめー、その前に凍死しちまったら、何にもなんねえだろ!!ヽ(`Д´)ノウワァァァン

 

 俺 が 甘 か っ た 。

 氷指山脈が、これほどの寒さとは思わんかったよ。ぶるぶるぶる・・・。

 ところがアンセリカは、物心ついてから初めて故郷の氷雪を見たもんだから大はしゃぎだ。「あれなに?あれなに?」としょっちゅうビッグ・ジムを質問攻めにしては、閉口させている。なるほど奴隷商人によってここから連れ去られた時は、推定では3歳のときだったもんな。ここで目にするほとんどの物が初体験ってわけだ。

 対して俺と、飼猿のアブーは、毛皮を2枚重ねにしてもブルブルブル・・・ガチガチガチ・・・(><)

 

 俺たちは今、凍結湖の前で小休止している。果たしてこの湖に張った氷が、荷馬車の重さに耐えられるかどうか、ビッグ・ジムの仲間たちが慎重に測っているところだ。俺とアブーは相変わらず幌馬車の中で凍えている。ううっ、さみい・・・

 そこに幌をぶわっと開けて、アンセリカが入ってきた!

 

アンセリカ「ぶりつなさけない!ゆき、しろ、やま、こおり!!(喜んで駆け回る)」

ブリッツ「あーやかましい!閉めろそこ!風が入ってくんじゃねえか!!」

ビッグ・ジム「ほっほっほっ、元気のいい嬢ちゃんだのお♪」

 

 ビッグ・ジム・サンは、ふさふさとしたあごひげを生やした大男の老人だ。パイプをふかしながらのんびりしているように見えるが、よく光る青い目は絶えず地平線に走らせている。動くものがいないかどうか、キャラバンを襲う脅威がないかどうか、常に警戒しているのだ。

 この齢までこんな過酷な自然の中で商売やってきたわけだからな。俺なんかの青二才じゃ到底及ばないほどの雪国の知恵が詰まっている。

 そんな彼だから、北の空の向こうから微かに聞こえてきた音も、決して逃しはしない。

 

プァァァァ・・・プァァァァ・・・プァァァァ・・・

 

アンセリカ「びっぐじむ、あれなに?なんのおと?」

ブリッツ「狩りの角笛・・・みてえだな・・・?」

ビッグ・ジム「・・・(険しい目つきをしている)・・・」

ブリッツ「おいおい、なんかヤバイことか?」

ビッグ・ジム「前哨砦から聞こえたようだ。お前さん、行って見てくれ。厄介なことになるかもしれん。急いで戻るんだぞ」

 

 こうして俺は、ビッグ・ジムに言われたまま、先行偵察で前哨砦に向かった。そして数時間後、現地に着く。

 うわあ・・・全滅だあ・・・(;´Д`)

 雪は血に赤く染まり、木の小屋は全て叩き潰されている。男たちは身体をずたずたに引き裂かれて死んでおり、彼らの武器である斧を握るヒマもなかったのか、無造作に地面に落ちていた。

 犠牲者の中にアンセリカの父親くさい毛皮猟師はいないようだが・・・おわ、でっけえ足跡!!前哨砦を襲った怪物は、とにかく巨大だってことがよくわかった。

 俺は急いでビッグ・ジム・サンの元に引き返し、見てきたものを報告する。商いの相手を失ったビッグ・ジムは、前哨砦を過ぎてさらに奥地の交易所へキャラバンを向かわせることを、直ちに決断するのだった。

 だがそれは、怪物の脅威に怯えながら旅することも意味する・・・

 

 夜になった。今や誰もが神経質になり、円陣の中央に大きな火が焚かれ、外に動きをうかがう見張りが立てられる。だが、隊商の仲間たちの顔色は冴えない。士気は最悪だ。そのうちビッグ・ジムが俺様を呼んだ。

 

ビッグ・ジム「このままじゃあ商売上がったりだ。アンセリカちゃんを父親に遭わせる前に、わしらがまいっちまう。かといって売り物持って帰ったら、隊商仲間の恥さらしだ。お前さん、怪物を仕留めてくれないかね?」

ブリッツ「いいけど、俺の腕は高いぜ?」

ビッグ・ジム「いくらだ?」

ブリッツ「んーと、金貨50枚」

ビッグ・ジム「!!!ちょっと待て待て・・・」

ブリッツ「俺はこれでもファングの地下迷宮を突破したチャンピオンだぜ。寒さに震えているだけの世間知らずな貴族のお坊ちゃんとでも思ってたのかい?」

ビッグ・ジム「わかった、わかった、支払うよ!だが後金払いだ。怪物の仕留めた証拠と引き換えだ!!」

ブリッツ「OK♪商談成立だ(・∀・)

 

 こうして俺は翌日、朝早いうちに出発した。今回の任務は、前哨砦を襲った雪山に潜む怪物を仕留めることだ。

 ま、運が良ければ今日中にも戻れるんじゃねえの?

 目端が利いて何かと役立つ飼猿のアブーも連れて行くことにする。彼なりに狭い馬車の中は退屈だったのか「うききっ♪」と喜んで俺の毛皮のフードの中に潜り込んできた。

 え?アンセリカ?誰が連れてくかあんな好奇心満載のムダ元気娘。こっちの身がもたねえよ。つーわけで無言で放置。彼女が気づいたときは後の祭りだった。

 

アンセリカ「ぶーりーつー!ずーるーいー!!つーれーてーけー!!!(`д´)

 

 そんな彼女の恨みの雄たけび(いや、雌たけびか?)が、後にしたキャラバンの宿営地から響いてくる。こういう仕事は一人でちゃっちゃと片付けるに限るネ。俺は彼女へこれ見よがしに手を振ってやる。やーいやーい(´ー`)ノシ

 そうしてから、再び降り出した雪の中を踏みしめて歩き出す俺様。

 えーと、まずは第一発見ポイントだった前哨砦へと進んでみようか・・・

 

 

 

雪狼を返り討ちにする --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点13/13

 

 再び前哨砦に戻ってくる。

 だが、降り積もった雪で死体は覆われ、怪物の足跡も隠されてしまっていた。

 とすれば、氷指山脈を登っていくしかねえな・・・と、俺はざっしざっしと雪を踏み分けて山腹を登り始める。足が膝まで埋まるから、けっこう重労働だ!!

 

 やがて足が止まった。クレバスに出くわしたのだ。だが氷の橋もクレバスにかかっている。うーん、どうしようかな・・・氷の橋を利用してクレバスを渡るか?それとも迂回するか?

 こんこん。叩いてみると、氷の橋はけっこう幅が広くてしっかりしているのがわかる。そりゃあ、渡っている途中に崩れたら一巻の終わりだが・・・だけどさあ・・・

 オープニングから間もないこんなところで、即デッドエンドもないだろう!(・∀・)

 というわけでいささか希望的観測のもと、俺は氷の橋を渡ってクレバスを越えることにした。だって迂回するのメンドクサイんだもーん。足が疲れるしさあ。

 だけどやっぱし氷だし、けっこう滑りやすいな。ここでさっそく運試しだ。俺のスタート時の運点は13だから、自動的に成功!

 そろそろーっと足を運んで、俺は氷の橋を渡り終えた♪(^v^)

 「うきゃき!」フードの中にいる猿のアブーも手を叩いて喜ぶ。さあ、先に進もう。

 

 ところがそんな得意満面な俺をあざ笑うかのように、風が吠え猛りだす。だだだ、大自然の前では、人の力など無力だとでもいうのか≡≡(;´Д`)

 

 頭を低くして風上に向かって歩く俺。

 ところが・・・ゴウゴウと響く風の音に混じって、なにやら別の音が・・・グルル・・・ガルルル・・・こいつは・・・狼の唸り声だっ!!!(◎皿◎)

 くそ!体毛が白の保護色だから視認しづらくて、ここまで接近するのを許しちまった。ぼわあっと粉雪を舞い上げながら、2匹の真っ白な雪狼がいきなり俺の前に現れ、襲いかかってくる!

 体毛は純白なくせに、こいつらの目は血のように真っ赤で、敵意むき出しだ。どうやら今回の冒険の初戦闘となりそうだ。順番に片付けていくしかないな。俺はすらっと剣を抜く。アブー、フードの中に隠れてなっ!

 

【雪狼1 技術点7 体力点8

【雪狼2 技術点7 体力点7

1R (雪狼1/13)(ブリッツ/19) 雪狼1/体力点-2

 きゃう!予想外の抵抗を見せた俺に、雪狼が驚いた叫びを上げる。

2R (雪狼1/15)(ブリッツ/20) 雪狼1/体力点-2

 だが慣れ親しんだ雪の上で、奴は動きのギアを上げてきた。

3R (雪狼1/17)(ブリッツ/20) 雪狼1/体力点-2

 まあそれでも俺の敵じゃねえがな。

4R (雪狼1/19)(ブリッツ/20) 雪狼1/体力点-2 ←Kill!!

 へへ、けっこうやるじゃねえか!2匹目かかってこいや( ゚Д゚)ゴルア!!

5R (雪狼2/13)(ブリッツ/20) 雪狼2/体力点-2

 こいつはさっきの奴よりも弱そうだ・・・っとと、あぶねえ!!

6R (雪狼2/18)(ブリッツ/20) 雪狼2/体力点-2

 がちーん!渾身の牙の噛みつきを、俺は剣で受け止める。

7R (雪狼2/16)(ブリッツ/18) 雪狼2/体力点-2

 そしてくるっと器用に剣を持ち替えて、奴の空いた脇腹に一撃!

8R (雪狼2/13)(ブリッツ/20) 雪狼2/体力点-2 ←Overkill!!

 ま、こんなもんじゃなーい(´∀`)

 

 多少攻め込まれる場面はあったものの、終始優勢に戦闘を進めた俺は、2匹の雪狼を返り討ちにして斬り伏せた。

 もちろん前哨砦を襲ったのが、この獣でないことは明らかだ。あの足跡はもっと巨大で人型だったもんな。大方前哨砦で流された血の匂いに引き寄せられて・・・ま、そんなところだろう。

 こいつらは何も持っていない。だから俺は雪狼の死骸を放っといて、逆巻く雪の中を再び歩き続ける。ふうふう、勾配が急になってきた。なかなか前に進まねえなあ。

 やれやれ、この先、どんな獣が待ちかまえているやら。ひょっとしたら追加報酬もらわんといけないかもな。

 

 あーあ、どんどん吹雪いてきたぜ・・・(><)

 

 

ホワイトアウトの恐怖 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点12/13

 

 吹雪は凄まじい。強風に煽られて逆巻く雪塊。寒いというより、痛い。

 痛い、寒い、痛い、寒い、痛い、寒い、痛い、寒い・・・

 この繰り返しで意識が朦朧としてきて、周りの視界は完全にホワイトアウト。うー、どーすりゃいいんだこりゃ。

 剣を使って雪の中に風除けをこしらえるか?いや、それはマズイ。ここで小休止しても凍死する危険がある。立ち止まらずに身体を動かすんだ。進めブリッツ!

 しかし天候は・・・中国の海賊版コミックの効果音のように・・・「轟〜!!」

 

『気温はとっくに氷点下に達し、吠え猛る吹雪は君を骨まで凍えさせる。君は何とか歩き続けようとするが力を消耗するばかりだ。体力点2を失う』

 

 あれ、この場所は、来たことがあるよエヘヘ(。A 。 )(←寒さで発狂寸前)

 やはり立ち止まって、剣を使って風除けを・・・吹雪が止むまで待つか?いやいや、だめだ。これはワナだ。八甲田山だ。眠ってはいかん!

 す・す・め〜!!

 ヽ(`Д´)ノヽ`Д´)(`Д)( ヽ`)(  ヽ どさっ。

 

『寒さは耐えがたいほどだ。手も足も感覚を失い、危険に見舞われても剣をつかめないのではないかと君は思う。吹雪がようやくやんだ頃には風除けを作るべきだったことがわかる。片方の手が凍傷になってしまったのだ。』

 

 大自然をナメてました・゚・(つД`)・゚・ ウワァァァン

 ここで運試し。現在の運点は12なので自動的に吉ですハイ。幸いにも凍傷にかかったのは俺の利き腕でない右の方だった。だが、氷指山脈の吹雪が俺に赤黒い爪痕を残して行ったのは間違いない。技術点1と体力点3を失う。

 だが他に選択肢はなかった、と信じたい。某登山マンガの主人公のように、俺は「泣くな、目玉が凍る!」と自らを戒め、まだ生きているので先に進む。ここでビッグ・ジム・サンの隊商に引き返したら面目丸つぶれだからだ。

 見せてやるぜ冒険者魂を!チキショー!!

 

 そんな俺の前で、山腹にくっつくように建てられた小さな木造の小屋が見つかった。屋根には雪が高く積もり、巨大な氷柱がぶら下がっている。足跡が小屋から出て山腹を登っていったみたいだ。中に人は・・・いないみたいだな・・・。

 足跡をつけていきたいところでもあるが、もう俺の身体は芯まで凍っちまって、ポキンと折れそうだぜ{{{{(+ω+)}}}} 飼猿のアブーも凍死寸前だし、俺も片腕が凍傷なので手当てをしたい。ここは小屋の中でちょっと休ませてもらおう。

 よっこいしょっと。俺は体当たりをかまして、凍りついた正面の戸を開けて中に入った。

 

 中は一間しかなく、罠道具や毛皮や袋といった毛皮猟師の持ち物が置かれている。

 毛皮猟師!(゜∀゜) ここはアンセリカの父ちゃんの棲み処なのかもしれん。最近使用された形跡のある料理道具。炉の灰はまだ暖かい。鍋の中には冷えたシチューが入っている!

 俺は薪をくべて、シチューを温め直して喰っちゃうことにした。アブーもいっしょに、もぐもぐもぐ・・・うまぁい。うますぎるよぉぉぉーーー⊂(゚∀゚*)ウマー

 生き返る俺とアブー。身体に暖かさが戻り、力が蘇るのを感じる。体力点+3だ。

 さあ元気を取り戻したぞ。毛皮猟師の後を追おうじゃないか。アンセリカの身元が判明するかもしれないし!

 ここから出発する寸前に、目端の利くアブーが「うきゃ!」と俺の注意を引き付けた。見るとベッドの下にいくつかの武器がある。中でも仕様がしっかりしているのは、戦槌(ハンマー)槍(スピア)だ。

 俺はこのうち槍の方を自分の持ち物に加え、小屋を出ることにした。そして毛皮猟師(であろう)足跡を辿りながら、再び山腹を登る。

 

 だんだん空気が薄くなってきた。標高が相当上がってきたみたいだ。

 そして、ある場所に辿り着いた俺が、雪の中で見た光景は・・・!!!

 

 

 

殺人獣イエティを始末する --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点18/20 運点11/13

 

 希薄な高地の大気にあえぎながら(体力点-1俺が見たものは・・・

 

 力尽きて大雪原に膝をついた一人の毛皮猟師。

 そしてその前で、鋭い爪と牙で彼を切り刻むことに成功した、恐るべき殺人獣・・・雪男(イエティ)だ!

 毛皮猟師は、今まさに断末魔の悲鳴を上げ、雪の中にうつぶせに倒れてピクピク痙攣している。雪男はしてやったりと凶暴な咆哮を上げ、温かい肉の食事にありつこうとしていた。あまり時間はない、奴を倒すぞ!

 俺は「うらーーーー!」っと雄叫びを上げ、奴に突撃していく・・・って、ちょっと待てってば。俺さ、今、片腕凍傷じゃなかったっけΣ(゚д゚lll)ガーン

 やばいやばい、あいつ強そうだよ。だってヒグマより一回り大きいくらいだもん。どう見積もっても技術点10オーバーじゃね?

 だから俺はぴたっと立ち止まり、もっと賢い方法を探す。

 ここでアイテムチェックだ。『君は槍を持っているか?』うん持ってる。毛皮猟師の小屋で手に入れた物だよな。そしてさらに・・・『利き腕が凍傷になっているか?』大丈夫!さっき運試しに成功してるし!!(^v^)

 というわけで俺は、まずは戦いを有利に進めるため、槍を投げつけることにした。腕を後ろに引いてぇー、でえいっ!!( ゚Д゚) ---===≡≡≡ −−−→

 なになに、ここで1d6なのか。出目は2だ。1以外ならどうなる・・・?

 

 ひゅーーーーーん    どすっ!

 

 ストライクだぜっ!!槍の穂先は雪男の毛深い胸に突き刺さった。怪物は苦痛に吠えるものの、まだ倒れない!そして怒り狂って俺にドスドスと向かってくる。急いで剣を抜けブリッツ。ここから本番だ!!

 

【雪男 技術点10 体力点9

1R (雪男/16)(ブリッツ/17) 雪男/体力点-2

 おわ!深傷を負わせてこの能力値か!技術点は互角じゃねえか!!

2R (雪男/18)(ブリッツ/20) 雪男/体力点-2

 奴の鋭い鉤爪をかわし、大木のような脚に斬り込む。どりゃ!

3R (雪男/12)(ブリッツ/14) 雪男/体力点-2

 痛さに吠える雪男。スキありだぜ、今度はもうひとつの脚だ!

4R (雪男/12)(ブリッツ/18) 雪男/体力点-2

 必殺の「運任せスマッシュ」する?いや、相手の出目が不調なので、ここは自力で倒そう!

5R (雪男/16)(ブリッツ/17) 雪男/体力点-2 ←OverKill!!

 紙一重でカウンター!ぐしゃあああああっ!!!!

 

 雪原に赤い血が吹き飛ぶ。雪男は倒された。ふうう、出目がよかったな。運に助けられた。

 たぶんこいつが前哨砦を襲った怪物だったんだろう。毛皮には様々な人間の衣服の切れ端がついている。

 だが、まさか狩られる側の人間に、こんな手ごわい奴がいたとは思わなかっただろうな。

 へへっ♪

 

 っと、こうしている場合じゃねえやっ Σ(゚Д゚)

 

 俺は急いで毛皮猟師の元に駆け寄る。彼は金髪碧眼の男で、齢は40歳くらい。そうか、そうだな。年恰好はぴったり合う。たぶん彼がうちんとこのタイガー・ガール、アンセリカの父ちゃんか・・・?

 だが、もう、あぁあぁ、だめだこりゃ・・・(><)

 雪男の凶悪な一撃は、完全な致命傷となって胴体を切り裂き、どぼどぼと彼の内臓を噴き出させていた。 

 せめて最期は楽にさせてやろう。俺は毛皮猟師のかたわらにひざまづき、彼をそっと仰向けにした。ん?何事か、口をパクパクと動かしてるぞ?遺言かな??

 

 聞くだけ聞いてやるか・・・。

 

 

 

アンセリカの父、最期の頼み --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点17/20 運点11/13

 

 毛皮猟師の遺言、というか最後の情報提供は、こんな話だった。

 

○自分は人生の大半を山で過ごし、獣を狩って生計を得ていたが、ここ5年間は伝説に謳われる『水晶の洞窟』(Crystal Caveを探し回っていた。

○この洞窟は『雪の魔女』(Snow Witchの棲み処である。彼女は美しいが邪悪な魔法使いであり、そして自らの邪な力を利用してアランシアに氷河期をもたらし、絶対支配者になろうとしているのだ。

○洞窟の入り口はこの山の上にあり、彼女に魅せられた家来が続々と集結している。昨日、私はまったくの偶然から隠されていた入口を見つけることができ、目印として毛皮の切れ端をぶら下げておいた。

○私は水晶の洞窟に潜入し、故郷の山々の平穏を乱す者たちを倒そうと考えていた。しかしそこに行く途中で、不運にも雪男に屠られ、己の望みは費えようとしている・・・

 

 ここまで話すと「ごふっ!」と血反吐を出す毛皮猟師。それから俺の手を握り、涙ぐんで懇願する。

 

毛皮猟師「頼む・・・洞窟に入り魔女を始末してほしい・・・邪悪な信徒から指導者を奪うのだ・・・。伝説では・・・そこに・・・魔女の棲み処に・・・莫大な財宝が・・・氷づけで・・・」

ブリッツ「ああ、ああ、わかったよ。おっさん」

毛皮猟師「・・・眠って・・・それが俺の・・・礼金代わりに・・・」

ブリッツ「わかってるって、行ってやるさ、水晶の洞窟。任せてくれよ。それより・・・」

毛皮猟師「・・・??・・・」

ブリッツ「あんた、奴隷商人に連れ去られた娘がいなかったか?」

毛皮猟師「なぜ・・・それを・・・???」

ブリッツ「あんたと同じ髪と瞳を持ってるから、すぐにわかったさ。3歳で生き別れた、右太ももに雪狼の噛み傷がある、かわいい娘だ。立派に育ったぜ」

毛皮猟師「(目をくわっと見開き)おお、おおおお!」

ブリッツ「彼女をここまで連れてきて、すぐそこで待っている。だから・・・」

毛皮猟師「ありがとう、あり・・・が・・・」

 

 猟師はいきなり手に力をこめたかと思うと、音もなく雪の中に崩れこみ・・・死んだ。

 もうちょっとだったのにな、くそう!ヽ(`Д´)ノ 俺はほろ苦い思いとともに雪を掘り、彼の死体をていねいに埋葬する。そして、ふと考えた。

 

 さて、これからどうしようか???

 

 雪男を倒した証拠を持ってビッグ・ジム・サンに戻れば金貨50枚。だが、氷指山脈に眠る「水晶の洞窟」には、氷づけの莫大な財宝が眠っている・・・か・・・。

 つい弾みで言っちゃったわけだが、さっき、毛皮猟師にも約束したしな。

 へへへへへっ♪

 なぜか口元が不敵に笑っている俺。こういう噂、ほっとけない性格なんだよな。やっぱ冒険者だしー。よーし、決めた!!━━(((-( ( (゚∀゚) ) )-))) ━━

 

ブリッツ「アブー!」

アブー「うきっ?」

 

 俺は急いでメモを取り、アブーに結びつけた。こいつをアンセリカとビッグ・ジムのもとに持って帰ってくれ。お前ならできるだろ?

 俺の賢い飼い猿は、お安い御用だ、とばかりに「うきゃ!」と敬礼をする。そして俺の足跡を逆に辿りながら、とてとてとてーっと消えていった。

 俺がアブーに託したメモはこうだ。頼むぞ、しっかり届けてくれよ!!

 

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toびっぐ・じむ

 砦ヲ襲ッタ怪物ハ雪男。俺様ガヤッツケタ。旅ノ道中モウ心配ナシ。

 報酬ノ金貨50枚ハあんせりかニヤッテクレ。

toあんせりか

 オ前ノ父、見ツケタガ、雪男ニ殺サレテイタ。墓ハあぶーニ聞ケ。

 俺ハ彼ノ遺言ヲ引継ギ、雪ノ魔女ノ洞窟ニ向カウ。マタ後デ会オウ。

fromぶりっつ

===============================

 

 ま、こんなもんでわかるだろ!さあて、ではここから再出発だ。「雪の魔女の洞窟」か。何だかゾクゾクしてきたぜ!!(^v^) ところが、そこで突然・・・

 

 ずどどどどどどどどっ

 

 あら?何この音?

 はるか上の方で地響きが聞こえる。ええっと、この雪山斜面でそんなウーファー効かせた重低音ということは・・・それはつまり雪崩だってばよ!ちょっとちょっとー!!ΣΣ(゚Д゚;)

 

 ずどどどどどどどどっどどどどどどおおどおおお!!!!! 

 

 ここで運試しは・・・吉だ。雪の層が滝の如く山を崩落ちていく。だが、それは俺がいる隣の尾根だった。ふいー。びっくりしたなあモウ。まるで俺の決意を萎えさせるかのように、グッタイミングな雪山の仕打ちだ。

 

 だ、だけど、負けないよっ!!!v( ̄Д ̄)v

 

 

 

魔女の洞窟に潜入開始! --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点17/20 運点10/13

 

 雪崩を運よく逃れた俺は、じわじわと山肌を上り詰めていき、ついに「こりゃあムリでしょー」という絶壁にぶち当たった。しゃあねえなと斜面を回り込むように歩くと、山の二つの峰の間の峡谷を埋めている氷の壁が見える。氷河だ。

 その真っ白な氷の中に・・・おお、あれは!

