バルサスの要塞

 

 

キャラ作成&ハウスルール --The Citadel of Chaos-- 

 

 かくしてブリッツ君の冒険の舞台は、『バルサスの要塞』へと移る。

 その前に「火吹山〜」のブリッツから、「バルサス〜」のブリッツに、ルールに適したキャラクターのコンバートをしなければならない。

 

 まず、「火吹山〜」のときの能力値はそのまま引き継がれる。すなわち、原技術点11、原体力点16、原運点10現在値は原点まで回復させる。

 次に、今回のGBには、「魔法」という新要素が入っている。これは2d6+6の数を原魔法点とし、その数だけ魔法の術を使える、というもの。

 さっそく決めてみましょう、はあっ!・・・5,4原魔法点は15だ。けっこういい数値。ブリッツ君は太古の森の白魔術師の下で、まじめに修行に励んでいたようだ(^v^)。 

 結果、持てる術の数は15個なので、以下を選ぶことにした。

 

<妖怪うつし> <火炎> <愚者の黄金> <目くらまし>

<開運> <防御> <技術回復> <怪力> <骨抜き>

<千里眼>×2 <浮遊>×2 <体力増強>×2   ・・・計15個。

 

 まず、全ての術をまんべんなく1個ずつ選び12個。それから使う場面が多そうな<千里眼>と<浮遊>、さらにブリッツはスタミナがないので<体力増強>、この3つの術は2個に増やした。

 

 次に持ち物。まずは全部リセット。

 何と今回は能力値を原点に戻す薬が与えられない!Σ(゚д゚lll)ガーン

 また、体力点+4の食料10個もなし。能力回復について自力で行うなら魔法で賄うしかない。ハードな冒険になりそうだ・・・。(><)

 所持金だが、これはハウスルール。前回の冒険で稼いだ金貨(&宝物)の1/10を初期所持金ボーナスとして持っていける。これにより、前回の「火吹山〜」でブリッツが稼いだのは、金貨29枚、サイクロプスの宝石(金貨50枚相当)、古い耳飾(金貨1枚)。その他雑多な物は、全部ひっくるめて金貨1枚と換算。合計金貨81枚×0.1で、金貨8枚を初期所持金として持つことにする。まあ冒険者ってのは浪費家ということで・・・

 

 最後。数々の冒険をこなすに連れて、やっぱキャラが成長していく方が楽しいと思う。そこでこれもハウスルール。達成点ルールというのを設定してみた。

 達成点のカウントは簡単で、1冊のGBをクリアしたら達成点が1ポイント与えられる。

 この達成点を集めて消費することにより能力値が上昇する。達成点1で原体力点+1、達成点3で原運点+1、達成点5で原技術点+1が、次の冒険から上昇するというルールである。

 さて、現在のブリッツの達成点は1だ。原体力点を1点上げられるところだが、どちらかというと原運点を上げておきたいので、ここは消費しないで持っておくことにする。

 

 今回の冒険は「あの」スティーブ・ジャクソン執筆によるGB『バルサスの要塞』だ。前回よりもかなり手ごわいものとなるだろう。気を引き締めろブリッツ!ダイヤのクソをひねり出せ!!(←それはちょっとちがう)

 

 いくぜっ!!(^v^)ノ

 

 

 

サラモン王の救援要請 --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点16/16 運点10/10

 

 俺の名はブリッツ。

 かつては火吹山の地下迷宮を踏破し、そこに住んでいた魔法使いの莫大な財宝を手に入れたこともある冒険者だ。しかしその栄華もつかの間、火吹山から戻ってきた瞬間にバルサス・ダイアとかいう野郎にいっぱい喰わされてしまう。麓の村人の命と引き換えに、財宝は全部やつに没収されちまった。

 だが、俺の手元には、火吹山の大魔法使いザゴールの呪文書が残されていたんだ。だからさっそく俺は、こいつを判読できる太古の森の白魔術師の元に身を寄せて、そこで魔法修行に励むことにしたわけだ。やっぱり魔法を使えるようになると、後々ツブシが効くからな。年老いて身体が弱って、剣が振るえなくなっても。

 太古の森の魔法修行は講義よりも実技の方がおもしろかった。師匠である白魔術師が言うには、俺のマナには教養も品性もないが、勘だけはいいらしい。そんなこんなで、俺もいっぱしの魔法が使えるレベルまで成長した。

 

 さてその頃、自分の本拠地のぎざ岩山に要塞を構えている悪の領主バルサス・ダイアは、元はといえば俺の財宝を使って、着々と自分の軍勢を強化していった。そこから目と鼻の先にある、善良な人間達が住む柳谷は風前の灯。あと1週間もすればバルサスの大軍勢に呑み込まれてしまうらしい。

 柳谷を治めるサラモン王は賢明な人で、すぐさま近隣の勢力に救援要請の使いを出した。そのうちの一人が、ここ、太古の森に到着した。

 俺の師匠さんの白魔術師は思慮深い人で、その時すぐにウンとは言わなかった。だが、俺にとっては、俺の財宝を掠め取った憎きバルサスが、調子のってブイブイ幅利かせているのは、どうにも気に喰わない。

 

ブリッツ「師匠!元はといえば因縁ある相手です。シメてきていいっすか?」

白魔術師「だめじゃ、お前のマナはまだ未熟じゃ。時期を待て!」

ブリッツ「それじゃ柳谷が全滅っすよ、師匠!」

白魔術師「この無鉄砲め。もし王の依頼を受けてぎざ岩山に向かったら、お前は破門じゃ!」

 

 ああいいさ、破・門・上・等!ヽ(`Д´)

 退屈な魔法理論講義と木の実料理にも飽きてきたところさ。俺はそーっと太古の森を抜け出し、柳谷のサラモン王の宮廷に向かった。サラモン王は白魔術師の一番弟子である俺を見ると喜んで迎え入れてくれた。王が俺に与えた任務はただ1つ、柳谷にとっての脅威の元凶、バルサス・ダイアの暗殺だ。

 歓待の宴もそこそこに、翌日、俺はバルサスの要塞へと向かう。ぎざ岩山の山中にそびえたつ黒い塔が、今回の冒険の舞台だ。

 

 ♪風蕭々として易水寒し。壮士ひとたび去ってふたたび還らず・・・

 

 旅立ちの日に、柳谷では吟遊詩人が、俺のことをこう歌ってくれた。

 なんか縁起でもねえなあ・・・。

 

 

 

薬草医者と偽って大門を通る --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点16/16 運点10/10

 

 暗い夕空に浮かぶ黒い塔の輪郭。要塞まではあと1時間足らずだ。たぶん日が沈むと開門だから、ちょうどよく俺は辿り着けるだろう。

 え?普通、日が沈んだら城門は閉まるんじゃないかって?そりゃ普通の城砦ならね。だがバルサスの要塞は悪の怪物達が集っている。こいつらはほとんどが夜行性だから、活動時間は夜ってわけ。

 それにしても不気味な塔だ。うなじがそそけだってくる。いやいや、怯えちゃいけないぜブリッツ。あのバルサス・ダイアに、今度は俺が一泡吹かせてやる番だ!

 

 さて、門番がいるだろうから、どうやって中に入るかな。バルサスは火吹山の麓の村で1回俺の顔を見ているし、素のままだと何かと面倒臭いことになる。だからここは変装した方がいいだろう。こんなこともあろうと師匠からちょろまかしてきた付けヒゲをたくわえて、っと・・・

 ふふふ、俺はこれから、薬草医者のヤブイ・シャーと名乗ることに決めた。何でここにやって来たかというと、病気で寝込んだ衛兵の治療にやってきた、と、そんなカンジでいいかな。

 いろいろと想定問答を自分でしているうちに、日はとっぷり暮れ、俺は門へと続く本道に辿り着いた。門の落とし格子の左右にはランプが燃えている。

 そこには奇妙な姿の妖怪が2人、門番として立っていた。1人は大猿の身体に犬の頭。もう1人は犬の身体に大猿の頭を有している。つまりそれぞれの動物の頭を切り取って、もう一方に付け替えた、みたいな。

 遺伝子操作までやってるよこの要塞((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 俺も捕まったら、なんか嫌な改造手術をされそうだなあ。「やめろーしょっかー!」みたいな・・・なんてウツになっていると、驚いたことに猿頭犬の方が俺に話しかけてきた。俺はとっさに演技する。

 

猿頭犬「バルサス・ダイア様の居城に何の用だ?」

ブリッツ「あー、私は薬草医者でしてな、ヤブイ・シャーと申します(へこへこ)あなた達の仲間の衛兵のご病気を取り除きに参りました(へこへこ)」

 

 俺は道端でむしってきた雑草を薬草だと称して奴らに見せる。所詮猿と犬の頭脳しか持ってない奴らだ。楽勝だぜ。だが、次の質問は想定外だった。

 

猿頭犬「それで、誰の治療に来たんだ???」

ブリッツ「いぃっ!(A ) ちょ、ちょっと待ってね、えーっと、誰だったかの〜」

猿頭犬「どうした、早く言え!」

ブリッツ「それは、あの、えと・・・ブ、ブラグです。」

 

 俺は適当な名前をでっち上げる。2人は「そんな奴いたかあ?」みたいな顔をした。すかさず俺は「2階の見張りをしてる、ほら、あの、飲んだくれの!」と言葉を継ぐ。そうすると、ふん、と肩をすくめて、猿頭犬と犬頭猿は俺を門の中に入れてくれた。ふぃー。(((;-д- =3 

 

 こうして俺は要塞の中庭に入った。

 

 うっ、前の「火吹山〜」の時は、こんだけラッキーだったら運点もらえたんだけど、今回の基準では、そんな甘えた話はナシなのね。うわーこりゃキツそうだなー。

 

 

 

ドワーフの魔法薬を手に入れる --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点16/16 運点10/10

 

 俺は大きな壁に囲まれた要塞の中庭に入った。

 薄暗闇の中、所々で明かりが灯り、人影がうごめいている。うわ、いるわいるわ、魑魅魍魎の悪のクリーチャーが。中庭の中央には何か大きな建造物がある。そして、庭の向こう側に塔の玄関らしきものが見えた。ここでの選択肢は3つ。

