ニックネーム:イダヒロユキ 
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2010年08月28日(土)
同一価値労働同一賃金原則に関して


大阪労働者弁護団のなかに、「非正規・ワーキングプア問題研究委員会」というのがあって、月1回集まっています。
そこで、同一価値労働同一賃金に関することを少し発表しましたので、ここにその関連で、少し情報をまとめておきます。
少しわかりにくいかもしれませんが。

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林弘子さんが「同一労働同一賃金原則と同一価値労働同一賃金原則について」(『労働法律旬報』NO1711−12、2010年1月25日号)という小文を書いた。
そこでの林さんの主張は、日本では同一価値労働同一賃金原則を同一労働同一賃金原則を発展させたペイ・エクイティと称する見解が広く紹介されている――典型が森ます美『日本の性差別賃金』2005年――が、そこには混同があり、適切でないという。

その根拠は、カナダ・オンタリオ州ペイ・エクイティ法(1987年)では、同一価値労働同一賃金(ペイ・エクイティ)と同一労働同一賃金は明確に区別されており、法律も管轄行政も異なっているから、というものである。

私(イダ)の見解は、次のようなもの。

すなわち、「林は、その内容ではなく、形式にとらわれて、同一労働同一賃金と同一価値労働同一賃金との本質的な連続性を切断している。誤った判断である。」というもの。

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もう少し詳しく林さんの主張をフォローすると、

A)アメリカでは「同一賃金法」(1963年)というものがあり、そこでは 同一価値労働同一賃金は否定された。ここで、同一労働、賃金格差を評価するファクターとしては、「スキル(技能)、負担(努力、負荷)、責任、労働環境 の4要素」が挙げられていた。

B)カナダ・オンタリオ州でも、同一労働同一賃金に関する法律「雇用基準法」(1969年)画制定された。そこでも「スキル、負担、責任、労働環境 の4ファクター」であった。 同一労働はまったく同じである必要はなく、実質的に同じ種類の労働、実質的に同じ技術、負担、責任、同じような労働環境であるものであれば、この法律の対象。各ファクターごとに調べられ、一つでも違えば同一労働ではないとされている。

C)それに対し、1987年にカナダ・オンタリオ州で、ペイ・エクイティ法が制定された。そこでは異なる種類の労働についても、スキル、負担、責任、労働環境の4ファクターによって総合ポイントを計算し、同一価値労働かどうかを判断するとされている。同一価値労働同一賃金が法律となったのである。

  
林の主張は明確ではないが、その趣旨を読み込むと、「A,B」と「C」は同じ4ファクターを使っているが、比較の方法が異なる別物であり、森が、そこを混同して、Cを、A・Bの延長上に見ていることを批判している。

日本の京ガス裁判では、この4ファクターを使って、まったく異質の労働の価値が比較されたのではなく(Cではなく)、米国やカナダの同一労働概念で 同一労働であるにもかかわらず女性差別であったという点が争われたものだ、という。

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それに対する私の意見。

Cがまったく異なる職種を比較するということは、同じ職種でもそれを適用できるということを排除しない。Cの考えかたのなかに、A/Bを入れて差し支えない。
Bは法律の適用対象が狭い法律で、同一の労働という狭い範囲を扱っているだけ。
だからといって、CとBをまったく別物と観るのは、形式論的な見方に過ぎない。

この種の議論の大きな目的は、ある仕事と別の仕事、それを担っているものの間に待遇格差があることをどう是正し公平にするかである。

Bで同じかどうかで判断してそれで行けるなら行けばいいが、それでいけなくても、Cで総合得点で同じようであれば、平等(価値比例)な待遇にすればいいという話である。

森は上記著書で木村愛子の主張の紹介の形で以下の整理を行っており、私はこれにまったく賛成である。
私は90年代前半からこの種の議論にかかわり、コミュニティユニオンの女性たちのパート労働の均等待遇運動を一緒に行ってきた。
以下の整理はそのころの議論に沿ったものである。

 男女平等賃金の原則は次の4つの段階を経て、ペイ・エクイティへ変化発展してきた。
@ 同一労働同一賃金  
A 類似する労働への同一労働同一賃金適用
  
B同一価値労働同一賃金 (異なる労働の価値を評価) 個別的提訴対応。職務評価において、ジェンダーバイアスを考慮する点も画期的
  
Cペイ・エクイティ 賃金衡平・・・法律で事前に組織的に差別是正するというプロアクティブなもの・・申し立てを待つまでもなく、使用者に積極的に差別是正義務を負わせる。パート労働者も対象
  
この第4段階は、個別の訴えの前にも企業として対策を行わなくてはならないという意味で、セクシュアル・ハラスメントの状況と類似している。

この整理のどこにも問題はない。林さんの論文の。両者は別物だから区別せよという主張には、正当性はなく、賃金格差是正(男女差別是正)の運動にとって、不要な主張であると私は判断する。

ただし、この論文は、各法律を説明・紹介した点には意義がある。


★ ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
なお、「同一価値労働同一賃金」に関して、濱口桂一郎さんが、日経連のおもしろい情報を紹介していた。

『労基旬報』「人事考現学」8月25日号、「日本経団連の同一価値労働同一賃金」
http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo100825.html

それによると、日本経団連の『経営労働政策委員会報告2010』では、「いわゆる『非正規労働者』の処遇改善への対応」という項目で、
「企業としては、自社の従業員の処遇に関して、同一価値労働同一賃金の考え方に基づき、必要と判断される対応を図っていくことが求められる。」と述べている。
しかし日経連が、私たちの言う意味での同一価値労働同一賃金を言っているのではないことがわかる。

日経連報告書「ここで、同一価値労働同一賃金の考え方とは、将来的な人材活用の要素も考慮して、企業に同一の付加価値をもたらすことが期待できる労働(中長期的に判断されるもの)であれば、同じ処遇とするというものである。」
「同一労働同一賃金を求める声があるが、見かけ上、同一の労働に従事していれば同一の処遇を受けるとの考え方には問題がある。外見上同じように見える職務内容であっても、人によって熟練度や責任、見込まれる役割などは異なる。それらを無視して同じ時間働けば同じ処遇とすることは、かえって公正さを欠く。」

濱口さんは、これは通常の用語法における同一価値労働同一賃金とは逆に、同一労働であっても(中長期的に)同一価値ではないから同一賃金にする必要がない、というロジックだと批判する。

つまり日経連は、まったく違った意味で同一価値労働同一賃金といっている。ひどいものである。
 

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2010-08-28 02:15 | 記事へ |
| 労働 / ジェンダー |
すき家事件で、会社側が完全敗北
株式会社ゼンショーが経営する牛丼すき家仙台泉店に勤務するアルバイトの残業代未払い問題について、首都圏青年ユニオンが東京地裁で争っていましたが、結審前に突如として会社が認諾をし、訴訟が終了いたしました。
ひどい会社でしたが、裁判で負けるのが明白になったので、直前に、請求額99万円強を全額を払って判決を避けて逃亡したということのようです。

何はともあれよかったです。
こうして、ユニオンがちゃんと闘えば、多くの場合勝てます。
これから、日々の職場での改善を求めての戦いになるでしょうね。

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http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010082701001023.html
2010/08/27 22:11 【共同通信】

「すき家」未払い残業訴訟終結 ゼンショーが請求認める

牛丼チェーン「すき家」などを運営する外食大手「ゼンショー」(東京)に対し、アルバイト3人が未払い残業代など計約99万円の支払いを求め東京地裁で争っていた訴訟で、ゼンショー側が原告の言い分を認めて争わない意思を示す「認諾」をし、訴訟が終了したことが27日分かった。

原告を支援する首都圏青年ユニオン(東京)が明らかにした。

ユニオンなどによると、仙台市の女性(43)ら3人は2000年以降、同市のすき家店舗でアルバイトをし調理や接客を担当。多いときには月169時間の残業もしたが、ゼンショー側は支払いを拒否し、話し合いにも応じる姿勢を示さなかったため、08年4月提訴。ゼンショー側は今年8月26日、認諾したという。

ゼンショー広報室は認諾の事実を認めた上で「コメントは差し控えさせていただきます」としている。

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首都圏青年ユニオンの声明を以下、紹介します。
PDF版 ホームページ(http://www.seinen-u.org/sukiya.html

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すき家事件 認諾による訴訟の終結及び中労委命令についての声明2010年8月27日

1 2008年4月、牛丼すき家仙台泉店で働くアルバイト従業員3名が、株式会社ゼンショー(以下「会社」という)に対して、未払いの本給、時間外割増賃金および紛失立替金の支払いを求めて裁判を提起した。この訴訟で、結審日として予定されていた本年9月10日を前に突如、会社が8月26日に原告らの請求額合計994,777円をすべて認諾して、訴訟は終了した。

  また、アルバイト従業員3名が加入する東京公務公共一般労働組合(以下、「組合」という)が2007年1月に上記のお金の支払いやシフト差別等の問題について団体交渉を求めたところ、会社は同年2月に団体交渉を拒否した。
そのため組合が団交拒否の不当労働行為救済申し立てを行い、東京都労働委員会は組合の申し立てを全面的に認め、2009年10月に会社に団交に応じること等を命じる命令を出したが、会社がこれに対し中央労働委員会に再審査を申し立てた。8月26日、この件につき、中労委は、本年7月21日付の命令書を交付し、会社の再審査申し立てを棄却した。

2 会社は、2007年2月以降、会社との連絡、交渉を担当していた組合の青年一般支部(通称「首都圏青年ユニオン」。以下、支部を「首都圏青年ユニオン」という)や組合について、労働組合といえないなどと主張して組合との団体交渉を拒否し、解決を引き延ばした挙句、訴訟提起後はアルバイト従業員の労働者性を否認する主張を行うなどして、無用な争点を増やして訴訟進行を遅延させた。

訴訟では本年4月23日、6月11日と原告本人及び会社の労務担当者、原告らの元上司の3名について証人尋問が行われ、9月10日が結審のための口頭弁論が指定されてそこに向けて原告ら及び会社がそれぞれ7月末日までに最終準備書面を裁判所に提出することとされていた。ところが、会社は7月末日になっても最終準備書面を提出せず、その後になって、突如として請求を認諾してきたのである。

3 他方、中央労働委員会の手続きでは、会社が2009年11月に再審査申し立て後、本年5月10日に審問(訴訟でいう証人尋問)が行われ、首都圏青年ユニオンの河添誠書記長及び会社の労務担当者が証言した。中労委は同日審理を終結し、8月26日の命令交付に至ったものである。

  中労委の命令は、東京都労働委員会の命令した内容をほぼ全面的に支持し、営業中の店舗へのビラ配布という組合の情宣活動について、都労委の命令が「行き過ぎの面があったとも考えられる」としていた点についても、当該活動の態様、目的、必要性の観点からの検討を行って、「労働組合の組織、団結を擁護するという労組法の目的(同法1条)に反するところはない。」と組合の行動が正当なものであったことを明らかにした(命令書27頁)。

4 以上の、会社の認諾による訴訟の終結、中労委命令について、首都圏青年ユニオン及び同顧問弁護団は、心から喜び、全面的に歓迎するものである。

(1) 最終準備書面提出の手続きまで行う段階まで全面的に争い、およそ認められるはずもない論点を提示するなどして訴訟を遅延させて、原告らの生活を長期間にわたって不安定にさせてきたにもかかわらず、訴訟の最終盤になって判決を回避するために認諾するといった会社の訴訟態度は、ご都合主義的で不誠実極まりなく、私たちは決して許すことはできない。

もっとも、会社がこの時期に異例とも言える認諾に追い込まれたのは、原告らと原告らの加入する首都圏青年ユニオン、そして弁護団の粘り強いたたかいの成果である。
原告らは、労働組合に加入して全国で情宣活動を行い、会社への要請行動も繰り返してきた。また労働基準監督署に是正指導を求め、刑事告訴も行った。さらに、労働組合は、団交拒否に対して訴訟に先駆けて東京都労働委員会へ救済命令の申立てを行い、2009年10月には労働組合の主張を全面的に認める救済命令を得ている。