 毛皮の切れ端キタ━(゚∀゚)!

 あれこそ毛皮猟師のつけた目印だ。心臓を躍らせながら俺は注意深く氷河に下りていき、毛皮の切れ端がある辺りを、入口など見えないがまっすぐ進んでみる。

 

 すすっ。

 

 不思議なことに氷の壁にぶつからずその場を通り抜け、俺は氷をくり抜いて作られた長い地下道の中にいた。なーるほど、氷河の中でこの場所一帯だけは、雪の魔女の幻覚魔法の目くらましだったってわけか。

 カツコツと足音を響かせながら氷の床を用心深く歩いていくと、やがて左右に分かれるT字路に出くわした。どっちを向いてもキラキラ光る氷の壁しか見えない。(☆△☆)

 んじゃまあ、当てずっぽうで右から行ってみますかね。

 

 右の地下道は小さな洞穴に通じていて、そこで行き止まりだった。洞穴の中央には真鍮の鉢が乗った氷の台座がある。

 鉢の中には黄色い液体と木の玉杓子が入っている。

 液体を・・・飲むか・・・?

 それなりの能力値は消耗してるんだよな。もし薬だとしたら、ここで回復できるのはありがたい。だがもし毒だったら???でもこんな入口に毒はおかんだろう。だが悪知恵の働く魔女なら・・・いやいや・・・うーむ、悩む。どうしたもんかな(*´д`*)

 えーい、男は度胸だ。ここは飲んでみるか。 ぐびっ

 ・・・どんなカンジ??? ヘ(゚∀゚ヘ)

 

 『液体は君の身体をポッと火照らせ素敵に暖めてくれる。君が飲んだのは雪の魔女が部下に寒さを感じさせぬためにこしらえた魔法の薬だったのだ』

 

 やたー!っていうか、割りと部下思いなのね雪の魔女様(笑)。

 ポカポカになった俺は体力点+3だ。さらに!この液体を腕に塗りこむことにより凍傷も治ったぜ。技術点が原点まで回復だ! 

 ふぁいとぉー・いっぱあああつ!!!タウリン1000mgを飲んで元気回復した俺は(←うそ)、洞窟を元に戻り、地下道入口を通り越してそのまま左の地下道を歩き続ける。

 

 すると地下道は右に曲がっている、そこを曲がろうとした俺は・・・うわっととと!

 色白の長身の男とぶつかりそうになった。男は白いマントを着てフードを目深に被っている。ってことは雪の魔女の邪悪な信徒の一人だな。

 フードの奥に尖った耳が見える。どうやら山エルフらしい。いや、魔女の信徒なら闇エルフかもしれんな!

 騒がれると厄介だ。ここは先手必勝とばかりに、俺は問答無用で剣を抜いて不意打ちで襲いかかる。とりゃあ!ヽ(`Д´)

 相手は「君は・・・侵入者!」と鋭い声を上げ、マントを後ろではらって剣を抜く。ありゃあ、顔の肌の色はダークエルフじゃなかったよ。普通の山エルフだ。でもやっぱり魔女の味方してんなら、悪だろ、悪!

 

【山エルフ 技術点6 体力点6

1R (山エルフ/9)(ブリッツ/16) 山エルフ/体力点-2

2R (山エルフ/8)(ブリッツ/18) 山エルフ/体力点-2

 山エルフの体力点は残り2、へっ楽勝だぜ。さっさと片付け・・・あらあ?(_)

 

山エルフ「やめてくれ、殺さないでくれ!」

 

 かなわないと見たか、傷ついた敵は完全に戦意喪失して、剣を落として命乞いを始めやがった。ええっと、どうしよう。こういうときはどうすればいいかな?ちょっと迷っちゃうな。

 そして俺は・・・

 

 

 

「服従の首輪」の呪い --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点10/13

 

 俺はこの山エルフの命を助けることにした。

 なぜかって?本当に洗脳済みの邪悪な信徒なら、こんなところで命乞いなんかせず、死ぬまで戦うと思ったからさ。ところがそうじゃなく、奴は(エルフらしい)理知的な口ぶりで降参しやがった。

 ま、俺を油断させて騙そうと企んでいるのかもしれないが、もしそうでも技術点に相当差があるから、何とかなんだろ・・・というわけで、俺は剣を鞘に納める。

 命拾いした山エルフは礼を言いつつ、切れた息のまま床にへたり込んだ。なんだろう・・・?彼の首筋に・・・?

 俺の視線に気づいた山エルフは言う。

 

山エルフ「服従の首輪だ」

 

 その金属の首輪は、薄闇の中でぼおっと不気味に光っている。山エルフは自分の運命に対して皮肉な薄笑いを浮かべながら、言葉を続けた。

 

山エルフ「思い通りに働かせるためのものだ。僕が死んだら首輪も力を失うが、それも雪の魔女には知れるから調べに誰かをよこすだろう」

ブリッツ「じゃあ、あんたは・・・」

山エルフ「エルフは、僕のような山エルフであっても、自ら進んであの忌まわしい魔女に仕えることだけはしない」

ブリッツ「悪かったな、すぐその首輪を・・・」

 

 うんしょっと!・・・だめだ、剣で斬れねえや。ということは、この呪いを作った張本人を・・・そこまで俺が悟ると、山エルフはこくっとうなずく。

 

山エルフ「あいつを殺して僕たちを自由にしてくれ。僕を襲ったことは恨んではいない。知らなかったのだから無理もない。僕のマントで変装して、この地下道をまっすぐ行け。分かれ道に出たら右の道を行くんだ。」

ブリッツ「(てきぱきと着込みつつ)わかった、ありがとう」

山エルフ「僕はちょっと休ませてもらうよ・・・」

 

 俺は白マントを手に入れて肩に羽織った。そして代わりに、俺の毛皮のマントを哀れな山エルフに与え、なるべく居心地のいいように寝かせてやる。それから握手して彼と別れ、地下道を先に向かうのだった。ちきしょうめ!

 雪の魔女め、なんて邪悪な真似を!!(≧ヘ≦)

 

 俺は間もなく山エルフが言っていた分かれ道にたどり着いた。ここは忠告どおり右の地下道に入っていく。

 すると、前方左手の壁が一部途切れていた。歩み寄って覗き込むと・・・くんくん。何だあこの臭い。例えるなら、犬にやる残飯のような・・・???(A )

 ここは台所だ!中では一人の原始人が、後ろで煮立っているシチュー鍋に入れる鹿肉の下ごしらえをしている。そしてそいつを怒鳴りつけているのは、料理長のノーム。こいつは白い前掛けをつけて木の匙を振り回し、キーキーわめいている。

 こいつらは俺に気づいてなさそうだし、素通りしようと思えばできるのだが・・・

 だけど料理番ならそんなに戦闘能力はないだろう。頭悪そうな原始人はともかく、ノームは脅せば情報が手に入るかもしれないぞ。(・∀・)

 そう考えて、俺はずかずかと、この粗末な台所に入っていった。

 

 

 

ノーム料理長の私物を検査する --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点10/13

 

 突然ぬーっと現れた俺に対し、仕事場を邪魔されたノームは怒鳴り返してきた。

 

ノーム「出てけ!晩飯ができるのは2時間も先だぞ、鐘で知らせるから!!」

ブリッツ「は、はいい、すんましぇーん・・・(><)」

ノーム「とはいえ、相当くたびれた様子をしてるから、この古くなった菓子でよければやるよ」

 

 床にカビだらけの菓子をコロン、と転がし、尊大に手を振るノーム野郎。

 むかっ( ̄皿 ̄;;

 なめんな!俺は貴様みたいなチビに施しを受けるほど、落ちぶれちゃいないんでぇ!俺が剣を抜くと、ノームは後ろにいた原始人「殺せ!」と命じる。原始人はむふー!と鼻息荒く立ち上がり、肉斬り包丁で俺に向かってきた!!

 

【原始人 技術点7 体力点8

1R (原始人/15)(ブリッツ/16) 原始人/体力点-2

2R (原始人/14)(ブリッツ/19) 原始人/体力点-2

3R (原始人/11)(ブリッツ/20) 原始人/体力点-2

4R (原始人/10)(ブリッツ/19) 原始人/体力点-2 ←Kill!!

 

 しょせんは素人のコック見習いだろ、楽勝だぜ!俺は原始人の身体を切り刻み、シチュー鍋の中に叩き込んだ。絶命して動かなくなったまま茹でられる原始人。

 だが、ボディガードを殺された料理長のノームは「ひいい!誰かぁーーー!!!」と助けを呼びに洞穴から逃げ出してしまった。

 さあ時間がないぞブリッツ。奴が援軍をつれて戻ってくる前に、急いでこの場所を調べろ!

 

 戸棚は鍋、釜、椀、匙でいっぱいだ。だが1つだけ鍵のかかった戸棚があり、俺はそれをバキイン☆と剣でぶち開ける。

 中に入っていたのはノームの私物らしい。銀の笛、青と黄色の輪が描かれたルーン文字の棒、しおれた薔薇、<カエル族の秘儀>と記された革装丁の古い本・・・以上4アイテムだ。

 

 とりあえずは時間がかかりそうな本を読んでみよ・・・ぎゃうっ!!

 チッキショー、焦っていたからヘマをした。本を閉じてあった留め金をはじくと、隠された毒針が俺の指に突き刺さり、俺に体力点-4のペナルティを食らわす。うわーお!!(TдT)

 だがこれにめげず、本を開ける俺。中には何も書かれておらず、ページをくり抜いた穴に金鎖のついた護符がしまってあった。ヒスイでできたカエルの護符だ。俺はとりあえずこれを首にかけてみる。すると・・・

 やるぞやるぞムハー!c⌒っ *・∀・) ってなカンジでやる気がみなぎってきた!!

 そう、これはカエル族に伝わる「勇気の護符」だったのだ。ここで技術点+2であるが、結局技術点は原点なので上がらん。まあそれでも得したアイテムには変わらないので、俺はこれを首から下げていくことにする。

 

 次に調べてみたのはルーン文字の棒。どれどれ、なんて書いてある???

 ・・・ わ か ら ね え (苦笑)

 サラモニスの魔法勉強時代にかじったくらいなので、ルーン文字の知識なんてわずかしかないから、こんな流麗なのは・・・ううう・・・読めん!!

 とりあえず今はザックにしまい、後で読める奴に読んでもらうことにしよう。

 

 それから銀の笛か。

 俺は息を吹き込んでみる。ぴろりろぴっ♪陽気な音色が流れてきた。おう、まだ使える使える。ザックに入れていこう。

 

 最後にしおれた薔薇だ。といってもここは寒冷地だから「・・・新鮮な薔薇もこの通り」というカンジで、しゃりしゃりと崩れる・・・って、昔のCMじゃねえんだってば!!

 おう?くんくん・・・指に残った薔薇の匂いは思いのほか香ぐわしい。ふうう、なんか落ち着くなあ。これはあれだな、アロマテラピーだよ。ローズヒップの香りってやつ???( ● ´ ー ` ● )

 俺はここで体力点+3だ。やりい!さっきの毒針による体力点ペナルティを、ほぼ取り返したぜ!!

 

 さあ、調べるもんは調べた。とっととこの台所を出て、地下道を先に進もう。

 ずんずん進むと、地下道はやがて左に折れる。そして遠くから、なにやらブツブツと声が聞こえてきた・・・

 

 

 

縦穴にはまったドワーフを助ける --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点19/20 運点10/13

 

 地下道は大きな洞窟の入口に通じていた。

 そこにいたのは、魔人の像にひざまづいている邪悪な信徒が10人。全員ともに頭巾に覆われた顔を氷の床に押し当ててほんにゃらはんなら〜♪と詠唱をしている。

 ちょっと敵が多いな・・・大げさな騒ぎになる前に通り抜けたいところだ・・・(・へ・)

 だがラッキーなことに、俺は山エルフから譲ってもらった信徒専用の白マントを着ていた。そして運試しも成功!!

 魔女の家来たちに侵入者と疑われることなく、俺はそーっと彼らの傍を通り抜けられる。走るとバレちゃうからな。あくまで平静を装って歩く。スタスタスタ・・・。

 そして洞窟の向こう側に伸びていた地下道に入り込むことができた。ふううー。

 

 左の地下道はじきにT字路に着いた。右か左か・・・ん?ちょっと待て、左の方から「誰かいないかー!」と助けを求める声がしてくる。じゃあそっちに言ってみよう。左!

 

 地下道は縦穴の縁で行き止まりになっていた。声はその縦穴の底から響いてくる。

 俺が覗いてみると、冒険者姿のドワーフが、奈落からよじ登ろうと必死にもがいていた。そいつは「服従の首輪」はつけていない。俺と同じ“よそ者”か?

 彼が必死によじ登ろうとするも、縦穴の壁は凍っているから滑ってしまい・・・ぺたっ、ずるずるずる・・・ぺたっ、ずるずるずる・・・可哀想に、なかなか脱出できない。

 低身長は悲しいねえ(゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャ

 あ、いかん、その無様な格好をせせら笑っている俺に、ドワーフが気づいたぞ。俺に向けてこう怒鳴ってくる。

 

ドワーフ「よそのお人、助けてくれないなら呪ってやるぞ!」

ブリッツ「なんだ、遊んでんじゃなくて、助けてほしいのか♪」

ドワーフ「首輪もつけていないくせに、悪の味方かおぬしは!?」

ブリッツ「へえ?何その言い方??(立ち去ろうとする)」

ドワーフ「あ、今のはうそだ、うそ!助けろ!」

ブリッツ「たすけ・・・???」

ドワーフ「うー・・・助けてください!(><)」

 

 あははははは(^v^)

 素直じゃないドワーフをいじめるのはこれくらいにして、ここはまあ、情けをかけてやるか。俺は腹ばいになって縁から身を乗り出し、ドワーフが腕をつかんだのを確認して引っ張り上げる。

 よし、OK!脱出に成功したドワーフと俺は、元のT字路まで引き返した。

 このドワーフは雪の魔女に連れ去られた同胞を救出しにきたドワーフ戦士団の一員で、その最後の生き残りだ。だが、あそこで“ドワーフにとって微妙な高さ”(笑)の縦穴にはまっちまったんだそうだ。

 そして彼は、救出隊の他のメンバーはみな戦死したか、洗脳されて手下になったようなので、まずはこの洞窟を脱出して自分の村に退却する、と言う。

 そっか、じゃあ、ここでお別れだな。俺はこのまま先に進み、雪の魔女を退治するつもりなんだ。そうドワーフに告げ、握手を交わした。

 ドワーフは礼を言うと、俺に革袋を渡した。中には石投げ(スリング)と鉄の玉が3入っている。何でも彼の得意武器だそうだ。飛び道具持ってなかったし、これはありがたい。遠慮せずに受け取っておくヨ(^v^)

 そしてドワーフは走り去って出口に向かっていった。最後の別れ際に、彼は振り向き、謎めいた忠告を怒鳴る。

 

ドワーフ「白ネズミに気をつけろ!!」

 

 どういう意味なんだろう?

 だが真意を確かめる間もなく、ドワーフは俺が踏破した地下道の向こうに姿を消していた。だけども邪悪な信徒がいる場所を抜けられるか、五分五分の賭けってところだな・・・

 

 俺はT字路からもう一方の右に伸びる地下道を進む。

 

 

 

恐るべきプリズム幻術士 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点19/20 運点9/13

 

 氷河の中の地下道は山腹に入ったらしい。壁が氷からむき出しの岩に変わったからだ。これでちょっとは暖かくなるかな・・・とホッとしていたら、地下道はまた大きな洞窟にぶち当たった。

 ここは出口が3つある。右の出口と、左の出口と、いちばん大きいのは巨大どくろが刻まれた中央の出口だ。

 そして、その巨大どくろの口から、長い衣をまとった醜い老人が歩み出てきた。こいつは片手にガラスのプリズムを持っている。どう見ても魔法使い系だな。注意しろよ!

 奴は俺にこう言った。「山に入ることが許されるのは、雪の魔女の直接の部下だけだ。引き返せ!!」

 そう言われてちょっとたじろぐも、ここで引き返すわけにもいかねえしな。

 うーむ、何か方策は・・・あった。銀の笛だ。俺はこの楽器をザックから取り出し、ぴろりろぴっ♪と吹いて自己紹介をする。

 

ブリッツ「私は吟遊詩人のヘタナエン・ソーと申すもの。雪の魔女のご主人様に演奏を依頼され、ここまで参りました」

プリズム老人「ほほう、楽士のヘタナエン殿、と申されるか。たしかに雪の魔女様は音楽を好まれるが・・・」

ブリッツ「ぜひ通していただけるとありがたいのですが」

プリズム老人「ふむ、ではこちらに・・・」

 

 おっ?ダメ元で言ってみたんだが、何か通れそうかな・・・(・∀・)

 プリズムを持った老人はうなずいて、左手の出口の前まで俺を連れて行く。そして地下道の奥を指差し「行き止まりが雪の魔女様の部屋だ。さあ行きたまえ」と言ってくれた。

 へえ、こんな下手な演奏で信じてもらえ・・・るわけないやな。俺の冒険者としての第六感がそう告げる。服従の首輪もつけてない俺が怪しいのは一目瞭然。なのに、こいつは信じて通そうとしている・・・

 ということは、これは・・・ワナだっ!!

 俺が剣を抜きつつバックステップするのと、プリズムを持った老人がレバーを引き、入口に落とし格子をかけるのと、ほぼ同時だった。ガシャーン!洞窟に大音響が響く。危うく通路に閉じ込められるとこだったが、その手には乗るもんか!

 

プリズム老人「なぜわかった?ヘタナエン??」

ブリッツ「俺は服従の首輪もつけてないし、音楽の才能もねえ。なのに吟遊詩人と信じる奴がいるとしたら、そいつはバカか、ワナに嵌めようとしているか、どっちかだ」

プリズム老人「くっくっくっ・・・おもしろい。貴殿、本当の名は何という?」

ブリッツ「チアンマイ領主のブリッツ!」

 

 俺は威勢よく名乗ると、奴が魔法を唱える前に剣で突撃する。だが老人は余裕でせせら笑いながらプリズムをこすった。すると老人の姿が3つに分身する!

 こいつ・・・幻術を使うのか!!プリズム幻術士はまったく同じ姿と動作のまま、短剣を持って近づいてくる。くそ!3つのうち1つは本物だろうが、それはどれだ???

 とりあえず真ん中だ、ええい!俺は剣を振り下ろすも、ふっと消えた。こいつは影の1つに過ぎなかったんだ。

 プリズム幻術士がカラカラと笑いながら、俺の肩に短剣を差し込む。どすっ。体力点-2のダメージ。あうちっ!!そしてまた3つになる分身。うーん、どーにも分が悪いなこりゃ・・・(A )

 ぴきぃん☆

 ここで俺は対策法を閃いた。剣を横に薙いで、3つの姿をいっせいに斬れば、本物に当たるはずじゃん?よーっし、俺は思いっきり踏み込み、ぶうんと、剣を横に振り回す。新必殺技だ。

 ブリッツ・トルネードぉぉぉぉーーーー!!

 運試しは吉!どげすっ!手ごたえ、あり!!俺の剣は敵の脇腹を捉え、どさっと床に倒れた。ふう、手ごわかったな・・・

 

 だが・・・「これで勝ったと思っているのか?」

 そんな声が聞こえた。どどど、どういうこと???(((( ;゜Д゜)))

 プリズム幻術士は笑い出して立ち上がっている。傷もキレイにふさがっていた。そしてまた3つの姿に分かれ、短剣で迫ってくる。

 もう一回剣で斬りつけるか?いやそれだとさっきと同じだ。ちょっと待て、考えろ、考えろ・・・

 奴の幻影魔力の源は何だ?それは簡単、手に持っているプリズムだ。だったら、そいつを・・・!

 俺は剣を放り投げ、ひざまずいて泣きをいれることにした。それを見てプリズム幻術士は分身を1つに戻す。

 

ブリッツ「すいません、参りました・・・俺がバカだったっす・・・(ぐすんぐすん)」

プリズム幻術士「ほほう、ならば、降参するのだな?」

ブリッツ「ええ、煮るなり焼くなり好きにしてください。だけど命だけは(うるうる)」

プリズム幻術士「案じなくてもよい。お主の剣技は惜しい」

ブリッツ「じゃ、じゃあ、俺、雪の魔女様のために働くっス!何でも申し付けてくださぁい(TT)

プリズム幻術士「ならば“服従の首輪”をはめるがよい・・・(そうっとブリッツの肩に手を触れる)」

ブリッツ「でやっ!!!(o ̄∇ ̄)=◯)`ν゜)・;'

 

 俺は不意を打って、近づいて屈んだプリズム幻術士の顔に左フックを食らわす。ぐむっ!吹き飛んだ老人は、ぽろっと片手からプリズムを落とした。すかさず俺は床に転がるそいつを叩き割る。へへっ、ばーかばーか!!(n.∀´)η

 ガチャーン!!粉々になるプリズム。幻術士は「なんてこととおおおおお!!!」と絶叫しながら、中央のどくろの口に逃げ込んでいった。待てコノヤロウ!!(*`Д´)

 

 ・・・と、俺が追いかけようとしたときだ。んん?ちょっと待て???

 もくもくもく・・・と割れたプリズムから煙が立ち上り、坊主頭の太った男が現れた。魔神(ジィニー)だ!

 

魔神「私を解放してくれたのは、あなた様で?」

ブリッツ「ああ、ま、そういうことになるかと・・・」

魔神「あーりーがーとーうーっ♪」

 

 深々とお辞儀をする魔神。なんでも助けてくれたお礼に、風の魔法の力で一度だけ姿を見えなくしてくれるそうだ。そいつはありがてえ!

 

魔神「私はいったん風の精霊界に戻るが、そのときが来たらいつでも呼びなさい。それでは・・・あぱらぱー!!!(どろん)」

 

 そう暖かい言葉をくれて、魔神は姿がきらめて消える。プリズム幻術士は逃しちまったが、まあいいか。引き換えにそれ以上の成果を得たのかもしれん。

 こうなったらゆっくり行こうぜ。俺は落ち着いて息を整えてからどくろの口の地下道に入っていく。幻術士もここから退却していったし、たぶんこれが正解の地下道だろう。

 ここから山腹の中になるわけだし、いよいよ敵の本丸って感じかな???

 

 

 

霜の巨人と金・銀・銅の指輪 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点17/20 運点8/13

 

 地下道は間もなく別の洞窟に出た。そこには白いヒゲを生やし、白い毛皮をまとった巨大な男が、木の箱を高い棚に載せようとしていた。ここは、こいつのねぐらなのだ。

 で、でけえ・・・Σ(゚д゚lll

 こいつは霜の巨人(Frost Giantだ!この洞窟の出口は向こう側にひとつしかなく、通り抜けるにはこいつの足元をすり抜ける必要がある。それはけっこう危険だなおい。踏み潰されちゃうかもよ。

 じゃあ、殺るか!俺は一戦交える覚悟で剣を抜く・・・って、ここでアイテムチェックだ。

 『石投げを持っていて霜の巨人に対して使ってみる気があるか』

 石投げって・・・ああ、あの縦穴にはまってたドワーフからもらった投擲武器か。ドワーフは巨人を仕留めるのがうまいからな。ひょっとしたら役立つかも!!(゜∀゜)

 俺は3つある鉄の玉のうち1つをスリングにセットし、頭の上でヒュンヒュン振り回す。その音に「むお?」とのっそり振り返る霜の巨人。だがもう遅いぜ、奴の頭を目がけて・・・バヒューーーーン!ここで技術点チェック、成功。

 びしいっ!!!

 鉄の玉は見事に奴のこめかみに命中し、巨大な身体は、トランプの家のようにどどおん、と崩れ落ちる。ゴルゴ13みたいに一瞬にして絶命だ。すげえぜ!

 

 霜の巨人が持っていた木の箱も壊れて開き、中から手の込んだ細工の指輪が3つと甘い香りを放つビンが1つ見つかった。へっへっ、いただきいただき♪⊂(゚∀゚*)

 ビンはどうやら香水のようだ。見かけによらずおしゃれだねこの巨人。それとも侵入者から奪ったのかな?