 

1)『壁際を忍び歩いて塔に行き着くか?』

2)『中庭を堂々と横切るか?』

3)『影の中を忍び足でどれかの集団に近づくか?』

 

 ・・・俺の変装は完璧(だと自分では思っている)から、行こうと思えば塔まで潜入できるだろう。だがその前に、この要塞について何らかの情報も集めときたいな。よし、俺は(3)を選択して、中庭をちょっと歩き回ることにした。

 中庭を慎重に、あまり目立たないように、俺は忍び歩く。やがて前方に2つの集団が目に入った。右には壁際の松明の下で何やら話している男2人。左は形と大きさの異なる4人で、火を囲んで食事の最中だ。食事をしているなら警戒度も薄れているだろう、ということで俺は4人の人型生物の方に近づく。

 

 そいつらはまさに「寄せ集め」といった風情で、4人の構成は、オーク、ドワーフ、そしていちゃいちゃしているゴブリンのカップル。肉が小さいだの言い合いをしたり、ゴブリン女がゴブリン男をひっぱたいたり、とよろしくやっているようだ。目端の利く俺は、ドワーフの足元に開け放しの箱があり、その中にビンがあるのを認めた。

 俺が近づくと、奴等はぴたっと騒ぐのをやめて、俺をじっと見る。オークは無愛想に俺の身なりを小馬鹿にする。するとゴブリンの情婦が「でもちょっと付けヒゲがかっこいい男じゃないクスクス・・・」とゴブリン男に耳打ち。

 なぜ付けヒゲだとわかった・・・!(*´Д`) (注;誰でもわかります)

 だが変装がばれて、この時点で去ったら、俺はただの怪しい奴で通報されちゃう。俺は動揺を隠しつつ話しかける。演技する。「あー、ちょっとお話しても? 何せ私、この砦に来るのは初めてでしてハイ・・・」

 だが、さっき情婦が俺の容姿をほめたのを気に入らなかったゴブリン男は「さっさと行っちまえ!」と怒鳴った。俺は「まあまあそう言わずに」と焚き火のそばに腰を下ろし、にかッと笑う。友達になろうよ、ネ?

 それがよほどあつかましく思えたらしい。険悪な表情で、ドワーフは棍棒を、オークとゴブリン男は剣をつかみ、俺に襲いかかる(ゴブリン女はきゃっと飛びのいて逃げてった)。俺は危ないところで剣を抜くことができた。

 この冒険で初の戦闘になっちまった。俺は3人の異種族連合と順繰りに剣をかわす羽目になる。やばいなあ、騒ぎは起こしたくなかったのに・・・

 

【ドワーフ 技術点5 体力点6

【ゴブリン 技術点6 体力点4

【オーク 技術点5 体力点7

1R 攻撃力(ドワーフ/14)(ブリッツ/19) ドワーフ/体力点-2

2R 攻撃力(ゴブリン/10)(ブリッツ/15) ゴブリン/体力点-2

3R 攻撃力(オーク/12)(ブリッツ/20) オーク/体力点-2

 圧倒的な戦力差だぜ!これなら「運任せスマッシュ」はやめておこう。もったいない。

4R 攻撃力(ドワーフ/10)(ブリッツ/17) ドワーフ/体力点-2

5R 攻撃力(ゴブリン/17)(ブリッツ/15) ブリッツ/体力点-2

 あつっ!ゴブリンの必死の一撃が俺を襲う。やりやがったな!

6R 攻撃力(オーク/12)(ブリッツ/17) オーク/体力点-2

7R 攻撃力(ドワーフ/16)(ブリッツ/16) Draw

8R 攻撃力(ゴブリン/11)(ブリッツ/22) ゴブリン/体力点-2 ←Kill!

9R 攻撃力(オーク/7)(ブリッツ/22) オーク/体力点-2

10R 攻撃力(ドワーフ/15)(ブリッツ/22) ドワーフ/体力点-2 ←Kill!

11R 攻撃力(オーク/13)(ブリッツ/15) オーク/体力点-2 ←OverKill!

 

 くそっ13なのでだらだらと時間がかかっちまった。この騒ぎを聞きつける衛兵がいるかと思ったが、意外にも周りは無関心だ。こういう仲間割れは日常茶飯事らしいな。ああ嫌な場所だねえ。

 俺はさっさと3人の死体から金目の物を剥ぎ取る。ドワーフがけっこう物持ちで銅色のカギ、黒っぽい色のとろりとした塗り薬の壷、それに金貨8枚を持っていた。このうち2つまで持っていけるということなので、金貨はあきらめ、鍵と薬壷を持って行くことにする。

 それからドワーフの足元にあったビンだ。中身の液体は・・・太古の森の師匠の研究室でで見たことがある。これは魔法薬だ!それも2服分。1服ごとに俺の魔法点は1点増える。つまり術を使ったあとこの薬を飲めば、その術は消さなくてよい。

 そうか、このドワーフ、俺と違って正真正銘の医者だったんだ・・・(笑)

 

 俺は素早くこれらの物をザックにしまうと、もう一方の集団、松明の下で話をしている2人の男の方に向かっていった。

 

 

 

つむじ風女にからまれる --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点14/16 運点10/10

 

 2人の男はどっちも薄汚れた格好だ。どうやら背の高い「ノッポ」が低い方の「小男」に短剣を売りつけているようだ。小男の値では安すぎる!とノッポは頑として聞かない。俺が近づいてきたのを認めると、ノッポは「いいか、この付けヒゲの薬草医者がつける値段をよく聞けよ、それでも安いくらいなんだ。この魔法の短剣は!」と俺に値踏みを頼んできた。

 なぜこいつらも俺が付けヒゲだと(以下略) (*´Д`)

 金貨5枚か8枚か10枚か・・・うーん、間をとって、金貨8枚くらいだ、と俺は答えた。ノッポは激しく同意。小男は値切るが、ノッポは聞かない。商談は平行線のようだ。

 待てよ、さっきこのノッポ「魔法の短剣」って言ったよな・・・。前の冒険からの持ち越し金貨で8枚持ってるけど、これを使っちゃうのは惜しいから、俺は<愚者の黄金>の術を唱えて金貨を作る。(さっそく魔法薬を1服消費して術は消さない)。

 そして「俺が買おうじゃないか」とずいっと名乗り出た。ノッポは俺の魔法で作り出した贋金に気づくはずもなく、喜んで短剣を売る。小男はがっかりして去ってしまい、ノッポもまた、ほくほくしながら俺から離れていった。

 俺は短剣をしげしげと見る。確かにこれは値打ち物だ。よく光る金属の刃に、柄は石を象眼した緑色の革で手に馴染むグリップ。決して的を外すことはないだろう。戦闘において使えば、攻撃点のダイスを振らずに、相手の体力点を自動的に2点奪う。だが投げ短剣なので、使えるのは1回だけだ。

 術1回分は使う価値のある、なかなかにいい買い物をした。俺はこの短剣をベルトに差し、中庭を砦の方に歩き始める。

 

 砦の建物が近くなってきた。

 ところがここで、風一つない夜なのに、口笛のような音が聞こえてくる。その音は徐々に大きくなって近づいてきた。そして突風がいきなり俺を押し倒す。びたーん!

 なんだなんだ??? いきなりの暴風に目も開けられなくなるが、何とか視力を取り戻すと、生きたつむじ風のような中に、亡霊の女のような顔が浮かんでいる。なんだこいつ・・・?

 

つむじ風女「・・・ ・・・ ・・・ !」

ブリッツ「は?なに?」

 

 つむじ風女が口をつぐんで数秒後に声が届いた。「要すルにお前ノ態度が気ニ喰ワナい」とかなんとか、俺を侮辱しているようだ。つむじ風だけにつむじ曲がりってか、うまいっ、座布団1枚! いやそんなこと言ってる場合じゃない。俺は剣をつかんで追い払おうとするが「アタイの体ガ剣で切レルわケなイヨばーカ」と笑われてしまう。剣が使えないなら魔法で・・・って、術がもったいないな。俺は無視して先を急ごうとする。

 だがそれが、つむじ風女をムキにさせてしまったらしい。またぴゅー!と突風が吹いて、俺は地面にびたーんと倒された。立ち上がろうとすると・・・ぴゅー!びたーん!ぴゅー!びたーん!

 

つむじ風女「きゃハははハハ!ヽ(´∀`)ノ」

ブリッツ「あのねえ、お前・・・(*`Д´)

 

 うんざりして俺は頭を掻きつつその場に座り込む。ここで運試し・・・吉。俺は厄介払いできる良い手を思いついた。誰もいない物影に目を凝らす演技をする。

 

つむじ風女「どこ見てるノカ!」

ブリッツ「いや、あそこに、あんたよりもイカス風采の女がいるよ。」

つむじ風女「何言ってるノ、今年の“ミス・タイフーン”は私アルよ!見て、このクビれ!」

ブリッツ「でも、あっちの美女は風量・風向ともに申し分ないなあ。あんたと違って埃っぽくなくて適度な湿り気で・・・あーもう、俺の心はハリケーン!!(´ー`)ノ」

つむじ風女「ムキー!ヽ(`Д´)ノ そコデ待っテいロ!」

 

 つむじ風女は俺の指差した方を調べに行った。誰が待ってるかバーカ(´▽`*)。俺はそそくさと奴をおいて、砦の入り口に駆けていくのだった。しっかし、何だかキテル奇妙な怪物が多いなあ。まさしく英語の原題どおり「混沌の城砦」(The Citadel of Chaosだね、こりゃ。

 

 

 

いよいよ要塞内部に潜入! --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点14/16 運点9/10

 

 俺の前にはがっちりカギのかかった大きな木の扉がある。どうやらここが砦の本丸に入る門らしい。<怪力>の術でぶち破ることも考えたが、あまり無駄使いはしたくない。ここはおとなしく衛兵を呼んでだまくらかす作戦を採ろう。

 というわけで3回ノック。すると扉が開いて、サイのように角の生えた頭で二足歩行しているサイ人間の衛兵が出てきた。また遺伝子操作だ。ゲルショッカーだ・・・装甲硬そう・・・(;´Д`)