訴訟においては、原告らは、アルバイト従業員が会社に従属しながら働く労働者であること、アルバイト店長には大きな権限はなく管理監督者とは到底言えないこと、紛失金立替えは公序良俗に違反し、仮に合意書が取られていても無効となることなど、すべての争点で会社の言い分を圧倒した。特に、証人尋問の中では、業界トップを走る牛丼すき家が、アルバイト従業員を劣悪な労働環境の中で酷使している実態が明らかになった。

このような原告、労働組合、弁護団の活動により、会社は予定されていた判決で全面敗訴を覚悟し、それゆえ判決直前になって認諾を選択したと考えられる。

(2) これに対し、会社は訴訟の裏で、組合員に対する卑劣な攻撃を繰り返した。原告らが賃金未払いの件で告訴をしたところ、逆にまかない飯を窃取したとの嫌疑で恫喝の手段として逆告訴したり、定期的な昇給を一切行わなかったりするなどの不当な差別を行った。

  また、会社は、前述の不当労働行為救済命令が出されたにもかかわらず、現在に至るまで組合、首都圏青年ユニオンとの団体交渉に応じない。
  中労委命令は会社の態度が労働組合法の観点から許されないものであることを改めて明らかにし、かつ都労委命令後比較的迅速に命令が下されたことで組合、首都圏青年ユニオンや組合員を励ます内容であり、高く評価できるものである。

5 近時、「ワーキングプア」「格差」「貧困」といった問題が起き、このような状況下で苦しむ非正規労働者が多くいることが社会問題化している。この問題が引き起こされている第一の原因は、企業が労働法令を守らないことにあり、特に、非正規労働者への賃金未払いや紛失金の強制立替えはめずらしくないといわれている。

今般の勝利は、非正規労働者であっても声をあげてたたかうことによって大企業に法律を遵守させることができるという道筋を示したという点で非常に重要である。

会社は今回の認諾及び中労委命令により、原告らの主張を事実上全面的に認め、かつ団交拒否の違法性が再度明らかになった以上、原告及び組合、首都圏青年ユニオンの主張に反する労務政策を一切取ってはならない。私たちは会社に対し、ただちに原告ら組合員への差別的取扱いを中止し謝罪すること、組合、首都圏青年ユニオンとの団体交渉を開始しすみやかに労使自治のルールを確立するよう強く求める

今回の勝利を非正規労働者の権利擁護に活かすよう、私たちはこれからも奮闘する決意である。

以 上

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首都圏青年ユニオン
(東京公務公共一般労働組合 青年一般支部)
山田 真吾
Mail s.yamada@seinen-u.org
Tel 03-5395-5359 / Fax 03-5395-5139
URL http://www.seinen-u.org
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2010-08-28 01:21 | 記事へ |
| 労働 |
全国のインディーズメーデーの報告会


以下のような交流があります。私も参加します。

以下転送転載歓迎

9月5日(日)に熊本市内で全国のインディーズメーデーの報告会を開きます。
インディーズメーデーや独立系労働組合、フリーターの労働運動、プレカリアート運動に興味をお持ちの方はぜひご参加ください。
当日は全国各地のインディーズメーデーの主催団体の方も参加されます。

インディーズメーデー報告会

日 時:2010年9月5日(日)
場 所:真宗大谷派熊本教務所(熊本市呉服町2丁目5 )
参加費:無料
主 催:熊本労働生存組合(KUMASO)
http://kumamotounion.blog103.fc2.com/

13:00  開場
13:30  氷河期世代ユニオンの方による各地のメーデー報告
15:00  交流会開始
18:00  夕食
22時まで  交流タイム(22時で交流会を解散)

※飲食代は自己負担でお願いします。
(夕食代については1000円以下に抑える予定です。)
※事前連絡不要。途中退席・途中からの参加もOK。
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2010-08-28 00:55 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年08月26日(木)
「ベーシック・インカムの議論で浮わつくべきでない」

以下の『季刊ピープルズ・プラン』51号に、ベーシック・インカムについて私の考えをまとめたもの「ベーシック・インカムの議論で浮わつくべきでない」
を載せました。基本的にBI批判論です。ぜひ読んでみてください。

初めの部分だけ少し転載しておきます。


 1 ベーシック・インカムへの基本スタンス
紙幅が少ない中で、ポイントだけを書くスタイルで以下、記述する。
1)旧来型の社会の問題を経済成長対応型社会およびスペクタクル社会と捉えて、それに対抗しないような、表面的な対抗(=実は秩序の一部/加担というようなこと)に嫌悪を覚えており、その意味で、左翼活動や市民運動や労働運動、そして学者やメディア人などの欺瞞を批判する立場である。旧来秩序を批判する点では共通であるが方向がまったく逆であるのが新自由主義であり、私は、その世界観と真逆の立場をとっている。

2)そんな私にとって、所得の再分配は当然必要なことであり、所得税や法人税などをもっと上げ、権利としての福祉システムを打ち立てるべきというのが持論である。恩恵としての弱者救済ではなく、普遍主義的に福祉サービスが提供されるのが基本であると思っている。とするなら、たとえば働けない者に、能力主義的・自己責任論的に働けと圧力をかけることに対抗するためにも、当然、あらゆる人には無条件に生存する権利があり、自己責任論で追い詰めるなと言いたい。だから、ベーシック・インカム(以下、BIと表記する場合あり)の基本思想である「あらゆる人の生存権を無条件に重視するために、連帯し、保障する」という普遍主義的な思想には大賛成である。

3)ここから直ちに、もしあらゆる人に無条件に15万円程度支給するというなら、それはあってもよいが、10万円以下しか支給しないようなBIなら、生活保護以下であり、生存権を保障せず、それは反動的施策であり、絶対に私は反対であると言う。

・・・・
4)生存権を保障する普遍主義的な思想を現実的に実現するのは、後で述べるように、個別のニーズを踏まえた現物サービス給付が手厚くある社会民主主義システムであるのに、そこを言わず、むしろそこを切り崩してBIというのは、まったく間違いである。つまり、BIという切り口では足りない。狭すぎる。小沢修司は医療、介護などの現物給付は別とした上で月額8万円のBIをいうが 、現物給付とBIを切り離し、事実上、社会民主主義システムの構築と言う点を後景に退かせている。実際、小沢は、「家族単位の福祉国家システムの行き詰まり」に対して、北欧型のような高福祉・高負担の社会にすることこそが対案であるときに、福祉国家の行き詰まりから、急にBIの主張にもっていくという誤った飛躍の議論をしている。事実上の、社民主義的システム変革への消極性である。私が言いたいことは、家族単位型福祉システムの行き詰まりの対抗策はBIではない、ということである。

続きは以下で。


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『季刊ピープルズ・プラン』第51号
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2010年8月15日発行
定価1300円+税 A5版184ページ
発行:ピープルズ・プラン研究所、発売:現代企画室

<特集:ジェンダー平等は日本でなぜ進まないのか>
◆ジェンダー平等は日本でなぜ進まないのか――特集のねらいと概要/青山薫
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/tinyd4/index.php?id=26
◆【田中美津さんインタビュー】「リブ」は何を変えたのか
◆北村三津子さんの死とリブがしたこと/秋山洋子
◆ジェンダー視点からオルタナティブ社会を考える/鈴木ふみ
◆日本の「男女共同参画政策」では、なぜ性差別解消はすすまないのか/船橋邦子
◆世帯単位はいまや張り子の虎?!――シングル単位が「家族」を救う/漢人明子
◆労働の「他女」/アカデミックなフェミニズムの「他女」として叫ぶこと/栗
田隆子
◆同性パートナー制度が問いかけるもの――血縁家族という幻想と新たな親密圏/
尾辻かな子
◆「新しい〈運動〉主体」論と女性運動への「敬意」――小倉利丸『抵抗の主体と
その思想』を手がかりに/海妻径子
◆【「赤ひも」座談会!】日本の「反保守・反ナショナリズム・反新自由主義」
男は、なぜジェンダー平等が実現できなかったのか/白川真澄・天野恵一・北野
誉・青山薫(司会)
◆「フェミニスト、および、そうフェミニストでないかもしれない先達と友人の
みなさまへ」の質問と寄せられた回答

<特集外>
【新連載:社民党衆議院議員・服部良一さんインタビュー[1]】連立政権の八か月
【新コーナー】いまを読み解く
 ガザ自由船団に対する攻撃から二ヵ月/清末愛砂
 菅政権と参議院選挙/山口響
【連載】うちなーだより[42]沖縄「捨て石」策の連続(由井晶子)

◇イランで何が起こっているのか?――保守派と改革派の対立から読み解く/永倉哲郎
【連載】海兵隊グアム移転――誰のための負担軽減なのか[5](山口響)
【連載】「もうひとつの社会」はどこに?[2]
ベーシック・インカムの議論で浮わつくべきでない(イダヒロユキ)

【小熊英二『1968』リレー書評】[4]「あの時代」の掴み方をめぐって――
『1968』の切れ味≠問う(松井隆志)
【連載】アジアのムラから見た《世界》[26]ルーラル(農村)キャンパス開講中
(大橋成子)
【連載】只今闘病中――読書ノート[5]ガンディーの〈非暴力〉の暴力性をめ
ぐって(天野恵一)

◇書評
*菊地夏野『ポストコロニアリズムとジェンダー』(阿部小涼)
*ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉編『〈鏡〉としてのパレスチナ
――ナクバから時代を問う』(栗原幸夫)
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2010-08-26 11:30 | 記事へ |
| 貧困/反貧困 / 労働 |
2010年08月22日(日)
クリーンウェーブ社と闘う仲間

ハウスクリーニング会社(有)クリーンウェーブで働いていた人が、あまりにひどい会社なので、フリーター全般労働組合に加入して仲間とともに闘いはじめています。
ハローワークの求人は出鱈目なのですが、時給に魅かれて沢山面接に来て、どんどんひどい条件で働かせ、やめるひとが続出するところのようです。
会社独自の研修ということで、最初の2〜3カ月は、請負でもなく、雇用でもないような形で超低賃金で働かせるようです。
以下、組合ビラの内容をみてください。

こんなひどいことが日本中のあちこちで起こっています。

最初にフリーター全般労働組合に相談に行った人は、「ユニオンぼちぼち」の組合員の友人で、こうしてあちこちで戦いが起こって、理不尽な状況が変わっていくことが希望です。
最初はおかしな会社は無謀な反撃や抵抗をしますが、ユニオン側がちゃんとがんばれば、徐々に結局、落ち着くところに落ちつきます。

最近の活動の動画が以下のところで見れます。急に団交会場をキャンセルし、自分たちも現れないなどという不埒なことをしていますが、闘うユニオンににらまれれば、会社は逃げ切れませんよー。

できれば、ビラの最後にある会社の連絡先に抗議してやってください。

動画 
http://www.youtube.com/watch?v=zgAXFO8TQiY
http://www.youtube.com/watch?v=zL5r2S9rqcE&feature=related

*************

(有)クリーンウェーブは組合員5名の未払い賃金を支払え!
従業員への不当な扱いを謝罪しろ!