 そして指輪。金の指輪、銀の指輪、銅の指輪3種類だ。

 

 俺はまず金の指輪からはめてみた。おや、身体がポカポカ温かくなってきた???

 『君がはめたのは魔法の指輪で、身につけていると凍えるほどの寒さにも耐えられる。運点1を加えよ』   (≧∇≦)b

 いやっほう!これでこの洞窟がいくら寒かろうと、俺のハートはバーニングだぜ!!

 

 続いて銀の指輪だ。あうう、何だか、足の力が抜けてゆく。しおしお・・・

 『君がはめたのは生命力を奪い取る指輪だったのだ。サイコロ2つを振って、出た目の合計を君の体力点から引け』   ( TДT)

 ににに2d6だとぅー!!出目は・・・2,6体力点にまままマイナスはちぃ!?俺は銀の指輪を指から抜き、足で粉々に踏み潰す。チッキショー!!

 ぜえはあ落ち着け。まずはここで食料1個食べて、体力点を4点回復しよう。ううう・・・。

 

 えーいこーなりゃヤケだ、銅の指輪もはめてみるぜ。さあ何でもイベント起これやщ(゚д゚щ)カモーン ・・・って、あらら、今度は何も起こらないんだけど・・・

 『君がはめたのは魔法の指輪で、一度だけ加勢の戦士を呼び寄せる力がある。運点1を加えよ。』   ε-(´▽`)

 ほっ、これはいい指輪だった。体力点-8は痛かったけど、運点も合計2点回復できたし、まあ収支係数でいえばプラスかな。何よりも金の指輪のおかげで寒さに耐性ができたし!

 

 俺は金の指輪と銅の指輪をはめて、霜の巨人の死体を踏み越え、さらに地下道を進む。

 間もなく十字路にたどり着いた。だが左右の道をチェックしているヒマはない。まっすぐ前から人間の形に似た奇妙な影が近づいてきたからだ。

 ガシャーン、ガシャーン、ガシャーン!!!と、大きな音が地下道に響く。

 ・・・なんだこいつ???(゚Д゚ )

 

 

 

よばれてとびでてジャジャ(以下略) --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点13/20 運点10/13

 

 俺の前にやってきたのは、全身これ石英の身体を持つ結晶戦士(Crystal Warriorだ。雪の魔女の近衛兵で、彼女の魔法によって動くようにできている。交渉なんてきく相手じゃねえから戦うしかねえ・・・って、剣で?

 相手のボディ硬そうだよ。ものすごぉーく硬そうだよ・・・(´・ω・`)ショボーン

 

 『刃物を受け付けないので君の剣は役に立たない!戦槌を持っているならこっぱみじんに打ち砕くことができるかもしれない』

 

 あー戦槌ね。毛皮猟師の小屋にあったアイテムな。あのときハンマーって重そうだから槍の方を選択したんだ。だから持ってましぇーン!!(><)

 じゃあ、死ぬしか・・・ないのか・・・???(どきどき) 

 

 『魔神をプリズムから救ったなら、呼んでみたまえ。救わなかったら結晶戦士に叩き潰されずにすむ方法はない。君の冒険は終わった。』

 

 首の皮一枚、つながったーっ!!!ヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ

 ハクショーン!!俺は急いでクシャミをする・・・すると・・・「よばれてとびでてジャジャ(以下略)!!」と、魔神が結晶戦士の上空に現れた。

 

魔神「(大平透の声で)ご主人様、どうしましたかぁ?」

ブリッツ「どうもこうもねえ、俺様の姿を早いとこ見えなくしろい!!ヽ(`Д´)ノ」

魔神「あいよ〜♪アラビン・ドビン・ハゲチャ(以下略)♪♪♪」

 

 魔神が呪文を唱えてパチンと指を鳴らすと、俺の姿はすうっと透明になった。結晶戦士はごつごつした石英の拳骨を繰り出すが、俺は気づかれずに脇をすり抜けられる。

 姿を消す魔法の持続時間が消えた頃には、俺は敵と十分な距離を空けることができた。おー助かったぁ・・・三 (lll´D`)

 ありがとうハ◎シ◎ン大魔王!!(←ウソ)

 

 さて、結晶戦士から逃れてたどり着いた先は、左右に分かれるT字路だ。俺はここを当てずっぽうで右に進む。

 するとカギのかかった木の扉の前で行き止まりになった。耳を押し付けて中の様子を聞いてみると、のろのろ引きずるように床を横切る音がする。

 俺は様子見でノックしてみる。コンコン・・・すると、バタン!と扉が開いた。

 部屋の中からドアを開けた奴は、皮膚が胸糞悪い灰色、空ろな目をして鈍い動作・・・はん、死者(ゾンビ)か、楽勝だぜっ!!俺は剣を握りしめて部屋の中に突入する。

 

【死者 技術点6 体力点6

1R (死者/9)(ブリッツ/20) 死者/体力点-2

2R (死者/14)(ブリッツ/17) 死者/体力点-2

3R (死者/11)(ブリッツ/15) 死者/体力点-2 ←Destroy!!

 

 はいはい一丁あがりっ♪(^v^)

 俺はさっさとゾンビを片付け、部屋の中を見回す。ああそうか、ここは倉庫だ。おそらくゾンビは管理係だったんだろう。なるほど、飯も食わないしうるさくないし、退屈でも文句言わないもんな。

 さて役立ちそうな物はあるかな・・・こんなものが見つかった・・・

 

 ミノタウロスの角の粉末  ニンニク  歯がいっぱい詰まった箱

 トカゲの尾の漬物  大きな龍の卵(4つで1セット)

 

 5つ全部詰め込むとザックがはちきれちゃうので、持ってけるのはこのうち3つだけだ。どれにしようかな・・・。

 ニンニクは対吸血鬼アイテムになるよなあ。まずこれはもっていこう。大きな龍の卵も値打ち物っぽいから持って行く。あとは同じように貴重品っぽい雰囲気があるから、ミノタウロスの角の粉末かな。よし、この3つ!!

 

 俺はこれらをザックにしまい込むと、ゾンビの倉庫を出てさっきの分かれ道に戻り、そのまま直進する。

 

 

 

雪の魔女 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点13/20 運点10/13

 

 地下道は木の扉で終わっていた。取っ手を回すと開く。中は天井が高くてだだっ広い部屋で、氷の壁で囲まれている。部屋の中央には大理石の棺があり、蓋は開けっぱなしだ。

 

 ちう。石棺の中から突然白ネズミが飛び出してきた。へっ、何だよビックリさせやがって。んもうー( ´∀`)

 ところがそいつは・・・見る見るうちに俺の前で身体が大きくなり・・・というか変身していく!!俺は「白ネズミに気をつけろ!」という、さっき会ったドワーフからの忠告を思い出した。そうか、こいつ、変身魔法をかけられているんだ。いったい何に変わろうと・・・

 

 超巨大サイズの白龍(White Dragon)デス。ギャヒー!!!((((;゚Д゚)))

 

 どどど、どうにかしないと・・・あ、ここでアイテムチェック!『ミノタウロスの角の粉末を持っているか?』はいはい、持ってますよー!!

 俺はサラモニスの魔法学校時代に習った、古い伝説を思い出した。変身魔法を未然に防ぐことができるのは、ミノタウロスの角の粉末だけなのだ。俺は急いでさっき倉庫から手に入れたそれをザックから取り出し、巨大化しつつある生物に振りかける。

 

 ぱらぱらっ・・・しみゅみいいいいいいん(←縮小音)

 

 身体は縮んで元の白ネズミに戻った!

 言い伝えは本当だったのだ。ふうう、ホッとしつつ白ネズミをぐちゃっと踏み潰し、俺はこいつが出てきた石棺を覗き込む。ホワイトドラゴンの財宝があるかもしれないしさ!

 だが、そこにいたのは・・・

 

女の声「おほほほほ!わらわに凍らされにきたか、それとも下僕となりにきたか?」

 

 突然、部屋にこだまする妙やかな女性の声。白い毛皮をまとった美しい女が石棺の中からゆっくりと起き上がる!

ブリッツ「あんたが雪の魔女だな!」

雪の魔女「いかにも!わらわの眠りを覚ますとは見事。ここまでたどり着いたこと、まずは誉めてつかわそう・・・」

 

 そう言って魔女はニコリと魅惑的な微笑を浮かべる。普通の男ならマイッチまいそうだ(いやイラストはそれほど美女でもないんだけど)、しかしその真っ赤な唇の奥には・・・長く伸びた牙!

 雪の魔女は吸血鬼だった!

 落ち着けブリッツ!対バンパイア用の特殊アイテムを持っているはずだぜ。そう、さっき倉庫で手に入れたニンニクさっ!

 俺はそいつを高く掲げる。どうだ!

 「むむう!」と舌打ちしてたじろぐ雪の魔女。このアイテムが目の前にぶら下がっている以上、俺に襲いかかれないのだ。

 かといって、俺も剣で攻め込めるわけでもない。魔女の目前からニンニクを外したら、そのときこそキシャー!っと一瞬の間合いで魔女が噛みついてくる。そのリスクを冒して突撃するのは・・・危険・・・すぎる・・・。

 

 かくして、戦いはこう着状態になった。

 じりじり、じりじり、部屋の中で向かい合う2人。極寒の部屋にいるにもかかわらず、俺の顔にはじっとりと脂汗が浮いてくる。

 考えろブリッツ、ここからどうするか、考えろ、考えろ、考えろ・・・

 だが戦局を支配したのは雪の魔女の方だった。すらっとした手を差し出し、軽やかに指を回して魔法の印を作ると、俺の脳髄に響く魅力的な声でこう告げる。

 

雪の魔女「わらわの護衛の白龍を倒した、いと強き剣士よ。さあ、こちらに参れ・・・」

ブリッツ「うぉ!」

雪の魔女「うふふふふふ♪」

 

 今度は魅了魔法、というか、色仕掛けできたか!

 だが、ああ、逆らえない・・・だって男の子だもの・・・俺はフラフラと近づいていく。みっともなくもスケベ面で、ズボンを脱ごうとして・・・うえへへへへ・・・(*´д`*)

 だがそのとき!ベルトを外そうとしたときに、ハッと気づいたのだ!!

 俺がベルトに差してぶら下げていた、あるアイテムが光っていた。それは、ノームの台所にしまってあった、ルーン文字を刻んだ棒じゃねえか!

 その魔法の光は俺を正気に戻させてくれる。そうか・・・。へへーん、確かにそうだな。吸血鬼に止めを刺すには、胸に木の杭をぶち込むしかないのだと、俺は悟る。

 だけど、まだ騙された振りをしておこう・・・。

 

雪の魔女「さあどうした、はよう参れ、わらわが暖めて進ぜよう・・・」

ブリッツ「あははぁ〜♪雪の魔女様ぁ〜♪」

雪の魔女「はよう、はよう・・・」

 

 雪の魔女は尖った犬歯を見せつつにっこり笑い、俺の前で白い毛皮をはだけた。真っ白い肌の胸元が俺の目に焼きつけられる。

 

 ・・・今だっ!!

 

 

 

宝は目の前だ --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点13/20 運点10/13

 

 俺はルーン文字の棒を握り直し、狙いをつける。なになに、文章によると・・・『君の技術点は10より高いか?』

 高いよ。俺の技術点は11だからな。だったらどうなる?

 

 俺が投げつけたルーン文字の棒は、まるで糸で繋がれたかのように、すーっと魔女の心臓に突き刺さる!

 

雪の魔女「ぎゃあああーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 

 総毛立つような断末魔の悲鳴が響き渡り、雪の魔女の身体は崩れ・・・

 あっという間に・・・さらさらさら・・・床に積もる塵の山と化した。

 え?うそ?勝ったの?

 どうやら本当に雪の魔女を倒したらしい。

 今回の冒険、もうこんな早くクリアですかー?(゚∀゚ )三 三( ゚∀゚)

 

 部屋の奥の壁にぼんやり何かの形が浮かび上がる。そういえば雪の魔女の宝が隠されているって話だったな。うししししし・・・

 俺はそこに近づいてみた。装飾を施した櫃が氷の壁の中に封じ込められている。

 

 お宝キタ━━(゚∀゚)━━ヨ

 

 櫃の蓋は開いており、中には金貨や宝石がぎっしりだ。ゴツガツと氷を砕き、宝箱に手を届かせる俺。最初につかんだのは黄金できた神像だ。これだけで金貨100枚の価値はあるぜ・・・って、オイ、何かワキワキ動いてないかコレ!!

 ひゃあ!気持ち悪くなった俺は神像から手を離し、床に投げつける。ところがこいつは見る見る大きくなり、剣を持った黄金の戦士に変わった。そして(もちろん)俺に襲いかかってくる。

 こいつは宝を護るべく配置された番人(Sentinelだったのだ!

 

【番人 技術点9 体力点9

1R (番人/20)(ブリッツ/17) ブリッツ/体力点-2

2R (番人/21)(ブリッツ/23) 番人/体力点-2

 洞窟内に渾身の力をこめた剣と剣がぶつかる。がちぃん!!!!

3R (番人/17)(ブリッツ/16) ブリッツ/体力点-2

4R (番人/11)(ブリッツ/17) 番人/体力点-2

 ここまで互角か。敵は感情のない分、正確な一撃を食らわせてくるな・・・

5R (番人/15)(ブリッツ/19) 番人/体力点-2

6R (番人/17)(ブリッツ/20) 番人/体力点-2

 均衡が崩れた!一気にラッシュだっ!!

7R (番人/15)(ブリッツ/15) Draw

 がんばれ俺!宝は目の前だ!!

8R (番人/15)(ブリッツ/20) 番人/体力点-2 ←Crushed!!

 よっしゃあ!(^v^)

 

 番人は粉々になって俺の足元に崩れ、ただの石の塊になった。これで魔女の宝は、俺様の取り放題だぜっ!!

 だがここで油断するなよブリッツ。まだ何が出てくるかわからないからな。ここで食料を1つ食べておこう。体力点+4して、さっきの戦闘のダメージを相殺だ。ふう。

 

 さて、宝箱の中を覗いてみようかワクワク( ・∀・)

 

 

 

赤速とスタブ、颯爽と登場!! --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点13/20 運点10/13

 

 持っていける宝は、ざっと見積もって金貨600ってところだ。しかしザックの収納量には限りがあるため、金貨50枚につきアイテム1つをここに置いてかなきゃならない。うーむ、けっこうシビアじゃのう・・・。俺はもう不要となって、ここで金貨と引き換えに置いていくアイテムを吟味し始める。むむむ。

 まず白マントはいらないな。ボスの雪の魔女がいなくなった今、手下だと偽る必要はないもんな。ぽいっ。

 ニンニクも必要ないや。雪の魔女は退治したから。吸血鬼はもう遭わねえだろ。ぽいっ。

 香水もいいや。霜の巨人から手に入れたけど、ビンが割れかけだもんな。ぽいっ。

 銅の指輪か・・・うーん・・・戦闘時に何かが現れて助けてくれるらしいけど、俺の剣の腕があれば必要なさそうな気もする。ぽいっ。

 というわけで、何となく不必要そうな4品目をここで捨てることにして、俺は金貨200枚を手に入れた。現在、俺が持っているアイテムは・・・

 

 勇気のカエルの護符 銀の笛 石投げと鉄の玉2

 寒さをしのぐ金の指輪 龍の卵4

 

 ・・・それと金貨208枚と、食料3つ。雪の魔女を倒した充実感。プライスレス(^v^)

 さあさあさあ、急いでここから脱出だ!!

 

 というところで、むむっ!

 俺の頭の中の警戒信号にスイッチが入る。どたどたどた・・・という足音と、すたすたすた・・・という両極端な足音が2種類聞こえてくるではないか。どちらも俺が突入してきた地下道の向こうから、この部屋へと近づいてくる。

 雪の魔女の残党かっ?!(A )

 俺は剣を抜き、身構える。だが背中のザックはずっしり重いし、戦いになるかな・・・ちょっとだけ不安だ。

 

 そのうち、ひょっこりと、戸口から2人の男が現れた。

 なんとドワーフとエルフだ。珍しい組み合わせだな。俺に敵意があるようには見えない。それどころか、ニコニコ笑っている???

 

2人「あー・・・(同時に話し出そうとして、2人はお互いを見る)」

ブリッツ「えっと、あんたら・・・は???」

2人「僕たちは!(また同時に話し出そうとして、苦笑い)って・・・あははは・・・」

 

 やがてエルフの方が主導権を握って話すことにしたようだ。

 

エルフ「あの女を殺したんだね!僕らは自由だ!じきに服従の首輪を外せるようになる!!」

 

 どうやら邪悪な信徒ではないらしい。さっきの山エルフと同じく、心までは支配されていないようだ。

 エルフの彼が言うには、大ボスの雪の魔女は滅ぼされたが、地下道にはまだ邪悪な信徒やゴブリンどもがうじゃうじゃしている。エルフやドワーフの救出隊が時間稼ぎに奴らと戦っているそうだ。どうやら来た道を戻るのは無理っぽい。この洞窟の先を進むとして、お礼代わりにここから脱出する手助けをしたいと申し出てくれる。

 そして、さっそく有能さを証明するかのように、エルフとドワーフは、戸口の真向かいの氷の壁を、すうっと通り抜けてしまった。ええっ、この部屋突き当りじゃないのΣ(゚Д゚)ガーン

 

ドワーフ「(くすくす笑いながら)雪の魔女の目くらましのひとつさ。逃げ道として用意してたんだが、当人は結局使わずじまいだった。わしらも使ったことがない点が問題だが、ね」

 

 ドワーフは茶目っ気たっぷりにウィンクして、俺に「ついてこい」と手振りで示す。

 秘密の出口を通り抜けると、そこは松明に照らされた細い地下道だった。俺らは一列縦隊になって進む。

 すると間もなく分かれ道に出た。類稀な地下洞窟センスを持っているらしいドワーフの方が、くんくん匂いを嗅いでみる。

 

ドワーフ「右の道は床の造作が奇妙だ。左は・・・何だか暖かい・・・熱源があるぞ・・・(くんくん)」

エルフ「右は落とし穴か何かのワナかもしれないね?」

ブリッツ「じゃあ左だな。・・・なあ、俺はファング生まれの剣士ブリッツってんだが、あんたらの名前、聞いてもいいかい?」

エルフ「僕は赤速(あかはや:Red-Swift)」

ドワーフ「わしはスタブ(Stab)だ」

 

 2人は親しげな笑みとともに右手を差し出した。冒険者の直感で、俺はこいつらが、信頼に足る仲間だと気づく。だからそいつらと握手をかわした後に、パンパン、パァン!と、ハイタッチする。これは冒険者独特の挨拶なのさっ!

 心強い味方ができたぜ!(・∀・)

 

 

 

光り輝く球体で暖をとる --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点13/20 運点10/13

 

 床がキーンと凍った左の道を歩きながら、俺の新しい同行者、エルフの赤速とドワーフのスタブは自分たちの境遇を語る。

 

赤速「・・・お互いおぞましい雪の魔女に仕える奴隷としてここで知り合ったのさ。そして2人とも故郷の村に帰りたいと思っている」

ブリッツ「へえ、あんたらのクニはどこだい?」

赤速「僕は月岩山地に住んでいるし、スタブはストーンブリッジの出身なんだ」

 

 ストーンブリッジ!(・∀・) 俺がジリブラン王のために“戦いのハンマー”を探し出してやったとこじゃないか!!(詳しくは『運命の森』参照)

 スタブは、故郷では有名人の俺に気づいていたらしく、深々と挨拶する。

 

スタブ「その節は世話になったな、勇者ブリッツ殿。“戦いのハンマー”はビッグレッグの長男であるビッグレッグJr.が立派に管理しとる。もう敵の手に奪われる心配はあるまいよ」

ブリッツ「ビッグレッグのせがれって・・・あーあいつか。ヒーゲナ・ガーイの兜を継承した奴だろ。まあそいつはよかった(^v^)」

赤速「このいまいましい洞窟から逃げ出せたら、その後はぜひ僕らのところに来てくれたまえ。ストーンブリッジは山の中、僕の村への通り道に・・・」

 

 赤速のおしゃべりが不意に止まった。スタブが鋭く「待て」と警戒の叫びを発したからだ。

 見ると、通路の先に、ぼうっと光る球体が床に転がっていた。そいつはガラスでできていて、明かりを近づけるといくつもの色が渦巻いている。

 

赤速「放っておきたまえ・・・必要のない物だし、罠かもしれない・・・」

 

 ヒソヒソと囁く赤速。魔法に詳しいエルフの彼は警戒を崩さない。確かに雪の魔女の邪悪な魔法がかかった「何か」かもしれない。しかし俺は、彼の忠告を無視して、このガラスの球体を拾い上げてみた。

 お・・・おお・・・おおお?拾い上げると球は温まり、色が矢継ぎ早に変化して渦巻き始める!

 赤速とスタブは後ずさりして「捨てろ!」と俺に言う。どうやら爆発することを怖れているらしい。さあどうするブリッツ?

 

1)球を手からはなさないか?

2)床にそっと置くか?

3)地下道に投げ込むか?

 

 この熱量から見て(3)は危険だな。本当に爆発するかもしれん。

 だったら(1)か(2)なのだが・・・。ここで俺は考える。いくら吸血鬼の雪の魔女でも、この極寒の地下洞窟内で、身体が凍らないために絶対何かが必要だったはずだ。

 そしてちょうどいい温かさなのよコレ。

 俺は好奇心から(1)を選び、そのまま持ち続けてみることにした。すると温もりが腕を這い上がり、じきに身体中がポカポカしてくる。ああ、何週間ぶりだ?この暖かさ・・・( ´∀`)

 俺は体力点3と運点1が回復する!やりい!

 

ブリッツ「赤速、スタブ!手を触れてみろよ、ほら?」

スタブ「おお、こりゃあいい・・・」

赤速「うん、温かい・・・な・・・」

ブリッツ「だろ?いいでしょ(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)いいでしょ。えっへへへ♪」

 

 おっかなびっくり球体に手を触れる2人。俺様は得意満面ですっかり上機嫌だ。身体も十分温まったので、球を床の上に戻すと通路を先に進む。さあ、早く行こうぜ!置いてくぞ!!

 俺の後を追いかけるエルフとドワーフのコンビ。何か俺に聞こえないよう、ブツブツ呟いてるぜ。

 

赤速「まったく、ロガーンの子(=人間のこと)ときたら!何をやらかすか、わかったもんじゃない!!」

スタブ「まあそう言うな。彼の鋭い好奇心のおかげで、わしの郷里は助かったのだ」

赤速「なるほどねえ。勇者ブリッツ殿が、勇者たるゆえん・・・か」

スタブ「今は彼に賭けてみようではないか」

赤速「そうだね、彼なら僕らを洞窟の外に導いてくれるかもしれない。そんな活力というか、エネルギーを感じるよ。僕らの種族にはない能力だ」

 

 そんな2人のヒソヒソ話をまったく聞いてない俺。

 早く来いよおー、うぉーい!!!ヽ(`Д´)

 

 

 

ドワーフの強靭さにびっくらこく --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点16/20 運点11/13

 

 5分ほど歩くと地下道は右に折れ、またその数メートル先で右に折れる。そして分かれ道だ。このまままっすぐ進み続けると方角が戻ってしまうので、俺らは左に曲がることにした。

 

 すると地下道の左手の壁に、蛇の形の真鍮の取っ手がついた大きな鉄の箱がある。開けて中を調べたいな・・・でも・・・誰が・・・?

 キョロキョロと目を合わせる俺ら3人。さっきは俺がリスクとったからさー、今度はあんたらのうち、どっちかじゃない?だが赤速とスタブはニヤニヤしつつ、3本の紐を取り出した。

 なるほど、クジびきか!恨みっこなしよ・・・えいっ!⊂(゚∀゚*)

 なになに、ここで1d6を振って結果は3だ。とすると、外れクジをひいたのはスタブだ!!