 こいつは無愛想に「合言葉を聞かせろ」と迫る。う、そんなの知らない・・・。俺はハッタリで切り抜けようとする。いつもの手だ。ザックから雑草をひとつかみ取り出し、重態に陥った図書室係を治療しに来た薬草医者ヤブイ・シャーだと名乗る。そして俺に往診の依頼をした使者は、合言葉のことなんて教えてくれなかった、と。

 信じてくれるかどうか、運試し・・・吉。サイ男は「それじゃまあ、通れ。付けヒゲも着用したままでいいぞ」と言って、のそのそと慇懃無礼に俺を砦の中に入れた。

 

 もう、付けヒゲとりますっ#( ゚Д゚) ---===≡≡≡ω ペシッ

 

 ふうう、変装なんてやっぱ俺のガラじゃないや。さて、ここは狭い廊下だ。数メートル先のドアで行き止まりになっている。また、廊下から分岐して下り階段もある。だがいきなり地下1階のダンジョンLEVEL2は厳しいな。俺はそのまま戸口に向かった。

 ドアの取っ手が回り、別の廊下に出た。少し先で廊下が右に折れ、また別のドアで行き止まりになる。ここには「執事に御用の方は呼び鈴を鳴らしてください」と札がかかっていた。

 執事ぃー・・・?うさん臭ぇなあ。だけど本当に執事であれば、脅せばいろいろとこの砦の情報が入手できるかもしれない。一か八か、俺はあえてリスクの高い方をとる。呼び鈴を鳴らした。

 ちりーん・・・。

 すると背中の曲がった醜悪な男が出てきた。虫歯だらけで服もボロボロだ。彼は卑屈に「ひひひひひ・・・なんか御用で、旦那?」と言ってきたので、俺は「来ることは主人に言ってある、謁見室はどっちだ!(`・ω・´)ビシッ」と少し威張って尊大に構える。虚勢がバレマセンように・・

 執事は片目を細める(ドキドキ・・・)。先の廊下が少し先で二手に分かれているが、無言で左の方を示した。どうやら信じていただけたようだ。俺は「ご苦労っ!」ともっともらしく咳払いなどしながら、執事と別れた。

 

 薄汚い執事に教えられたとおり左に曲がると、通路はとあるドアで終わる。耳を澄ますと、中からは大きな生き物の寝息が聞こえてくる。バルサス・ダイア就寝中??? いやいや、まさかこんな序盤からしボス戦闘はないだろう。

 慎重に取っ手を回してドアを開けると、中には巨大なゴブリンのような怪物が眠っていた。でかいとはいえ、所詮はゴブリン1匹か・・・。いやいやこの要塞は遺伝子操作の怪物だらけだからなあ。執事を信用せずに、戻って右の通路を行ってもいいところだが、安全ばかり優先しても仕方がない。俺はあえてリスクを冒して踏み込んだ。

 中は薄暗い。突き当りには奥に向かう扉が2つある。運悪く、壁に打ち付けられた間に合わせの鏡が、俺の持っていた松明の明かりを反射して怪物の顔に光線を当てた。怪物は「うーぐぐぐぐ・・・」と目を開け、侵入者を認めて飛び起きた。そして斧を引っつかむ!

 この怪物はガークという。ゴブリンと巨人を魔法で掛け合わせた頭の悪い怪物だ。何でそんな大×小カップリングを・・・それはアレですね、メガテンで言うとキングフロストとジャックフロストを仲魔合体させるようなもんですね、とわかりにくい例えを考えていたら、奴は好戦的にのっしのっしと俺に向かってきた。

 いや待て、執事の紹介でこのルートに来たんだから、好戦的に見えるのは単なる地顔で、根はいい奴なのかもしれない。俺は奴の心情を図るため<千里眼>の術を唱えてみる。奴が考えていることは・・・

 

○持ち場で居眠りをして、よそ者に気づかなかった。上官に叱られるー!

○髪ブラシを大事に守らなきゃ。

 

 2番目のよくわからない思考はともかく、あ、やっぱ侵入者撃退要員なのねキミ。騒がれると厄介だ。口封じにさくっと始末するしかあるまい。俺は戦闘を選択した。ほーら能力値も中途半端だしー(笑)

 

【ガーク 技術点7 体力点11

1R 攻撃力(ガーク/14)(ブリッツ/18) ガーク/体力点-2

2R 攻撃力(ガーク/17)(ブリッツ/15) ブリッツ/体力点-2

3R 攻撃力(ガーク/15)(ブリッツ/17) ガーク/体力点-2

4R 攻撃力(ガーク/16)(ブリッツ/18) ガーク/体力点-2

 この時点で奥の扉へ逃げることもできるが、奴がご執心の髪ブラシが気になる。戦闘続行!

5R 攻撃力(ガーク/14)(ブリッツ/19) ガーク/体力点-2

6R 攻撃力(ガーク/10)(ブリッツ/23) ガーク/体力点-2

7R 攻撃力(ガーク/16)(ブリッツ/18) ガーク/体力点-2 ←OverKill!

 

 体力点がタフで、戦闘が長引いたゆえに1発の手傷を負わされたものの、俺は持ち前の技術で押し切って奴を仕留めることができた。騒ぎが他の衛兵をひきつけなかったか緊張したが、ほっ、大丈夫だ(^v^)。ガークは金貨6枚と、巧妙な装飾の髪ブラシを持っていた。それらをザックにささっと入れ、俺は奥の扉から先に出た。

 

 ちょっと運点が確率的にきつくなってきたなあ。でも今回は原点回復のツキ薬がないんだよね。1個しかない<開運>の術(運点+5)をどこで使うか、タイミングが考えどころだ・・・。

 

 

 

図書室で逮捕される --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点12/16 運点8/10

 

 奥に続く扉は右と左の2つである。勘で俺は右の扉を選んだ。開けたそこは小石を敷き詰めた通路で、少し先で彫刻の施された扉で終わっている。その扉に近づいて部屋の中の気配を探ろうと耳を澄ますと、向こうから「ノックはいらん、入っておいで!」という声が聞こえてきた。あ〜ビックリした。

 この扉を開けず、左の横道から去ることもできたが、ええいこうなりゃままよ、と言われたとおりに中に入る。おうっ、ここは図書室だ。どの壁面も床から天井まで本が並べられて、部屋の中央には閲覧用のテーブルや椅子がある。

 奥には肌の黒い男がいた。おそらく図書室係なんだろう。細長い眼鏡越しに俺を見て「さあさあ何の用かね?どんな本を探しているのかね?」とつっけんどんに聞いてきた。・・・これってすごいチャンスじゃないか?? ここで労せずして敵の秘密がわかったらもうけ物だ。だが、俺が侵入者だとバレてはならない。短時間で効率よく本を選んでいかなくては。ここで選べる本の選択肢は3つ!!

 

1)バルサス・ダイアの伝記類

2)「黒い塔」の秘密

3)ぎざ岩山王国の妖怪大全

 

 ボスキャラであるバルサス・ダイアについて知りたいのは山々だが、まずは、奴の元に辿り着かなくては話にならない。というわけでこの要塞の構造を知るため、まずは(2)を選択。図書室係は棚の一角を指差した。俺はその本を手に取り、中央のテーブルで閲覧する。ウホっ、こいつは貴重な本だ。城砦の歴史が事細かに書いてある。

 

○「黒い塔」はバルサス・ダイアの祖父によって建てられた。

○しかし怪物が集い、この地は悪の巣窟と化した。本来城主であったバルサス・ダイアの祖父は、自分の身を守るために、怪物と自分の居住区の間に様々な侵入者撃退トラップを仕掛ける必要に迫られた(ヘタレ・・・)。

○中でも特筆すべきは、自室の扉に取り付けられた厳重なる組み合わせ錠である。その組み合わせ番号は「217」だ。

 

 ・・・って、暗証番号まで本に公表しているのかよ!!(゚∀゚ ) バルサス家のプライバシーだだもれデス。まあいい、俺はこの217という数値を胸に刻み込んだ。そして礼を言って、図書室係に本を返す。

 さて次は何の本を取ってきてもらおうか。バルサス・ダイアの伝記か?いや、見も知らぬ奴がいきなり主人の情報を知りたいといったら、怪しまれることうけあいだ。だから俺は「妖怪大全」の方を図書室係に頼んだ。そいつが指した棚には、あらゆる妖怪の名前が並んでいる。

 『君はどの項を開くか? 「カラコルム」 「ミク」 「ガンジー」 』

 どれも知らねえよ。今まで聞いたことのない怪物だあ(泣)。んー、とりあえずガンジー。だが、「ガンジー」の項は破り取られていた。ありゃ、ちゃんと管理しとけよ図書室係ヽ(`Д´)

 じゃあ、何となく名前がカワイイから、ミク。

 

○ミクは目くらましの名人で、どんな姿にも変身できる。真の姿はエルフに似た細い体の種族という説が有力。

○好戦的で針剣(針のように細い剣)を好み、近距離からしか攻撃しない。

○変身した姿では金属を用いることができない。また他の品物の形を変えることもできない。

 

 ふーん、わかったような、わかんなかったような・・・ビミョーな説明文に困惑しながら、俺は本を棚に戻す。さて、他の怪物について調べよう。と他の棚をあさっていたら・・・!!!

 

 背後でどよめきが聞こえる。

 やべっ!長居しすぎたっっっっっっっ!(゚Д゚;)

 

 振り返るとオークに似た怪物が武器を構えて次々と図書室に入り込んできた。取り囲まれた!あわわわわ。どう対処しようか慌てているうちに、いちばん背の高いオークが、俺の顔に向けてプシーッと、何やらガスを吹きかけた。

 あ ・・・ う ・・・ お ・・・ ?  

 俺の目の前が暗転する。どうやら失神して身体が崩折れたらしい。そして俺の身柄は・・・

 

タイ━━━━||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||━━━━ホ!!