国立市にあるハウスクリーニング会社(有)クリーンウェーブ(代表取締役社長 鈴木純子、同社 鈴木隆彦 国立市中3‐11‐1クリオレミントンヴィレッジ1312号)は、働いていた組合員5名に対して不法な罰金徴収、賃金未払い、唐突な勤務シフト通告など不当な扱いを行っています。未払い賃金の総額は約百数十万円です。

組合員5名はハローワークのパートタイムの求人票を見て面接を受けました。しかし会社から「パートではなく個人事業主として仕事を請ければ儲かるから」と話を持ちかけられて形式的に請負契約とされましたが、実際には労働者として会社から多くの強制的な指示命令を受けてきました。
また、クリーンウェーブは仕事内容に疑問や不満を持つ者に対して賃金を払わず、迷惑料と言う根拠もない不当な天引きを行いました。損害保険料も給与から天引きしている天引きしているにもかかわらず、現場で事故が起こっても何故か保険が適用されませんでした。

そこで5名は、フリーター全般労働組合に今年7月に加入しました。未払い賃金の支払いと不当に搾取された罰金の返還、そして雇用責任をきちんと果たすよう(有)クリーンウェーブに対し団体交渉の申し入れを行いました。
ところが組合に入ったことを理由に、会社は加入した組合員に仕事を回さないという不当労働行為を行いました。今年7月と8月に支払われるはずの給料もいまだ未払いのままです。
さらに会社は8月19日の団体交渉を当日キャンセルしました。それどころか組合からの電話にも出ようとはしません。

フリーター全般労働組合は今後も未払い賃金等の支払い、会社としての雇用責任を果たすよう(有)クリーンウェーブに対し誠実に団体交渉に応じるよう求めていきます。

私たちはあくまでも話し合いによる解決を求めていますが、(有)クリーンウェーブがこのまま団体交渉を拒否するなら、誠実に対応するまで争議行動を続けざるを得ません。紛争の早期解決のために近隣の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

■抗議先 →(有)クリーンウェーブ(代表取締役社長 鈴木純子、同社 鈴木隆彦)
国立市中3‐11‐1クリオレミントンヴィレッジ 1312号
TEL 042−580−2792 / FAX 042−580−2787

■有限会社クリーンウェーブの不当労働行為事件
 http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/20100816/1281961272
■有限会社クリーンウェーブの団体交渉拒否
 http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/20100820

■相談・問い合わせ→フリーター全般労働組合 東京都新宿区西新宿4-16-13 MKビル2階
TEL/FAX 03−3373−0180  Eメールunion@freeter-union.org

組合ブログ http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/
2010-08-22 18:36 | 記事へ |
| 労働 / 生き方 |
カンパーニュ

カンパーニュ というパンがおいしい、と聞いて、
岡山市北区天神町の「ナショナルデパート」というパン屋さんにいきました。
歩いていって暑かったです。

ひとつが5キロもある、海がめのようなパンです。

その端っこの切れ端の安いのを買って食べました。
確かにおいしい。

世界でひとつだけのパンをつくっているという思いで、「ナショナルデパート」のことが好きな人が作っているそうです。こだわり、美しさ、誇り。
労働時間も調整可能とのことです。

ひとつの、「労働のまともなかたち」のような気がしました。
2010-08-22 02:14 | 記事へ |
| 労働 |
2010年08月17日(火)
『<働く>ときの完全装備』 内容紹介
先日、新著『<働く>ときの完全装備──15歳から学ぶ労働者の権利』の紹介をさせてもらいましたが、そのときブログからある文章を引用させていただいた濱口さんが早速、自分のブログで言及してくださいました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/

私は彼の本を1冊だけですが読み、私の昔のブログで批判的なコメントを一言だけ書いたことがあるのですが、ちゃんと見つけておられました。すごいチェック力ですね。

彼の本および、少しブログを見せてもらった感想をいうと、公平な目でみて「精力的に労働問題をフォローされている方だ」ということでしょう。ちゃんと読んで勉強する価値はある人だと認めます。
本のなかのいくつかの点で疑問(批判意識)を持ったのは事実ですが、ちゃんと私の意見の根拠を書いていないので、いつかちゃんと書く責任があるなと思いました。
そのうえで、最近、裁判判例でまともなことを書いておられるのも見て、その点で中立公平な方だとは再認識しました。

********************

ところで、今度の新著の目次情報などをここで紹介させていただきます。出版は,9月30日と書いていますが、9月中旬以降には書店に並ぶ予定です。

○●○●働く人の権利や法制度を中高生から学ぶ実践的教材集
○●○●

『<働く>ときの完全装備──15歳から学ぶ労働者の権利』
橋口昌治・肥下彰男・伊田広行著

★働いている人も実はほとんど知らない、実践に役立つ基礎知
識★

●内容紹介
働く人の権利や法制度を中高生から学ぶ教材集。カードでの労
働法学習、未払い賃金、不当解雇、派遣や団体交渉等のテーマ
をロールプレイほかで学ぶワークシートと教師用解説

働く人の権利や法制度を中高生から学ぶ実践的教材集。カード
を使った労働法学習、実際の労働相談をもとに未払い賃金、不
当解雇、派遣や団体交渉といったテーマをロールプレイや穴埋
め式で学ぶワークシートほか教師用解説も掲載

★9月中旬以降には書店に並ぶ予定です★
発行:2010年9月30日
定価:1600円+税
ISBN978-4-7592-6733-4 C0037

●目次
はじめに
1 若者のおかれている状況──労働と自由と生存に着目して
2 労働法と生活保護法の基礎知識
コラム1・高校生が団体交渉!?

■導入編
教材①仕事オークション
教材②労働法カードを使って
   ──こんな社長にはこのカードを出そう!
教材③労働法○×クイズ

■ロールプレイ編
教材④未払い賃金を取り戻そう
   ──ラーメン屋でアルバイトする田中さんの場合
教材⑤有給休暇をとろう
   ──週2日アルバイトする鈴木さんの場合
教材⑥不当解雇を撤回させよう
   ──ラーメン屋で正社員として働く高橋さんの場合
事例・ある女性労働者の闘い

教材⑦雇い止めを撤回させよう
   ──食品工場で期間工として働く渡辺さんの場合
教材⑧派遣は何でも屋じゃない!
   ──派遣労働者の高月さんの場合
教材⑨パートだからって安すぎる!
   ──食品工場でパートする田上さんの場合
教材⑩セクハラを許さない職場に
   ──事務職の中島さんの場合
コラム2・セクハラとの闘い──岡山の事例から

教材⑪労働基準監督署に行ってみよう
   ──解雇予告手当の未払いを申告する場合
教材⑫団体交渉をやってみよう
   ──ユニオンに入って会社と交渉する場合
コラム3・労働法を知ってひどい職場を変えていこう

教材⑬労災保険を利用しよう
   ──仕事でケガしたり病気になったりした場合
教材⑭雇用保険をちゃんと使おう
   ──自分を守る辞め方と失業中の生き延び方
教材⑮生活保護のことを知っておこう
   ──働けないときでも生きていくために
コラム4・過酷な労働実態

おすすめ本
おわりに
おすすめの相談先

●著者紹介
橋口昌治(はしぐち しょうじ)
ユニオンぼちぼち執行委員長。立命館大学衣笠総合研究機構ポ
ストドクトラルフェロー(PD)。
著書 立岩真也・村上慎司・橋口昌治『税を直す』青土社、2009
年。

肥下彰男(ひげ あきお)
大阪府立西成高等学校教員。
著書 大阪府立西成高等学校『反貧困学習─格差の連鎖を断つ
ために』(共著)解放出版社、2009年。

伊田広行(いだ ひろゆき)
立命館大学大学院・先端総合学術研究科非常勤講師。「ユニオ
ンぼちぼち」副委員長。デートDV防止ファシリテーター。
著書 『これからのライフスタイル』「仕事の絵本」⑤
、大月書店、2007年。伊田広行・岩川直樹編著『貧困と学力』
明石書店、2007年など。




2010-08-17 01:33 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年08月16日(月)
「職場のいじめ」相談事例

 全国一般東京東部労働組合・NPO法人労働相談センターというところは、インターネットで労働相談をたくさん受けており、その報告を時々してます。最近まとめられた、「職場のいじめ」相談事例(2010年5月・6月分)の一部を紹介しておきます。

それにしても以下の事例を見てもらえばわかりますが、いまの日本社会にはこんなひどいことが日々起きています。行政や政治が届かないところで多くの人が苦しんでいます。
悔しいよね、独りじゃないよ、あきらめなくていいよ、と伝えたいと思います。

*********

相談があった「職場のいじめ」関係の事例 (一部だけ)

1)20名ほどの会社。社長の横暴。暴言、怒鳴る。1ヶ月間に及んで、社長が横に座り一日中暴言を浴びせ続ける。「お前は最低の人間だ」「ダメ人間だ」と太めの棒で机をガンガン叩きながら叫ぶ(正社員)
2)人の倍働かされるいじめ。泣き泣き退職したら給料も振り込んでくれない
3)あまりにも酷いえこひいきに、仲間4人と決起して上司に意見。工場長「逆らうな」「お前ら終わりにしてやるぞ」「今後逆らったらやめろ」と罵られる(工場労働者)
4) 伝票が捨てられたり、ハンコを壊されたり、「辞めてくんねーかな」「困るんだよねー」と聞えよがしに言われる(パート女性)
5) 郵便物の開封・配送担当の臨時職員。突然ある上司から「今度自分の机に封筒を置いたら、ぶっ殺す」と言われた。怖い(県庁臨時職員)

6) 中小企業の社長から「早く結婚しろ」「結婚相談所に登録しろ」「相手を選んでいる場合
じゃない」「早く結婚して子供を産め」と連日責められる(女性30代正社員)
7) 職場のトラブルのストレスから病欠。診断書を提出したら人事部から「これは無効だ。精神病院に行け」と言われたり、ロッカーの鍵が紛失したので合鍵を持っているのに開けてくれ無い為、車で帰宅できず、家まで2時間かけて歩いて返された
8) 得意先の企業、全国規模の有力企業の販売店の管理職の我儘、横暴。注文の荷物が遅れた時は車のフロントガラスにコーヒー缶をぶつけ、20万円も値引きしろと罵声を浴びせ、値引きさせる。応接のテーブルを蹴り付け、暴力もふるわれる。すぐにクレームをだす。会社もお得意様のため目を瞑っている(営業)
9) 夜遅くまでのサービス残業に抵抗したら、タイムカードを改ざんさせられた上、退職に追いこまれた
10) 派遣先の上司からの嫌がらせで辞めざるを得なかったのに、派遣会社は全然親身になってくれない(派遣)

11) 2年間にわたって課長から「てめえなんかやめちまえ」「お前なんか他へ行け」と罵声を浴びせられ続け、あげく「ヘラヘラしてるんじゃない」と思い切り暴力を振るわれた(総務勤続20年)
12) 院長が「辞めてもらって構わない」と威圧的の上、残業代もださず休日返上で働かせられている(病院スタッフ)
13) 毎日40分の朝礼で社長の演説「自分(社長)がいかに素晴らしいか、社員がいかにダメでずるいか、そんな社員は何処に行っても採用してもらえない」と延々と説教。女性社員を女中扱い。自宅の掃除、朝食の準備。社会保険一切未加入。加入を求めた社員は「泥棒」と罵倒され退職させられた。社長が信仰している宗教にも強制加入(中小企業女性社員)
14) 暴力的な所長が怖い。「へんなこと言ったら蹴るよ」と脅かす。結婚のため1日だけ休みを申請したら「休みは認められない。会社が忙しいから結婚式の日にちを変更しろ」と1日も休めなかった(税理士事務所)
15) 労基署に相談に行った仲間は翌日には経営者に筒抜けでいじめ抜かれる。労基署の役人と癒着があるのかと労基署にも相談できない(クリニック)

16) 病気欠勤後、色々難癖をつけて復職を認めてくれない。ようやく復帰したら些細なことで上司から2時間の罵倒。有給休暇も認めてくれなくなり、職場での村八分。耐えきれずに退職
17) 解約を巡るトラブルの責任を取らされ、一切の弁明する機会も与えられず、一方的な謝罪文・降格(駐車場監理会社)
18) 5年間賃金未払い。社長の暴力的パワハラ。辞めさせてくれない。「辞めるなら以前の借金を払ってやめろ」「ヤクザを使って取り立てするぞ」と脅す
19) 飲食店全国チェーン店。マネージャーや部長が蹴ったり、「死ね」「お前」「バカ」と暴
言。仲間が次々と辞めて行く
20) 入社時から先輩が仕事を教えてくれない、無視され「そんなこともできないのか」と罵倒される。上司に相談したら「被害妄想だ。辞めるなら早く辞めて」と言われた(介護施設看護師)

21) 社長は「バカ」「アホウ」「お前は給料もらいすぎ」と罵倒。電話で30分も「バカヤロウ」と怒鳴る。即刻解雇にされた社員が多数いる。不当な賃金大幅カットも受ける
22) 半年前から結婚を伝えていたのに、結婚式の直前に秋田へ転勤命令。あきれて退職(小売業37歳)
23) 「甲斐性のある人間は当社に残っていない」「役立たず」「与えられた仕事の倍働け」と
取締役の暴言。残業代請求は無視される
24) 東京から青森へ転勤させられ、その上、転勤先の社長からのイジメ、パワハラで自律神経失調症と円形脱毛症。ストレスで体調に支障(正社員)
25) 物損事故を起こした後から課長のいじめが始まる。母親が病気で倒れ検査に連れて行く為一日休んだら「やる気がない」と退職願いを強要された(ドライバー)