 

スタブ「まったくなんでわしが!」

 

 スタブはブツブツ言いながら取っ手に手を伸ばす。ところが触れるやいなや、取っ手がスタブの手に巻きつく。やっぱり罠だ!取っ手は毒ヘビだったのだ!がぶっ!!

 

スタブ「あたたたた!」

ブリッツ「うわ、大丈夫か、スタブ!!」

 

 任務を遂行し、するするっと闇に消えていく毒ヘビ。スタブは手首をつかんで膝をつく。手首の脈に・・・うわあ・・・致死性の猛毒だよ・・・。赤速がナイフで毒を抜き取り、慣れた手つきでさっさと応急処置をする。だけどスタブは動かねえ。

 そりゃあ即死だよな。まさかこんなあっけなく最期になるとは・・・「箱を開けようぜ♪」なんて、けしかけて悪かったなあ(;´Д`)

 

ブリッツ「安らかに眠れナムナム・・・」

スタブ「(すくっと立つ)・・・ふう、もう大丈夫だ」

ブリッツ「ストーンブリッジに戻れたらお前さんの墓を建ててやるからなあ」

赤速「おいおい、ブリッツ!(脇腹をこんこん、と小突く)」

ブリッツ「どうか化けて出ないで・・・って、ええええええ!?ΣΣ(゚Д゚;)

スタブ「わしを見くびるなよ。ふーん!!」

 

 そう、体力があるドワーフは毒に強いんだ。スタブは元気を回復して、すぐにまた歩けるようになる。おいおいおい、マジかよ。

 まあ、なにも起こらないなら何よりさ。俺らは箱をあきらめて先に進む。

 

 地下道はまもなくT字路に突き当たった。俺らの目の前を通路が横切っている感じだ。そこに足を踏み入れたとたん「うがっ!」と雄叫びがする。俺はハッと飛びずさった。

 待ちかまえていた敵がいる!!

 大きな石の棍棒を持った野蛮な穴居人(Cavemanだ!一足先に対応できた俺は剣を抜き、この原始男と対決する。そして「先に行け!右の地下道を進め!」2人に怒鳴った。

 

赤速「わかった!」

スタブ「先に行くぞ、だが、なぜ右だ?」

ブリッツ「えーっと、えと、あれだ、勘!!」

2人「(ずるっとコケる)・・・とと、とにかく待ってるぞ」

 

 2人はそそくさと地下道を右に進んだ。さあ、俺も素早くこいつを片付けて、あいつらと合流しなきゃな!

 

【穴居人 技術点8 体力点8

1R (穴居人/14)(ブリッツ/18) 穴居人/体力点-2

 ふんがーーーっと向かってくる穴居人、体臭キツいよキミ・・・(><)

2R (穴居人/16)(ブリッツ/17) 穴居人/体力点-2

 スラッシュ!俺は奴の棍棒を持つ右手首を斬った。それは地下道にゴロンと転がる

3R (穴居人/13)(ブリッツ/15) 穴居人/体力点-2

 「うぐう?」右手から血を噴き出しつつ、どーしていいかわからない穴居人。

4R (穴居人/14)(ブリッツ/19) 穴居人/体力点-2 ←Kill!!

 へっ低脳やろうが!死ね!!

 

 ぐさっ!こんな力任せの奴、いいカモだ。俺は難なく血まみれの穴居人をたたっ斬った。床に倒れ伏す毛むくじゃら男。・・・ん?こいつ、何か持っているぞ??

 俺は奴が腰帯につけていた袋をあさる。がさごそ。すると中から星型の金属板が出てきた!こりゃいったい何の役に立つんだ?まあいいや、とにかくザックに入れて持っていくべえ。

 グズグズしてはいられない。こいつの仲間が他にいるかもしれないからな。俺は赤速とスタブに追いつくべく、急いで彼らを追って地下道を進む・・・。

 

 

 

頭脳殺しの洞窟を抜ける --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点16/20 運点11/13

 

 俺はけっこう遅れをとっていたらしく、2人はもう地下道の突き当たりの扉を越えてしまっていた。俺も急いでそのあとに続く。

 不思議なことにその扉は、触れもしないのにすうっと開いた。

 中は洞窟だ。そして赤速とスタブがいて・・・2人とも怪物の前に土下座している!!

 このモンスターはタコに似た頭部を持ち、身体は人型の衣をまとった醜悪な怪物だ。やつの触手(つまりタコの足)のうち2本が、赤速とスタブの頭に巻きついている。

 こいつはマインドフレイヤー、いや違った、Fighting Fantasyでは「頭脳殺し」という怪物だ!赤速とスタブはこいつに催眠術をかけられ、今まさに、精神を破壊されている最中なのだっ!

 頭脳殺しの赤い目がぎろりと俺をにらむ。催眠視線が俺の脳味噌の中に侵入してくる・・・むむー、負けるかあー!俺は睨みかえすっっ!!(@へ@)

 『君は<勇気のカエルの護符>を身につけているか?』

 はい、持ってる!護符が与えてくれる勇気のおかげで、俺は催眠状態にならなかった!

 頭脳殺しは胸くそ悪い触手を必死に振り回して俺を引き寄せようとする。しかし俺が剣を抜き抵抗するのを見ると、捕らえていた赤速とスタブを放して、俺に襲いかかってきた。

 頭脳殺しから解放されたものの、苦しそうに頭を抱えて倒れる2人。待っててくれよ、こいつを仕留めたら、すぐそっちに向かう!

 

【頭脳殺し 技術点10 体力点10

1R (頭脳殺し/18)(ブリッツ/15) ブリッツ/体力点-2

2R (頭脳殺し/17)(ブリッツ/20) 頭脳殺し/体力点-2

3R (頭脳殺し/20)(ブリッツ/16) ブリッツ/体力点-2

4R (頭脳殺し/20)(ブリッツ/20) Draw

5R (頭脳殺し/16)(ブリッツ/19) 頭脳殺し/体力点-2

6R (頭脳殺し/16)(ブリッツ/20) 頭脳殺し/体力点-2

7R (頭脳殺し/16)(ブリッツ/15) ブリッツ/体力点-2

8R (頭脳殺し/18)(ブリッツ/22) 運試し吉 頭脳殺し/体力点-4 ←Kill!!

 

 うーん、なかなかに強敵だった!(><)

 ダイスの出目が多少振るわなかったので、俺は必殺の「運試しスマッシュ」を用い、早めに敵をやっつけることにした。ううう、奴の放った催眠視線で頭が痛い・・・ズキズキ・・・。

 おぞましい頭脳殺しはくてっとタコのように横たわり動かなくなった。そして赤速とスタブが意識を取り戻して頭痛にうめく。やはり頭脳殺しに引き寄せられ、どうにも抵抗できなかったらしい。

 俺はとりあえずここで食料を1個消費(残り2個)。自分の体力点を4点回復させてから、2人を寝かせて水を飲ませてやる。幸いなことに2人とも発狂してない。すぐに正気を取り戻し、頭を振りつつも立ち上がることができた。

 

赤速「君は命の恩人だ。倒してくれなかったら、僕らは今頃・・・」

スタブ「ああ。脳味噌をちゅうちゅう吸われていたところだ。ストーンブリッジに戻ったら1杯おごらせてくれ」

ブリッツ「まあまあ、借りを返すのは後だ♪ さあこの中を調べようぜ!!」

 

 これだけ強敵だった頭脳殺しだ。さぞかし棲み処の中にはお宝が・・・洞窟の中には、赤い壷灰色の壷があった!(゜∀゜)

 俺はさっそく赤い壷を覗いてみる。中に入っていたのは四角い金属板だ。さっきの穴居人が持っていた星型の金属板と同じシリーズみたいだな・・・まあ、特に害はなさそうだし、こいつも持って行くことにするか。

 そして灰色の壷も覗いてみた。底には蝋の封印も破られていない羊皮紙の巻物がある。開けて読んでみようか・・・でも呪いのスクロールだったらどうしよう・・・。

 うーん迷うなあ。えーい、ここは度胸!

 俺は封印を解いてばらばらっと巻物を広げるっ!!

 不思議なことに俺が巻物を広げると、中に書いてあったエルフ文字がさらさら・・・と薄れて消え始めていく。

 「エルフの特殊文飾法だ!」赤速が教えてくれる。「有益な情報を秘匿するための細工だ。早く読みとれ、さもないと何も得られないぞ!!」うわわ、そんなこと言ったって、俺、エルフ語の勉強苦手だったんだよぉ・・・(泣)

 ここで技術点チェックだ。2d63、成功したお!! (・∀・)

 文字が消え去る前に、俺は巻物の内容を読み取ることができた。これは風の精の攻撃から身を護ってくれる呪文だ。危機に陥ったときは<グル・サン・アビ・ダァル>と唱えればいいらしい。

 ここは雪山の中だし、絶対この先ブリザードとか出てきそうだからな。この呪文はきっと役に立つだろう!この幸運に運点+1だ。

 

 さあ、先に行こうぜっ。頭脳殺しの洞窟を越え、入ってきたのと反対側の扉を開ける。

 するとそこはまた・・・果てしなく続く地下道だ・・・(;´Д`)

 雪の魔女の洞窟を出る道は、このまま永久に見つからないんじゃねえか???

 俺ら3人はちょっと不安になってきた・・・

 

 

 

呪いの短剣、そして怒り狂う風の精 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点14/20 運点11/13

 

 扉を開けると・・・また地下道だ・・・ガク(><)

 

 やれやれ、さすがに足が疲れてきたよ。トボトボと歩く俺。だが赤速とスタブはあまり心配していないようだ。奴隷だった境遇に比べたら、まだ洞窟を彷徨っている方がましなんだろうな。

 地下道はじきに扉の前で行き止まりになった。突き当たりの扉は樫の羽目板で、なぜか短剣が刺さっている。俺はそいつを抜こうと何気なく触れるのだが・・・

 うわ!手が、手が勝手に!!(@o@)

 扉から抜かれた短剣は狂ったように動き回り、俺はなぜかそれを手放すことができない!そして自分の足を突き刺してしまう。ぶすっ!イテーェ!!( TДT)体力点-2だ。

 そして次に短剣は、勝手に俺の胸元に迫ってくる!!うわちょっと冗談じゃねえ。もう一方の手で必死に押さえつける俺。あ、赤速かスタブ、頼む、助けて、何とかしてくれい!!ヽ(´Д`)

 「雪の魔女の呪いの短剣だ、ちょっと待ってろよ!!」スタブが俺の短剣を持っている左腕にぶら下がり、短剣を扉に刺して元に戻そうとする。それに赤速も続く。3人で共同して俺の左手を押さえつけ・・・ブルブルブル・・・腕が震える・・・ここで運試しは・・・吉!!

 どすっ。短剣は俺の胸元から引き離され、3人の力で扉に刺し帰される。それと同時に俺の左手がぱっと開き、俺はこの呪いの短剣を手放すことができた。ふー、あぶなかった・・・。

 

ブリッツ「ありがとう。今度は俺が命を助けてもらったよ」

赤速「なあに、いいってことさ」

ブリッツ「無事帰れたら、俺の根城があるチアンマイにも寄ってくれ。宴会しようじゃん♪」

スタブ「うんにゃ、それより・・・」

ブリッツ「???」

スタブ「今、腹減ってるんだがのう(ぐぅー、とお腹を鳴らす)」

ブリッツ「はは、ガマンしろよそれくらい!!」

 

 俺は笑いながら短剣の刺さった扉を開けると・・・また一本道の地下道・・・orz

 ええい!出口はどこだあ!!・・・って、焦って癇癪起こしてもしょうがねえか ┐(゚〜゚)

 スタブの訴えもあったし、俺らはここで食事休憩をとることにした。つっても、食料を持っているのは俺だけだ。俺は1食を自分で食べ、もう1食分は2人にあげる。体力点+4だが、これで食料数は0になった!

 まだ原点回復薬の「力の薬」があるとはいえ・・・さーいよいよヤバくなってきたぜよー。

 近づいてきたよー、逆 境 が ! !

 

 そして半時間ほど地下道をのろのろと歩くとT字路に出た。

 右か左か・・・さっきの穴居人のときは右に行ったわけだし、今度は公平に左の道を行ってみようか。だが、そっちはすぐに行き止まりだった。ガッカリして肩をすくめる俺ら3人。

 ・・・いやちょっと待て、何かあるぞ?

 突き当たりの壁に装飾を施した盾がかかっている。どうしよう、持ってく?持ってく??

 また“ひとりでに動く”とかいう罠じゃネエの?それで今度は、盾で自分の頭殴ったりしてな。そりゃまた間抜けだね!(^▽^)

 ま、そんなこともねえだろ。

 俺は盾を外してみる・・・が、そんなこともあった!(ええー?)

 

 俺が盾に触れた瞬間、とてつもない強風が地下道に吹き放たれる!

 ちきしょう、コレも罠だった!!

 俺らは床に伏せて、風に吹っ飛ばされないよう腹這いの姿勢をとる。極寒の中の強風だ。あっという間に俺の睫毛やら眉毛やら髪の毛やらがピキピキピキと凍っていく。赤速もスタブも顔面真っ白だ。あううう。

 俺は氷でくっついた瞼をやっとはがして、周囲の状況を観察する。

 すると・・・ウソだろ・・・おい・・・。

 

 通路からつむじ風がやってくる。岩でも石でも、通り道にあるものは何でも巻き上げながら・・・あんなのに巻き込まれたら・・・おいおいおい、かまいたちで切り刻まれた上に、瞬間冷凍でカチンコチンになっちまうぜ!!

 

 だいたい何で地下道の中につむじ風が起こるの??

 「風の精だ!!」赤速が怒鳴る。だが轟音の中でよく聞き取れない「・・・ッツ、・・・れだ!」え?何だって??「・・・呪文!さ・・・っきの・・・まき・・・もの!!」

 ああ、そうか!俺はさっきの頭脳殺しの洞窟で覚えた、風の精から身を護る呪文を唱える。

 

 「グル・サン・アビ・ダァル!!」 ・・・ぴたっ

 

 怒り狂っていた風の精は、やってきたのと同じくらい唐突に姿を消した。そして全てがまた穏やかになった。

 ふえー、ビックリこいた。俺らは身体にこびりついた氷をバリバリと剥がし、凍死寸前だった身体を動かして暖める。

 そしてが残った。赤速は弓だし、スタブは両手持ちの戦斧。だから盾が使えるのは俺だけだ。こいつを腕にはめた俺は技術点+1だが、もともと技術点は原点なので増加しない。でもまあ持っていこう。これから何かの役に立つかもな。なんか装飾とか凝ってそうだし(^v^)

 

 俺らはここの突き当たりを引き返し、さっきのT字路を今度は右に向かうのだった。

 

 

 

赤速は何を読んだ? --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点16/20 運点10/13

 

 右の地下道の行き止まりは、また扉だ。

 ん、扉の前で、何かひらひらと揺れているぞ?ああ、こりゃ、古びた羊皮紙だ。色あせたインキで文字が書かれている。

 俺はしげしげと眺める。何語だ?こりゃあ、ずっと昔の言葉らしいが・・・うーん、読めねえや。おれの言語能力じゃダメだあ・・・。

 そうだ、物知りなエルフの赤速なら!(・∀・)

 

ブリッツ「おーい、赤速、赤速ったら!あ・か・は・や!!」

赤速「何だい何だい、名前は一度呼べば、わかるよ(^o^)」

ブリッツ「ちょっと来いよ、これ。扉の前のこの羊皮紙、あんたなら読めるかい?」

 

 俺は彼を自分の前に立たせて、古びた羊皮紙を読ませた。

 赤速は「えー、なになに?」と一語ずつ解読を始め・・・

 押 し 黙 る ・・・ 。

 

ブリッツ「ひょっとしたら抜け道とか書いてあんじゃね?(゜∀゜)

赤速「・・・」

ブリッツ「それとも宝のありか・・・とか!(^v^)」

赤速「(目を大きく見開き、呼吸が荒い)・・・」

ブリッツ「どーしたんだよ赤速ぁ?」

赤速「君も・・・これを・・・見た?」

ブリッツ「ああ、見たぜ。だけどチンプンカンプンだ」

スタブ「何だ何だ2人して、どれどれ、わしにも見せてみろ!」

 

 どすどすとスタブが赤速を押しのけて前に出ようとする。

 だが赤速は「いや、ダメだ!!」と、必死の俊敏さでそれを防いだ。そして羊皮紙をビリビリに細かく引きちぎり、ばら撒いて捨ててしまった!

 

ブリッツ「あっ、何すんだよ、せっかくの手がかりをー!(A )

赤速「だめだ・・・このままでは・・・」

スタブ「何ボソボソ言っとる?」

赤速「たとえ洞窟を抜けても・・・探さないと・・・あのお方を・・・」

ブリッツ&スタブ「・・・?」

赤速「・・・行こう、時間がない」

 

 赤速はさっさと扉を開けて先に行ってしまう。

 何だかよくわからねえ俺とスタブは、肩をすくめつつ、新たな心配事ができたらしいこのエルフに、ついていくのだった。

 

 扉を開けるとそこは(案の定)地下道に続いており、数メートル進むと、頭上の鍾乳石から絶えず水が滴っている場所に差しかかった。

 ぴちょん ぽちょん ・・・

 水滴は冷たいが透明で無害そうだ。だが天井の鍾乳石が厄介だな。なぜなら俺は、ファングの迷宮探険競技を思い出したからだ。

 あそこもこんな鍾乳洞窟だったっけ・・・(ほわほわ〜んと回想モード)・・・蛮人のスロム(うわあ懐かしい名だ)が馬鹿笑いを起こしたら、ヒューンと尖った鍾乳石が突き刺さるように俺らに降りかかってきたんだよな。あんときゃあ大慌てだったよなぁ・・・

 ずっと昔のことのようだなあ。へへっ(ぐっすん)

 

スタブ「うぉーい、どうした、ブリッツ?」

ブリッツ「あ・・・いやいや、何でもねえよ」

 

 俺は過去の感傷を振り払い、現実に戻る。そうそう、だから頭は守ってった方がいいと思うんだ。突然の落下物に備えるためにな。

 赤速とスタブは同意する。俺はさっき手に入れた盾を頭に被せ、ぴたぴたと静かに歩いて渡った。こんな感じで用心にこしたことはないさ。

 向こう側に着いた俺は、盾を赤速とスタブの方に投げてやる。彼らも俺に倣って同じように歩く。結果として俺らは、濡れないままでここの鍾乳石地帯を通過した。

 

スタブ「ふーむ、大げさなこっちゃのう!」

ブリッツ「まあまあ、こーいう身近な危険に気づいてこそ、冒険者だってのよ。な、赤速!!」

赤速「身近な危険に・・・気づいてこそ・・・だと?(じろっ!)」

ブリッツ「う、うん・・・」

赤速「(ふっと皮肉な笑みを浮かべ)まあいいや、先に行こうよ、早く」

 

 あれれ?俺なんか悪いこと言ったかな?(・へ・)

 おーい、赤速くん、キャラ変わってない?・・・どーしたのぉ???

 

 

 

雪の魔女、再び --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点16/20 運点10/13

 

 地下道はまっすぐ続いたあとに、とある洞窟の中に出た。壁は氷で覆われ、中央にある氷の台座の上に、大きな水晶球が乗っている。

 ドタドタドタ!いきなり洞窟の向こう側の出口から、雪の魔女の残党らしいオークが1匹やってきた。当然臨戦態勢をとる俺ら3人。

 ところがこのとき、水晶球が光を放ち始め、中から人の顔の輪郭が浮かび上がる。なんてこったい・・・その顔は・・・

 

 俺が滅ぼしたはずの雪の魔女だ!!

 

 球の中の顔は笑い出し、続けてさっきと同じように、軽やかな、そして寒気のする声でこう言い放つ。

 

雪の魔女「そちはわらわを殺しはしたが、わらわを敗るにはいたっておらぬ。我が霊だけでもそちを負かすことはできるのじゃ。よく見ておれ!」

オーク「ぐはああああー!(@△@)」

 

 巻き添え喰ったのは近くにいたオークだ。奴は自分にはめられた首輪−−服従の首輪!−−をつかんでかきむしり、悲鳴を上げる。必死の努力に緑の顔が膨れ上がるも、全ては無駄に終わり、声もなく床に倒れ、窒息死した。(この場面は表紙イラストを参照)

 シーンと静まる洞窟内。俺は幸い、服従の首輪をつけていない・・・だが、以前彼女につかまっていた、赤速とスタブは!ΣΣ(゚Д゚;)

 俺は彼らを振り返る。自分の命が魔女の手中にあることを知った2人は顔面蒼白だ。その恐怖の表情を見て「おほほほほ!」と水晶球の中にいる雪の魔女の顔はせせら笑う。

 

雪の魔女「もはや召使いなどわらわには用のないものじゃ。そちたちのうち2人がまだ服従の首輪をつけているのも知っている。次はそちたちが死んでいくのを見せてもらうとしよう。友人であるこの無礼な戦士に与える、とっておきの苦痛の前景気として!」

 

 雪の魔女の顔が俺ら3人の方を向く。と同時に、赤速とスタブがはめている服従の首輪が光りだした!確実な死を逃れようとじたばたする2人。くっそー!!(>△<)

 俺は唇をかんで魔女の水晶球に向かい合った。そして急いで知恵をめぐらす。要するに魔女の霊魂があの中に入っているわけだ。だったらあの水晶球を破壊すればよい。だがどうやって?

 あっ、あれだ!

 俺はザックから石投げと鉄の玉を取り出した。この洞窟に迷い込んだドワーフからもらい、霜の巨人を仕留めたアレだ。鉄の玉はまだ2つ残っている。こいつならあの忌々しいガラス球をぶち割れるぜ!!

 俺は急いでスリングをセットし、奴に向かって投げつける。

 

 死にぞこないめ、こいつをくらえいっ!技術点チェックは2d66,2だ。成功!!

 ビシイ!!!!鉄の玉はまっすぐ正確に飛び、水晶球にぶち当たった!

 ところが命中するやいなや・・・「おーのーれー!」

 

 魔女の怒りの声とともに白い光の矢バリバリバリ!と俺にカウンターでほとばしる。復讐のエネルギーボルトだ!

 避けろブリッツ。はあっ!運試しは成功!((n;‘Д‘))η

 どがあああん!俺はとっさに床に伏せて、エネルギーの矢が頭上を通り越して後ろの壁にぶち当たるのをみる。俺はなんとか無傷だ。そして水晶球を見る。

 雪の魔女の水晶球は俺の放った一撃でひびが入った。だが中の様子は何ともないようだ。魔女も俺を慎重に見て、いささか警戒した様子でこう告げる。

 

雪の魔女「まこと突拍子もないやつよの。だが、そちの仲間は、もうおしまいじゃ!!」

赤速&スタブ「ぐあああああああ!!(@△@)」

 

 喉をかきむしり苦痛に呻く赤速とスタブ。服従の首輪が締まり始めたのだ!

 

 

 

ゾンビ2体との悲しい戦闘 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点16/20 運点9/13

 

 どうするブリッツ、どうする?

 ああそうだ、助かる手はある。こいつらを犠牲にして、俺だけ全速力で走って逃げて、洞窟を抜ける・・・って、そんなことできるわけないだろう!

