2011年4月9日23時1分
津波で壊滅的被害を受けた岩手県陸前高田市では、東日本大震災から1カ月近くになる9日も警察や消防などによる懸命の捜索が続いている。家屋のがれきや打ち上げられた船の下などを捜すが、同市ではいまだ千人以上が行方不明のままだ=9日午後2時45分、岩手県陸前高田市小友町、森井英二郎撮影
東日本大震災で死亡が確認された約1万3千人のうち年齢がわかった7935人を朝日新聞が調べた結果、65歳以上の高齢者が55.4%を占めることがわかった。過疎・高齢化が進む地域で、津波から逃げ遅れた人が多かったとみられる。行方不明者はいまだ約1万5千人。11日で大震災が発生してから1カ月を迎えるが、安否確認は難航し、被害の実態はいまだにわかっていない。
12都道県の警察が把握している死者のうち、年齢が明らかにされた7935人(7日までに発表)について、朝日新聞がまとめた。その結果、65歳以上の高齢者は4398人で、死者の55.4%を占めた。
被害の大きかった県別でみると、岩手県は死者1346人の56.4%(759人)、宮城県は5788人の54.8%(3170人)、福島県は742人の57.7%(428人)。2010年の住民基本台帳によると、3県の65歳以上の人口比率は22〜27%で、いずれの県も今回、高齢者の被災割合が2倍余り高かった。
阪神大震災では、亡くなった人のうち65歳以上が占める割合は49.6%(兵庫県調べ)で、家屋倒壊による圧死が多数を占めた。一方、東日本大震災では、検視した監察医らによると、死因はほとんどが水死か、がれきと共に流されたことによる多発性外傷という。
三陸地方の沿岸は漁村や小さな集落が多く、過疎、高齢化が進む。逃げる途中で津波に巻き込まれたり、付き添いがおらず逃げることもできなかったりした人が多かったとみられる。
一方、0〜18歳の死者は531人で、全体の6.7%。7〜18歳でみると、宮城県が最も多く4.3%、福島県は4.0%、岩手県は2.1%の順。3県の7〜18歳の子どもが県人口に占める割合はいずれも11〜12%程度で、人口構成上、被災割合は低い。平日の午後2時46分の発生で、下校前の学校が多く、教師の誘導によって屋上や高台に避難して助かったケースもあった。岩手県の比率が低いのは、明治三陸津波や昭和三陸津波などの被害を受けて学校での防災教育に力を入れていることや、リアス式海岸で学校の近くに高台があり短時間で避難できたためとみられる。