26) 作業場所を塞がれる、人との接触を禁止させられる、人前で怒鳴られる、物を投げつけ捨てられる・・・・・。組織ぐるみで10年続くいじめ。一つ一つのいじめは些細なことですが、毎日続くことの辛さ。何故こんなひどい目に遭わなくてはならないのか
27) ソフト開発。3時間睡眠、休日ゼロの一年間、一人で4・5人分の仕事量をやらされ、うつ病に。挙げ句のはてに賃金3割減給、ボーナスカットされ、ついに無理矢理休職へ(勤続3年女性)
28) 家族経営の社長。社長の連日の怒鳴り声が尋常ではない。朝から晩まで事ある毎に怒鳴り散らされる。怖くて怯えて、眠れなくなり、手の震えが止まらなくなる(事務女性)
29) 派遣先で、同じ派遣社員みんなが、同じ派遣の一人をいじめ抜く。陰険な悪口と異常な笑いと仲間外れ。ナイフで刺したくなる(派遣女性)
30) うつ病を発病。病休の後、医師の勧めもあり半日就労から復職したいと希望したら拒否され、通常勤務の上連日罵倒されている(郵便局正社員)

31) 飲食店。朝9時から夜中1時まで働く。社長は夜、店に来て酒を飲んで暴言パワハラのやり放題。給料も自分でやり繰りしろと店舗の貯金通帳を渡されるが中身は足らない。社長の息子はベンツに乗っている。(20勤続店長)
32) 新入社員全員に20万円の浄水器の販売ノルマを課し、売れない時は全額自腹で買えと強要(ガス会社事務)
33) 新聞配達・集金・営業の仕事を突然2倍に増やされ過労でうつ病に。物がなくなる、自転車を勝手に持っていくなどの嫌がらせ(勤続4年正社員)
34) 上場企業の4月からの新社長「女は嫌いだ」「離婚したらクビ」「何故再婚しない」「育ちが悪い」「お前の代わりは幾らでもいる」「お前なんか秋葉原へ行け」とセクハラ・暴言発言の連発。不当な異動命令を頻発。「目つきがわるい」「出勤した時不機嫌そうだった」「街で会った時無視した」等のデタラメな配転理由(正社員)
35) 全国チェーン居酒屋の休憩もない12時間労働の店長。店長会議で居眠りしたら、竹刀で壁をたたき、資料を丸めたもので本人を7・8回殴りつける。労働組合は御用組合で相談できない(妻)


36) 営業目標を倍に設定され、できなければ解雇を通告される(31歳営業)
37) 労災になっても労災申請せず、脅して口止めさせる。有給休暇も「お前に休む権利などない」と最後には暴力もふるわれる(派遣会社のスタッフ)
38) お客からのクレームを理由に「てめえ、甘えてんじゃねーぞ。ぶっ殺すぞ。この野郎」と同じ同僚から脅される(配送)
39) 太っている労働者に上司が「お前は太りすぎだ」「社のイメージが落ちる」「痩せる気がないなら辞めろ」「給料上げてほしかったら痩せてみろ」と毎日罵声を浴びせられたり腹を殴られる(勤続3年社員)

40) 入社2カ月頃から容赦ない罵倒が始まり、「給料5万円減額か退職か」を強要。精神科へ通院(私立学校事務正社員)
41)「死ね」「首をつれ」「生きているのがおかしい」と言われ続け、朝7時30分から深夜12時まで働かせられているのに、1円も残業代・休日手当もでない。死にたい(不動産)
42) 会社の業績を理由に「世帯主でないから正社員から週2・3日の契約社員になれ」と強要(正社員女性)
43) 書籍リサイクルチェーン店。会社から真夜中でも深夜でも一斉メールが届く。週2〜3、一晩で7通も届く時もあり、全然眠れない。こんな拘束が許されるのか(パート)
44) 一回意見を言っただけで「業務命令に反対した。本来は解雇だ」の訓戒文書が出され、「誓約書」を提出させられる(パート)
45) 根も葉もない社内恋愛のうわさを立てられ、無視や露骨に避けられる。飲み会で露骨に言われる(4年勤続)

46) 突然40歳以上には昇給ストップと発表。4月からの子供手当支給に伴い扶養家族手当を廃止すると通告あり
47) 病気で休職して復職したら給料を下げられた。もともと低い給料なので生活出来ない。有給休暇を取るとボーナスでマイナス査定される。理不尽だ
48) 黒字なのに、不況を理由に店長・正社員からバイトへ落とされた。賃金も3万円もダウン(店長)
49) 新聞奨学生。朝3時半から働くので早く寝たいのに、夜遅くまでチラシ配布や顧客獲得勧誘や集金に行かされ、行かないと一件千円の罰金と言われた。店から学費50万円前借りしているので辞めさせられると全額返せと言われるので怖くて何も言えない(新聞配達学生)

50) 社会保険未加入なので加入を求めたら「その代わり売り上げを3倍に増やせ」と言われ、続いて部下のミスの責任を取れと度重なる賃金カット。ついには歩合制にされる。給与が25万円も下げられ、貯金もゼロ。離婚。社長に訴えると「両親の年金があるだろう」と言われた
51) 切迫早産後7ヶ月で職場復帰。28%もの賃金減額。続いて、完全歩合制にさせられる。基本給5万円の他は完全歩合制。これでは10万円にも満たない(営業)


2010-08-16 11:58 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 / 暴力・DV |
2010年08月15日(日)
第3次男女共同参画基本計画の策定の動きについて

 政府は、2010年中に第3次男女共同参画基本計画を策定する予定となっていて、それに向けて男女共同参画会議が、2010年7月23日に「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」(以下「基本的な考え方」と略す)を答申し、それへの意見を8月末までと限定して募集している。

 「第3次男女共同参画基本計画に盛り込むべき具体的施策を求める」としているが、こうした大雑把な「基本計画」は、理念とか一般論をいうものになりがちで、具体的施策をどこまで書き込むかについてはそもそも限界がある。たとえば派遣法のここをこうすべきだといっても、それは派遣法の議論ですから、この基本計画の話ではないと逃げてしまうことになるのは目に見えている。その程度の「具体的施策」なのである。

しかし、そもそもそういうものであるから仕方ないともいえるし、それでもこの基本計画をもとに地方行政の施策が進められたりするのであるから、できるだけ民間から意見を言っておいて、少しでもまともな具体的施策が実施される手がかりになるようになればいい。
現行の第2次基本計画(06〜10年度)は、バックラッシュが進展し、その波が絶頂を極めたころにできたもので、本当にひどい文言が盛り込まれた代物だった。今回、政権交代され、少しはまともなものになるであろうと予想される。

****

まず、「第3次基本計画案」「基本的な考え方」は、バックラッシュ派が嫌がるようなことも少しは書いてあるので、前より前進している面がある。言い換えれば一般理念としては、まともなことを書いている部分がある。

たとえば、活動の選択において中立的に働くような制度構築が必要ということで、事実上、世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行などの必要性を指摘していたり、クオータ制度の導入や選択的夫婦別姓を含めて民法改正が必要などとしている。また、男女共同参画社会基本法施行後10年間に、男女共同参画(=ジェンダー平等)がすすまなかったことを認めたうえで、その理由を考えているところに一定の誠実さがある。 

その上での話しだが、総論としての問題点を指摘していく。ジェンダー平等が進まなかった理由というのが、精神論・意識論中心で、こういう具体的制度がなかったからだという制度論的反省になっていないところが多いので、結局、今度の「第3次基本計画案」「基本的な考え方」でも、一般理念で「・・問題点解消の取り組みが必要である」「・・今までの制度の見直しを行う」「・・・普及に努める」「・・について研究を進める」「見直しの検討をすすめる」「法整備を検討する」と述べるにとどまっているところが多いという問題がある。抽象的な目標(施策の基本方向)を書いてはいるが、それを目指すと書くだけならば、何も具体的なことはしなくてもいいとも読まれてしまう。
つまり、「具体的取組」というところの多くがあいまいで具体的内容が弱く(・・を目指す施策を推進する、というような言い方ばかり)、いったいいつまでに具体的に画期的に現実を変えるどういう施策を行うかがほとんど不明(未記入)なので、5年後もジェンダー平等がほとんど進んでいない結果にもなりうる代物である。官僚的作文で、すでに行政がやっていて白書に書いているようなことの追認程度のものが多いのである。

また何度も「固定的性別役割分担意識」を原因のように記述しているが、それを根本原因とするのは逃げであると私は考える。その意識は、制度によって支えられ再生産させられているからである。ぬるくてあいまいで浅い啓発事業をしてもほとんど何も変わらないのは、過去の現実が示している。就職難で経済不安・将来不安がある中で、若い女性が経済力のある男性と結婚したいと、専業主婦志向を強めている(ジェンダー平等意識は後退している)のはその一例である。安心して女性が働き続けられ自立できるよう、積極的に環境・法・制度を整えなければ、意識など変わらない。意識を変える啓発事業も大切であるが、啓発だけでは決定的に限界がある。

以上は、こうした文書そのものの限界点や制限で仕方ない面もある。だからむしろ、こういう一般理念・基本方向をここでは書いておき、後は現場で、各論で具体的につめていくしかないのである。そのときに、少しでも使える文言がここに入っていればいいのであろう。その意味で重要であり、期待し過ぎないならば、一定の意義はある。
最後は、政治であり、現場での運動なのである。その意味で、こうした一般計画の策定においても、現場で具体的事例に接し、弱者・被害者を支援しているようなグループからの意見を尊重すべきである。

* ***********

総論的な積極性
男女共同参画が進まなかったことを一定認め、その上での分析と反省が、総論および各論で一応書かれている点。
「固定的性別役割分担意識」が問題であることを明記した点。(ここはマイナス面でもある)
ポジティブアクション推進のためのクオータ制度について前より踏み込んでいる。(2020年30%、最低女性1人など、目標は低すぎると思われるが)
第7分野として、非正規雇用問題とも絡めて、貧困についての独立項目を立ち上げた点。
第3分野で子どもにとっての男女共同参画を取り上げた点。
あいまいな言い方である(かつ、以前からも指摘されてきたことである)が、税制・社会保障制度の中に、女性の働き方の選択を阻害するものがあると指摘し、したがって事実上、家族単位から個人単位への制度改革が示唆されている点。
女性差別撤廃条約の批准やその後の国際機関からの指摘・見解を意識して、国内制度の早急な改善をめざすとしている点。

総論での限界点(マイナス面)
どの項目でも社会状況や意識のせいにした表層的分析が多く、とくに「固定的性別役割分担意識」を主因とするような記述が散見され、具体的制度を改革しなかった責任の所在をあいまいにしている。「男女共同参画社会を実現しようとする強い意志と推進力が不足」「リーダーシップ不足」「リーダーの意識の低さ」「女性自身も指導的地位に立つことを敬遠」といった記述もあるが、これらも精神論。まるで誰も気づかなかったから仕方なかったように読める記述もあるが、実は、ちゃんと運動団体などはこう改革すべきといってきたのに、それに政治家と官僚が抵抗して改革しなかった結果がほとんどである。だがそうは書いていない。

家族単位から個人単位への制度改革ということの意義が十分理解されておらず、個人単位といった用語もほとんどない。税・社会保障制度だけではなく、性暴力や労働問題でも貧困問題でも、結婚制度と絡めて家族単位の問題と捉えることが必要であるが、そうはなっていない。したがって改革の基本方向も根本的なものになっていない。夫婦別姓などは別問題として記述されているが、配偶者控除、労働時間、賃金制度、育休制度、相続制度、保育所制度、児童手当など全部が、絡み合った家族単位の問題である。
第2次基本計画去のバックラッシュの影響の側面が残っており、「男女共同参画の視点」という言葉は出てくるが、ジェンダーの視点、ジェンダーフリー、ジェンダー平等、といった言葉が出てこない。ジェンダー統計、ジェンダー予算といった使い方のみ。
  
各論
p15 配偶者控除の廃止を明記せず、税制の見直しの検討というように後退
同   年金制度も個人単位にすると明記せず。第3号被保険者制度についても言及せず。
第3分野で男性にとっての男女共同参画ということに言及しているが、あいまいなことを書いているだけでこれでは男性の働き方、生き方は5年後も変わらないだろう。
p19 子どもに対して「発達段階に応じた性教育」と書いているが、中身が問題。だが言及なし。