 よっしゃ、覚悟を決めようじゃないの。俺は雪の魔女に向き直り、陽気な声色で「お前なんか怖くないぞ!」とばかりに余裕ある口調でこう叫ぶ。

 

ブリッツ「おほー、足でまといだった2人を片付けてくれるってか。こりゃありがてぇや♪」

雪の魔女「ほう?」(意外な表情で)

ブリッツ「こいつらを殺しても、俺には何の意味もないぜ、雪の魔女さんよ!( ̄Д ̄)

 

 わざと挑発気味に、彼女の怒りをこちらに向けるように・・・

 顔はニヤニヤ笑っているが、実は背筋に冷や汗を滴らせつつ・・・

 

ブリッツ「無力な奴隷いたぶって楽しいかい?俺が怖がると思ってたかい?(゚Д゚ )

雪の魔女「むむむ・・・」

ブリッツ「そんなんじゃあ、あんたの力も大したもんじゃねえなあ?バルサス・ダイアやザンバー・ボーンの方が、ずっと強敵だったぜ。あっはははは!!(≧∇≦)

雪の魔女「相変わらず生意気な口を聞きよる・・・この雪の魔女に向かって・・・」

ブリッツ「(マジ口調で)決着をつけようじゃねえか、俺らでよ!」

雪の魔女「一度まかしたそちじゃが、わらわは遊びが好きじゃ。よかろう!」

 

 赤速とスタブの痙攣が止まった!服従の首輪の縮小が止まったのだ。彼らはゼェゼェと呼吸している。横目でチラッと見る俺。まだ生きてる!(^v^) 

 かなり弱っていて、この戦いに助太刀とかは期待できそうにないがな。だけどとりあえずはホッとする俺様。しかし雪の魔女は、底意地の悪い表情で何かを企んでいる。そしてぴゅう♪と口笛を吹いた。すると・・・

 ひた・・・ひた・・・ひた・・・

 なにかこの洞窟に近づいてくる足跡がする。「わらわが遊びを思いつくまで、こいつらと遊んでおれ!」とケタケタ笑う魔女。

 時間稼ぎ目的で洞窟に入ってきた怪物は、死者(ゾンビ)が2だ。へっ、のろまなこいつらなら楽勝だ・・・ぜ・・・って・・・ああっ!!Σ(゚д゚lll

 俺は驚愕で目を見開く。空ろな目で腐りかけた青膨れの皮膚のゾンビは、赤速とスタブとはまた別のエルフ&ドワーフだったのだ。それも俺がよく知った顔の!!

 

 エルフゾンビは、俺に白マントを授けてくれた、あの山エルフ!

 ドワーフゾンビは、縦穴にはまっていた、あのドワーフじゃねえか!

 

 両方とも冒険の序盤で俺を助けてくれた、気のいい奴らだったのに。山エルフは彼女に粛清され、そしてドワーフは彼女にとっつかまり・・・命を絶たれ・・・そして物言わぬゾンビと化して・・・この俺を襲おうとしている・・・。ヽ(`(`(`(`(`Д´)ノ ウワ・ウワ・ウワ・ウワ・ウワアァァァン!!

 

雪の魔女「おっほほほほ!どうした?そちのよく知った顔じゃ。あいさつせなんだか?」

ブリッツ「こ・の・ア・バ・ズ・レ・が・ぁ・ー!!!」

 

 俺は剣を振るうしかない。それだけだ。速やかにゾンビと化した2人を倒して、成仏させてやらないと。

 広い洞窟の中なので、この戦闘では2人同時に相手しなきゃならない。俺は攻撃する1体を指定するが、それ以外の1体からも攻撃を受ける。もし俺の攻撃点を上回れば、そいつらからもダメージを受けてしまうわけだ。

 くっそおお、こんなにムカついたのは、久しぶりだぜええ!!

 

【ドワーフ死者 技術点8 体力点9

【エルフ死者 技術点9 体力点9

1R エルフ死者を指定 (ドワーフ死者/16)(エルフ死者/15)(ブリッツ/19

   エルフ死者/体力点-2

2R エルフ死者を指定 (ドワーフ死者/14)(エルフ死者/12)(ブリッツ/18

   エルフ死者/体力点-2

3R エルフ死者を指定 (ドワーフ死者/11)(エルフ死者/16)(ブリッツ/19

   エルフ死者/体力点-2

4R エルフ死者を指定 (ドワーフ死者/13)(エルフ死者/11)(ブリッツ/18

   エルフ死者/体力点-2

5R エルフ死者を指定 (ドワーフ死者/15)(エルフ死者/12)(ブリッツ/21

   エルフ死者/体力点-2 ←Crushed!!

 あばよ山エルフ。あんたの情報のおかげで、俺はここまで生き延びられたよ・・・

 さあ、もう一人も急いで片付けなくちゃ。くうっ!(泣)

6R (ドワーフ死者/18)(ブリッツ/15) ブリッツ/体力点-2

7R (ドワーフ死者/17)(ブリッツ/21) ドワーフ死者/体力点-2

8R (ドワーフ死者/11)(ブリッツ/21) ドワーフ死者/体力点-2

9R (ドワーフ死者/16)(ブリッツ/17) ドワーフ死者/体力点-2

10R (ドワーフ死者/19)(ブリッツ/1ゾロ) ブリッツ/体力点-3

 くそ!涙で目がかすんで、こんなヘロヘロ攻撃が当たっちまったい!!

11R (ドワーフ死者/16)(ブリッツ/19) ドワーフ死者/体力点-2

12R (ドワーフ死者/11)(ブリッツ/20) ドワーフ死者/体力点-2 ←Crushed!!

 あばよドワーフ。あんたがくれた石投げと鉄の玉は、すげぇ役立ったぜ・・・

 

 こうして雪の魔女の邪悪な産物は、床に倒れ伏して肉の塊となった。俺のほうもけっこう痛手を負ったが、まあ、彼らの痛みに比べれば、な。

 ここから逃げたかったろうになあ。故郷に戻りたかったろうになあ。かわいそうになあ・・・。

 俺は水晶玉の方をキッとにらむ。雪の魔女は部下のゾンビが負けたのに驚いて、ちょっとご機嫌斜めの様子だ。

 

雪の魔女「つくづく悪運のある奴よ!だが、十分におもしろいことを考える時間ができたぞよ。うふふふふふ♪」

 

 ああ、ああ、なんだっていいさ、どんな試練でもやってやるさ。

 貴様をぶっ潰せるチャンスがあるんならな!!

 

 

 

そしてクライマックス! --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点11/20 運点9/13

 

雪の魔女「“金属板”・・・という遊びをすることにした」

 

 邪悪な彼女は唐突にそう言う。

 

ブリッツ「なにい?」

雪の魔女「むろん、そちが勝つはずはない。だがもしまかり間違って勝ったなら脱出の機会を与えてつかわす」

ブリッツ「へっ、やってみなきゃわからんぜ!」

雪の魔女「金属板は持っておろうな?なければそちの負けじゃ!」

 

 俺がここまで集めた金属板は、星型と四角いやつの2枚だ。

 雪の魔女は得意げにルールを説明する。金属板を1つ選んで、拳の中に隠せ。隠したら、雪の魔女がある図形を口にする。そのときの規則はこうだ。

 

 四角は丸に勝つ 丸は星に勝つ 星は四角に勝つ

 

 俺が勝てば逃げる機会が与えられる。負ければ死ぬ。両方とも同じだったら「あいこ」でやり直しだとさ。要するに・・・ 大 ジ ャ ン ケ ン 大 会 か ! ! (苦笑)

 

 俺の命、いや、赤速とスタブも含めて3人の命は、このふざけたお遊戯での俺の選択次第だ。もちろん、俺が持っている金属板は2枚のみで、「丸」は持っていない。あいつが「四角」といえばそれまでだ・・・

 だがそれは絶対に知られちゃいけねえ。俺はポーカーフェイスでザックの中から金属板を取り出す。もちろん彼女には見せないように。どうしようかなあ・・・(ー△ー)

 頭がぶすぶすと煮詰まってた俺に、ここで赤速が息絶え絶えでアドバイスを与えてきた。

 

赤速「気をつけろ・・・ブリッツ・・・」

ブリッツ「んー?」

 

 俺は赤速の表情を見て、あいつの意図を瞬時に読み取ったぜ!!

 サンキュー赤速!(゜∀゜) 俺は深呼吸して冷静さを取り戻す。そして雪の魔女に聞こえるよう、大声で会話しろ、とあごをしゃくって彼に促す。ありったけの声を出すエルフ。

 

赤速「君は・・・星を持って・・・いない・・・あれ?・・・四角・・・だっけ?」

ブリッツ「いやー違うよ赤速。俺が持ってないのは、丸の金属板さ。マ・ル!」

雪の魔女「むむ?」

赤速「そう・・・だっけ・・・」(にやりとウィンクする)

ブリッツ「しっかりしろよ、俺は最初に四角を出すつもりさ。そうすれば奴の手が四角でもあいこになるからなぁ」(にやりとウィンクし返す)

スタブ「お前ら小声で会話しないと・・・聞こえるぞ・・・魔女に・・・」(ドワーフもウィンク♪)

雪の魔女「むむむ・・・む・・・?」

ブリッツ「あらぁ、聞こえちゃった、かなあ???」

雪の魔女「ええい、ごちゃごちゃ言わずに、はよう用意せい!!」

 

 へっへっへ、混乱してる混乱してる。さあどうするよ。雪の魔女さん。俺の言葉を信じるかい?それとも・・・?

 

ブリッツ「俺は正直者だからねえ。ウ、ソ、は、つけねえのさぁ〜♪」

雪の魔女「その減らず口を閉じぬと、光の矢で焼き焦がすぞ!!」

ブリッツ「おうおう、おっかねえなあ。ヒステリーってやつかい?ヽ(ヽ・∀・)

雪の魔女「さっさと隠せ!さっさと!!」

スタブ「ブリッツ・・・隠したかの?・・・丸の金属板を・・・?」

ブリッツ「おう、隠した隠した。星型の金属板!って、違ったわ。四角だ。あはは〜!」

雪の魔女「やかましいいい!ムキイイー!!ヽ(`Д´)ノ」

 

 雪の魔女は自分の考えた遊びが楽しくないらしい。

 だったら俺の勝ちさ。ファングの貧民窟で孤児だった俺は、こういう荒事しょっちゅうやったよ。今考えるとくだらないことに命を懸けてな。こういうギャンブルってのはさ、心に余裕のある方が勝つんだよ!!(≧∇≦)

 邪悪な魔女になる前は、どこぞの良家のおじょうちゃんだったのかね。目は吊り上って、必死に俺の表情を探ろうとする雪の魔女。あはは、負けギャンブラーの典型的パターンだ。

 対して口笛吹いて涼しい顔のお・れ・さ・ま(内心はドキドキしてたがな!)。ひっそりと1枚の金属板を手の中に隠す。

 

雪の魔女「定めたか?」

ブリッツ「ああ、いつでもいいぜ。」

 

 シーンと静まり返る洞窟。

 雪の魔女は、静かに、こう告げた。

 

雪の魔女「・・・丸」

 

 俺は、にやりと、握っていた手を広げる。

 そこには四角い金属板があった。

 俺の・・・勝ちさ!

 

ブリッツ「だから言ったろ、俺はウソがつけないって(^v^)」

雪の魔女「うあああ、くやああしいいいいいい!」

 

 甲高い悲鳴が上がる。水晶球に煙が満ちたかと思うと突然砕け散り、雪の魔女の顔も粉々になっていく。雪の魔女は完全に敗れ去ったのだ!!

 服従の首輪も効力を失い、やっと呼吸を回復した赤速とスタブとともに俺はハイタッチして喜び合う。やったぜ、チームワークの勝利さっ!!!

 だが・・・喜んだのもつかの間・・・ずっごごごごごごごごご!!

 足元の地面が震えだし、氷の壁に亀裂が入る。天井から氷の塊がボバン、ボガンと落下してきた。雪の魔女の洞窟が大崩壊を起こしている!

 

ブリッツ「おいおい・・・」

赤速「ちょっとこりゃあ・・・」

スタブ「ヤバイぞ、みなの衆、走れええええっ!!!」 スタタタタタッ(((((((((((_´Д`)

 

 俺らは急いで地下道を我れ先に走って脱出する。ここで運試しは吉!奇跡としか思えないが、落下してくる氷の塊は俺らに当たらない!

 周り中で地面に降り注いでいた氷の雨が止む。するとぽっかりと青空が見える!ああ、なんてありがたいやらうれしいやら!(^▽^)ノ

 やがて俺らは氷の洞窟を脱出して氷指山脈の山腹に出た。

 雪さえ降っておらず全ては平和のようだ。背後の雪崩の跡だけが、雪の魔女のアジトの殲滅を物語っている。へへっ、ざまあみろってんだ!!

 

 下山しながら、今後のことを考える俺ら3人。赤速とスタブはもちろん自分の故郷に戻ることに決めている。赤速は月岩山地。スタブはストーンブリッジだ。月岩山地はストーンブリッジの先だから、2人はドワーフの街ストーンブリッジまでいっしょに旅することになる。

 俺は・・・どうしようか・・・?

 ビッグ・ジム・サンのところに今さら戻って、イエティ倒した報酬もらってもなあ・・・というか、今からクソ寒い雪山の中、隊商を探して合流するのは面倒っちいなあ。時間のムダだ。

 よし!俺も彼らについていって、ストーンブリッジまで一緒に行くことに決める。そこからファングを経由して、ゆっくりチアンマイのブリッツ・キャッスルに戻ればいいや♪(^v^)

 

 終わったなあ・・・今回の冒険も・・・。ふううううう!!!

 

 

 

冒険はまだまだ続く。ところで、何か忘れてません? --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点11/20 運点8/13

 

 ・・・って、まだ終わりじゃないのよ。このGamebook

 ええー!(゚Д゚ )

 

 クソ寒い氷指山脈から一刻も早く離れるため、南に向けて、俺と赤速とスタブの冒険はまだまだ続くんだってさ。だけど1人じゃなくて3人で冗談を言い合いつつの旅だから、疲れていても、ちょっとは楽・・・かな・・・?

 

 そんなこんなで洞窟を出て2日目。俺らはコク川にたどり着いた。このまままっすぐ下ればブリッツ・キャッスル。50マイル上流にはファングの街がある。

 「俺の城にちょっと寄ってくかい?」と赤速とスタブを促したが、2人とも早く自分の故郷に戻りたいらしく、首を縦に振らなかった。

 特に赤速は「ごめん、そんなところに寄っているヒマはないと思う」とぴしゃりだ。強硬姿勢で先を急ぐ。何だよお。そんなに嫌がらなくても(A )

 しょうがないので俺らはブリッツ・キャッスルもファングも素通りして、コク川を渡って異教平原に乗り込むことになる。

 それはそうとして・・・この幅広いコク川を渡るにはどうすればいいか・・・

 

 あ!渡し守を見つけた!(・∀・) 岸にもやっているいかだの上で男が眠っている。もしもーし、対岸まで俺らを届けてくんねえかな?

 だが起こし方が悪かったのか、渡し守はのっそりと起き上がり・・・

 

渡し守「今日は疲れているんだ、あっちへ行け!どうしても渡してほしいなら金貨10枚払いやがれ(*`Д´)ゴルァ!!」

 

 そんな不機嫌な態度で対応する。ちょっとカッチーンときた俺ら。「何だてめえ!俺はここらへんの領主のブリッツ様だぞ!!(゚Д゚#)・・・と怒鳴ろうとしたが、やめた。

 俺のだいっきらいだった、威張り散らすしか能のない貴族様みたいだからな。やなことはやらない方がいい。

 だけど金貨10枚払うのはもったいないしなあ。よし、ここは自分の力で何とかしよう。人間と余計なトラブルを持ちたくない赤速とスタブも同意した。

 というわけで俺らは渡し守のところを離れ、他に渡る手段はないか、とぼとぼと川に沿って歩くことにする。

 

 みっけた♪(^v^) 岸に沿って歩くうちに、小さな木の舟が立ち木につながれている。 周囲を見回すが持ち主の姿はいないようだ。黙って乗ってっちゃおうか?どうする・・・?

 それもなんだかなあ・・・泥棒みたいで・・・(苦笑)

 この舟、たぶんここら辺の川漁師か誰かの持ち物だろ?朝になったらやってくるだろうから、そのときに話をして借りればいいやな。

 それにもう夕方だ。ちょっと休んどこうや。というわけで寝るね。はーい、ここでキャンプしようぜー。一足先にごろっと横になる俺様。「しょうがないなあ・・・」と首を振りつつ野宿の用意をする赤速とスタブ。

 うーん、何だかここ最近、身体の疲れがとれないんだよねー。雪の魔女の洞窟はハードだったからなあ。その反動かなあ・・・早く身体を元に戻さないとなあ・・・(´o`lll) 

 

 それに何だか忘れているような気もする。

 あれれ?何だっけ?まあいっか・・・ヽ(  ̄○)ゞ。o○ファ~~♪・・・

 

〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜

 

(いっぽう、こちらは氷指山脈。雪の魔女の洞窟、崩壊跡地です)

 

アブー「うっきいいいい!!!」

アンセリカ「アブー。見つけたか!!」

 

 雪山をふうはあ登ってきたアンセリカアブー。アンセリカの手にはブリッツからの手紙が握られています。アブーは無事彼女にメッセージを渡すことができたのです。そして彼女たちは、ちゃんと父さんの墓も建ててきました。さらにちょっと遅れて、この現場に上ってやってきたのは、隊商のビッグ・ジム・サン。

 ブリッツの後を追ってきた彼女たちが見たのは・・・大雪崩の跡でした・・・。

 

ビッグ・ジム「これは大きな雪崩じゃ・・・おそらく雪の魔女は・・・」

アンセリカ「ほろんだか?」

ビッグ・ジム「うむ。ここ最近の晴天はその証拠。魔女の氷雪魔法の影響はなくなった。それは間違いない。だが、お主の探しているブリッツも・・・」

アンセリカ「まきこまれたか?」

ビッグ・ジム「これだけの広い雪崩から逃れられる者はおるまい」

アンセリカ「ばかぶりつ、たからにさそわれたばかぶりつ、ばかー!ヽ(`Д´)ノ」

 

 ばかー、ばかー、ば・・・か・・・(←山びこ) 

 大雪原に絶叫するアンセリカ。ところが、アブーが足跡を見つけて大騒ぎしています!

 

アブー「うっき、うっき、うきいい!!」

 

 3人の力強い男の足跡。それはまっすぐ南へと続いていました・・・

 

アンセリカ「あしあと!ひとつはえるふ、ひとつはどわーふ、ひとつは・・・にんげん・・・にんげんだ!ぶりつのぶーつのあしあと!!」

ビッグ・ジム「なんとまあ。強運の男よ。助かっとったわ!!」

アブー「うきゃあ♪」

アンセリカ「よくみつけたぞ。あぶー!」(2人して、じゃない、1人と1匹して喜ぶ)

ビッグ・ジム「足跡を追って南に戻るかね?アンセリカの嬢ちゃん?」

アンセリカ「うぃ!」(首を縦にぶんぶんと振る)

ビッグ・ジム「わしらは商売があるから、これ以上は付き合えん。さらに北へ向かう・・・ここからは1人じゃぞ?」

アンセリカ「うむ・・・それはしょうがないのだ。あぶーもいる。ここまでありがとう!」

ビッグ・ジム「(目を細めて)いやいやこちらこそ。あんたの野生の追跡術なら、すぐブリッツが見つかるかもしれんな。・・・そうじゃ、こいつを渡してくれ」

 

 ビッグ・ジム・サンは彼女に金貨50枚が入った皮袋を渡しました。彼は約束を守る誠実な商人なのです。

 

ビッグ・ジム「雪男を倒した謝礼だ。ブリッツ殿に、な。アンセリカ嬢ちゃんもこれから路銀が必要なら、その袋から使うといい」

アンセリカ「ありがとう、あんせりか、しっかりぶりつにとどけるぞ!!」

ビッグ・ジム「それでは、あの向こう見ずで寒がりの英雄どのに、よろしくなー!(^v^)ノシ」

アンセリカ「おう!さよなら!!(^v^)ノシ」

アブー「うーきゃあーーー(^v^)ノシ」

 

 こうしてビッグ・ジム・サンの隊商と、アンセリカ&アブーは別れました。そしてアンセリカは(自分が仕留めた)マンモスの牙で作った槍を肩に担ぎ、傍らに猿のアブーを伴い、ブリッツの足跡を追って南に向かいます。

 

アンセリカ「いくぞ、あぶー!!」

アブー「うっきー!」

 

 果たして、彼女たちはブリッツに再会できるのでしょうか・・・?

 

〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜 ☆ 〜

 

 

 

仲間っていいもんだ♪ --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点11/20 運点8/13

 

 キャンプ地は平穏だ。スタブは食べ物を探しに出かけ、赤速は火をおこしている。

 だけど疲れていた俺はお言葉に甘えて、一足先にごろ寝させてもらった。ぐっすり眠る。それこそ俺の身体に必要としていたものなのよ(ここで体力点+2)・・・(ρw-).o○・・・zzz・・・

 

 ガキィン☆ ドシュッ! ズバアッ!!

 

 ・・・(o)ハッ!

 戦いの音で目が覚める。俺は飛び起きた。寝ずの番をしていた赤速が、黒マントをまとった誰かと戦っている。闇エルフだっ!

 

ブリッツ「赤速、すまん!!」

赤速「大丈夫、何とかなる!でやあ!」

 

 森エルフにとって闇エルフは天敵だ。だから相当、赤速も気合が入っている。そしてあっけなく・・・どす!彼の剣の一突きで闇エルフは屠られたのだった。

 

ブリッツ「あはは・・・どうやらお呼びじゃない?」

赤速「舟の持ち主を待とうと言ったのは誰だったかな?」(苦笑)

ブリッツ「こりゃまた失礼いたしましたっ!!(><)」

 

 舟の持ち主は闇エルフだったのだ。てへっ(ノ´∀`*)

 俺は照れくさまぎれに闇エルフの持ち物を調べた。帯につけた袋に緑色の液体が入ったビンがあったぞ。赤速が匂いを確かめるも、肩をすくめる。何だかわからないようだ。

 

赤速「薬かな?闇エルフのだから僕は絶対にゴメンだけど、一口飲んで確かめてみるかい?」

ブリッツ「オッス、飲ませていただきますっ!」(≧Д≦)b

 

 体育会系のノリで、ぐびっ!・・・ん?

 特に気持ち悪くもならないので、全部飲み干してみる。ぐびぐびぐびっ!

 ぷはー!こいつは健康薬だ!体から疲労と痛みが薄れて活力がみなぎる。その効き目は?技術点+1、体力点+4、運点+1だ。うわーすげえっ!!!

 

ブリッツ「すごいよこれ、ムハー!ヘ(゚∀゚ヘ)(ノ゚∀゚)ノ」

赤速「闇エルフの薬は強烈だからね。森エルフの僕にとっては猛毒だけど、人間なら大丈夫だ。だけど副作用に気をつけなよ・・・ああ、お帰り、スタブ!」

スタブ「何かあったんかい???」

赤速「いやなに、薄汚いコウモリを1羽、始末しただけさ♪」

 

 ガサゴソと茂みをかき分け、狩りから戻ってきたスタブ。脇には丸々と太ったウサギを抱えている。今夜はウサギのシチューだってさ。すげぇご馳走だよ!俺はいい仲間をもって幸せだぁ・・・ううう・・・(;´Д⊂)

 まもなく栄養満点の食事を楽しむ俺ら3人。いろんなおしゃべりでくつろぐ。

 スタブは、自分たちが築いた素晴らしきドワーフの都ファングセインのこと、赤速は、闇エルフのケリスリオン軍との戦いにまつわる武勇伝、そして俺は、これまでこなした冒険の数々・・・

 あの恐怖の雪の魔女のことは、はるか彼方に消え去ったかのように、すっかりリラックスした俺はここでさらに体力点+4ばっちり疲労回復できたかな?

 

 翌朝、俺らは闇エルフの舟に乗り込み、岸を離れる。コク川を渡るのにさほど時間はかからなかった。

 さあ、ここから異教平原だ。ストーンブリッジを目指し、3人は南に一歩ずつ進んでいく。

 

 

 

鳥男のヘルダイブをかわす --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点9/13

 

 鋭気を養った俺らは異教平原を足早に横切っていく。東の方角に遠く見えるのは、山頂に赤い植物の密生している火吹山だ。俺のファースト・アドベンチャーの舞台♪(^v^)

 「火吹山の山奥は、まだ魔法使いによって治められているのか?」スタブが好奇心を起こして尋ねる。「うんにゃ、それは俺が剣で・・・」と答えかけたときだ。

 一人の人物が向こうから近づいてきた。袋を肩に担いだ小柄な老人の男だ。彼は俺らを視認すると機先を制してこう言う。

 

老人「剣をしまいなさい。わしを殺しても何にもならない。わしが持っているのは情報だけじゃ−−ただではやれんがな。金貨2枚を払いなさい。後悔はさせんよ」

 

 赤速とスタブは、雪の魔女の財宝で膨らんだ俺のザックを見る。そりゃあ今、現財産で金貨208枚持ってるからな。2枚くらいなんともないや。それにこの見知らぬ土地に関する情報は、どんなものでも貴重だ。ほらよ、ちゃりんちゃりん!( ゚д゚)ww。。

 老人は俺が地面に投げた金貨2枚を用心深く懐にしまう。そして彼はストーンブリッジに向けて旅するなら、2つのことに気をつけろと教えてくれる。

 

◎最寄りの池の水には毒が入っている。

◎ストーンブリッジの北側に山トロールが集まり始めている。

 

 そういうと老人は俺らの旅の安全を祈り、歩み去っていった。2つ目の情報を聞いてスタブの鼻息が荒くなる。トロール来襲の危険にさらされている故郷に早くたどり着きたいのだ。

 よしわかった、急ごう!!−=≡ヘ(* - -)

 

 さらに早足になる俺ら。ところがそれが裏目に出た。

 警戒が単調になったのだ。俺の鎧に太陽光が反射し、それが怪物を引き寄せてしまう。

 くきゃああーーーー!