 

 

 

ネズミで牢屋を脱出する --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点12/16 運点8/10

 

 かくして冒険者ブリッツの生涯は終わ・・・らない。俺の悪運はまだまだ尽きていなかった。

 目が覚めたらそこは牢獄だった。やっぱりつかまっちゃった(´・ω・`)ショボーン。だが武器や装備を没収されていないのは幸いだった。片隅のわら布団に腰を下ろして1時間ばかりすると、牢屋番がやってくる。こいつは頭が2つあるリザードマンのような奴で、皮膚は灰色で鱗に覆われ、尻尾も長い。そして頭同士でしゃべっている。どうやらカラコルムという怪物らしい。ああっ、だったらさっき、図書室で本を読んどけばよかったっ!Σ(゚д゚lll)ガーン

 こいつ(ら?)は俺のいる牢屋の扉の下の隙間から茶碗と鉢を押し込んだ。いわゆる「牢屋の食事」だ。今日のメニューはパンと肉汁。

 毒殺するつもりなら、ここに捕まえてもいまい。俺は開き直ってその食事に手をつける。まずは喰っとけ、死ぬのはいつでもできる。・・・たいした食事でもないが、俺は全部平らげて体力点+2を得た。

 

 さて、脱出しなきゃな。俺は退屈そうなカラコルムに声をかける。この怪物はあまり話好きではなくボソボソと答えるだけだが、どうやらここは要塞の地下牢で、俺の末路は「ガンジーのおもちゃ」になるそうだ。それはつまり、改造手術・・・((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 カブトムシ怪人とかなっちゃうの?それはイヤだー!(><) 魔法の術を使って俺は脱出を試みる。ここで使えそうなのは・・・よし<目くらまし>の術だ(魔法薬を1服消費して術は消さない。ただしこれで魔法薬は使い切った)。

 俺はカラコルムにとっていちばん恐ろしい怪物の幻覚を作ろうとする。助太刀が欲しければ、俺を牢屋から出させるために。ところが・・・

 ちう。出てきたのは1匹のネズミちゃん。

 あう、こんな重要なとこで呪文発動のミスかよ!!(TДT)

 俺は頭を抱える。と・こ・ろ・が!ネズミを見るとカラコルムはぞっとした顔をして「ひっ!」と悲鳴を上げた。えっ???(゚∀゚ ) 

 ネズミはちうちう、とカラコルムに近づく。奴は2つの頭とも「ひいーひいっ!ネズミ、ネズミ!コワイっ!!!」と怯えて叫びまくる。ダブルだからすさまじい悲鳴だ。

 

 ドラえもんかキミらは。(笑)

 俺は半ば呆れながら「あー、牢屋から出してくれれば、そいつを追っ払ってやるぜ」と奴に話しかける。カラコルムは「ひいっ、た、頼むー!」とあたふたと同意して、俺にカギを投げてよこした。そいつを受け取り、かちゃかちゃと牢屋のカギを開け、よし!再び自由の身になった。そして「ほんじゃね!」とカラコルムに礼を言って、俺は通路を歩き出すのだった。

 あ、もちろん約束は守るさ。俺は安全な距離まで離れた後で<目くらまし>の術を解き、ネズミを消してあげた。(^v^)

 

 通路はぐるぐるとうねり曲がった後、上に続く階段のふもとに出た。階段を上がるとそこは短い通路だが、じきに行き止まりだ。

 ・・・いやいや少し待てよ、壁を丹念に見るとレバーが見つかった。そいつを引っ張ると前方の岩壁が開き、中からカギのかかった扉が現れる。<怪力>の術を使うまでもなく、力ずくで開きそうだ。てい、ていっ!俺は体当たりをして、ばこん!と扉を蹴破った。

 

 中は大きな円形の部屋で、そこにいたのは・・・

 

 

 

レプラコーンのオシェイマス --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点14/16 運点8/10

 

 ドアを開けたその部屋は円形で、中央にあるテーブルと椅子以外に家具はない。テーブルの上に、緑色のシャツとズボンを着た男が寝ている。中空に浮かびながら!こいつの身長は1m足らず。こんだけでっかい音立てて押し入ったのに、クークー眠っている。

 かちゃ・・・

 音のした方を振り向くと、俺の背後に小さな石投げ器があって、何かを射出した!俺は反射的に<防御>の術を唱えた。びしゃ!俺の身体の回りに作り出された魔法の壁によって、命中は防がれた。その物体は俺の目の前30cm位のところで破裂して四散する。

 とろーり・・・ ??? 力場にぶつかった射出物は、何と、トマトだった!!

 呆気にとられていると、中央の小男が目覚めて動き出す。こいつは耳まで裂けそうな笑みを浮かべて、姿を消した。「おはようさん!」陽気な挨拶が聞こえた瞬間、またぱっと姿を現す。今度は俺の背後に立って、ニヤニヤしている。

 「あっしはレプラコーンのオシェイマスでさ!」

 そう言って奴は握手の手を差し出した。レプラコーンか・・・持ってる魔力はスゲエな。だけど明るくて人なつっこい妖精みたいだ。俺は握手しようとオシェイマスの手を握る。

 「よろしく、俺はブリッツあだだだだだ!!ヽ(`д´;)

 腕が激痛で痺れる!運の悪いことに差し出したのは俺の利き腕だったので技術点-1だ。オシェイマスは俺の背後にパッと姿を現してケタケタ笑っている。え?じゃあ、俺が握手しているのは誰なの? ・・・ぬいぐるみ人形の手を俺はぶんぶん振り回していた。

 「ほんの冗談でさ!」オシェイマスは陽気にそう言う。うー!どうもナメられているようだ。てーめーえー!FFシリーズにおいて命より大事な技術点を削りやがってええ!

 俺は剣を抜いた。とっちめてやる!ところが小男がじろっと俺の剣を睨むと、くにゅくにゅ・・・。剣は革ベルトのように垂れ下がった。これでは戦いにならねッス(;´Д`) おとなしく俺はここから先の道を尋ねることにした。

 

 この部屋からの出口は3つある。真鍮の扉と、赤銅の扉と、青銅の扉だ。彼が言うには、このうち2つはすごく危険だし、残る1つはとても臭いらしい。これ以上奴と話してだまくらされてはたまらない。まあ、どれでも危険であれば・・・と、俺はそそくさと真ん中の赤銅の扉に入った。こんな厄介な奴とは早くおさらばだ。あばよ!

 

 俺は扉を開けて暗く長い廊下に足を踏み出す。

 突然!まばゆい明かりが俺の目の前で炸裂する。暗さに目が慣れていた俺は目がチカチカして何も見えなくなった。低いグルルルッという唸り声が聞こえる。敵がいる!だがどこに!パニーック!!!

 姿の見えない怪物は吠え猛ると、俺の脚に深々と牙を突き刺した。いでええええええ!(T△T) 俺は痛みのある足の近くへめちゃくちゃに剣を振り回す。だがおそらく当たるはずなのに、手応えがない。すばしっこく離れたのか、それとも実体がないのか???

 だけど再び・・・いでえええよおおおお!(T△T) 足に激痛が走る。血が足を伝うのがわかる。と、とにかく、剣が使えないなら、魔法だ!俺は<怪力>の術を唱え、身体に力がみなぎる。俺は増幅された筋力で、怪物の顎をこじ開けて離そうとする。だが、奴も俺に比例して力がどんどん強くなっていく!!うそー何よそれー!!

 だめだ!引き離せねえ・・・あまりの痛みで意識が薄れてくる・・・怪物の牙が俺の喉に喰らいつこうとしている・・・あ・・・もうだめポ・・・

 あまりに理不尽だけど、俺、ここで死ぬポ・・・(lll´Д`)

 

 ・・・

 ・・・

 ・・・

 

 ( ゚д゚)ハッ!

 俺は失神状態から回復した。ここは抜け出たはずのオシェイマスの部屋だ。足はひりひりするけど傷一つない。頭上にクスクス笑う声がする。そうか。

 そ う い う こ と か ・・・ (><)

 ものごっつハイレベルな幻覚魔法に騙された俺を見て、オシェイマスは笑い転げている。よくもハメやがってええええ!と俺は怒り狂うが、それにかまわず奴は空中で転げまわっている。

 

ブリッツ「降りてこいやゴルァ!」

オシェイマス「あひゃひゃひゃ。あは、あは、あっはははははは!」

ブリッツ「ゴルァ・・・」

オシェイマス「ひいー、ひいー、あんたのびびりっぷりったらもう!!」

ブリッツ「・・・」

 

 会心のいたずらが成功して、楽しく大爆笑している小妖精を見ているうちに、何だか俺も怒っているのが馬鹿らしくなってきた。そしてついに、俺も自分がかつがれた滑稽な様を想像して、いっしょになって吹き出してしまう「・・・ぷっ!ぶははははは!ギャハハハ(≧▽≦)

 

 俺とオシェイマスは涙が出るほど笑いあった。やがてお互いに自制心を取り戻すと、そこはかとない友情が芽生えていたのだった。話してみると感じのいい奴で、確かに非道い奴だが、嫌いにはなれない。バルサス・ダイアとつるんでいるわけではなく、たぶんこんなからかいがいのある奴が多いから、この要塞に住み着いているだけなんだろう。

 ひと時楽しいおしゃべりを楽しんだ後、俺が旅の目的を思い出して別れを告げようとすると、オシェイマスはこう言った。「あんたは全く話がわかる。だが、この先は危険だらけだぜ。これがありゃ少しは助けになるかもしれん」 そして手を一振りすると、テーブルの上に剣と皿が現れた。

 

『剣は戦闘用の魔法の剣で、攻撃力を決めるサイコロの目に1点加えさせてくれる。皿と思ったものは、実は見事な細工の銀の鏡である』

 

 ・・・めちゃいいアイテムじゃん。Thank you オシェイマス!(゜∀゜)(←現金な奴) 俺は遠慮せずにこれらのアイテムを受け取る(元々持っていた、くにゅくにゅに曲げられた剣はここで置いていくことになる)。術を無駄に2つ消費した分、元手はとった!