第4分野 「雇用の分野」
均等待遇がすすまなかった分析で、固定的性別役割分担意識や、税制・社会保障制度の問題、育児支援の問題などには言及しているが、肝心のパート法、派遣法、その他非正規雇用問題・労働法制の規制がまったく不十分であることという主因がかかれていない。
具体的な取り組みとしても、法制度の改革を明記せず、同一価値労働同一賃金のために職務評価手法の研究を進めるといったぬるい時間稼ぎのことを書いているだけである。間接差別の規制、有期雇用、請負、間接雇用問題、最低賃金問題など大事な点の具体的改革には言及されていない。「検討する」、「研究を進める」という逃げ方の乱発。「・・の解消に向け実効性のある取り組みを推進する」といっても精神論だけ。
労働局雇用均等室がセクシュアル・ハラスメントでもちゃんと機能していないことを改善する具体策もなし。
これでは、何も実質的なことは進展しないだろうとよめてしまうものである。
こうした文書の限界という点はあろうが、ひとつでも具体的改革につながるものを入れたほうがよい。
たとえば、男女共同参画の立場からは、短時間正社員制度の強制的導入、残業代の割増率の50%化、有期雇用制限法の制定、配偶者控除の廃止、配偶者手当の廃止、間接差別の規定を例示以外にも広げること、派遣法の抜本改革としての専門26業種の見直し、最低賃金の1000円化などを提起すべきである。


提起
以上、批判的なことも述べたが、こうした計画があることはよいことであるし、それが一定のよい内容を持っていることも事実である。この文書の基本方向や考え方を本当に実現するために、各現場で一歩でも二歩でも施策が進むことを私は望むし、それに日々奮闘努力されている人を尊敬するとともに応援したい気持ちはある。
以下、できればこうした点も入れば好ましいと思う点に言及しておく。

○ 運動団体との協力・参画
男女共同参画というが、そもそも「ジェンダー平等、男女平等」を嫌がる自民党などの保守勢力のことを考えて妥協の産物として導入された表現が「男女共同参画」であった。したがって、その中身をジェンダー平等の意味で充実させることがもとめられている。
そのためのひとつとして、参画という場合に、ぜひとも、草の根でその問題に地道に取り組んでいる運動団体の代表を計画立案の場に参加させることが肝心である。旧来の婦人会などではなく、児童虐待とか、子育てとか、女性のメンタル相談とか、性暴力・DV被害者支援とか、DV加害者更正とか、性教育とか、ジェンダー平等教育とか、労働相談・女性労働運動、当事者運動などにかかわっている諸団体こそ、現場での問題点を日々実感している。そうした団体をえり好みせず、行政に批判的と見られている団体にも積極的に声をかけて、官民協力して施策を進めていくことこそが共同参画である。

○ リーダーシップ
男女共同参画社会を進めるリーダーシップ像として、草の根でホームレス女性問題をアート的手法で投げかけているいちむらみさこさんのような、現場でユニークな活動をされている人をイメージすること。従来の古い団体の長が、必ずしも適切なリーダーではない。

○反差別、ジェンダー平等としての男女共同参画へ
男女共同参画社会法、第3次基本計画は、個別具体に踏み込む前の上位レベルの理念を扱う段階のものであると考えられる。そこで、性にかかわって、今の社会で劣位に置かれている人、差別されている人、苦しんでいる人の立場に立って、性にかかわる差別や抑圧、偏見をなくし、あらゆる人の多様性が認められる平等社会を構築するための計画・施策であると理念から位置づけなおすことを提起する。それによって、性的少数者の諸問題も射程に入れることができるようになる。


○ジェンダー概念の復活
ジェンダーという用語を毛嫌いするような不毛なことをやめて、素直に、積極的にジェンダー概念を使うこと。ジェンダーには、権力関係や規範の意味もあり、だからこそそれをなくしていかねばならないという意味も含まれている。ジェンダー統計、ジェンダー予算というなら、そうした意味があることを明記した上で使うべきである。ジェンダーの視点、ジェンダーフリーなどの概念も、定義を示した上で適切に使っていくべきである。
2010-08-15 16:32 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 / 政治、権力 |
『<働く>ときの完全装備─15歳から学ぶ労働者の権利』

 
解放出版社から2010年8月末に
『<働く>ときの完全装備──15歳から学ぶ労働者の権利』
という本を出します。(1600円)

執筆者は、橋口昌治・肥下彰男・伊田広行の3人です。

以下にあるように、政府・行政側も労働教育が必要といい始めています。
しかし、本当に非正規労働者や排除される労働者、「負け組」の人の立場に立った「労働者の権利、闘い方、身の守り方を学ぶもの」が、ほうっておいて提供されるとは思えません。事実、私が見渡しても、そのような教材はありません。

濱口桂一郎氏は「労働教育の復活」というコラムで、以下のように述べています。
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0119.htm

「さる2009年2月27日、厚生労働省は「今後の労働関係法制度をめぐる教育のあり方に関する研究会」(座長:佐藤博樹東大教授)の報告を公表した。労働者自身が自らの権利を守っていく必要性が高まっているにもかかわらず、必要なものに必要な知識が十分に行き渡っていないという現状認識から、学校、職場、地域や家庭などが連携して取り組んでいくことを求めている。

この問題意識は、近年国民生活審議会や経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会など、政府の各機関がそろって指摘してきたことでもある。その背景には、組合組織率の低下や非正規労働者の増加など労使関係の個別化が進む中で、さまざまな労働問題も労働者個人が対応しなければならなくなってきているにもかかわらず、そのための基盤整備が進んでいないことがある。
(略)
こうした動きは日本だけのものではない。日本同様に労使関係の個別化が進んでいるイギリスでも、労働党政権のスローガンである「職場の公正(Fairnessatwork)」政策の一環として個別紛争処理のあり方についての検討が進められる中で、職場の権利に対する労働者の知識の度合いが調査されている。
労働法に関する教育という点でいえば、実は終戦直後から半世紀前まで「労働教育」という言葉が存在した。労政局に労働教育課があり、使用者や労働者に対する労働法制や労使関係に関する教育活動が推進されたのである。地方でも様々な取り組みが行われた。その後、労使関係が安定化するとともに労働教育は行政課題から次第に薄れていき、1950年代末には労働教育課が廃止され、代わって設立された日本労働協会(JILPTの前身)が引き継いだが、現在は東京労働大学というきわめて高度な講座に特化している。

その一方で、パートやフリーターなど非正規労働者が激増し、労働者自身が自分の権利が侵害されていてもそのことに気がつかないという状況が拡大してきた。彼らに必要なのは労働法学や労働経済学のアカデミックな議論ではなく、もっとずっと基礎的な知識であろう。皮肉なことに、かつての大衆レベルの労働教育が再び必要とされる時代に戻ってきたということかも知れない。

今後、上記労働法教育に取り組むNPOや高校の先生方、そして企業や労働組合などがこの問題に取り組んでいくための様々な支援が求められる。とりわけ、生徒たちが学校教育段階で的確な労働法の知識を身につけて社会に出て行くことへの支援は重要である。教育関係者の奮起を期待したい。
(参考)今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告書/厚生労働省」
********

さて、今度の僕たちの本が、濱口桂一郎氏に気に入ってもらえるだろうか。
多分、過激すぎる、偏っていると思われるだろう。
というのは、本書は、本当に、権力も名もない普通の人が自分の身を守るために必要な力を獲得するためのエッセンスが詰まっているからである。経営者の皆さんは、こんな本をみなが読むと困るだろう。

きっと多くの人は、この本を読んで、知らないことだらけだと思う。15歳からと銘打っているが、しかし高校生も大学生も学校の先生も、大学の先生も、社会人も、ほとんどの人はここに書いてあることを知らない。
それは「労働法学や労働経済学のアカデミックな議論」だからではなく、現実にとても役立つ知識なので、今の社会の主流から隠されてきた知識だからだ。リアルに戦うことを奪われてきたからだ。「ずっと基礎的な知識」で「労働者自身が自らの権利を守っていく」知識なので、中高生でも理解できるものだが、でも多くの人は知らない。
テレビや新聞に出てこないからだ。学校で教えられていないからだ。労働運動を知らず、現実の団交を知らないからだ。既存の多くの企業内労働組合が、ここにあるような知識を使って闘っていないからだ。

でもユニオンの毎日の中で使われている。

ぜひ読んでみてほしい。ぜひあちこちの学習会で使ってみてほしい。人権関係の運動団体やサークルやNPOやユニオンの中でも学ぶ価値があると思う。

(なおこの本の著者の印税の一部は「ユニオンぼちぼち」にカンパされます。)
目次とか、内容の詳しい報告は後日行います。

2010-08-15 02:34 | 記事へ |
| 作品 / 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年08月11日(水)
生活保護を有期にする問題、ワークフェア思想
一見正しそうに見える意見の愚かさ:「有期保護」の問題

大阪市の平松邦夫市長が、今年3月、就労可能なら生活保護3〜5年で打ち切る「有期保護制度」を導入するべきだとの見解を示した。
私の身近なところにいるまともな研究者も、「ワークフェアは別に悪くない。」というようなことをいっていた。仕事につくってのは大事なんだよ、と。

大阪市や大阪府がすすめている生活保護制度の改革案では、一見もっともな区分で改革を正当化している。すなわち、「生活保護を受けるまでもないボーダーライン層」の人には、生保ではなくその他の雇用労働施策、生保受給者だが就労可能な人は「集中的かつ強力な就労支援」をするという。この後者が「有期保護」だという。
そして高齢者は高齢者施策・年金制度などとあわせて対処すると。そうして純粋に生保は就労困難人だけのものにするという。(大阪市の国に対する生活保護制度改革提案骨子より)

 これをみれば、99%の人は賛成するだろう。まともな学者でさえ。

しかし、現場を知っているものは直感的に反発する。なぜなら、だれが「生活保護を受けるまでもないボーダーライン層」とか「生保受給者だが就労可能な人」と判断するのか、それは結局、実は働くのが困難な人を「就労」という名の「なにかおかしなもの」の方向に追いやると予想できるからだ。
私のほんの少ない経験でも、各人の状況は本当に多様だ。ハローワークのおじさんや生保についている就労支援ではまったく歯が立たない。仕事作りをせずに、いまの企業や労働市場のままで、そこに適応しろというので、無理なのだ。そこが分かっていない。

 市長や官僚は「本当に困った人をしっかり支えることを前提に、働ける人は自立に向け目標を持つことが大事」という。左翼とか労働運動界隈でも、その発想にころっといかれる。
まったく、まったく、ここは分水嶺だ。

机の上とかメディアで間接的に知っているつもりの人。
と、
現実的に、就労が難しい人に触れている人
との差。
いい学者でも現実に触れていないと、ブレる。
2010-08-11 01:20 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年08月06日(金)
労働白書で、格差は派遣自由化で助長と

働く人のことを「働き人」と書いて、「はたらきど」あるいは「はたらきびと」と読むということを知った。
***
ところで

2010年度「労働経済の分析」(労働白書)で、労働者派遣事業の規制緩和が、格差の拡大傾向を後押ししたなどと分析した。ようやくである。労働分野の規制緩和が所得格差を助長させたということを政府はこれまで認めてこなかった。「いざなぎ超え」と言われた00年代半ばの好景気でも、雇用や賃金の面で成果が労働者に十分に分配されなかったことも指摘。
運動側が主張してきたことを追認した。

*************
毎日新聞】2010.08.03
労働白書:「派遣規制緩和が格差助長」 非正規増え低所得層拡大
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100803dde001020020000c.html
厚生労働省は3日、10年度「労働経済の分析」(労働白書)を公表した。企業のコスト抑制志向のために非正規労働者が増え、年収200万円台以下の低所得層が拡大したと指摘、内需停滞につながったと分析した。さらに「労働者派遣事業の規制緩和が、この傾向を後押しした」などと労働行政の規制緩和の影響に初めて言及。近年、長期雇用を再評価する動きがあるとし、社会の発展には雇用安定や人材育成が不可欠と結論づけた。
 白書は97年と07年の比較から、年収100万円前後〜300万円前後の非正規労働者が増え、これに付随して全労働者における年収200万円台以下の層の割合が増えたことを指摘。「いざなぎ超え」と言われた00年代半ばの好景気でも、雇用や賃金の面で成果が労働者に十分に分配されなかったことに注目し「内需停滞の一因になった」と指摘した。
 一方、企業が長期安定雇用を再評価し始めていることにも言及。労働政策研究・研修機構が1月、国内の3025社にこれまでと今後の採用方針を聞いたところ、これまでは「即戦力となる人材を採用する」が多かったが、今後は「将来成長が期待できる人材を採用する」企業が多いことを挙げ、入社後の人材育成を重視する方向に転換しているとした。
 背景には派遣などの細切れ雇用により、技術・技能の継承が損なわれてきたことへの反省があると分析した。
 その上で、着実な経済成長の実現には「成果が、賃金上昇や労働条件の改善として適切に分配されることが課題」と強調した。【市川明代】
毎日新聞 2010年8月3日 東京夕刊