 太陽の中から、こんな甲高い雄叫びを上げて急降下してくる奴がいる。そいつは人間の身体だが緑色の翼を持ち、手に持った武器と脚に生えている鋭い鉤爪で犠牲者を屠る、恐るべき飛行型ヒューマノイド。鳥男(Birdmanだ!

 全部で4人!くそ!太陽を背にして下りてくるから不意をつかれた!このヘルダイブを避けきれるかあっ?

 運試しは・・・吉!ずざあっっっっ!俺は間一髪で地面に転がり、隊長格らしい鳥男の剣の一撃を交わした。赤速とスタブも鳥男の強襲隊と戦闘を始める。俺の相手は・・・ええっ?技術点12ぃぃ!?なんでそんな強ぇのお!!ΣΣ(゚Д゚;)

 

【鳥男 技術点12 体力点8

1R (鳥男/14)(ブリッツ/22) 鳥男/体力点-2

2R (鳥男/18)(ブリッツ/21) 鳥男/体力点-2

 ここまでは何とか俺のペース!!(^v^)

3R (鳥男/21)(ブリッツ/17) ブリッツ/体力点-2

 だが・・・

4R (鳥男/21)(ブリッツ/19) ブリッツ/体力点-2

 ひらひらと一撃離脱のかすめ飛び攻撃が・・・

5R (鳥男/17)(ブリッツ/15) ブリッツ/体力点-2

 だめだ捕らえきれねえ!(><)

6R (鳥男/19)(ブリッツ/20) 鳥男/体力点-2

 あきらめるなブリッツ。体力点は俺の方が上なんだ。

7R (鳥男/18)(ブリッツ/21) 鳥男/体力点-2

 ここだ!ジャンピング・スマーーーーッシュ!!

 

 ひゅーーーーん・・・どさっ。

 撃墜されて地面に転がる鳥男。赤速&スタブと戦っていた他の3機・・・じゃねえ3体は、隊長が死んだのを見ると、上空に撤退して消え去ってしまう。こんだけリキ入れて戦ったけど、こいつら何もアイテム落とさないのな(´・ω・`)ショボーン

 技術点が俺より上の敵と戦ったのは、ひょっとしたらこれが初めてなんじゃないか?今までそういう強敵とは、口八丁手八丁でお利口に戦闘を回避していたんだけどなあ。おそるべきは作者のI.リビングストン。技術点12の怪物と強制戦闘イベントなんて、ここで何回死なせるつもりだったんだ・・・((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 

 まあとにかく、鳥男急降下部隊の襲撃をかわした俺ら3人は旅路を急ぐ。太陽が真上にさしかかって汗がダラダラ流れる。そうすると今度は間もなく別の問題が出てくる。

 喉乾いたなあ(*´ -`)

 水筒なんて持って来てねえわ。だって氷指山脈じゃあ、雪くってりゃ水分補給できたもんな。だがここではどうしようもない・・・おっと、ここで遠目の利く赤速が何か見つけた。池だ、池が見えるぞっ!(゚∀゚ )

 俺らはやっと見つけた水源に近寄るも・・・あう!オーガーの体が水中に沈んでいる!!

 こりゃあ飲めたもんじゃねえや。そっか、老人の言っていた「毒の入っている池」ってのは、これかあ。こんな水飲んだらポンポンが痛くなっちゃう。はふう。俺らはガマンして先に進むことにした。

 

 さっきの鳥男との激闘に加えて、ぎらぎらと照りつける太陽。

 喉が渇いてヘトヘトだ。容赦なく俺の体力点が-1点削られる・・・ ┐(´д`)

 

 

 

山トロールの襲撃団を殲滅する --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点13/20 運点8/13

 

 水の不足を心配しながら南へ歩き続ける俺ら。スタブが言うには、あと1日ほどでストーンブリッジに到着する・・・らしい。

 

スタブ「なのでもうちょっとの辛抱だぞい!」

ブリッツ「だけど、お前さんの仲間をまるで見かけねえぜ?」

赤速「見かけたさ」

スタブ&ブリッツ「何だってえ?ヽ(ヽ・A)

赤速「ただ、あんな姿になっているのを見たくはなかろうと思って・・・」

 

 遠目が利くエルフの赤速は、冷静にそう言いつつ、50mほど西にある岩を指差す。そこには1人の血まみれのドワーフがもたせかけられていた。顔は力なく伏せられ、ピクリとも動かない。手には戦斧を握ったままで、こいつを殺った奴はそう遠くに行ってないはずだ。

 「鍛冶屋のモーリだ!!」スタブは悲しみに咽びながら、ドワーフの亡骸に駆け寄る。「山トロールの仕業に違いない。モーリを埋めたら、急いでストーンブリッジに行き、この恐ろしい知らせを伝えよう」

 黙って穴を掘る俺ら3人。急ごしらえの墓を造り上げる。スタブは親友を埋葬するとき、水筒を彼の身体から外して俺にくれた。もう持ち主には必要ないから、と悲しそうな目をして。

 そうだなあ。んじゃ、ちょっくら失礼して・・・俺は水筒の中に残っていた水を飲む・・・ごくごく・・・ぷっはあ(* >ω<)=3 やっと人心地ついた。体力点を1点回復だ。

 さあ、急いでストーンブリッジに向かわなきゃ。

 

 てくてく、てくてく、てくてく・・・

 だが、とうとう日が落ちて夜になってしまった。スタブは強行軍を主張したんだけど、さすがにそれは危ない。全滅しちゃあ元も子もないぜ、と説得する俺と赤速。結局、多数決の21野宿することに決めた。

 俺らは火を焚き、ごろんと横になる。最初の見張りは赤速だ。そしてスタブ、最後に俺の番・・・おう、ここで運試しかい(どきーん!)。凶だったらワンダリングモンスター出現なんだろうなあ・・・大丈夫、吉でした。

 何事もなく平和な朝が来る。俺は異教平原の壮大な朝焼けを鑑賞することができた。ふう。よかった♪(^v^)

 そそくさと朝飯を食って、さあ、ストーンブリッジまであと少しだ!

 

 もうじき故郷に辿り着くスタブはすっかり興奮している。そして1時間後、遠くの空に、立ち上る煙が見えた!

 

スタブ「ストーンブリッジだ!」(ダーッシュ!!)

赤速「だめだ、スタブ、待て!」(ドワーフの襟首をつかんで引き止める)

スタブ「うぉ!何するんじゃい!」

赤速「あれを見ろ!」

 

 赤速が指差したものは、ストーンブリッジに近寄っている巨大な人影の一団。山トロールの襲撃団だ!俺と赤速は地面に伏せて、奴らの視線から隠れる。

 

ブリッツ「ひいふうみい・・・全部で6人かあ」

赤速「つまり、一人あたり2体のトロールを片付けないと、あの町には入れない」

ブリッツ「けっこう困難だな、っておい、スタブ、ちょっと待てってば!!」

スタブ「大地の女神ケリリムよ、ご加護をーー!うーおおおーーーー!!」

ブリッツ&赤速(顔を見合わせつつ)「あちゃあー・・・(;つД`)

 

 ドワーフにとってトロールは天敵。俺らの慎重論なんかお構いなしだ。目をちょっと放したスキに、スタブは雄叫びを上げて戦斧を振りかざし、トロールどもに突進してしまう。しょうがねえな、スタブだけ戦わせるわけにもいかねえよ。俺らも行くか!(`д´)

 というわけで俺らは、ストーンブリッジ近郊で山トロールの襲撃団と戦うことになった。敵の数は6人、つーことは、1人あたま2体を相手にしなきゃならんわけだ。しかもこいつら、連携とって攻撃してくる!

 この戦闘では2人同時に相手しなきゃならない。あのおなじみの複数戦闘かよ。けっこうキツイパターンで激しい戦いになるぜ、こりゃあ!

 

【山トロール1 技術点9 体力点10

【山トロール2 技術点9 体力点9

1R 山トロール1を指定 (山トロール1/14)(山トロール2/12)(ブリッツ/19) 山トロール1/体力点-2

2R 山トロール1を指定 (山トロール1/16)(山トロール2/18)(ブリッツ/19) 山トロール1/体力点-2

3R 山トロール1を指定 (山トロール1/17)(山トロール2/18)(ブリッツ/17) ブリッツ/体力点-2

4R 山トロール1を指定 (山トロール1/16)(山トロール2/15)(ブリッツ/16) Draw

5R 山トロール1を指定 (山トロール1/16)(山トロール2/14)(ブリッツ/20) 山トロール1/体力点-2

6R 山トロール1を指定 (山トロール1/13)(山トロール2/12)(ブリッツ/20) 山トロール1/体力点-2

7R 山トロール1を指定 (山トロール1/15)(山トロール2/13)(ブリッツ/14) ブリッツ/体力点-2

8R 山トロール1を指定 (山トロール1/16)(山トロール2/14)(ブリッツ/19) 山トロール1/体力点-2 ←Kill!!

 やっと1体撃破だ。だがここまでで体力点-4かあ。けっこう手こずったな・・・

9R (山トロール2/17)(ブリッツ/17) Draw

10R (山トロール2/13)(ブリッツ/18) 山トロール2/体力点-2

11R (山トロール2/17)(ブリッツ/16) ブリッツ/体力点-2

12R (山トロール2/14)(ブリッツ/20) 山トロール2/体力点-2

13R (山トロール2/13)(ブリッツ/18) 山トロール2/体力点-2

14R (山トロール2/15)(ブリッツ/18) 山トロール2/体力点-2

15R (山トロール2/19)(ブリッツ/19) Draw

 ぜえはあ・・・けっこう長丁場の戦いだ・・・だが、あと少し!!

16R (山トロール2/13)(ブリッツ/16) 山トロール2/体力点-2 ←OverKill!!

 これで終わりだっ!!

 

 ぷはあ!2体の山トロールを倒したあと、俺は大きく深呼吸する。いやー、息が切れたわ・・・(っかしいなあ、何でこんなに疲れてんだ??)

 うーむ、久々に体力点1ケタ突入かあ( - _ - ) 周りを見回すと、スタブと赤速も粘り強く戦って、それぞれ2体ずつ山トロールをやっつけていた。スタブはまあ、テンション上がって大張り切りだけどさ。赤速も何だか身体の動きが・・・遅い???

 だけど、まあ、いっか。

 これでもう、俺らのストーンブリッジまでの旅路を邪魔する奴はいなくなったわけだ。今回の冒険も・・・この町に到着というところで、シメなのかな・・・!?(゚∀゚ )

 

 

 

ストーンブリッジは・・・素通り・・・かよ・・・? --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点8/20 運点7/13

 

 ところがこの期に及んで、まだ終わらないんだな。このGamebook

 ふええーーーん。゚(゚´Д`゚)゚。

 

 ドワーフの町ストーンブリッジに来るのは2度目だ。

 前に来たときは、ドワーフの秘宝“戦いのハンマー”をダークウッドの森から取り返したときで(詳しい経緯は『運命の森』参照)、最後は不気味な変身ヘルメットを押し付けられそうになって、それを断って、報酬なしでこの町を離れたんだっけ。

 そんな俺の偉業を覚えているドワーフもいたらしく、俺らを見る目は温かい。そしてスタブの旧友たちにも友好的に出迎えられる。探索行で命を落としたビッグレッグの息子、ビッグレッグJr.もまた、スタブの友達のうちの一人だ。

 ビッグレッグJr.は、親友であるスタブを救い、また、今はなき父の使命を果たしてくれた俺に、あらためて感謝を申し出てくれる。だが・・・その顔は何となく暗い顔だ・・・。

 

ブリッツ「なんだなんだ、どうしたい?山トロールの襲撃団はやっつけたぜ(^v^)」

スタブ「もっとも“戦いのハンマー”がある今、奴らも攻め込めないがな。わっはっは♪(^△^)」

ビッグレッグJr.「いや・・・それが・・・その・・・」

 

 ま た 盗 ま れ た だ ぁ ? ? ? (°Д°)

 

 それは、俺が“戦いのハンマー”をこの町に戻し、トロールとの戦さに勝って、凱旋して祝勝の宴を開いていたときのことだった。

 みんな深酒をあおり、ジリブラン王も含めてみんな泥酔して眠っちまって、気がついたら・・・ハンマーがなかった。何者かに盗まれていたんだとさ・・・。

 幸い、(おやつが大好きな)魔法使いヤズトロモによって、盗んだ奴は突き止められた。敵対ドワーフ部族が雇った一羽の大ワシだ。ところがそいつは空の上で死の鷹に襲撃されてしまう。大ワシが口ばしから離した“戦いのハンマー”は、ひゅるる〜っと落っこちて、ダークウッドの森の真っ只中に・・・って、またかよっ!!

 ええいっ。前回、俺が死ぬ気で冒険してきたのに、元の木阿弥じゃねえか。

 

 こ の あ ほ う ど も が ! ! ( ̄Д ̄)

 

 俺の一喝にシーンと静まり返る宿屋の中。しょーもないけど事態は深刻だ。部族の危機が再びやってきた。スタブがため息をつきながら言う。

 

スタブ「ま、探すしかない。ビッグレッグJr.、すぐ出かけよう」

ビッグレッグJr.「ありがとう、スタブ!父の果たせなかった冒険、今こそ俺がやり遂げてみせる!」

 

 疲れているにも関わらず、スタブはまた旅の支度を始める。そして俺と赤速に向き直った。

 

スタブ「君たち、悪いが結局お客として世話することができなくなってしまった。わかってくれるかね?」

ブリッツ「おいおい、何を水臭いこと言ってるんだ?」

スタブ「というと・・・まさか・・・協力してくれるのか!( ・∀・)

ブリッツ「俺もあんたに付き合うよ。何たってダークウッドの森は一度足を踏み入れているからな。俺様もいた方がいいだろ、な!!(^v^)」(スタブとハイタッチ!)

ビッグレッグJr.「それはありがた・・・」

赤速「いや、それはだめだ!!」

 

 驚いたΣ(゚Д゚) いきなり怒鳴ったのはエルフの赤速だ。

 彼はゆらーっと立ち上がり、咳き込みながら鬼気迫る顔で有無を言わさず宣言する。

 

赤速「ブリッツは、僕といっしょに月岩山地まで、来るんだ」

ブリッツ「いやでも、スタブが困ってるんだぜ。助けてやらないと」

赤速「・・・」

ブリッツ「ここまで来たら月岩山地なんて目と鼻の先だし、お前一人でも大丈夫だろ?」

赤速「く・る・ん・だ!!」

ブリッツ「むうーーーーー( ̄^ ̄)」

 

 険悪な雰囲気になる宿屋の中。こーいうふうに、誰かから命令されるってのは、俺ぁダイッキライなんだよう!プンプン!!ヽ(`Д´)

 結局、スタブがこの場をとりなす。まあ、これはドワーフの問題だから、何回も人間であるお前の手を借りるわけにもイカン。それにビッグレッグJr.にも父の無念を晴らす機会を与えてやりたいし・・・とかなんとか。

 そして別れの握手を交わし、スタブとビッグレッグJr.は“戦いのハンマー”を再び奪還すべく、ダークウッドの森へ旅立っていった。その背中を見送る俺と赤速。

 とりあえず気をつけなきゃいけない場所の地図は書いてやったから、大丈夫だとは思うが・・・あばよー、元気でなあ・・・!!(^v^)ノシ

 

 で、変な様子の赤速だ(怒)。

 彼は力ない様子で、俺にぺこりと頭を下げ、さっきの態度を謝罪した。

 

赤速「すまない。だが、すぐに月岩山地にまで、行かないと。時間がないんだ」

ブリッツ「きっちり説明してくれるんだろうな、おうおう!( ゚ロ゚)

赤速「ああ、旅の道筋で話すよ。ある意味では、スタブがいなくなって好都合だ・・・」

ブリッツ「んあー?何言ってんだお前???」

 

 俺と赤速は荷物をまとめ、そそくさとストーンブリッジの町を後にする。その間も「早く、早く!」と俺を焦らせる赤速。えーい、ちょっと待てってば!

 この町でゆっくり休みたかったのに、こんなにあわただしいから、結局体力点の回復がなかったじゃんかよー、んもう!(*`Д´)

 

 というわけで今度は赤速の故郷の月岩山地を目指し、俺らは赤水川の岸に沿って東に向かうことになった。ブツブツ文句垂れながらも赤速についていく俺様。しょうがねえなあ。付き合ってやるかぁ。

 ところがここで赤速がふと立ち止まり、無言で左手の木々の間を指差す。そこにはシャリシャリと武器を研いでいる山トロールの斥候がいた。しかも3体もいやがる・・・。

 

 げっ。ここでまた運試しかよ(><) 2d6で結果は3。吉だった。

 

 山トロールたちは顔を上げず、俺らは見つからずにすんだ。無駄な戦いはしなくてよかったけど、現在の運点は6まで低下しちまってる。体力点も残り8点だし、そろそろヤバメ。

 まだまだ冒険は続くみたいだし、原点回復薬の「力の薬」をここで飲むべきかなあ。どうしようかなあ・・・( ´・ω・`)

 

 

 

仕組まれた<死の呪文>が友を連れ去る --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点8/20 運点6/13

 

 ずるっ。あれ?また転んだ。(><)

 赤水川の岸に沿いつつ俺と赤速は月岩山地まで旅をしている。だけど何だってこんなに、体のバランスが崩れるんだろう。熱があるのか、どんどん汗が噴き出してくる。風邪でもひいたのかな・・・

 赤速も同じように具合が悪そうだ。顔面蒼白で目に光がない。俺の気持ち悪そうな顔を見ると「座れよ」と言った。

 やれやれ。俺らは何回目かの休息をとる。心臓がバクバク早鐘のように鳴っている。そんなに急な上り坂なんてなかったのに、おかしいな・・・何でこんな・・・ひょっとしたら、これは変な病気なのか・・・???

 赤速が苦しそうな呼吸の中、俺に話しかけてきた。

 

赤速「雪の魔女の洞窟を通り抜けたときに、羊皮紙が釘付けにされた戸口を通りかかったのを、覚えている?」

ブリッツ「ぜえ・・・はあ・・・」

赤速「君は書いてあることが読めなかったんで、僕に読んでくれと頼んだだろう?」

ブリッツ「・・・コクコク」(黙ってうなづく)

赤速「あれは<死の呪文>だったんだ」

ブリッツ「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

赤速「僕らはもうおしまいだ。思ったより早く効き目が現れた」

ブリッツ「雪の・・・魔女の・・・罠・・・」

 

 そうか。俺と赤速は読んでしまったんだ。引っかかったんだ。奴の仕掛けたデススペルに。

 クソッタレの雪の魔女は最強呪文を遅効性の巻物で用意していた。最後の最後で見事にはまった。そのおかげで俺らは今、急速に進行する死の呪いに犯されかけているのだ。

 しばし無言になる俺と赤速。荒い呼吸音だけが森に響く。

 

ブリッツ「何か・・・手はねえのかよ」

赤速「あることはある。僕らは<癒し手>と呼ばれる山の老人を探さなければならない。こうなっては僕らを助けられるのは、月岩山地に住むその人だけだ。だが・・・」

ブリッツ「行くぞ」(立ち上がる)

赤速「もう遅すぎるかもしれない。足からすっかり力が抜けてしまって、もう立ち上がれそうにない・・・」

ブリッツ「うるせえ、立て!赤速!!」

 

 俺は瀕死のエルフを引きずって立たせる。だが、23歩進むと、赤速はよろよろと倒れてしまった・・・冒険者の経験則が告げる。だめだ、こりゃあ、だめだ、と。

 急いでその考えを振り払う。俺の方はまだ大丈夫。まだ何とか歩けるみたいだ。エルフと違って人間は呪いの進行が遅いのか?

 いや違う。俺の方は以前飲み干した闇エルフの健康薬が効いているんだ。だから<死の呪文>の効果がなかなか俺に現れない。

 だが・・・赤速は・・・もう・・・。

 行かなきゃ。歩かなきゃ。助からなきゃ。

 俺は絶対安静状態の赤速を背中におぶった。哀れなエルフは肩越しに懇願する。

 

赤速「追いて・・・いけ・・・」

ブリッツ「だめだ、いっしょに<癒し手>に会おう。この呪いを解くんだ」

赤速「ムダだ・・・きみ・・・まで・・・」

ブリッツ「俺はあんたを助けなきゃいけないっ!」

 

 涙声で怒鳴る俺。

 

ブリッツ「俺があの紙を読んでくれと言ったから、あんたも、こんなことになっちまった」

赤速「気にするな・・・氷の洞窟では・・・奴隷扱いで・・・」

ブリッツ「すまん。俺は大馬鹿野郎だ」

赤速「死んだも同然の・・・暮らし・・・だった・・・だから・・・」

ブリッツ「生きるぞ・・・!」

 

 俺は赤速を背負い、のたりのたりと足を滑らせながらも、何とか1時間前進した。

 ぎゅうっ。赤速が不意に俺の腕をつかむ。だがその瞬間は、俺はそのことに気づかなかった。赤水川沿いに歩くことに精一杯だった。

 ちょっと小高い丘を上ると−−普通なら5分もかからない上り坂が、まるまる1時間かかったのだ−−やっと着いた。俺は月岩山地の麓を見下ろすことができた。

 黒々とした原生林と、赤茶けた山腹のコントラスト。そう、ここが赤速の故郷だ。

 

ブリッツ「へ、へへ。ここまできたぞ、お前の山と谷と森だ、なあ。赤速」

赤速「・・・」

ブリッツ「お前の里はどこらへんだ、おい?」

赤速「・・・」

ブリッツ「・・・赤速?」

赤速「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

ブリッツ「死んじ・・・まった・・・のか・・・」(ひざまづき、声も出さず、泣く)

 

 <死の呪文>は赤速の肉体に勝利したのだ。

 俺はエルフの友人を緑の草地に葬る。

 そして歩き出す。月岩山地に向かって。

 どこに<癒し手>がいるか、まったく見当がつかねえ。だけど歩くことはできる。身体が弱って速くは進めないがな。一歩、一歩ずつ・・・『技術点1と体力点1を失う』・・・だとさ。くそ。やってくれるじゃねえか・・・雪の魔女め・・・!!

 

 前方には川を渡る吊り橋が見える。でも、足に力が入らない状態で、アレを渡るのは危険すぎる。だから俺は、このまま赤水川に沿って月岩山地に入り込むルートを採った。

 

 

 

ニセの<癒し手>に騙されそうになる --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点7/20 運点6/13

 

 川幅は狭くなり、地面の勾配が急になる。

 普通なら口笛吹きつつ陽気なピクニックというところだが、今の体調では・・・さらに『体力点1を失う』か・・・容赦ないねぇ。もう笑うしかない俺様。あはははは( - - )

 力が抜ける筋肉と格闘しながらゆっくり坂道を登っていくと、中が空洞になっている大きな切り株を見つけた。たまたま太い蔦が切り株に絡み付いて、真っ暗なウロにまっすぐ下りている。いかにも切り株の中には“何か”がありそうで、誘っているような感じだ。さあどうしよう?