 そして親しみをこめた別れの挨拶を交わし、俺は部屋を出ることにする。赤銅の扉はろくな思い出がないので、今度は青銅の扉から出てみよう。

 

 

 

洗濯女と岩ゴーレム --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点10/11 体力点14/16 運点8/10

 

 扉を開けると今度は本当の通路で(ほっ!)しばらく岩山の中をうねうね歩く。右手から合流した通路を通り越すと、やがて道幅が広くなってきた。するといつの間にか俺は、川のほとりを歩いていた。おお?何だか老女が一人、せっせと洗濯をしている。

 ・・・怪しい。いかにも必然性がなく怪しい。イギリス版小豆洗いみたいな、変な妖怪じゃないか??? よし、奴の本心を探ってみよう。俺は物陰からそーっと<千里眼>の術を使った。えーい、ラミパス、ラミパス、ルルルルル・・・(←古い)

 すると何とこの老女は、既に死んだ亡霊であることがわかった!

『重要な会議に着る衣装の洗濯が間に合わなかったために、バルサス・ダイアその人の呪いを受けて大火事に遭い、子供たちともども焼き殺されて以来、死んだ身体で永遠に選択をする羽目になったのだ』

 

 。・ ゚・。* +゚。・.* + 。・゚・(ノД`) (マジ号泣)

 か、かわいそすぎる! 俺は女の身上を知って愕然として膝をつき、ウルウルとしてむせび泣いた。その声に洗濯女の亡霊は気づいて疑いの目を向ける。

 

ブリッツ「(ぐしっ)ああ、すまねえ婆さん。あんたの過去、魔法で覗かせてもらったよ・・・」

洗濯女「なぜこんなところにいるのです?」

ブリッツ「それはまあ、おいといて、とりあえず、ハグさせていただきます!(>Д<)ギュウウウウ」

洗濯女「な、なんだいあんた!」

 

 すっかり感情移入しちまった俺は、洗濯女を抱きしめる。うんうん、俺のことを亡くなった息子の代わりだと思ってくれよ()。亡霊はちょっと困惑して、魔法を使えるのならさっさとここから逃げ出した方がいい。と忠告をくれる。ここまでに出会った怪物なんぞ、これからの脅威に比べたらカスみたいなもんだ、と。

 いや、やる! 俺はバルサス・ダイアを殺るぜ。二度とあんたのような悲しい人を生まないためにな!と少々カッコつけて俺は宣言する。老女はため息をつき、城主の元まで辿り着くには「羊の毛皮」を見つけねばならない。その方法ですら定かでないのに・・・とこぼした。

 なるほど羊の毛皮か・・・大丈夫、何とかするよ。情報ありがとう。もしこの場所を動けるんなら、少し行った部屋にレプラコーンのオシェイマスっていう奴がいる。そいつを訪ねてみなよ。いたずら好きだが楽しい奴で、少しは婆さんの悲しみも紛れるだろうさ・・・

 俺の心の温かさがやっとわかった洗濯女の亡霊は、感激しつつも旅の幸運を祈ってくれた。俺は鼻をすすりながら彼女と別れる(貴重な情報を得たので運点+2だ)。ようっし、モチベーションも再確認したし、待ってろよバルサス・ダイア!お前みたいに残忍な野郎は、俺が絶対成敗してやる!

 

 通路は川沿いに少し歩くと折れ曲がり、また岩山の中に入っていった。しばらく進むと十字路になり、俺は北の道を選ぶ。そして大きな木の扉に行く手を阻まれた。耳を当てても何も聞こえないので、おれはそーっとそのドアを開ける。

 

 そこは暗い部屋で、平たい大岩がテーブルの代わりだ。片隅に泥で固められた岩の塊があり、その上に木の箱が3つ乗っている。向こうに出て行く扉の近くには、それこそ岩でできた大きな人型怪人がどーんと立っていた。俺を見ているのか?奴のうつろな目では判断できない。

 ただの石の彫像でありますように・・・そして箱の中に、さっき婆さんが言っていた「羊の毛皮」がありますように・・・と祈りながら、俺はそろーっと部屋隅の箱のほうに向かっていく。だが、この怪物は一歩前へ足を踏み出してきた。やっぱりなあ。ストーンゴーレムって奴か。動きも鈍そうだし、逃げ出すのは2,3回剣で打ち合ってからでも遅くはあるまい。戦闘を選択しよう!

 剣は石の身体に当たってけたたましい音を立て、そのやかましさに俺の技術点は-1される。よってオシェイマスからもらった魔法の剣の攻撃力ボーナス+1と相殺して、差し引き±0だ。

 

【ゴーレム 技術点8 体力点10

1R 攻撃力(ゴーレム/14)(ブリッツ/14) Draw

2R 攻撃力(ゴーレム/17)(ブリッツ/17) Draw

 一進一退の攻防が続く。・・・あせるな。奴の動きを読め!

3R 攻撃力(ゴーレム/14)(ブリッツ/17) ゴーレム/体力点-2

 ここだ、見切った!

4R 攻撃力(ゴーレム/18)(ブリッツ/22) ゴーレム/体力点-2

5R 攻撃力(ゴーレム/16)(ブリッツ/18) ゴーレム/体力点-2

 俺は怒涛のラッシュ、ラッシュ!

6R 攻撃力(ゴーレム/16)(ブリッツ/16) Draw

7R 攻撃力(ゴーレム/19)(ブリッツ/20) ゴーレム/体力点-2

8R 攻撃力(ゴーレム/11)(ブリッツ/17) ゴーレム/体力点-2 ←Destroy!

 

 ふうう。強敵だったが、何とかダメージは受けずに戦闘を切り抜けた。ゴーレムは岩の塊になってしまう。さあ、箱の中のお・た・か・ら!(゜∀゜)

 順繰りに最初の箱から開けてみると・・・かぱっ。銀のカギが入っていた。おう、この鍵穴に入るじゃねえか。そいつを2つ目の箱に差し込んでみると・・・かぱかぱっ。緑色に光る金属のカギが出てきた。??この鍵穴に入るぞ。さらにそれを3つ目の箱に差し込んでみると・・・かぱかぱかぱっ。箱の中にはガラスビンがあり、何と老人の顔で体がクモ、という奇妙な生物が入っている。このクモは俺に話しかけるが、何と言っているかわからない。

 うわ何これキモチワリイっ(つД`) 俺はクモ男のビンを二度と見ないよう、そーっとザックの奥深くにしまった。そしてキレイさっぱり、その存在自体を忘れちゃったりしてしまうのだった。

 

 

 

奥方に貢物を差し出す --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点10/11 体力点14/16 運点10/10

 

 扉を開けると通路になっていて、数メートル東で階段の下に出た。階段を上ると、先に大きな明るい部屋が見える。俺は前進した。

 

 辿り着いたところは仰々しい宴会用の大広間だ。4050人は座れる大きな長テーブルと、たくさんの椅子が部屋の中央にある。いろいろな出口はあるみたいだが、ここから先は、バルコニーに上がる左右2つの階段で、黒の塔の中枢部に向けて進めるようだ。

 壁は肖像画や鎧兜で飾られている。以前そういえば、火吹山の冒険のとき、ザゴールの肖像画に睨まれてヒドイ目にあったなあ・・・ややトラウマ気味の俺は、肖像画じゃなく鎧兜を見てみようと近づいた。

 ばちこーん!( ゚Д゚)ハブッ 俺はいきなり鎧に横っ面ひっぱたかれた。口から血を流して体力点-2。くそっろくなもんじゃねえやこの要塞は。さっさと俺は右の方のギシギシする階段を上ってバルコニーに出る。

 

 大広間を見下ろすバルコニーには、この先へ続く扉が3つあり、俺はヤマ勘で左の扉を開けようとした。鍵がかかっているが、以前中庭でオーク、ドワーフ、ゴブリンの異種族連合から奪い取った銅色のカギを使えば開きそうだ。

 がちゃ。ドアが開く。そこは贅沢に飾られた優美な寝室で、中央にはお姫様が眠るような天蓋付きの大きなベッドがある。ベッドに寝ていて、俺の乱入に慌てて目を覚ましたのは・・・

 

『長い黒髪に、人を刺すような深い瞳の妖精めいた美女だ。「誰の許しを得てここにいるの?」と君に向かってわめく』

 

 びびび美女キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

 FFシリーズ初のキレイどころキタ━━゚+.(≧▽≦).+゚━━ ッ ! ! !

 いいかげん色気に飢えていた俺は、峰不二子の横たわるベッドにターゲットロックオンしたルパンのように、即座にダーイブッ!!!(もちろん両足は平泳ぎの形)

 みょいーっ! 魔女の目から発せられるビームに焼かれて死ヌ。はい、玉砕!!┐(´д`)

 

(注;このリプレイでは、あくまでもいちばん上手くいった回の行動を記録していますが、実はこんなカンジでここで2回くらい冒険に失敗しています。それでは巻き戻し。きゅるきゅるきゅるっ)

 

 ・・・こほん、落ち着けブリッツ。

 熱視線でこんがり焼かれないよう、目をギラギラさせている敵対的な彼女を、俺は何とかなだめようとする。こいつはどうやらバルサス・ダイアの奥方らしい。ひひひ人妻ダー(゜∀゜)。(だから落ち着けって)

 すかさず俺は「奥方様に特別な贈り物を持ってまいりました」とプレゼント作戦を敢行。彼女に献上する物は・・・

 

1)銀の鏡か?

2)髪をとかすブラシか?

3)クモ男の入ったビンか?

 

 (3)はプレゼントとしては論外だろう。女性にふさわしいのは(1)か(2)だが・・・ここで俺は、冒険者として旅立つずっと前の少年時代、生まれ故郷のファングで一夜をしっとり過ごしたチェリーキラーな売春婦からのアドバイスを、ふっと思い出した(うわ今回、やらしい話でゴメン)。

 

「・・・朝、一晩過ごした女に、贈り物をするなら、鏡は贈っちゃダメよ。それはつまり“お前、すっぴんだとこんな顔してるぞ”って言うのと、同じようなもんだから。彼女のプライドを傷つけたくないなら、朝に鏡のプレゼントはダメ。よっぽど親しい間柄にならない限りね・・・」

 

 俺は片膝をついてうやうやしく「銀の鏡」ではなく「髪ブラシ」の方を差し出した。奥様これをどうぞ・・・(ちょっとガーク臭いのですが)・・・。

 ヨミどおりだ。女は目を丸くして「お見せ!」と身を乗り出す。そして髪ブラシをうっとりと眺めて「これこそ芸術品だわ!」と感嘆の声を上げる。すぐさま使いたいのだろう、すたすたと鏡に向かい髪をとかし始めた。もう完全に俺のプレゼントに夢中だ。洋物シャンプーCMの外人モデルのようだ。ヴィダルサスーンってカンジだ。

 ・・・アーンド、俺みたいな下々の輩は完全に無視なわけね。ちょっと悔しい気もするが、ビームで焼かれるのもイヤなので、彼女が警戒体制オフなうちに、そーっと部屋を出て行こうとする。だがここで目ざとく見つけてしまった。彼女のベッドの掛け布団のうち1枚が、金色に光る羊の毛皮であることを!