【東京新聞】経済 - 2010.08.03
格差は派遣自由化で助長 労働白書、弊害認める
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2010080302000197.html
厚生労働省は三日、二〇一〇年版の労働経済白書を発表した。非正規労働者が増加して所得格差が広がった背景に、労働者派遣制度の規制緩和や、企業がコスト抑制志向を強めたことがあったと分析。派遣の対象業務の自由化を進めるなど、政府の労働分野の規制緩和が所得格差を助長させたと総括した異例の白書となった。
 さらに商品やサービスの付加価値を生み出す力を高め、経済成長を実現するには人材育成が重要として、長期安定雇用が有効であると訴えた。
 白書は、企業などに雇われて働く人の年収分布について、一九九七年と二〇〇七年を比較。十年間で百万〜二百万円台半ばの低所得者層の割合が高まったことを示した。大企業が非正規労働者を増やしたことが低所得者層の増加や格差拡大を招き、所得や消費の成長力が損なわれたと主張した。
 企業の採用行動について、白書は「人件費コストの抑制志向が強かった」ことや、新卒社員を育てるより「即戦力の確保が重視された」と背景を分析。労働者派遣制度をめぐる政府の規制緩和が「(非正規労働者増加の)傾向を後押しした面があった」と総括した。
 白書は、経済成長に必要な条件の一つに「付加価値創造能力の向上」を挙げ、長期安定雇用を土台にした技能や知識の継承の大切さを訴えた

2010-08-06 14:59 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
単純な話:最低賃金を上げること
ワーキングプアは2007年時点で推計641万人だと。(厚生労働省研究班調査)
現役世代(20〜64歳)の男性労働者の9.85%、女性労働者の13.39%
学生のアルバイトや主婦のパートなどは除いているというから、本当はもっとワーキングプアは多い。主婦パートでもそれで生きている人は多くいる。
「貧困」の基準として、標準的な世帯所得の半分(1人世帯で約124万円)以下とした、というのも甘すぎる数字だ。標準的な世帯所得が248万円としてそれを基準にみるのがおかしい。

そんな中、最賃引き上げの議論で、いつも出てくるのが、「あげすぎると企業が困る、雇用がかえって減る、経済成長が先だ、」というようなもの。
以下の読売新聞もまたまた企業側に加担した理屈を言う。恥を知らない「おじさん」たちだ。

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【読売新聞】社説・コラム - 2010.08.01
最賃引き上げ 政府の成長政策こそ重要だ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100731-OYT1T00832.htm

 最低賃金の今年度の引き上げ額の目安を決める中央最低賃金審議会の着地点が、大詰めの段階でも見えてこない。最大の論点になっているのが、民主党政権が新成長戦略で掲げた、「できる限り早期に全国の時給の最低額を800円とする」という目標の扱いだ。
 長妻厚生労働相は、こうした目標を踏まえた審議を求め、暗に大幅な引き上げを促した。労働側委員も同調し、「3年間で800円の実現を」と主張している。最低賃金は中央審の目安を参考に各都道府県が決定するが、現在の全国平均は713円、最低は長崎県などの629円だ。しかも、過去10年の最大の上げ幅は全国平均で16円にすぎない。最低800円は、短期の目標としては、あまりに高い。この目標を踏まえた論議に経営側が抵抗するのも、当然だろう。
 パートなどの場合、800円未満の賃金で働く人が50%以上を占める県が10県以上もある。こうした県で急激に最低賃金を引き上げたことによる、企業経営への打撃や失業者の増加など、地域経済に及ぼす影響も考えるべきだ。
 各国ごとの最低賃金の水準をみると、日本は先進国の中で最下位に近い。全体の賃金の底上げを図らなければ、消費も盛り上がらない。最低賃金を着実に引き上げていくことは重要である。 政府の新成長戦略は800円の前提として、経済成長やデフレ脱却を掲げている。経営側が主張するように、これらは、まだ何も実現していない。
 経営環境が好転してこそ、賃金の上昇にも弾みがつく。まず、そのための施策を政府が打っていくべきだ。その上で最低賃金の引き上げを求めるのが筋だろう。
 もう一つの論点に、生活保護との逆転現象がある。 最低賃金法が改正され、生活保護の水準に配慮することが義務づけられて3年目になるが、なおも12都道府県で、最低賃金で得られる月給が生活保護の水準を下回っている。時給換算で、神奈川県の47円が最大の乖離幅だ。 仕事がないなどの理由で、高齢者でも母子家庭でもない、若い世代の生活保護の受給者が急増している。こうした人に就労を促すためにも、生活保護より、働いて得られる最低賃金の方を魅力あるものとしなければならない。
 ただ、地域ごとの経済の実情もある。速やかな逆転現象の解消を促すには、ここでも政府の成長政策による後押しが不可欠だ。
新聞記事終わり

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その「おじさん」たちでさえ、国際比較で見たら日本の最賃が低すぎること、生活保護との逆転現象(12の県が生活保護以下の最賃)に言及せざるを得ない。ただしそれさえも、経済成長が先だといって、解決を先のばしにする論法はいつもながらだ。

事実は、経済成長があろうと、企業が儲かろうと、いつも労働者への配分は後回しにされ、あまりまわってこないということ。
大事な事は脱成長の思想と行動だ。持続可能な成長という言い方さえぬるすぎる。成長はいらない。

経済は複合的な構造物で、単純なことはいえない。やってみないとわからないこともある。日本の常識が唯一正しいなんてことはない。最低賃金の引き上げが雇用環境や消費全体にどんな効果を及ぼすかは、識者によって意見が分かれているし、理屈はどこにでもつく。

最賃をあげてもやっていける経済にしていくしかないし、成長を重視しないスローな生き方の人が増える事が希望だ。

今年、10円以上の最賃アップという方向に行きそうだがそれさえもささやか過ぎる。
(追記:中央最低賃金審議会は、2010年度の最低賃金の目安として、全国平均時給を前年度から15円引き上げて728円とする答申内容を決めた)

それは、年収500万円以上の人の時給を全員、10円下げるのがささやか過ぎることでわかる。

だが、10円下げるのも10円上げるのも大きすぎると抵抗し、しかし、時給が倍以上の格差(たとえば時給差が700円)は、しかたないと放置する。
それっておかしくない?
はい、おかしいです。
でも皆が思考停止。

だからこの話をするとき、あなたの年収はいくらで、あなたの時給はいくらなのか数字を出して語らせる事だ。

最賃800円でさえたかいというひとたちは、みな、自分の時給がその倍以上だということを自覚していない。
読売新聞の記事を書く人は、企業経営への打撃や失業者の増加を考えて、自分の給料が高すぎるから自分の時給を800円以下にすべき(年収を3分の1とか4分の1にすべき)と書くべきだろう。


 政府は6月、労使の代表が加わった雇用戦略対話を経て、最も低い地域の最低賃金を800円に、全国平均を千円に引き上げる方針を打ち出している。 実現時期の目標は、800円が「できる限り早期に」、千円は「2020年までに」となっている。

遅すぎる! 
3年以内と時期を限定すべきだろう。

1億円以上の報酬を受け取った上場企業の役員は200人以上だったが、それでもそれは安すぎるという意見が新聞などでは踊っていた。

自分が時給800円以下で生きている人がいうならわかるが、自分は年収1000万円以上のやつらがメディアで発言し、審議会や政治を動かしている。
みんなの党が「国会議員・官僚の特権を減らせ。人数減らせ、給料提げろ」といい、それに賛同が集まるなら、「年収500万円以上の特権を減らせ。人数減らせ、給料提げろ」というべきだろう。
審議会に参加する人間は、まず、公務員や自分たちや労働者の「時給が高すぎる人の特権を下げるべき」というところから議論を始めてほしい。「先ず隗よりはじめよ」、だ。
だが、絶対にしない。そして貧乏人に「時給800円は高すぎる。現実的でない」というのである。「まず下位よりはじめましょう」のだ。笑える。

千葉県野田市のように、自治体が発注する公共事業や委託事業で受注企業に対して最賃以上の賃金支払いを義務付ける「公契約条例」をすべての行政は制定しろ!
だがハシモト知事はそれはしない。



2010-08-06 03:01 | 記事へ |
| メディア / 貧困/反貧困 / 労働 |
2010年07月30日(金)
自衛隊セクハラ事件で原告勝訴
このブログで何度か言及している、北海道内の航空自衛隊基地でのセクハラ・退職を強要事件の裁判(約1100万円の国家賠償を求めた訴訟)で、航空自衛隊基地に勤務していた元女性隊員(24)の訴えがほぼ全面的に認められ、国に580万円の支払いが言い渡された。判決では、「上下関係などを利用した性的暴行で、その後も上司らが露骨に退職に追い込もうとした」と、組織的な不法行為を認定した。
札幌地裁(橋詰均裁判長)は、一般の企業のセクハラ問題に際しても意義のある、まともな判決を下したといえる。

経緯を簡単に振り返ると、2006年9月、北海道内の航空自衛隊の部隊に所属する女性隊員(21歳 当時)が同僚男性からわいせつ行為をされ、被害を相談した上司からも逆に退職を強要されたとして、国を相手取り裁判を2007年に起こした。
 被害女性は、勤務中に泥酔していた同僚男性(32)からボイラー室に深夜に無理やり呼び出され、帰ることを物理的に阻止され、押し倒され、必死に抵抗したが、無理やり服を脱がしキスや体を触られるなどした(暴行、強要、猥褻行為)。帰り際に「また次の泊まりのときに呼ぶから、また相手してくれ」などといわれた。

女性は上司数人に相談したが「退職願に(印鑑を)押せよ」「ここまでこじれたら、自衛隊ではやっていけないんだよ」「俺たちにとっては、お前は加害者」「A(加害者)は男だ。お前は女だ。自衛隊がどっちを残すかと言ったら男だ」「Aには家庭がある」、「このまま2年間任用を継続しても、1回も外に退出させないぞ」などと、退職を強要し、約半年間にわたって嫌がらせを受け続けた。

女性は上司に男性の退職か転勤を求めたが、基地側が適切な措置を取らず、加害者と顔をあわせざるをえず、また様々ないじめを受け、長期にわたり精神的苦痛(二次被害)を受けた。
女性は上司に訴え出たが、女性自衛官同席でなかったため細かい説明ができず、婦人科受診の申し出も「男性隊員が同行しないと認めない」と言われ、すぐには行けなかった。さらに事件から4カ月後、上司らから「周囲に迷惑をかけた」と退職を強要された。

女性は09年3月、任用を継続されず退官した。
男性隊員は強制わいせつ容疑で書類送検され、07年に不起訴処分となっている。

自衛隊員は、上司の命令に絶対服従であり、異議を述べることは一切許されず、直立不動の姿勢のまま上司のいうことを聞かねばならないということになっており、そのこともこの事件に影響している。
******

以下情報
【判旨】
(1)セクハラの事実認定
Aは深夜、勤務場所で飲酒の上、内線電話で原告を呼び出し、部屋が周囲から隔離された場所にあること、階級の上下関係があるため心理的に原告が反抗しにくいこと、を利用して原告を部屋に留まらせた上、腕力で原告の抵抗を抑圧してセクハラ行為に及んだ事実が認められる。合意に基づくとのAの弁解は信用できない