 

1)『蔦を引っ張るか?』

2)『蔦を伝って下りてみるか?』

3)『渓谷を歩き続けるか?』

 

 だけどもよお・・・ぜえはあ・・・。このバッドコンデションじゃあ、蔦が切れて真っ逆さまに落ちたら、まず助からねえ。だから(2)でいきなり下りるのはヤバイ。でも(3)で素通りするのも、もったいない。だから俺は(3)を選び、蔦が十分な長さで丈夫なロープ代わりになるか、まずは調べてみることにした。

 するする・・・っと、蔦を引き上げてみると・・・なんだこりゃ、蔦になんかウジャウジャくっついているぞ?何だかまあるい・・・虫だ!ウジ虫だ!!ひいっ!!!Σ(´Д`lll)

 切り株のウロに湧いていたのは肉ウジだった。こいつらは新鮮な肉を求めて目のない頭部を蠢かせている。

 俺はゾッとして蔦を手放した。だが、1匹がすでに俺の手の甲に這い移っている。うわ、うわわ!俺は急いでそれを引き剥がし、足で踏み潰した。べちゃっ!

 

 もし勇み足で蔦を下りて切り株の中に入っていったら、俺は待ちかまえていた肉ウジの群れの中に・・・今の弱った身体では、たぶん這い上がれないだろうから・・・ぐちゅぐちゅわきわきと生きながらに貪り食われ・・・ぞぉーーーーっ((( ;゚Д゚)))

 

 すんでのところで俺は、自然の造り上げた即死罠を回避した。この幸運に運点+1だ。

 もちろんこんなところに<癒し手>がいるはずない。俺は冷や汗をぬぐって先に進む。

 

 左の方に川岸から逸れる細い小道がある。

 小道がある、ということは、人がいる形跡ということだ。誰かと遭遇することを期待して、俺はそっちにちょっと寄り道することにした。

 小道は木々の間を曲がりくねって・・・木造の小屋の前で行き止まりになっている。<癒し手>に出会うことを祈りつつ、俺は窓から中を覗き込んだ。そーっと・・・

 小屋の中には紫の衣をまとい、灰色のぴっちりした縁なし帽を被った老人がいた。そいつは木彫りの揺椅子に腰掛けて眠っており、背後の壁の棚には薬草や木の実の入ったビンがずらりと並んでいる!!

 ビンゴだっ!!(゜∀゜)

 俺はさっそく小屋の中に入る。老人は片目を開けて俺を見た。あのですね、怪しい者じゃなくてですね、ズバリ聞きますが、あんたが<癒し手>さんかい?

 ・・・すると老人は椅子からパッと立ち上がり「いかにも!どこがお悪いのかな、旅のお方?」と尋ねてきた!

 ヤッター!!いやあ、こんなに早く<癒し手>に会えるとはなあ。赤速も、もう少し長く生きてりゃあ、助けてもらえたのになあ・・・(´;ω;`)ウウッ・・・かくかくしかじか・・・俺は雪の魔女がかけた<死の呪文>の話をする。

 老人は微笑してドンと胸を叩き、こう言った。

 

老人「<死の呪文>とな?帳消しにするのは簡単です。薬草を混ぜてこしらえた私の薬が一瓶あればよろしい。金貨50枚では安いものですよ♪」

 

 ほうほう、こりゃありがてえ。呪いを解く治療薬は金貨50枚ですか・・・って、ふえええ?

 お金取るのお???( ゚Д゚)

 そりゃザックの中には、金貨が206枚入っているよ。でも<癒し手>ってそんなにガメツイ性格だったのか。ちょっとショックだ。そりゃあ俺は、奴の治療術にすがるしかないけどさあ・・・。

 老人は一歩も譲らぬ様子だ。そしてちらっちらっと、雪の魔女の財宝金貨で膨らんだ俺のザックに目をやっている。

 ん、待て待て。その表情に、スラム育ちの俺はピンときた。身体は弱ってるけど頭はまだまだクールだぜ。欲の皮の突っ張ったあの表情は・・・詐欺師の顔だ!!ヽ(`Д´)

 だとしたら容赦しねえぞ。俺は剣を抜いて老人に詰め寄る。

 

ブリッツ「なぜそんなに人の命がかかった金を欲しがるんだい?」

老人「ひ!ひい!!」

ブリッツ「ダチから聞いたんだが、<癒し手>ってのは、博愛精神で病を治すそうじゃねえか。何かおかしくねえか?説明しろよ、オラ!!」(首根っこに剣の切っ先をくっつける)

老人「わかりましたよ、あいすみません!私は<癒し手>じゃないんです。ただの薬草屋なんですっっ!!」

 

 ガタガタ震えながら老人は白状する。けっ、やっぱりか。

 こいつは、ここのところ運に見放されて、人里から夜逃げしてきた薬草商人らしい。で、死にそうな表情で切羽詰っている俺を見て、ペテンに引っかけようとしたわけだ。

 

老人「どうせ金貨なんて、もうすぐ無用の長物になるんだから、いいじゃないかブツブツ・・・」

ブリッツ「ほおう、 お前も俺の苦しみに付き合うか・・・?(-∀ー#)

老人「あ、ウソ、ウソ!私がバカでした!!すいまっしぇーん(><)」

 

 老人は命乞いをしつつ、衣の中に手を入れて小さなビンを取り出す。中には緑色の丸薬3つ入っており、それを俺に手渡してから、卑屈な表情でこう言った。

 

老人「私が作った痛み止めの丸薬をあげましょう。少しは役に立つかもしれない」

ブリッツ「(無言で剣を鞘にしまう)・・・」

老人「もちろんお代はただ・・・」

 

 バキ☆ 俺はこのウンコジジイの顔面に強烈なパンチを食らわす。

 

ブリッツ「命があるのをありがたいと思え!」

老人「ひいー!ひいーーーっ!!」

 

 顔を鼻血まみれにして床をのたうちまわる老人を尻目に、俺は勢いよく戸口を閉めて小屋を出た。まったく、時間をムダにしちまったよ(゚Д゚#)ゴルァ!!

 俺は小道に戻ると、さっそく奴から手に入れた緑色の丸薬を飲んでみる。なあに、毒だったらすぐに原点回復薬の「力の薬」を飲めばいいさ・・・ごっくん・・・

 お?おおお?(・∀・)

 さすがにこれ以上だまくらかすのは怖かったらしいな。こいつは普通の痛み止めの薬だ。俺の身体は少々楽になって体力点+4された。

 

 ふう、ちょっと一息つくことができたぜ。俺は再び渓谷に沿って歩き出す。

 さてさて、何としても本当の<癒し手>を探さないとな・・・。

 

 

 

赤速の兄貴にしごかれる --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点10/20 運点7/13

 

 足を引きずりながら月岩山地をさ迷う俺。まるで徘徊老人だ。ぜえはあ・・・(泣)

 川の向こう岸の木々の間に小さな空地があるのを見た。何かの煙が立ち上っている。誰かが料理しているらしい・・・料理っ!食い物っ!体力点回復っっ!!ヘ(゚∀゚ヘ)

 いや待て待て、落ち着けブリッツ。ここら辺は狭まっているとはいえ、川の流れはとても速い。渡るとしたら、水の中から突き出た岩伝いだが、現在の体調じゃあ・・・

 どっぼーん! → おっぼれる〜 → ぶくぶく・・・ → DEAD END

 ・・・だろうなあ。やっぱり。もしそうでないとしても、だ。

 「急流から浮き上がるために荷物を全部捨てたまえ」とか「君は何とか川を渡り、用意されている料理を見る。何と焼き焦げた人間だ!ここは人喰いトロールの住処なのだ!」とかいう、これぞリビングストン節という結果が待ちかまえているのは想像に難くない。

 よって、スルー。はいはい、するーするー(つ´∀`)つ 

 俺はこのまま川沿いに歩き続ける。

 

 今度は俺が歩いている方の川辺に、尖った耳と淡い色の髪を持つ男の姿が見える。緑のマントを身につけ、集中してナイフで矢を作っている。要するに赤速とそっくりな外見・・・ということは、彼はエルフだ!

 だったら敵にはならないだろう。俺はおとなしく挨拶してから「<癒し手>の居場所を知らないか?」と尋ねてみることにした。

 エルフは憔悴しきった俺の顔を見て、なぜ<癒し手>を探しているのか、逆に質問してきた。えーっと、それはだなあ、嘘ついてもしょうがないから正直に話そう。氷の洞窟の戦いとー、<死の呪文>のこととー、仲間の赤速とスタブのこととー、かくかくしかじか・・・

 エルフはその名を聞いたとたんに、飛び上がって驚く!「赤速だって!僕の弟だ!!」

 びっくりしたのはこっちだよ。Σ(゚Д゚)

 な ん と ま あ 、 お 兄 さ ん で し た か 。

 

 どさっと腰をおろして、俺は今までにあったことを包み隠さず話す。冒険談の締めくくりは赤速の哀れな最期だ。ううっ。知らず知らずのうちに、また悔し涙がこみ上げてきた。

 赤速の兄、彼の名は秦皮(とねりこ:Ash Treeと言う。長らく行方不明だった弟が、雪の魔女の奴隷にされていたことを、今ここで始めて知ったらしい。彼も弟を亡くした悲しみがつのったらしく、黙ったまま日なたに立ち尽くすのだった・・・。

 

ブリッツ「すまない。弟さんは俺が殺したようなもんだ」

秦皮「いや、ちがう。赤速は一瞬だけでも故郷の山々を見ることができた」

ブリッツ「そうかな?」

秦皮「そう信じよう。君のおかげだ、ありがとう・・・」

 

 こうして、お互いに赤速を偲ぶ沈黙が数分経った頃・・・

 先に頭を切り替えたのは秦皮の方だった。

 

秦皮「<癒し手>を捜す手伝いはするが、会うのは君一人で会わなくてはならないよ。彼は病人としか接触を持たないんだ」

 

 彼が言うには、だ。

 <癒し手>は、以前、旧知の友である魔法使いニコデマス−−ポート・ブラックサンドに住む、あのトンチキ魔法ジジイだ。知らない奴は『盗賊都市』を参照しろ!!−−を救ったときに、深刻な業病を抱え込んじまったらしい。

 (あのボケ偏屈な)ニコデマスが罹ったのは、夜の邪悪な精霊である闇の民の呪いだ。それを解いてやったばっかりに、今度は自分が疫病や苦痛によって変わり果てた醜い姿になってしまった。それ以来、山にこもって一人で仕事をしているらしい。

 

ブリッツ「へへ、ニコデマス。あのクソジジイめ。ここでも迷惑かけていやがる・・・」(ずるーっと、倒れ伏す)

秦皮「・・・ついてきたまえ。君の病も、一刻の猶予もならないようだ」

ブリッツ「いや、俺、ちょっと、休むわ・・・あはは・・・」

秦皮「ここで倒れたら、死ぬぞ」

ブリッツ「くうー、弟そっくりだなあ。そのクールな言い草・・・じゃあ行きますか。くそっ!!」

 

 俺は力を振り絞って、新しい仲間の秦皮に案内されながら、谷間を1時間ほど歩き続ける。

 その間も<死の呪文>は容赦なく進行し、じわじわと俺の体力を奪い取っていく。『体力点1を失う』だってさ。あうあう。

 

 そんなこんなでヨタヨタ歩いているうちに、俺らは川に架けられた吊り橋に差し掛かった。平衡感覚が狂ってる俺にとって、こんな揺れるところパーフェクト☆無理ポなんだけど・・・。

 ここを渡らないと先に行けない? (秦皮がコクっとうなずく) <癒し手>に会えない? (秦皮がコクコクっとうなずく)

 (;´Д`)

 おーし、渡ったらあ!俺はヤケクソで、震える脚で一歩一歩踏み出していくッス。しかし半分ほど渡ったところで・・・ふげえっ!!

 2匹の山トロールが向こう側にいて、橋を吊っている縄をギイコギイコ、刀で切ろうとしているじゃんかよお!超ピーンチっ!!

 俺は急いで足を進めるが、渡りきれるかどうか、ここで運試しだ。運点7なのに・・・!2d69。やべ、凶った。(泣)

 『君が向こう岸に渡りつける前に足の下で橋が崩れ、川に落ちる』

 どっぼ〜ん!あーれー━━━━(TT)━━━━!!ええ、ここでまたまた運試しぃー!?運点6なのに・・・!2d6で・・・523で、5!吉だぞ吉っ!!(←ヤケクソ)

 『力の強い秦皮は片手で吊り橋につかまり、片手で君を捉えて、下流に押し流されるのを防いでくれる』

 

ブリッツ「ふぁいとお〜・・・」 秦皮「・・・いっぱああああああっつ!」

 助かったああああああ!だが俺はこのアクシデントで、またもや体力点-1だ。ぐはあ(吐血)。

 ぐっしょり濡れて、川辺でゲホゲホ咳き込み、四つん這いになっている俺様。だが傍らに立つ秦皮は、早いとこ立ち上がれとか言ってくる。あの急な丘を上らなきゃいかんらしい。さもないと・・・

 

秦皮「君の身体は、あと少ししかもたないぞ」

ブリッツ「立つよ、立つから・・・ちょっと待って・・・げほげほっ!」

秦皮「僕は君を助けなければならん。さあ歩くんだブリッツ!」

ブリッツ「お前、鬼かぁああー!」

 

 もういっそ、ひと思いに殺してくれぇぇぇぇヽ(´△`)ノ 

 

 

 

<癒し手>の住む峡谷に入る --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点8/20 運点5/13

 

 何とか丘の上に登った。ぜいぜい喘ぎながら。

 ここでまたまた体力点-1だってさ。よくもまあこんな、じわじわと・・・(><)。

 どこで原点回復薬の「力の薬」を服用するか、タイミングが重要になってきたな。とか疲れきった頭で考えていて、俺は上空の警戒をしていなかった。

 秦皮が「ブリッツ、上だっ!」と警告の叫びを上げる。

 うわわっ!Σ(゚д゚lll

 仰ぎ見ると、ぴぎゃー!と俺の脳天に嘴をぶち込もうと急降下してくる猛禽類がいる。ザンバー・ボーンの塔でも遭遇したぞ。こいつは死の鷹だ!!

 だがここは、のろのろとした俺の剣さばきよりも、熟練した弓使いの秦皮が効果を発揮した。俺ではなく秦皮の技術点チェックだ。彼の技術点は92d6は・・・7

 どしゅうっ!見事な手並みで死の鷹の頭部を射抜く秦皮。ひゅーーーん・・・と、哀れな猛禽は丘の斜面に墜落していくのだった。

 

ブリッツ「ふうう、助かったよ(´д`)

秦皮「これくらいの敵なら僕でも倒せる。だが君の病魔は・・・」

 

 秦皮が弓をしまいながら俺に告げる。見下ろすと、丘の裏側は峡谷になっていた。

 

秦皮「ここから先が<癒し手>の住む谷だ。一人で行って、彼に会いたまえ」

ブリッツ「い?秦皮は、ここから来てくんないの?(A )

秦皮「残念だけど僕は病気じゃないから・・・。峡谷を東に進むと不死鳥の頭が刻まれた岩肌がある。<癒し手>はその上の斜面にある洞穴にいるはずだ」

ブリッツ「ありがとう、秦皮」(ハイタッチ!)

秦皮「幸運を祈る」(ハイタッチ返し!)

 

 俺は秦皮と冒険者特有のハイタッチを交わし、礼を言ってから、そろそろと峡谷の底に下りていった。見上げるともう秦皮の姿はなかった。クールなお兄さんだったな・・・。

 

 峡谷の底についた。

 彼の指示通り左へ曲がる。すると、密生している樹木のうちの1本に、縄梯子がぶら下がっていた。思わず上を見る。んー、葉っぱに隠されているが、木造の小屋が樹上にあるのが見てとれた。

 <癒し手>の住みか?だけど、不死鳥の岩肌のような目印は特にないぜ???

 まあ、調べてみりゃあわかるべえ。俺はゆっくり縄梯子を上る。うんしょ、こらしょ・・・。小屋の中で何か引きずるような音が聞こえてきた。誰かいる!だが、そこにいたのは・・・

 

マン・オーク「だれだ、てめえ、ごるあ!!(◎皿◎)

ブリッツ「わあーおっ!!( >д<)

 

 俺を出迎えてくれたのは、斧を担いだ凶暴なマン・オーク(ハーフオーク)だった!もちろん奴の隠れ家に無断で踏み込んだ俺は文 句 な く 侵 入 者 扱 い 。

 あっという間に狭い樹上での戦闘となる。ヤバイなあ。俺、身体、弱っているんだけど。倒せるかなあ〜?

 

【マン・オーク 技術点8 体力点6

1R (マン・オーク/17)(ブリッツ/20) マン・オーク/体力点-2

 ここまで来て死んでたまるかっ!!

2R (マン・オーク/16)(ブリッツ/17) マン・オーク/体力点-2

 よしいける、スタミナを温存せず、突き崩すぞっ!

3R (マン・オーク/11)(ブリッツ/16) マン・オーク/体力点-2 ←Kill!!

 でりゃあーーー!

 

 長引いたらこっちが不利だ。俺は猛ラッシュで敵に反撃のヒマを与えず、マン・オークを突き崩した。俺は奴の死骸を木の下に放り投げる。さあこの隠れ家の中を調べよう。

 とにもかくにも食い物だ。食い物を探せっ!(゚∀゚ )三 三( ゚∀゚)

 食料食料・・・体力回復・・・。だけどここで役立ちそうな物は、蝋燭と火口箱しかなかったよショボーン━━(´・ω・`)━━

 ま、そんなオイシイ話はないってことか。

 俺はマン・オークの木を下りて、腹立ち紛れに奴の死骸を踏みつけた後、峡谷を東に歩き続けるのだった。

 

 

 

不死鳥が刻まれた岩を発見! --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点10/11 体力点7/20 運点5/13

 

 もうそろそろ<癒し手>の居場所にかなり近いところまで来ているはずだが・・・現在の体力点は残り7点・・・うーむ・・・

 よし、決めたっ!ここで飲んどこう。俺は大事にとっといた原点回復薬の「力の薬」のビンを開ける。たぶん<癒し手>は『トカゲ王の島』の呪術師みたいに、何らかの試練を課してくる可能性がある。手遅れにならないうちに、今、飲んどこう。

 ごくごくごく・・・ぷっは〜。俺の体力点は原点まで回復した。だけど食料もすでに5食使い切っちゃっているし、これで体力回復手段は、正真正銘の、ゼロだ。

 <死の呪文>の呪いが身体中に回るのが先か、それとも<癒し手>に治してもらうのが先か、ガチの勝負だぜっ!!(`Д´)

 

 さて、峡谷の真ん中にある大きな丸い岩を迂回すると・・・うわ!

 岩陰でいきなりでっかい男がぐーすか眠っていた。トロールか?いや、ちがう。両手用の戦斧が立てかけてある。

 こいつは人間だ。蛮人(バーバリアン)なのだ。

 俺はファングの地下迷宮で、盟友スロムの戦闘力にぶったまげたことがある。だからもちろん、ここで無駄な戦いはしないほうがいいよな。

 俺はそろそろと脇を通り抜けようとする。だがここでアイテムチェック・・・『君はエルフの長靴をはいているか?』・・・持ってねえよそんなの。それは何か?赤速か秦皮から手に入れればよかったのか?( ゚Д゚)

 つーわけでふつーのブーツしか履いてない俺は、ガサゴソと音を立て、蛮人の目をパッチリ覚まさせてしまう。そして蛮人ってのは、戦うのが先で、質問するのは後がデフォルトなんだなこれが(泣)。奴は跳ね起きて戦斧をつかみ、俺に突っ込んできた!!

 

【蛮人 技術点9 体力点8

1R (蛮人/17)(ブリッツ/17) Draw

 ぐわきーん!振り下ろした戦斧を受け止める俺。強烈な火花が散る。

2R (蛮人/13)(ブリッツ/17) 蛮人/体力点-2

 奴は起きたばっかりで動きが鈍い。ガキ、ゴキ、傷を負わせる。

3R (蛮人/15)(ブリッツ/16) 蛮人/体力点-2 

 だが運点5だし、運試しスマッシュは使えないな・・・

4R (蛮人/14)(ブリッツ/18) 蛮人/体力点-2 

 よし、いけるっ!

5R (蛮人/17)(ブリッツ/21) 蛮人/体力点-2 

 ここだあー!

 

 時代遅れの蛮人は俺の洗練された剣技について来れない。断末魔の咆哮を聞かせると、どさっと膝をついて動かなくなった。うっし、パーフェクト・ゲームだぜ!!(^v^)

 俺は奴の持ち物を探る。ガサゴソ・・・見つかったのは、銅の腕輪銀の矢じり3だ。銀の矢じりはザックにしまうとして、銅の腕輪は・・・何か文字が刻まれているぞ・・・「腕力は威力」だってさ。どうする?はめてみるか?

 これって、何となく力を増してくれるような文句だよな。よーし、はめてみるベえ。かぽっ・・・おう、おうおうおう!!(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)

 やっぱり腕輪には善い魔法の力があった。ここで技術点+1だ。これで技術点は原点まで戻った。よーし、運点以外はベストコンディションになったぜー。

 俺は急いで峡谷を先に進む。今の健康なうちに、早いとこ<癒し手>に会わないとな!

 

 てくてくと峡谷を歩く俺。そして・・・やっと・・・(・∀・)

 

 見 つ け た ぞ 。

 

 右手に大きな一枚岩が見えてきた。この岩には、炎に囲まれた架空の鳥の頭部が刻まれている。へたくそな線だが、間違いない、これは不死鳥だっ!

 そでに秦皮から情報を得ていた俺は、ピンと来た。どうやらここが、俺の待ち望んでいた人物の住処だ。雪の魔女の<死の呪文>を解呪してくれて、あらゆる病気を治す<癒し手>の住処なのだ。間違いないっ!!

 粗末な石段が一枚岩の横を通って洞穴の入口に続いている。

 ついに来たぞ。いったいどんな人が<癒し手>なんだろう。俺的には、キレイな女医さんだったらいいな(←マテ)

 ドキドキしながら石段を一歩一歩上っていく。

 洞穴は山のかなり奥まで通じているようだ・・・

 

 

 

醜悪なるも高潔なる聖者 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点20/20 運点5/13

 

 たいまつで不気味な光を投げかけている洞穴。壁にかかっているのは様々な形の木彫りの仮面だ・・・そして・・・その人はいた。

 長い衣をまとった人影が、床に座って俺に背を向けている。俺が近寄ってきても、振り向きもせず、じっと向こうを見て座っている。おそるおそる俺は声をかけてみた。

 

ブリッツ「あのう・・・あんたが・・・」

癒し手「わしが<癒し手>だ。癒されるために来たのなら、すぐに我が前へ立つがよい」

 

 俺はドキドキしながら、この男の前に回りこむのだったが・・・げげえっっ!!!(((( ;゜Д゜))) 

 

 『目の前にいる男は二目と見られぬ姿で、体はねじくれ、顔は苦痛に歪んでいるにもかかわらず昂然と腰を下ろしている』

 

 彼が<癒し手>か・・・。

 そしてこれが、エルフの秦皮からある程度事情を聞いていたが、ニコデマスにかかった呪いを取り除いた代償ってわけか・・・こりゃひでぇや・・・。

 あ、いやいや、失礼。ついジロジロ見ちまった。俺は<癒し手>に素直に詫びてから、自分の境遇を話し始めた。つまりは雪の魔女にかけられた<死の呪文>がうんぬんかんぬん。どうだい、何とかできそうかい?

 <癒し手>は俺の話に、一つ一つ親身に乗ってうなづきながら聞いてくれる。顔は醜いけど、やっぱりいい人みたいだ。そして重々しく語る。「<死の呪文>の力を打ち砕くのは難しい。破ったことは一度しかないが、容易なことではなかった・・・」

 ああ、わかるよ。あんたの変わり果てた外見を見ればな。あ!ということは!またここで俺を助けちゃったりなんかしたら、あんたにいろんな副作用が、またかかっちゃうんじゃねーの?

