東日本大震災で全国から日本赤十字社と中央共同募金会に寄せられた義援金計約1300億円について、有識者委員会(会長・堀田力さわやか福祉財団理事長)が8日、厚生労働省で開かれ、死者・行方不明者の遺族や家族、全半壊・全半焼の住宅被害者、福島第1原発事故による避難者を第1次配分の対象とすることを決めた。
義援金は早ければ月内にも市町村を通じて被災者の手元に渡る見通しだが、震災で行政機能がストップした地域では混乱する可能性もある。
委員らは「当面の生活支援のため一刻も早く義援金を配るべきだ」との意見で一致。被災状況の調査に時間を要しない人たちに絞り、被害の全容判明を待たずに配分することとした。
対象地域は15都道県で、死亡・行方不明者1人につき35万円を遺族や家族に配る。住宅被害は全壊・全焼が1戸当たり35万円、半壊・半焼が同18万円。
原発事故で避難指示や屋内退避指示を受けた住民は「原発事故は人災だが家に住めない状況は全壊と同じ」とし、1世帯当たり35万円とした。
阪神大震災の時を参考に、外国人や旅行者も対象に加え、余震による被災者にも配分する。遺族の定義は2親等以内とする方針だ。
厚労省の試算では、警察庁などが現時点で把握する状況を基にした場合、配分総額は500億円だが、航空写真などから推測される住宅被害を考慮すると最大で2100億円程度に上るという。
両団体に集まった義援金は、6日時点で1283億8000万円のため、堀田会長は「最終的に不足が生じると不公平になってしまう」と述べ、さらなる募金協力を両団体に求めた。
[時事通信社]