(2)事件後の不適切対応を違法と認定
(セクハラの二次被害を、より厳しく認定)原告に対し女性自衛官同席での事情聴取がされなかった結果、原告は男性上司に暴行の詳細を事細かに説明することができず、その結果、本件部隊の監督者はAの行為が深刻な性的暴行だったとまでは認識しなかった。
そのため、事件後の対処に適切さを欠く結果となり@原告が心身の被害を回復できるよう配慮すべき義務(被害配慮義務)、AAの性的暴行によって原告の勤務環境が不快なものとなっている状態を改善すべき義務(環境調整義務)、B性的被害を訴える原告が職場の厄介者として疎んじられ不利益を受けることがないよう配慮する義務、といった職場監督者の義務が尽くされず、原告に対し退職を強要するなど違法な処遇が行われた。

(3)慰謝料の支払い
Aの性的暴行に対しては慰謝料200万円、事後の違法な処遇による苦痛に対しては慰謝料300万円と定めるのが相当である(さらに80万円を弁護士費用として認め総額580万円を認定)。

弁護団のコメント
「裁判官は現場に足を運び、原告の気持ちになって事件を想像し、血の通った判断をしてくれた。司法に、まだ正義と希望があったと感じた。」

原告のコメント
「素晴らしい判決でとても嬉しい。私は3年3ヶ月前、原職の航空自衛官として提訴しました。未だ誰も歩いたことの無い道を歩くのは大変なことです。立ち止まりそうになった時には、ここにいる弁護団や支援する会を始め、多くの人達がいたからこそ、今日の判決を迎えることができました。
自衛隊においても人権が保障される方向に大きく変わって欲しいと願っています。私を支えてくれた人たちに最上級の感謝を伝えたいと思います」
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毎日新聞 
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100730k0000m040057000c.html
性的暴力:被害の空自元女性隊員に退職強要 国に賠償命令

 同僚の自衛官から性的暴力を受けたうえに退職を強要されたとして、北海道内の航空自衛隊基地に勤務していた元女性隊員(24)が約1100万円の国家賠償を求めた訴訟で札幌地裁は29日、女性側の訴えをほぼ全面的に認め、国に580万円の支払いを命じた。橋詰均裁判長は「上下関係などを利用した性的暴行で、その後も上司らが露骨に退職に追い込もうとした」と、組織的な不法行為を認定した。
 
判決によると女性は06年9月、夜勤中に飲酒していた1階級上の男性3曹(35)に内線電話で勤務部屋に呼び出され、無理やり胸などを触られたり性的行為を強要されるなどした。その後、女性は上司に訴え出たが、女性自衛官同席でなかったため細かい説明ができず、婦人科受診の申し出も「男性隊員が同行しないと認めない」と言われ、すぐには行けなかった。さらに事件から4カ月後、上司らから「周囲に迷惑をかけた」と退職を強要された。

 判決は3曹の「合意のうえだった」との主張を退け「階級を利用し、周囲から隔絶された部屋で抵抗を抑圧した」と認定。国側が「一貫していない」と指摘した女性の証言については「被害を思い出すことの心理的抵抗は強く、共感して耳を傾けないと事実と異なる説明をすることはある」と信用性を認めた。
 
また上司らの事後対応も「原告を厄介者として退職に追い込もうとする露骨な取り扱いだ」と断じ、3曹の暴行による慰謝料を200万円、監督義務を尽くさなかった上司らの処遇による慰謝料を300万円と認定した。【久野華代】
 
毎日新聞 2010年7月29日 19時47分(最終更新 7月29日 21時50分
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2010-07-30 00:04 | 記事へ |
| ジェンダー / 暴力・DV / 労働 |
2010年07月29日(木)
職場の実態
最近の新聞記事で、パワハラ2件、紹介しておきます。
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パワハラ:真冬に大型扇風機で強風…東京地裁が賠償命令    毎日新聞 2010年7月27日 20時42分

 外資系消費者金融「日本ファンド」(東京都品川区)の契約社員ら3人が、元上司から真冬に扇風機で強風を当て続けられるなどのパワハラを受けたとして同社などに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は27日、慰謝料など総額146万円の支払いを命じた。会社側は「空気を循環させただけ」などと反論したが、石井浩裁判長は「嫌がらせ目的で精神的苦痛を与えたことは不当行為に当たる」と判断した。
 訴えていたのは、30〜40代の契約社員ら3人。
 判決などによると、同社の部長だった元上司は07年12月から約半年間、喫煙者である原告らに「たばこ臭い」などと言って業務用大型扇風機3台を「強風」にし、後方から一日中風を当て続けた。真後ろまで近づけて風を当てることもあり、原告の中で最も強い風を受けていた1人は08年6月にうつを患い、1カ月間休職した。
 また、元上司は原告らに「給料をもらっていながら仕事をしていませんでした」との内容の始末書を書かせたり、「よくこんなやつと結婚したな」などと暴言を吐くこともあった。
 3人は同年6月、出版情報関連ユニオンに加入し、会社側に団体交渉を申し入れたが、受け入れられなかったため、提訴していた。
 判決について、原告の一人は「契約社員という弱い立場のため、反発できなかった。パワハラの事実が認められてうれしい」と話した。【市川明代】
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パワハラ:解雇の元部長と財団が和解 東京高裁
 毎日新聞 2010年7月5日 20時27分

骨髄バンクを運営する「骨髄移植推進財団」(東京都千代田区)の元総務部長(59)が、元常務理事による職員へのパワハラなどを報告書にまとめて懲戒解雇(06年9月)されたのは不当として、地位確認などを求めていた訴訟は5日、東京高裁(都築弘裁判長)で和解が成立した。原告側代理人の弁護士によると、財団が解雇を撤回し、今月分までの賃金・賞与を支払うなどの内容。金額は明らかにしていない。
 1審・東京地裁は09年6月、職員としての地位確認や賃金支払いなどを命じていた。

2010-07-29 23:34 | 記事へ |
| 労働 |
2010年07月23日(金)
私の考える、〈ユニオン〉活動

いろんな人に何をしているか聞かれ、短い時間しかないので、一言、「ユニオンで団交などしている」と言うが、まあ、100分の1ぐらいしか伝わっていないだろうなって思う。

以下は、それにすこし答えるもの。でも、まったく個人的な僕の思いです(仲間の意見を参考にはしています)。こうした事も含め、いろいろ、生き方論を本にちゃんとまとめたいと思っています。

「ユニオンぼちぼち」など個人加盟型独立系組合(ここでは、それを〈ユニオン〉と表記する)の意義、従来の組合との違いはなにか? というカタチで、〈ユニオン〉のよさ、おもしろさをまとめておこう。

〈ユニオン〉には以下のような特長がある。

周辺化されたものの組合であること。直接民主主義的。
地域ユニオン(80年代〜)の後に続く、2000年代以降に発生した、若者系・非正規系・従来の発想を超える系のもの。
いい意味で、本当に、ちゃんと闘う組合である。
職場で軽くあしらわれた当事者の意地を尊重する。
弱いものの立場に立つ。

新自由主義化の中、拡大している周辺的労働者に基盤を置いている。
会社組合=本工主義=正社員中心主義ではない。
年功賃金・終身雇用ではないような人の、悔しさに基盤をおいている。
おじさんたち、古い世代の、馴れ合い御用組合ではない。
(おじさんたちでも、地域ユニオンで闘っている人たちのように、中にはまともなひとがたくさんいます。)

大きな組合では、地べたの人が参加する直接参加主義となっていない。個人の処遇についてで団交とかをほとんどしない。
特に切り捨てられる人の悔しさを、当該を中心にした交渉などしない。

だが、〈ユニオン〉はする。(地域ユニオンはしてきた。)
既存の大きな潮流から独立している。 30代ぐらいが中心。 
素人的な若い経験未熟な人も堂々と参加できる組合。
アマチュアリズムがある。 代行主義ではない。専門家ではない。専従依存任せではない。
全員参加的。じっさい、組合員なんら誰でもが参加できるし、みんなで団交している。ささえあいって感じが直接的である。
ビラマキや抗議活動でも、ちいさな団体で少人数だからこそ、自分が参加しているという感じが分かりやすい。

何しろ貧乏人が集まっている。ここが一番の強みだと僕は思う。
金額の高いところで(ほとんど)飲み食いしない。これは大事な点と感じている。

メンヘラー系・「ニート」系多い。失業者多い。働いていない人多い。非正規多い。
だからこその空気と言うものがある。

そこに、学生運動などをしていたものとか、従来の左翼・労働運動につながっているものが合流して、いい感じのバランスで、なんとか、団交とか抗議活動とか、交流とかをしている。そして今必要なものを、原点に戻って考えながら模索している。決まりきった従来の組織の枠で動いていない。
そのなかで、人はつながり、他の運動にも近づき、世界が広がり、主流価値観と対抗的な世界を感じていく。

独立系メーデーの意義として「普段、声を届けにくいひと」「普段、声を届けてこなかったひと」の声を、伝えることというのがある。こんな「はみだしものたち」「周辺者たち」がいるんだぞと声をあげ、主流価値観と異なる視点を提供できる事に、意義があると思っている。

いま使えるのは、団体交渉(ユニオン)と生活保護だ、と伝えたい。その現場から考えていく。
政治や制度が変わるのは遅い。居場所=自律的空間を部分的にでも作ってしまう。未来社会の先取りをする。アート的に楽しく生きちゃう。自由なデモはその一つ。

権力、制度、大文字の「政治」と対抗するものとしてのスピシン的生き方、自分の自由な生き方、ストリート的な生き方として、まあ、〈ユニオン〉的なところでまともなことをするのは、おもしろい。うそがないというか、苦しくない。

非暴力的に生きる、そういう個人になる、というのは難しく、〈ユニオン〉活動の中でも、その他の活動でも、まだまだ反省しきりだが、まあ、すこしはそれをめざしてやっていけているとおもう。
そう思えるのは、幸せ。
まともな人に接するのは幸せ。

人の団交や裁判や抗議活動に、仕事を休んで駆けつける人。
時間を割く人。
お金などでない。

僕自身が、高収入・高地位・高安定・高消費から外れる事が、居心地がいい。
周辺者・フリーター的な存在になる、“状況”の中に入ること。
外部からの観察者にならないこと。無名の集合的な知の一部になる事。

僕は1997年に『樹木の時間』という本を出した。ぼくはもともとアナーキーな人だった。
その延長に、僕自身が自由とかまともなこととか、居心地のよさを求めて、周辺者・フリーター的なものに近づいたと言うのは必然。路上的現場・ストリート的な知のほうが魅力的だった。
中途半端で遅い面もあるが、まあ、できる範囲でぼちぼちすすむ。

金儲けで生活のほとんどの時間を使う、というところからできるだけ離れたところへ。

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2010-07-23 16:47 | 記事へ |
| 労働 / 生き方 |
2010年07月18日(日)
『朝日新聞』の「職場のホンネ」欄はおかしくないか?
職場にはいろいろな問題がおこっています。『朝日新聞』にもよく「職場のホンネ」という欄(火曜日)にひどい労働実態が載っていますが、書きっぱなしでなんのアドバイスもありません。

たとえば、7月13日には「当然の倒産、退職金なし」という事例や40代女性看護師の人が、職場には夏休みも正月休みもない、祝日の休みもない、その代休も祝日分の手当てもないという訴えがありました。
7月6日には、製造業派遣労働の30代男性が、事前の説明がウソであるのはざら、給料を支払わない会社もあった、軽作業といわれたが実際は数十キロのものを40度の室内で運ぶ重労働だったとか、月収28万円といわれていたが実際は16万円だった、すぐ近くというが実際は徒歩1時間の職場だった、などの経験談を告白していました。
また60代女性は、夫がなくなってから6年半働いていたスーパーで、ひどい上司に当たり、重量物の運搬に回され、関節症になり、体調を壊しやむなく退職したという話も載っていました。その女性は「今度はいい上司がいる職場で働きたいと思います」で結んでいました。



こういう事例を知ったなら新聞記者がそこの実態を調べ、労働基準監督署に話を持っていき、あるいは地元のユニオンや法律家につないで、「このようにこの問題は解決しました」という記事にするならわかります。

しかし『朝日新聞』は毎週毎週、こうした違法な状態を載せるだけです。だから読者は、どこもひどいなあと絶望的になるだけです。違法状態があるけどしかたないんだなと思います。まだ自分の職場はマシかもと思います。あきらめるしかないと思います。