 その質問を聞くと<癒し手>は喉の奥でクスクス笑う。

 

癒し手「それを案ずることはない。わしの体は、すでに十分な苦痛に蠢いておるからな。解呪の代償をこれ以上くらったとしても、いかほどのこともあるまいよ」

ブリッツ「ほーっ、ならいいけどさあ」

癒し手「心根が素直じゃのう、おぬしは。わしの姿を怖れぬのか?」(ずい、と近寄る)

ブリッツ「んー、そりゃいきなりはビックリしたけどさ。でもまあ、これまでの冒険でもっと醜い怪物にも出遭ったから、それに比べれば・・・」

癒し手「ほうほう・・・」

ブリッツ「それにあんた、心根は優しそうじゃん?外面はキレイだけど心が醜い雪の魔女より、あんたと話している方が、ちょっと落ち着くよ。俺的には。えへへへへ」

癒し手「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

 

 あ!?(゚Д゚ )

 こんなフランクに話しかけちゃって、大丈夫だったかな。けっこう魔法のお偉いさんだろ、この人。やっべ、馴れ馴れしすぎた?

 腫れ上がった瞼の下から<癒し手>は俺の顔をじいっと睨む。まるで値踏みされているかのようだ。そして低くムニャムニャと呟いた。

 

癒し手「なるほど彼はまだこの世界で為すべきことがあるようだ。ニコデマスにヤズトロモよ、私はこの世界に役割を再び与えられたのだ・・・」(ボソボソと小声)

ブリッツ「へ?な、なんか言った?・・・じゃねえ、何やらおっしゃられるりらる・・・あて!」(舌噛んだ)

癒し手「・・・お前はある儀式を執り行う必要がある」

ブリッツ「え、ということは、解いてもらえるの!<死の呪文>を!!(゜∀゜)

癒し手「うむ。お前がそれに耐えられるかどうかは、わからぬがな」

 

 <癒し手>は協力してくれる!

 ありがてえー。「力の薬」飲んだ直後で健康そうに見えるけどさあ、足が生まれたての子鹿みたいに震えてガクガクきてるのよ、今の俺様。早く治してぇーん(*´д`*)

 

 <癒し手>はさっそく行動に移る。壁にかけてある仮面の中から、太陽をかたどった仮面を俺に渡ししてくれた。

 まずは<死の呪文>の進行を停止させるために、この<生命の面>を被らなければならないそうだ。彼が言うには「生と死による最初の戦いに生き延びられれば、呪文の効き目を覆す第二の過程にも直面できる」とのことらしい。

 OK。被ってみるぜっ!俺はすぐに<生命の面>を顔面に装着する・・・あれ?さっき<癒し手>なんて言ったっけ?“生と死による最初の戦い”・・・と、いうことは・・・

 あだだだだっ!!!俺は全身を2つに引き裂かれるような痛みを受ける!!!

 いきなり体力点から1d6が引かれまーすっ。ああっ!出目は6だ。なんと体力点-6ゥゥゥゥゥ!? (>Д<)

 痛みに苦しんでぎったんばったん痙攣する俺。だけど・・・なんとか・・・俺はこの激痛に打ち勝った!必死に歯を食いしばり、気が狂わずにすんだぜ。

 

ブリッツ「ぜええええええ・・・(T▽T)」

癒し手「よし、呪いの進行は停滞したようだ。これからが儀式の本番だぞ。ついてこれるかな?」

ブリッツ「はあああああああ・・・(T△T)」

癒し手「以前、この呪いを解くことに成功した、ニコデマスのように?」

ブリッツ「へ、へへへ。橋の下に住んでたあのジジイ、こんなくすぐったいことでヒイヒイ泣いてたのかよ」

癒し手「ほほう?」

ブリッツ「大魔法使いっても、大したこたぁねえなあ」

癒し手「ぐ、ふ・・・」

 

 俺の100%強がりに対して、何となく<癒し手>が笑ったような声を出した。

 

 

 

バンシーの絶叫に耳をふさぐ --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点14/20 運点5/13

 

癒し手「作業の今後の過程もやはり危険だが、お前が持っている物によっては危険を軽減することも可能だ。<死の呪文>を完全に破るためには他の場所へ赴く必要があるのだが、わしがこの先与えられる援助には限りがある。ついてきなさい」

 

 <癒し手>は、そう一方的に言い放つと、スタスタと洞窟の奥に歩き始める。俺は痛む身体で慌てて追いかけた。ちょっと待ってえなオッサン・・・アタタ・・・(><)

 おっアブねえ!

 洞穴の奥には、底も見えないくらい深い奈落の穴があった。というか、こんなに奥まで来ると、光も当たらなくてそこら中真っ暗だ。すぐ側にいる<癒し手>の輪郭すらも目をこらさないと見えない。

 こんな危ない奈落の縁で、<癒し手>は俺に「奈落にかけられている丸木橋を渡れ」と冷ややかな声で言ってのける。容赦ねぇー!( ゚Д゚)

 

 うーんこれじゃあ、足踏み外して死んじゃうよぉ・・・そうならないために、ここでアイテムチェックだ。『蝋燭と火口箱を持っているか?』持ってる!!マン・オークの隠れ家から手に入れた、アレだろ!!

 ぽおっ。温かい光が洞穴の中に灯り、俺は脅威を測ることができた。穴の幅は15mほどで、丸木橋は相当細いが、この明かりがあれば何とか渡れるかな・・・?

 ここで技術点チェックは・・・成功!

 俺は慎重に歩いて奈落の向こう側にたどり着いた。ほーっ・・・(^〜^)

 

 後ろを振り返ると・・・うおっ!<癒し手>は奈落など存在しないかのように、無造作にスタスタと丸木橋を渡ってくる。スゲエ!!( ゚o゚)

 

癒し手「では次の過程に臨む覚悟をしなければならない。しかし次の試練は、生き延びるためにはあくまでも冷静を保つ必要がある。龍の卵があれば気持ちをくつろがせる薬を調合してやれるのだが・・・」

ブリッツ「龍の卵???」

癒し手「まあ、こんなところで、ない物ねだりをしてもしょうがない。先に進め」

ブリッツ「あの、持ってんスけど、それ」

癒し手「武運長久を祈る・・・って、なにィ!」

 

 <癒し手>のオッサンは驚き、ぴたっと歩みを止めて、俺のほうをゆっくりと見る。俺は雪の魔女の洞窟の、倉庫でちょろまかした龍の卵をザックから取り出し、<癒し手>に見せた。ね?ほらほら、龍の卵だよコレ。しかも4つもアルヨヽ(・∀・)

 <癒し手>は卵の殻のてっぺんを割り、首に下げていたペンダントから粉薬を取り出し、卵の中に注ぎ込んだ。棒でかき回してから、俺様に「飲め」と言う。

 何だかスゲェ変な臭いすんだけど、ホントに大丈夫なのコレ???(TдT) 俺は鼻をつまんでごきゅごきゅと飲み下す。

 ん、わっ、んっぐ!ぷは〜。俺は一気に薬を飲み干した。心なしか、呪いによる身体の辛さがちょっと取れたような気も・・・する・・・かな?

 

 そして俺と<癒し手>が洞穴を先に進んでいくと・・・

 

 ひいいいいー (ん?)

 ひいいいいいいいいーーーーーー (何だこの泣き声???)

 

 悲しそうなむせび泣き・・・というか・・・すさまじい怨念の絶叫だ!<癒し手>がボソリと呟く。「バンシーだ。怖れずに通れば無事にすむ」だってよ!

 バ、バ、バンシーだってえ!

 やがて醜悪な妖怪の姿が見えてきた。顔も手も萎びており、歯は口の中に1本きり、鼻の穴も1つだけの老婆のような姿。そして俺の脳を発狂させんばかりのすげえ泣き声・・・。俺は情けないことに、冷や汗ダラダラ、脚はブルブル震えている。あわわわわ・・・((((;゚Д゚)))

 

癒し手「話しかけても、手を触れても、存在を認めてもいけない。わしの指示通りにすればお前を傷つけることはできぬのだ」

ブリッツ「そ、そうは言っても、よお・・・うひいいい!(;´Д`)

癒し手「決して彼女を見るな、行くぞ」

ブリッツ「う、うん・・・ボク、がんばりゅ・・・(><)」

 

 俺と<癒し手>はそろそろとバンシーの横を通り過ぎる。大丈夫だブリッツ。<癒し手>が言うには、恐怖を見せなければ、この妖怪は襲ってこないんだそうだ。そうだブリッツ。平常心だ・・・平常心・・・

 

 くぎゃあああ!死ねええええええええ!!!

 

 最接近したとき、バンシーが聞いたこともない凶兆の叫びを上げた!!

 ぷっちーん。ΣΣ(゚Д゚;)

 あまりの恐怖に頭のタガが外れる。自己防衛本能から、思わず剣を抜いてこの妖怪に斬りかかろうとする俺。うわああああ、死ぬのはいやだああああ!!(@o@)

 だがここで!俺は龍の卵の薬を飲んでいたから、心の片隅に平静さが残っていた!辛うじて技術点チェックを行える。そして2d6の出目は8だ。つまり、成功したんだ!

 

 死ねええええ・・・   死ねえええええええええ・・・

 

 呪詛の悲鳴を上げ続けるバンシー。だが<癒し手>が作ってくれた薬のおかげで、俺は剣で戦う誘惑を抑え、無傷でそばを通り過ぎることができた。

 <癒し手>は俺のすぐ後ろについている。そして「早く洞窟を通り抜けろ」と促してくる。へっ、言われなくたってそのつもりさ。

 こんな薄気味悪いところ、もう二度と来るもんか!!ヽ(`Д´)

 

 

 

天馬に運ばれて火吹山の頂へ --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点14/20 運点5/13

 

 ついに洞窟の突き当たりについた。亀裂から日光が差し込んでいるのがわかる。外だ!

 俺らは赤々とした夕陽が照らす月岩山地の麓に出た。明日もこの太陽を見られるか、それは<癒し手>のみぞ知る、だ。

 

ブリッツ「これからどうなる?」

癒し手「わしが行くのはここまでだ。試練の最終段階にはお前一人で臨まねばならぬ」

 

 うっ。とうとう試練の最終段階・・・どんな途方もない苦難なんだドキドキ・・・。

 <癒し手>は俺に妙ちくりんな仮面を1枚渡した。そして言う。

 

癒し手「その仮面を着けて夜明け前までに火吹山の頂で日の出を見るのだ。東に向かってあぐらをかいて座るがよい。地平線上に火の光が射し始めた瞬間に、お前は完全に癒されるだろう」

 

 なあんだ山を登るだけかあ。火吹山の内部は、魔法使いザゴール退治で俺が以前踏破したし(『火吹山の魔法使い』参照)、楽勝さあ・・・(・∀・д・)・・・って、おい!!

 あそこに聳え立つでっかい山の頂まで登れだとー?高度1500mはあるよ。どうやって行くのさ!!長旅と呪いに疲れ果てた俺の体では・・・むりポ・・・とほほ・・・(;´Д`)

 癒し手は俺の抗議を冷ややかに受け流す。「何か銀でできた物を持っているか?あれば天馬(ペガサス)をおびき寄せてお前を火吹山まで運ばせられるのだが」だってさ。

 銀製品?はいはーい、持ってる!!(゚∀゚ )

 俺のザックの中には、ちょうどよく銀の笛銀の矢じりが入っていた。どっちでもいいが、矢じりはこの後アンデッド戦闘なんかあると役立ちそうだから、ここは銀の笛を<癒し手>に渡そう。

 <癒し手>はそれを受け取ると、指笛を大きく吹き鳴らす。すると・・・

 

 ばっさばっさと翼のはためく音が聞こえる。

 上空からいきなり姿を現して飛来したのは、純白のペガサスだ!!

 俺は<癒し手>に教わったとおり、銀の笛を彼(それとも彼女?)のたてがみに結びつける。そして首を火吹山の方角に向けた。俺の目的地はあそこだ。わかるかい?天馬は「お安い御用だい!」とばかりにヒヒーンと、猛々しくいななく。頼もしいねえ!(^v^)

 

癒し手「天馬は銀と引き換えにならどこへでも運んでくれる。わしとはここでお別れだ。幸運を祈る。成功を願っているよ」

 

 そう言うと、この醜い顔をした男は、表情の筋肉をゆっくりと動かした。よくわからないけど、それは素敵な笑顔のはずだ。そう俺は確信した。ここまでありがとう<癒し手>。顔は醜いけど、心根はキレイな、あんたの慈悲は忘れないからなっ。

 俺は正直名残惜しくて、しっかり握手をして、それから友愛のハグもした。いきなりでちょっと<癒し手>は驚いた様子だったが、おずおずと腕に力をこめるのだった。

 

 さあ、出発だ!

 

 天馬はグングンと急上昇していく。気がつくと地上に残した<癒し手>の姿は、芥子粒ほどになっていた。俺はゆっくり旋回して<癒し手>に別れの合図を送ると、向こうに見える火吹山まで一直線に飛行していった。そして夕陽に赤々と照らされながら、何の危険もなく、ほどなく山頂に着いた。

 あっけないほどに快適なフライト終了!はい、ペガサスご苦労さん!!(^v^)

 

 天馬はまた一声いななくと飛び上がり、俺を残して視界から消え去ってしまった。さてさて・・・俺は周囲を見回す・・・。

 「火吹山」がなぜ「火を吹く山」と言われてるかというと、別に火山の噴火口があるからということではなく、山頂付近に奇妙な赤い植物が密生しているからだ。これが遠目から見ると、まるで火を吹いたように見えるから「火吹山(Firetop Mountain)」と呼ばれている。

 前はここにダンジョンがあって、魔法使いザゴールとか言う悪い奴が財宝を溜め込んでいたんだが、俺が成敗して分捕って、だけどバルサス・ダイアに一杯喰わされて・・・とまあ、そこらへんはこのLivre dont vous etes le heros(君が英雄になれる本)』をもう一度読み直してくれ。

 陽は落ちて、夜になった。涼やかな虫の音が聞こえる。

 日の出まで間がある。だけど何があるかわからないから、もうここで仮面を被っておこう。後はここで東を向いて、あぐらをかいて座るだけでよい。それで雪の魔女の<死の呪文>は、俺の体から消え去るはずだ。ふう、長かったなあ、ここまで・・・。

 俺は腰を下ろして休憩することにした。食料があればよかったんだがな、残念ながら使い切っちまった。しょうがないので空きっ腹抱えて、じいっと待つしかない。

 そう、じいっと・・・待つ・・・あれ・・・?

 

 お か し い な ? ? ?

 

 なんだか( ̄O ̄)ねむくなって(.)き・・・た・・・(_ _).ZZZ

 

 

 

不死鳥よ・・・!!! --Caverns of the Snow Witch-- 

 

 

【技術点11/11 体力点14/20 運点5/13

 

 まるで気がつかなかった。もっと用心するべきだったんだ。

 俺は最後の最後でヘマをした。後で知ったところでは、火吹山の頂に生えているこの赤い植物は「眠り草(Sleeping Grass)」というもので、近くにいる者に幻覚催眠効果をもたらすのだ。ここまで来て、ほんとに、もう・・・・゚・(つД`)・゚・

 そんなわけで、俺は日の出を前に、そして<死の呪文>を解呪する最後のチャンスを目の前にして、ぐっすり眠り込んでしまう。

 夜が訪れ、時が過ぎる。晴れた夜空を月がゆっくりと回っていく。

 しかし俺は目を覚ますことができない!!

 

 ZZZZZZ・・・

 

 俺は鮮明な波乱万丈の冒険の夢をたくさん見る・・・

 

 ZZZZZZ・・・

 

 それがどんな夢だったかは、後で話すことにしよう・・・

 

 ZZZZZZ・・・

 

 夜明けが数分後に迫った。

 このままでは俺の<死の呪文>は解けない・・・というか、このまま眠り続けて植物人間状態だ。体が衰弱して飢え死にするだけだ。ピーンチ!(><)

 冒険の夢が終わり、そして俺の安眠をかき乱す小さな影が、夢の中でちらついてくる。

 なんだなんだ、ううーん・・・俺は寝相も悪くバタバタしてうなされる。なんだっけ、こいつ、ええっと・・・影は次第に大きくなり、ついに脳裏一杯に広がって点滅し始めた!

 それは長い口ばしで見事な羽根を持った鳥だ。俺の夢の中で、その鳥は、炎の輪から飛び出そうとしている。

 そうか、わかったぞ。

 これは<癒し手>からの精神波によるサインだ。彼が遠く離れたところから念を送り、俺の目を覚まそうとしているのだ。精神を集中して、<癒し手>の力の象徴であるこの鳥の名前を思い出すことができれば・・・

 

 夢はかき消え、目は覚める!

 さあ、<癒し手>が念じた、この動物は何だ???

 答えろブリッツ!ここでの選択肢は2つ!!

 

 (1)『不死鳥(Phoenix)か?』

 (2)『獅子鷲(Griffon)か?』

 

ブリッツ「不死鳥だ!」

 

 俺は眠ったまま上半身を起こし、声の限りにそう叫ぶ。そう、<癒し手>のシンボルは不死鳥だ。再生。太陽の化身。俺は彼が時折見せた慈悲の表情から、そう直感したのだ。

 その次の瞬間だ。はっ!目が覚めた!!(゚Д゚ )

 辺りは暗い。なぜ?そうだ、俺は眠ってしまったんだ。だけど大丈夫、東の空に曙が認められるが、太陽そのものはまだ顔を見せていない。間に合ったー!!

 俺は急いで<癒し手>にもらった「太陽の仮面」を調節しながら、東に顔を向ける。

 

 やがて・・・地平線に赤い輝きが見え・・・

 太陽がゆっくりと昇りだす・・・

 その見事さに瞬きもできない・・・

 

 お お お ・・・!!!

 身体の中の毒素みたいなものが、ゆっくりと浄化されていく・・・

 俺は<死の呪文>を打ち破ったのだ!!!

 

 

 

400!そして次の冒険への幕間 --Caverns of the Snow Witch-- 

 

【技術点11/11 体力点14/20 運点5/13

 

 美しい1日の始まりだ。

 おそらく俺の生涯で最も美しい1日となるだろう。

 

 邪悪な雪の魔女の霊は滅ぼされ、その恐るべき呪いも破られたのだ。山を下りながら俺は、親切で無私無欲な<癒し手>のこと、友となった赤速とスタブのことを考える。不意にあの陽気なドワーフに会いたくてたまらなくなり、俺はストーンブリッジに向かおうとふげえっ!!!Σ(゚Д゚)

 俺はいきなり後ろ上方45度の角度から後頭部に蹴りを入れられた!!

 ごろごろごろっ。転がる身体。あ、前に崖が!あ、あぶっ、あぶなっ!!((((;゚Д゚)))

 ぴたっ。

 もう少しで100m下の地面に叩きつけられるところだった。っぶねえなー誰でい!

 

 「ばかぶりつっ!」・・・俺にイナズマレッグラリアートをかました人物は・・・逆光だからよく見えねえ・・・んー、槍を持った金髪の若い娘?あれー、どっかで見た記憶が・・・「どこいってた!!」「うきゃきゃ♪」・・・それと猿の鳴き声・・・あっ!!!

 こんなとこで俺は、アンセリカとアブーに再会したのだった。

 彼女をここまで運んできたのは、俺が乗っていたのと同じペガサスだ。そしてひと仕事終えてホッとしている俺を上空から見つけて、急降下爆撃してきたというわけだ。

 

ブリッツ「いよう、久しぶりだな( - _ - )ノ」

アンセリカ「せいーざ!」(槍を構える)

ブリッツ「は?なに?」

アンセリカ「ぶりつ、せいーざ!ヽ(`Д´)ノ」(ぶんぶん槍を回す)

ブリッツ「お前どこで正座なんて風習を・・・う・・・はぁい・・・」

 

 俺は彼女の気迫に押されて思わず言いなりに正座する。それから・・・

 

 ガ ン ガ ン に 反 省 さ せ ら れ た Σ(´Д`lll)

 

 ほっぽらかしで雪の中に消えてどーの、魔女の宝に目がくらんでどーの、ビッグ・ジム・サンの約束がどーの、父ちゃんの墓がどーの、と。付き合ってられねえや。そーっ・・・。

 あ、バカ、アブー、ついてくんなっ!!!

 

「うきー♪ ( ´∀`) 」 「どこいくか! ミ,,゚Д゚彡 」 「うひゃあっ (>ω<)ノ 」

 

 彼女の貧弱な語彙を、まとめると、だ。

 アンセリカは俺を追跡して氷指山脈の魔女洞窟跡を出発した。そして異教平原でトロール斥候隊による包囲網を単身突破してストーンブリッジに入り、ドワーフたちから俺の噂を聞いて月岩山地に来て、そこでは夜歩き山賤といった怪物をぶちのめし、<癒し手>に出会って天馬を借りて、ここまでたどり着いたそうだ。

 

ブリッツ「いやちょっと待て、何でお前、そんなにスイスイ来れたの?」

アンセリカ「んー、じめんのにおい、かいだ!」

 

 ああそうか、あんたは天然のハンターだもんね。獲物を追いかけるのは朝飯前か・・・。

 ま、見つかって合流されちゃったもんは、仕方ねえや。

 こうして俺は、アンセリカやアブーといっしょに、ブリッツキャッスルへ帰ることになった。でもその前に!いったんストーンブリッジの街で食料などを補給していこう。

 うんそれがいい。スタブにも会っときたいしな(^v^)

 あいつ、俺の渡した情報を元に「戦いのハンマー」を無事見つけられたかな・・・?

 

 さてそこまでどうやって行くかだが・・・おっ、ちょうどいい移動手段があるじゃん(゚∀゚ )

 ペガサスがアンセリカの傍らに「ブルルルル・・・」と控えている。そして彼女とアブーを乗せて離陸しようとしている。俺もえっちらおっちら火吹山を下りるのはかったるいし、よろしくたのむ・・・って、ヤツにそっぽを向かれる。

 動物の言葉を聞くのが上手い(ってか、そっちの方が母国語)アンセリカが解読するには、このペガサスは「利用したいなら料金払えやブルルルル・・・」と言っているそうだ。

 ええっ?またここで銀のアイテムが必要なのっ?だってあんた、アンセリカは銀製品持ってないのに乗せてるジャン!「ふっ俺はアランシアの種馬だからなブルルルル・・・」と言いたげに翼をはためかせるペガサス。

 女には甘いんだからまったくもうヽ(`Д´)

 俺はしぶしぶ蛮人から奪った銀の矢じりをたてがみに結びつけた。そしてやっと背中に乗ることを承諾してもらえた。

 

 俺と、アンセリカと、アブーを乗せたペガサスは、ふわあっと飛び上がる!!

 

 西アランシアの見事な地形が広がる。氷指山脈のキラキラ白く光る氷河、月岩山地の赤茶けた山肌、ダークウッドの森の深い緑、異教平原の枯れた山吹色、コク河も見える。その川の水は深い青。そしてはるか向こうに灰色の煙をたなびかせているのが、かけがえのない友人のドワーフ、スタブのいる街。ストーンブリッジだ。

 

 俺は風を切って飛行するペガサスの上で、ここまで経験した冒険談を、アンセリカに語るのだった。まあ、そうしないと彼女は俺の後ろでプンスカむくれていたからな。いつ槍で刺されるかわかったもんじゃねえ(“事情聴取”ってやつだ・・・ ┐(´д`)┌ ) 

 今回の冒険はすごかったぜー。雪の魔女との死闘(ジャンケン大会!)だろー、それにプリズム幻術師やら結晶戦士やら頭脳殺しやらといった様々な怪物、迫り来る<死の呪文>の恐怖、涙なみだの赤速の無念極まる最期、そして<癒し手>に与えられた試練・・・

 そして話の締めくくりに、俺はつい先ほど、火吹山の頂で眠っているときに見た不思議な夢のことを話すのだった。

 

 それは(剣と魔法はあるものの)こことはまったく違う場所の『オーブ』という世界で繰り広げられる、強大なパワーを持つ『死神の首飾り』を巡る冒険の夢物語だ。

 

 どういうものかというと・・・

 

 

 

【『死神の首飾り』へ続く】

【でもその前に特別編がスタート!次は『地獄の館』です。ホラーものだよっ♪】