2011年4月9日21時9分
東京電力福島第一原発の2号機で、タービン建屋などにたまった高濃度の放射能汚染水の収容先を確保するために、復水器を空ける作業が9日、完了した。10日にも、汚染水のくみ上げを始める。汚染拡大を防ぎ、安定した冷却の仕組みを復旧させるのが焦点だ。集中廃棄物処理施設内の比較的汚染度の低い水を海へ放出し、高濃度汚染水の収容先を3万トン分確保する作業も、同日夜に終わる見通しだ。
2号機の復水器は3千トンの容量がある。今後、タービン建屋とつながる坑道のたて坑から汚染水をポンプでくみ上げて移すという。
集中廃棄物処理施設では、海への放出が終わった後も、水が漏れないよう壁のひび割れの点検が必要で、収容は早くても週明け以降になる。水を移送して初めて、原子炉を安定して冷やすシステムの復旧に向けた作業が再開できる。
5、6号機からも、重要機器が水没しないよう汚染した地下水を海へ放出する作業を継続。10日にも予定の1500トンの排出が終わる見通しだ。
厚生労働省は9日、福島県いわき市沖で採ったイカナゴ(コウナゴ)から1キロあたり570ベクレルと基準(500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。魚介類で基準値を超えたのは、基準設定前を含めて3例目。
厚労省によると、このコウナゴは7日に福島第一原発から南へ約35キロ離れた同市沖で沿岸から1キロ、深さ約10メートルで採取したという。福島県では全域ですでに出漁を停止している。
茨城県沖で採取されたカレイ2点からは基準を超える放射性物質は検出されなかった。
一方、福島第一原発1号機は9日も、炉内の温度が高めで不安定な状況にある。このため、7日未明から原子炉格納容器への窒素の注入が続いている。内部にたまった水素が爆発しやすくなるおそれがあるためだ。