 こそっ・・・運試しは、吉・・・するする・・・するするするっ。俺は行きがけの駄賃とばかりに、羊の毛皮をそーっとベッドから抜き出し、俺の手元に納める。(≧∇≦)bグッジョブ!!

 

 そして髪の手入れに夢中な奥方を残し、急いで奥の扉から出ていった。

 

 

 

ミクのカツ上げにあう --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点10/11 体力点12/16 運点9/10

 

 部屋を出た通路を数メートル歩くと、らせん階段の下に出た。これを上れば砦の黒い塔の中に入り込める。そして俺の宝を横取りしやがったバルサス・ダイアの元へ・・・慎重に上っていくと、小さな踊り場に出た。そこには左右2つの扉があり、俺は右側の扉を開けた。

 

 中は誰かの住まいのようで、椅子やテーブルがあって、獣の頭が壁にかけられている。床にはふさふさの敷物だ。その上に犬がいた。俺を見ると吠える。わん! すると敷物の1つが床から持ち上がり、俺の頭がはたかれる。なんだ??

 突然椅子の1つが長身の男にゆっくり姿を変えた。「ここに何のようだ?」と聞いてくる。さあどうしよう・・・。ここでの選択肢は4つだ。

 

1)穏やかに話そうとするか?

2)術を使うか?

3)武器か贈り物を求めてザックをさぐるか?

4)急いで部屋を出てもう1つの扉を試すか?

 

 どうやら変身が得意な魔法使いのようだ。うーん、(4)で引き返してもよいが、有益な情報があるかもしれないしなあ・・・とりあえず(1)でソフトにファーストコンタクト。

 

『男は君のおしゃべりなど興味を示さず、誰の許しを得てここにいるのかたずねる。何の予告もなくヘビに姿を変え、シュウシュウ音をたてながら床の上をするすると寄ってくる』

 

 そうだ「どんな姿にも変身できる」と図書館の本に書いてあったことを思い出す。どうやらこいつがミクに間違いない。俺は魔法を唱えることにした。選択肢は<妖怪うつし><目くらまし><千里眼>のどれか。しかし<千里眼>は使い切っているし、トリック目的の<目くらまし>はカウンターくらいそう。よし、<妖怪うつし>の術!!

 すると空中を飛ぶ絨毯がもう一つ増えた。そうか、俺の魔法は、ミクが化けている絨毯を模写したんだ。空中がてんやわんやなのを呆然と眺めていると、がぶっ!犬に化けていたもう一人のミクが俺の腕に噛み付いた。体力点-2だ。さらに迫ってくる蛇に化けたミクが、俺のふくらはぎに毒牙をぶち込もうとしている!ひいいいい!(´Д`ノ)

 運試し・・・吉。俺は何とか即死の毒牙をかわした。だがかすり傷を負い、さらに体力点-2。だめだ、かなわねえ。魔法じゃこいつらに太刀打ちできねえし、剣で切りかかろうにもいろんなものに変身するので、どれがミクだかわかりゃしねえ。

 結果として「いきなり土足で入り込んで、すいませんっしたっ!(ー人ー)」と、俺はワビを入れる。そしてさっきの奥方に続き、何か贈り物を差し出そうとザックの中をかき回す。

 するとミクはヤンキーの如く「・・・金、持ってんダロ?あぁ?( ゚Д゚)と聞いてきた。

 「は、はい!(≧ω≦)」俺は財布から金貨を数枚取り出した。

 だがそれで容赦してくれない。3人のミクは「もっと持ってんダロ!」「とっとと出せヤこらあ!」「ちょっと飛んでみろよぉー、チャリチャリ音してんじゃん!」と、次々にビーバップハイスクール並みの不良テクで俺を取り囲む。

 結局、金貨を全部カツ上げされてしまった(つд・) 俺は泣きべそかきながら部屋を横切る。ミクは言葉をかけてくれた。やた!情報か?バルサス・ダイアの弱点か??

 

『これはこれは、よその人よ。われらミクの家によく来た。贈り物に感謝する。先へ行くには前方の扉から出るがいい。だがガンジーらには用心することだ。旅の幸運を祈る。』

 

 そ れ だ け で す か い 。 (泣)

 あ、でも、何とか生き残れたので運点+1でした。くすん。

 

 

 

ガンジーの恐怖 --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点10/11 体力点8/16 運点9/10

 

 やばいやばいやばい!体力点が残り8点。ガチの戦闘なら即死圏内である。俺は戦闘以外ならいつでも使える<体力増強>の術を唱え、原体力点の1/2、すなわち体力点+8を加えた。ふう。この術はあと1回使えるきりだ。大切にして使いどころを考えなきゃ。

 

 さて、意外にヤンキーだったミクの部屋を抜けると、そこは螺旋階段になっている。上っていくと扉に達した。階段は行き止まりでそこしか行けないので、俺はその扉を開けてみる。ぎいい・・・

 俺は突然真っ暗な部屋の中に吸い込まれたっ!

 そしてあざ笑うような声に取り囲まれる。亡霊のような顔がぽっと浮かび、俺めがけて飛んできた。ひゃあああ!俺は地面に突っ伏し、その恐怖の表情を見ないようにする。がたがた体が悪寒で震える。

 

「愚かな冒険者よ、ガンジーのすみかへようこそ!」

 (ガンジーってインドの平和主義者の名前じゃないの???)

「気の毒だがここがお前の目にする最後の部屋だ。」

 (ズバリ断言されちゃったガーン)

「ああ、いや、お前には何も見えぬだろうな、ええ?」

 (はい真っ暗です。あんたの顔以外に何も見えません)

「だがわしらにはお前が見える、なあ兄弟たちよ」

 (ううう一方的な展開。しかも敵は複数いるのかよ)

 

『怯えているので技術から1点、体力から2点、運から1点引くこと』

 エエエエェェェェ(゜Д゜;)ェェェェエエエエ

 

 なにその一方的なペナルティ。マジ死ぬ。もう死ぬ。今すぐ死ぬ。アズ・スーン・アズ・ダイ。(←パニックなので英語めちゃくちゃ) こええよ著者のスティーブ・ジャクソン。俺を殺す気満々だよ。「ヤッチマイナー」って感じですよ。ってか、ガンジーに無抵抗主義で殺されちゃいますよ。

 もはや魔法とか剣とか言っているレベルじゃない。とりあえず俺は、奥方とミクに続き、三度目のプレゼント作戦を行おうとする。もはや勇者というより、不良の巣食う高校に転校してきた、金持ちのいじめられっ子である。イジメカッコワルイぞ!(A )

 何を取り出すかというと「クモの入ったビン」「魔法のお守り」「塗り薬の壷」のどれか。「魔法のお守り」は集められなかったから、ゴーレムの部屋にあった「クモの入ったビン」か、外にいたドワーフから奪った「塗り薬の壷」のどっちか。

 クモよりは薬の方が喜ばれんだろ。ほらイラストのガンジーの亡霊顔もおじいちゃんみたいだし。あのう、このリューマチに効く塗り薬の壷でここは一つ・・・と、そーっと卑屈に俺は差し出す。

 

 「それは何だ?」

 

 ほっ。どうやら興味を示したようだ。こいつは魔法の膏薬です。ここを通してくれれば、お渡ししますでゲス(へこへこ)。俺は必死にへりくだる。冒険者の誇りなんてあるものか、命あっての物種、それがFFクォリティ。ひゅん!青白い手が壷をひったくろうとしたが、俺は素早く引っ込めた。ちっと舌打ちするガンジー。

 

 「まさしく魔法の膏薬だ。」「取引に応じよう。」「その場に壷をおいてこの扉から出るがよい。」

 

 次々とそのような声が聞こえ、ぼうっと出口の扉が開く。俺は最後まで油断せずに壷を持ったまま扉に近づき、ドアをパッと開けて、振り向きざまに部屋の奥に塗り薬の壷を投げる。

 そして一気にダーッシュ!すたたたた・・・あー怖かった・・・(ノД`)

 

 

 

ヒドラを突破して天守閣に上る --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点9/11 体力点14/16 運点8/10

 

 現在の技術点が9・・・オシェイマスの剣で攻撃力+1として・・・。

 よし!俺はここで1つしか覚えていない<技術回復>の術を唱え、原技術点まで戻した。これは賭けだ。この先、すぐにまたガンジーみたいな一方的な技術点ペナルティがあると大後悔なのだが、強敵との戦闘を勝ち抜くためには、やっぱり技術点を高くしといた方がいい。

 

 ガンジー・ショックの恐怖もやっと薄れてきた。俺はその部屋から繋がっていた螺旋階段を上り始める。上ってみるとバルコニーに出て、そこから出る扉が1つしかないから、俺は覚悟を決めて入り込んだ。中からシュウシュウという音がする。うわ!6つの頭を持つヒドラが、過去の犠牲者の死体を踏み越え、俺に近づいてきた。

 こいつはたしかに強敵だ。だがついさっき、技術点を回復させた俺なら・・・!勇気を振り絞り、剣を抜いて俺は奴に切りかかる。ずばっ!俺の一撃は、敵の頭の1つを切り落とした。ところが、残りの5つの頭の攻撃をかわしているうちに、俺は恐ろしいことに気がつく。さっき切り落とした頭のところに、また新しい頭が生えている!自己再生能力を持っていやがる!!

