事件【放射能漏れ】原発事故1カ月…水失った原子炉、崩れた「神話」+(3/3ページ)(2011.4.9 08:11

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【放射能漏れ】
原発事故1カ月…水失った原子炉、崩れた「神話」

2011.4.9 08:11 (3/3ページ)

 午前7時には菅が、後にベント作業の妨げになったと批判された視察に到着する。東電には首相に放射能を浴びせないよう配慮するような余裕はなかった。電源喪失で東電は弁を開けたくても開けられなかったのだ。ベント開始は、午後2時30分。海江田の指示から10時間が経過していた。

 綱渡りの注水を続けていた1号機では炉内の水位が低下を始め、計器は午後0時半に4メートルある燃料棒のうち1・7メートルが水面から露出していることを示していたた。

 「計器が故障している可能性があります」。東電は、より多くの量を確保できる海水の注入を見送り、保安院も報告をうのみにする。午後3時36分、1号機で水素爆発が起き、建屋上部が吹き飛んだ。

 原子炉内では、露出した燃料棒が高温になって溶け、放射性物質が漏れ出す「炉心溶融」が起きていた。班目が恐れた国内最悪の原発事故が現実となった。2、3号機もやがて同じ道をたどり始める。爆発は、「7つの場面」で連鎖した幾重の危機の一つでしかなかった。(敬称略)

【用語解説】炉心溶融

 原子炉内の燃料棒が水から露出し、放射性物質の「崩壊熱」で外側を覆うジルコニウム合金製の「被覆管」が溶け、放射性物質が漏れ出す深刻な原発事故。燃料棒の大半が溶けて原子炉圧力容器内で落ちる「全炉心溶融」(メルトダウン)になると、容器が溶けて穴が開き、外部に漏出。水が一瞬で水蒸気になり爆発し、広範囲に放射能がまき散らされる危険性がある。

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