 がぶっ!頭の一つが俺に腕に噛み付いた。体力点-4。いってええよおお・゚・(つД`)・゚・

 

 しゃあない。ここで選択できる魔法は<妖怪うつし>の術しかないが、俺はもう使い切って持っていない。よってまたザックを探り、ごそごそと奴を退治できるスペシャルアイテムを探そうとする。選べる物は「銀の鏡」「黄金の羊の毛皮」「携帯用万能棒」の3つ!

 「携帯用万能棒」は集められなかった。「銀の鏡」と「黄金の羊の毛皮」のどちらかだが、ここで俺は、あのかわいそうな洗濯婆さんの亡霊が言っていたことを思い出した。

 『城主の元まで辿り着くには「羊の毛皮」を見つけねばならない・・・』

 そうか、こいつがバルサス・ダイアの護衛のために配置された怪物だとしたら・・・!俺は奥方からかっぱらった「黄金の羊の毛皮」を引っ張り出す。するとヒドラはシューッと全部の頭を後ろに引き、じっと動かなくなる。明らかにこのアイテムを恐れているようだ。

 やっぱり効いた!部屋の向こう側に出口の扉があるので、ゆっくり、ゆっくり、俺は羊の毛皮を奴に掲げながら、そちらの方向に進む。じりじり、じりじり・・・

 突然、ヒドラの頭の1つが俺の手から羊の毛皮を奪った。くそっやられた、襲ってくる!!俺は半ば覚悟を決めてファイティングポーズを構えたが、不思議なことに、ヒドラはこそこそと片隅に引っ込んでしまった。

 俺は安堵してこの部屋を足早に出て、勢いよくドアを閉める。ふううううう。そして力が抜けてその場にへたり込む。矢継ぎ早に襲ってくるデッドエンド。まったく気が抜けないぜ、この要塞は。

 

 さあ、もうそろそろ「黒い塔」の最上部だ。俺は内巻きになっているような細く短い通路を進み、とある階段の下についた。壁の札には「止まれ。バルサス・ダイアの許可なき者の進入を禁ず」とある。

 とうとうここまできた。俺は興奮を抑えて慎重に階段を上る。次の踊り場は、もう砦の天守閣の中だ。正面に分厚い金属の扉があり、カギがかけられている。このカギは回転錠だ。3つの番号の組み合わせで開く仕組みらしい。

 俺はにやりと笑い、図書館で調べたとおりの数字に合わせる・・・その前に!

 そうすると、たぶんこの次はボス戦だろ?俺は冷静に休憩をとった。<体力増強>の術で体力点+8、<開運>の術で運点+5。これで全ての能力値が原点まで戻る。これで残っている術は<火炎><愚者の黄金><目くらまし><骨抜き>が各1個。そして<浮遊>が2個になった。

 

 さあ準備も出来たぞ。いよいよ火吹山のカリを返してもらうぜ、バルサス・ダイア!!

 2・・・1・・・7・・・。本の指定どおりに数字を合わせると、カギはガチャリと開いた。

 

 

 

バルサス・ダイアとの死闘(1 --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点16/16 運点10/10

 

 扉がゆっくりと開いて室内に入る。1本の蝋燭のみがまたたいている・・・

 そのとき、俺の喉元めがけて三叉の鉾が飛んできた!

 はああああっ!映画のマトリックスのように、体を反らして避ける。運試しは・・・吉。危ういところで首には刺さらなかったが、額にかすり傷を負ってしまった。ちっ、体力点-2だ。

 

 息をはああっと吐き、落ち着いて室内を見渡す。そこは明らかに軍事本部で、壁にいろいろと戦略地図が吊るされている。大きな窓に華やかなカーテン、片隅の戸棚には恐ろしげな形の武器があり、中央には立体模型と、小さな兵隊人形の軍勢がある。これは「柳谷」の模型だ!今まさに侵略計画を練っていたに違いない。

 そのテーブルの前で俺を睨んでいるのは、戦闘用の皮上着を着込み、幅の広い鋲を打った手甲をはめている筋骨隆々とした男。そう、俺を火吹山で嵌めやがった、あのバルサス・ダイアだ!

 

バルサス「ほう、貴様か・・・。俺の臣下になるべく売り込みにきたか?」

ブリッツ「(ちっちっ、と指を振る)この俺様を騙したツケを支払ってもらおうか。」

バルサス「まあそういきがるな。ここまで辿り着いただけでも大したもの。貴様には副官の地位を用意してやる。俺は柳谷の支配権を得る。そしてサラモン王の宝は貴様にやろう。」

ブリッツ「ほざくなよ。欲しいものがあるなら、てめえのように他人を利用せずに、自分の力で手に入れらあ!」

 

 もとから交渉するつもりなんてない。次に来るであろう決闘を予感し、俺とバルサスは暗い部屋の中で睨み合う。その中心点では、まるで火花がスパークするようだ。

 

 ついに痺れを切らして、バルサス・ダイアが唸る。「生意気な下郎め、バルサス・ダイアにかなうと思っているのか?」 そしてぱちんと指を鳴らすと、俺の背後に醜悪な獣が近づいてきた。毛深い体から4本の足が突き出て、そのそれぞれに凶悪な鉤爪がある。「鉤爪獣に勝てるかどうかも怪しいものだ!」と奴はせせら笑った。

 だが、俺は落ち着いて<骨抜き>の術を唱える。たちまちこの凶獣は泣き声を上げた。自分の凄まじい体重そのものを筋力で維持できなくなったのだ!鉤爪獣はぐったりと地面に横たわる。俺はその上にまたがり、心臓を剣で貫いた。そして血糊のついた剣の切っ先を、すうっとバルサスに向け、にやりと笑って手招きする。もう小細工はたくさんだ。今度はお前が来い!

 

 奴は面食らったようだが、「ほう、他の者より強いつもりでおるのか?」とまだ余裕しゃくしゃくだ。そんなお前の態度が気に喰わねえ。俺は先手必勝で<火炎>の術を唱え、奴の足元目がけて火球を投げ入れた。

 BOM!! 床から煙と炎が噴き出す。バルサスは驚いて飛びずさるが、すぐに目を閉じて集中した。そして再び目を開くと、奴の瞳孔は燃えている!平然と俺の作り出した炎の中に踏み込み、燃えている板屑を俺に投げつけた!

 俺はさっと身をかわして戦略テーブルの陰に身を縮めた。カウンターの火の玉が頭上を飛んで消えていく。

 ハッ、これでオシマイか?じゃあ、今度は俺から行くぜ。テーブルの陰から身を現す時に、俺は<目くらまし>の術を使って自分の体を変身させた。俺の体はぐんぐん大きくなり、灼熱の炎をまとう・・・

 

バルサス「お、おお、何だ、何だ貴様は!!??」

ブリッツ「オロカナばるさす・だいあ。オマエハ、オレニ、カナワナイ!!」

 

 俺は、太古の森の魔法修行時代、師匠から借りて読んだ本の中にあった、最も恐ろしい怪物に変身した。真紅の皮膚で額に角を生やし、牙は鋭く黒く、そして舌は二股に分かれてシューっと音を立てる。そう、俺が化けたのは火炎魔人(バルログ)だ。そしてさっき投げつけられて床に転がっていた三叉の鉾を手にして、ずしん、ずしんと奴に迫る。

 バルサス・ダイアは口をあんぐり開け、震え上がって顔をそむけた。チャンスだ!虚像の中で俺はほくそ笑む。戦意喪失させてやろうと「サア、コウサンシロ!」と指差して命じる。

 

 しかし敵もさる者。何とかバルログに対する恐怖を克服して「死んでも!」と叫んで拒絶した。そしてバルサス・ダイアも反撃の変身呪文を唱える。奴の顔は醜い魔女のようになり、髪はシュウシュウいって蠢く小さな蛇でひしめいている。この姿はゴルゴンだ!

 へっ、俺と同じで、奴の姿も幻影だろう・・・と思っていたら、蝋燭の明かりに釣られて部屋を飛んでいた不運な羽虫が、石になってポトポトと床に落ちる。背筋に冷や汗が伝う。奴は特殊能力までコピーしちまってる!俺は急いで自分の<目くらまし>の術を解き、身軽な元の姿に戻る。

 さあ、今度は奴が石化視線を武器にじりじり俺を追ってくる。ここで運試し・・・吉!うまく目をそらしながら、俺は部屋の隅まで退いた。

 だが、ここからどうする???

 まだだ、まだ終わらんよ!とばかりに、俺はザックから銀の鏡を取り出した。レプラコーンのオシェイマスからもらったアレだ。予想外のアイテムを唐突に突きつけられて、ゴルゴンは金切り声を上げた。さあ、今度はお前がその視線で石になれ!!

 俺は、そーっと視線を上げる。するとそこには、危うい瞬間で変身呪文を解いたバルサス・ダイアが、憎々しげに口元を歪めていた。

 

 ここまで全くの五分と五分。互角の勝負だ。奴との死闘はまだまだ続く!!!!

 

 

 

バルサス・ダイアとの死闘(2 --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点14/16 運点8/10

 

 俺の前に立ちはだかるバルサス・ダイアは、はあー、はあー、と息が荒い。次々と魔法の術を繰り出したから、かなり体力を消耗しているようだ。

 まあ、それは俺も同じなんだけどな(苦笑)。激しく呼吸しているもんだから、喉の奥で血の臭いがする。

 だが、もうひと踏ん張りだ。俺はちらちらっと部屋の中を見渡す。すると武器戸棚が目に入った。錠がかかっているが、ぶち破るのは簡単そうだ。

 

 ・・・!!!

 

 俺はピンとひらめき、そこに飛びついた。奴が几帳面で利口ならば、きっと・・・

 やっぱりあった!青光りするまでに研ぎ澄まされた刃を持つ宝剣が俺の目をひいた。こいつは火吹山の魔法使い、ザゴールの財宝のうちの一つだったやつだ。偃月刀が得意武器のバルサス・ダイアも、やはりこのロングソードは手放せなかったか。

 俺はそいつをがしっとつかむ。「それに触るな!」とバルサス・ダイアが怒鳴る。「ぬかせ、元々は俺のものじゃねーか!」と俺は不敵な笑みを浮かべながら、引きずり出し、鞘を抜いた。

 利き手には火吹山の宝剣(攻撃力+2のシロモノだ)、そしてもう一方の手にはオシェイマスからもらった剣で、二刀流の構えをとる。奴の強烈なシミターの一撃を食い止めるには、こうでもしなきゃやってられん。宝剣のおかげで、技術は辛うじて俺のほうが上だが、スタミナは奴の方がある。だがこのまま魔法合戦を続けるよりは、まだこっちの方が勝算があると見た!

 バルサス・ダイアは「やむをえぬ」と低くつぶやくと、腰から偃月刀を抜き、俺にじりじりと近づいてくる(BGMは「パイレーツ・オブ・カリビアン」あたりで一つよろしくタノム)。

 

バルサス「これで決着のようだな。」

ブリッツ「ああ、殺るか、殺られるかだぜ!」

 

【バルサス・ダイア 技術点12 体力点19

1R 攻撃力(バルサス・ダイア/19)(ブリッツ/22) 運試し吉 バルサス・ダイア/体力点-4

2R 攻撃力(バルサス・ダイア/21)(ブリッツ/25) バルサス・ダイア/体力点-2

 奴の踏み込みをかわして鋭くターン、そして蜂のように刺す!

 このニ撃でバルサスは「うぉう!」とうめいた。だが、まだ戦いはこれからだ。

 体力点は13:14(バルサス:俺)。やっとイーブンに持ち込めただけだ。

3R 攻撃力(バルサス・ダイア/20)(ブリッツ/16) ブリッツ/体力点-2

4R 攻撃力(バルサス・ダイア/19)(ブリッツ/24) バルサス・ダイア/体力点-2

5R 攻撃力(バルサス・ダイア/20)(ブリッツ/18) ブリッツ/体力点-2

6R 攻撃力(バルサス・ダイア/17)(ブリッツ/17) Draw

 くそ!チャンスだったのに手が滑って引き分け。体力点は11:10。やや劣勢か。

7R 攻撃力(バルサス・ダイア/18)(ブリッツ/20) バルサス・ダイア/体力点-2

 現在の運点が7なので運試しが凶だったときのリスクも考える。

 運試しのダメージ増加はやらない方がいいだろう。長期戦だ・・・

8R 攻撃力(バルサス・ダイア/18)(ブリッツ/18) Draw

9R 攻撃力(バルサス・ダイア/21)(ブリッツ/22) バルサス・ダイア/体力点-2

 お互いの距離がやや離れた・・・今だ!

10R 魔法の短剣を使用。バルサス・ダイア、無条件で体力点-2

 俺は中庭で手に入れていた魔法の短剣をバルサス・ダイアに投げつけた。

 奴にとって予想外の一撃は脇腹に見事命中し、深く刺さる。

 これで体力点は5:10!一気に優勢に傾く。

11R 攻撃力(バルサス・ダイア/17)(ブリッツ/24) バルサス・ダイア/体力点-2

12R 攻撃力(バルサス・ダイア/18)(ブリッツ/17) ブリッツ/体力点-2

 体力点は3:8。まだ油断できない、俺は歯を食いしばって猛攻をかける。

13R 攻撃力(バルサス・ダイア/23)(ブリッツ/19) ブリッツ/体力点-2

14R 攻撃力(バルサス・ダイア/22)(ブリッツ/23) バルサス・ダイア/体力点-2

 奴の強烈なスマッシュを紙一重でかわし、カウンターを叩き込んだ。

 「馬鹿な!」自信満々の一撃を打ち砕かれ、奴は狼狽する。あと一撃だ!あと一撃で・・・!

15R 攻撃力(バルサス・ダイア/18)(ブリッツ/20) バルサス・ダイア/体力点-2 ←OverKill!

 俺は奴の偃月刀の死角に入り込んだ。もらったあああ!

 

 短く苛烈な一撃を、俺はバルサス・ダイアの身体に刺し込んだ。奴はグウッと低く呻き、口からごぼっと血の泡を吹く。そしてどさっと床に倒れた。どうしてこいつに慈悲をかける必要がある? 俺は奴の背骨の上に乗っかり、動きを封じ込めた。

 

バルサス「こ、今度は、敵じゃなく・・・」

ブリッツ「・・・」

バルサス「共に・・・戦い・・・たかった・・・ぞ・・・」

ブリッツ「・・・お断りだ」 ズバッ!

 

 余計な魔法の術を唱えられる前に、俺は手際よく、奴の首を胴体から切り落とした。

 そして、疲れた血まみれの身体でよろよろと立ち上がる。

 これで終わった・・・任務終了だ・・・。

 

 

 

400!そして次の冒険への幕間 --The Citadel of Chaos-- 

 

【技術点11/11 体力点6/16 運点7/10

 

 朝だ。

 バルサス・ダイアのいた司令室のカーテンを開けた俺は、日の光に目を細めた。この要塞に潜入したのは昨日の晩のことなのに、もう数ヶ月もいたような気がする。

 けっこうキツかったな。イテテテテ・・・俺は痛む足を引きずりながら、もうひと仕事した。カーテンを外してテーブルの上に広げ、戦略図ごと燃やした。やがて炎は勢いを増し、それなりの火事になり、黒の塔を包んでいく。これでバルサス・ダイアの侵攻計画は完全におジャンだ。

 さあ、俺もこんなところにいられない。<浮遊>の術を唱え、窓の外から飛び降りた。ふわふわと浮かびつつ、背泳ぎするように空中を漂って柳谷のサラモン王の下に向かう。ああ、要塞の暗くよどんだ空気に比べて、美味い。美味すぎるよ、この朝の冷たく新鮮な風は!(^v^)

 

 2回目の<浮遊>の術がちょうど持続時間が切れたくらいに、俺はサラモン王の宮廷にふわりと着地した。バルサス・ダイアの首級を掲げると、王はいたく感動して、33晩に及ぶ祝宴を催してくれた。

 

 げーっぷ、もう喰えねえ・・・

 そんな3日目の宴会の折(俺の師匠である太古の森の魔法使いもやってきていた)、サラモン王は唐突にこう切り出した。

 「あ、さて、邪悪な妖術使いバルサス・ダイアを屠り、柳谷を救ってくれた勇者ブリッツ殿に対し、余はその勇猛さに値する褒美を授けようと思うのである!」

 報酬キタ━(゚∀゚)!

 金貨っすか?伝説の武具っすか?魔法のアイテムっすか?何にせよ、前回まんまと騙し取られた火吹山のザゴール財宝くらいを希望するよ俺は。今回マジ死にそうだったんだから。ガンジーとかガンジーとかガンジーとか・・・(以下リフレイン)

 「今回の彼が為した英雄譚、金貨や宝物など、とてもとても割に合わぬ。そこで余は考えた。善の王たるサラモンが与える褒美、それはすなわち、領地だ。ブリッツ殿には、新たに我が王国に加わった“ぎざ岩山地”の統治権を与えようと思う!」

 

 い?(A )

 

 おおーっとざわめく宮廷内のお偉いさん達。俺の師匠がすかさず尻馬に乗る。

 「それはいいお考えです、王よ。聞くところによると、バルサス・ダイア滅びし後も、あの山地には怪物が跳梁跋扈しているとのこと。しかし、かように堅忍不抜だったバルサスの要塞にブリッツ君が入城すれば、彼の武芸は大いに王国の守りの礎となることでしょう!」

 え、ちょっと・・・師匠・・・何ニヤニヤしているの・・・?勝手に太古の森を抜け出してバルサス・ダイアを殺っちゃったこと、あ、やっぱ、怒ってるのね?そうなのね??

 それはつまり人身御供ということですか?

 サラモン王は太古の森の魔法使いの完全同意にとても気を良くして「ワシって名君じゃーん!」と言わんばかりに、俺に祝いの杯を注いだ。「うむ、これからもぜひ、武勲を重ねよ。おめでとう、君もこれで立派な貴族だ!」

 

 冗談じゃないよ・・・( ;゜Д゜)

 

 あんな呪われた怪物がたくさんいる正体不明な要塞に住めったって・・・そんなの死んでもお断りだよ!

 だが王と師匠の間で、話は整然と進んでいく。やれ緊急時の烽火による連絡体制とか、人体改造設備の復旧方法とか、未だあの要塞に残っているガンジーやミクと上手くやっていく方法(ひええ!)とか。

 

ブリッツ「あ、あのう・・・」

サラモン王「ん、何かな?ブリッツ伯爵。それとも侯爵位の方がよいか?」

ブリッツ「あ、いえ、ちょっと酔いが回ったみたいなんで、部屋に戻って寝てきてもいいですかね?いろんな細かい話は、王と師匠の間で決めたことにお任せしますので。」

師匠「うむ、そうするがよい。翌朝には君の叙勲式を行うからな。体調を整えておくのだぞ!」

ブリッツ「いやあ照れるなあ、あはははは。それではみなさん、おやすみなさーい(そろーり)」

 

 俺は宴会場を出た。そして・・・誰もいないのを確認してから・・・

 ダーッシュ!!スタタタタタッ(((((((((((_´Д`)

 厩で手ごろな馬を強奪して、すったかたーとサラモン王の城を飛び出し、猛スピードで柳谷を駆け抜ける。みなさんばいばーい!

 

 逃げる 逃げる 逃げーる ・・・

 

 ふうう。柳谷を完全に抜けた場所で、俺は一息ついて野宿することにした。あー満腹なところに馬を走らせたから脇腹いてぇ(笑)。師匠の怒り狂うファイアーボール呪文が飛んでこないところを見ると、何とか防人生活は免れたようだ。たぶんサラモン王は、誰か他の不運な奴を、あの要塞の管理者にしたんだろうな。

 ふと財布を取り出して中を見る。

 

 ・・・・・・・・・。

 

 結局、あんだけ苦労してバルサス・ダイアを倒したものの、俺の手に残ったのは、今回手に入れたアイテムを換金しただけの、わずかばかりの金貨。あーあ、またイチから出直しかよ(;つД`)

 でも、ま、気を取り直してのんびり行きますか!!(←もうヤケクソ)

 夜空にはキレイな星が瞬いている。よし明日は、あのいちばん明るい星の方角へ行ってみっかな・・・

 

『運命の森』へ続く