つまり、『朝日新聞』は、事態を改善しているのではなく、不満のはけ口・ガス抜きになっているだけで、無力感を庶民に与えています。
正しい法律知識やユニオンの知識を与えていません。

テレビのドラマも同じです。

だからいつまでたっても、法律違反がまかり通っています。立場の弱い労働者はなき寝入りし続けさせられています。

私たちユニオンが関われば、新聞に載っている事例の多くは少しはよい方向で解決できるのにといつも思います。
2010-07-18 17:18 | 記事へ |
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社会的企業について

「職場の人権」の例会で、「地域で働く場をどうつくるか」と題して社会的企業を扱うというので参加してきました。

まあまあでした。一定の情報は得られましたが、プレカリアートとか、労働市場に参入するのが難しい人の立場から、いかに地域の中に働く場や居場所を作っていけるか、それに社会的企業がどう関われるかは、ほとんど深まらないままでした。

その意味で、私には知っている事と予想範囲内のこと中心で物足らない感じがしました。

例会の中では出てきませんでしたが、私としては反面教師的に刺激を受けて以下のことを再確認しました。

再確認した事は、
@ 社会的企業は、そりゃ、いいアイデアでいい仕事(社会問題の解決に貢献)をする企業が増えたらいいと思うが、それは、私的利潤を追求する一般企業の立ち上げや存続さえなかなか難しい中で、社会的使命を達成しながら同時に企業として持続的に業績をあげていくのは難しいという事。ワーカーズコレクティブ、生協などもある(あった)がなかなか拡大しないわけで、魔法の打ち出の小槌ではないという事。

A エリート的若者、能力ある人は是非こういう事業を立ち上げて欲しい。

B そこでは、能力主義一辺倒になったらダメ。NPOもそうだが、マネジメント指向が高まると、その組織が能力主義指向になり、勝ち組系でない者が排除され、居場所でなくなる。その意味での仕事の質が大事。

C つまり、社会的企業やNPOといっても、正体の怪しいものもある。商業化するNPOというだけのものやイノベーション重視のものもあるし、社会福祉サービス提供というだけの意味のものもある。労働統合型社会的企業(WISE:work integration social enterprise)、すなわち社会的に不利な人が労働に参加できるようにすることをめざす、社会的企業、というのが、社会的企業の重要な一つの意義であるならば、この、能力主義ではない職場作り、採用というのは大事な点。ただし、高い賃金が補償されるべきというのは現実離れしている。できればいいが難しい。

D そうした社会的企業が維持・発展されるには、公的な支援(社会的企業を支援する公共政策)が基本的に必要。国家・行政は、職業訓練というだけでなく、出口を造っていく、仕事作りをしていく、仕事の供給をしていく、ということが必要で、しかも民間の能力主義・利潤一辺倒ではない職場を作らねばならないので、社会的企業を支援するというカタチでそれを行うのが望ましい。

E 現実は、ワークフェアという思想と用語で、周辺的な人々(社会的弱者)が「働ける」場所が保障されない中、働けという圧力が強まっている。大事な事は、働けということではなく、ゆるい人がゆるく働ける場所や居場所を作る事であり、そこにつなぐような職業訓練やガイダンス・支援があることである。それを充実させないでワークフェアを言うのは実態を知らない反動である。

F なにが社会的か、などという議論はつまらない。この社会的企業でも、学者の研究対象・おしゃべり対象に終わるような事がおこりがちである。

G 以上より、私としては、世に広がっている「社会的企業」論を適切に批判する事が先ず必要。その上でまともな社会的企業を賞賛・擁護する事が重要。指定管理者制度やNPO、官民協働でも同じだが、現実離れした理念でごまかす欺瞞を批判せよということ。

H 次に、エリートは社会的企業やNPOを頑張ってやってみろということ、そこでは低賃金でもしかたないということ。そして行政が 仕事・居場所作りとしても、社会問題解決としても、社会的企業を支援しろということ。補助金を出す、税制上の優遇は勿論、積極的優先的にそうした企業と契約するという事業委託的な方向、公契約条例の方向も拡大したらいい。 


2010-07-18 04:56 | 記事へ |
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なにをいまさら――外国人研修・実習生制度について


外国人研修・実習生の実態は、低賃金利用に尽きている事は最初からずっと指摘されてきたのに、『朝日新聞』も含めて、部分的にしか指摘せず、容認し続けてきました。
今頃になって、以下のような社説を掲げるのは欺瞞です。「オマエが欺瞞なんだよ」というツッコミです。
加担し続けておいて、問題が出たときだけ正義の側のふりをする、というようなことが日本のメディアです。いつもそうで、何も変えない。
必要なのは最初からちゃんと、社として「外国人研修・実習生制度反対」をキャンペーンする事ですが、そういうことをしていません。日本の大新聞は、立場をちゃんと持たない、ほんとにダメなあり方の典型です。
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【朝日新聞】社説 - 2010.07.14
外国人過労死―「実習」という名の「労働」
http://www.asahi.com/paper/editorial20100714.html

 日本の外国人研修・技能実習制度は、途上国から企業などが人を
受け入れ、3年間の職場経験で得た技能を母国で役立ててもらうの
が目的、ということになっている。ところが、その制度で来日した
中国人男性が死亡したのは「過労死による労災」と労働基準監督署
が認定した。
 奇妙な事態があらわにしたのは「国際貢献」をうたう制度の欺瞞
(ぎまん)性だ。
 男性(当時31)は2005年12月に来日、茨城県のめっき加
工会社で働いていたが、08年6月に亡くなった。直前の3カ月、
月93〜109時間の残業をしていたという。

 これは氷山の一角とみられる。現在日本にいる研修・実習生は中
国などから約20万人。受け入れを支援する国際研修協力機構によ
ると、08年度に35人が死亡した。このうち長時間労働が原因と
みられる脳・心臓疾患は16人。09年度の死亡は27人にのぼっ
た。
 「看板」とうらはらに、研修・実習生に、低賃金で過酷な労働を
強いたり、残業代を払わなかったりピンハネしたりする事例が後を
絶たない。
 さらに08年秋のリーマン・ショック以降は受け入れ先の仕事が
激減し、中途解雇が目立ち始めた。新たな受け入れ先も紹介されず、
泣く泣く帰国した人は少なくない。
 過労死するほど働かせ、状況が変われば解雇する。こんな「使い
捨て」のやり方が許されるはずがない。
 問題点は国も認識はしている。関係法を改正し、来日2年目から
だった労働関係法令の適用を1年目からにしたほか、国内の受け入
れ機関の責任や罰則を強化した。だが、まだ問題の解決にはほど遠
い。
 日本は、外国人労働者の受け入れを専門分野に限っている。これ
に対し、研修・実習生の受け入れ先は、多くが小規模製造業、水産
加工、農業などで、日本人が敬遠する仕事での単純労働力の不足を
補ってきた。少子高齢化のなかで、彼らがいなくては成り立たない
単純労働の現場があるのだ。
 まず、こうした実態を詳しくつかむことだ。そのうえで、制度を
根本的に再検討すべきである。実態は「労働」なのに研修や実習な
どとごまかすのは、もうやめるべきだ。
 当然、受け入れる限り、労働者を「使い捨て」にしてよいわけが
ない。日本社会のなかできちんと位置づけるべきだろう。生活、教
育、福祉などの基盤整備や安全網を、どのように組み立てるのかな
ど、課題は多い。
 「実習生」などと言い換えるのは外国人労働者受け入れへの警戒
感に配慮したためかも知れない。だが、まやかしの名前で呼び続け
ても、外国人労働者が日本にいないことにはならない。現実から目
をそらし、日本の社会に必要な議論を先送りするだけだろう。
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2010-07-18 02:02 | 記事へ |
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2010年07月07日(水)
派遣法をマシなものにしないといけないが・・・


働く女性の全国センター(ACW2)が、以下のような要望書を出しました。こういう地道な動きが重要ですが、厚生労働省の動きは遅く、民主党大臣も事態がわかっていないので、先行きの展望は暗いです。
専門26業種と言うもの自体を減らしていかないといけないが、いまは、それさえ守られておらず、しかもその拡大さえもくろまれている。
やはり派遣自体を原則禁止とするのが必要だが、民主党政権のままでは難しい。
部分的でもマシなものにしていくしかない状況だろう。
派遣法改正をすすめ、しかしそれでもあまり派遣の事態は改善されないので、次の新改正をまた目指していくと言う事になるだろう。
現場でどんどんやっていく〔団交〕のが当面、現実的だ。
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長妻 昭 厚生労働大臣 殿
職業安定局 担当部 殿

専門26業務の派遣先・派遣元での労働者保護を求める要望書

2010年7月1日
働く女性の全国センター(ACW2)

第174通常国会に提出された「派遣法案」は、継続審議となりました。
この間、厚生労働省大臣名で各事業所に出された専門26業務の適正化プランは、違法派遣に対して行政が適正な指導をすることを目的とし、現行法での違法派遣会社への行政処分、専門26業務適正化が実施されました。皆さまも、すでにご承知のように、日本人材派遣協会の理事長と副理事長であった方の会社のスタッフサービスとヒューマンリソシアも違法派遣を摘発され辞職されました。
 この派遣会社は、独立行政法人や国の機関などに多く派遣していた派遣元の大手会社であり、そのような会社が、違法を知らなかったということは出来ず、意図的に違法を繰り返してきたと言わざるをえません。
 しかし、現在、これらの違法は、日常化しており違法を免れるために、派遣労働者に退職同意書にサインさせるなどして違法の責任逃れをしています。
第2の派遣切りは、女性たちに集中して起きており、退職同意という形にして行なわれているために表に出にくい構造にされています。(別紙、資料参照)
そこで、専門26業務について、現場の声を集めてきましたので、厚生労働省の中での取り扱いについて以下の意見のように、改善を強く求める所存です。

1 登録型派遣の全面禁止に向けて、専門26業務の省令の規制強化を!

働く女性の全国センターは、登録型派遣は、不安定雇用の温床になっており全面禁止
にすべきとの意見です。全面禁止に向けて、引き続き議論してください。
その上で、国会では、法案で例外としている「派遣期間制限のない専門26業務」を見
直し専門26業務は例外にせず禁止としてください。臨時的・一時的業務に限定して
正社員代替を防ぐことが本来の法の趣旨であった原点に戻ってください。
また、専門業務に士業や、医療関係の仕事は現実に医療過誤の危険が起きており、追
加は、規制緩和です。
 医療崩壊をこれ以上進行させるような新たな派遣の導入を禁止してください。
厚生労働省では、2月上旬に、専門26業務の適正化についての指導強化月間を設け、
指導強化に踏み切ったことは評価に値するものであると思います。しかしながら、人材派遣業界では、指導を逃れるための偽装証言を社員に対してするように指導しているという情報も入っています。派遣労働者は会社の命令であれば、雇用を奪われることを恐れて真実を証言できない状況です。専門26業務の中には,「事務用機器操作(5号業務)」、「ファイリング(8号業務)」、財務処理、受付・案内のように,専門性のある業務とは言えないものも多く含まれているうえ,実際には専門職種ではない一般事務等に従事させて期間制限を免れようとする違法派遣がほとんどです。

1)専門26業務の拡張解釈をしないでください。
2)専門26業務の複数兼務を理由とした直接雇用申し込み義務逃れを防止してくださ
い。
 3)違法派遣の労働局への告発などを理由にした雇い止め・不利益取り扱いについて
   公益通報者保護法のみならず、厳格に雇用不安を取り除くためのく防止措置をと
ってください。

2 常用雇用の定義は、きちんと明確にすることを要望いたします
 
先の細川律夫厚生労働副大臣の国会の答弁を聞いたところ、「常用雇用」を「無期契約」と混同するなど、大臣自らも理解されていないことが明らかにされています。
 厚生労働省では、「常用雇用」についての定義について、期間の定めなく雇用されている者」のみならず,「有期雇用」や「日々雇用」でも「過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者、又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」もこれに該当すると解釈し,そのように取り扱っています(厚生労働省職業安定局「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。
 
「常用雇用」とは,特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業を区分する定義規定における「常時雇用される労働者」のことであり,厚生労働省のような解釈を許せば,有期雇用や日々雇用の労働者でも専門業務以外の業務に派遣することが可能となってしまいます。これでは「登録型派遣の原則禁止」の法改正の実効性が失われることになり,労働者の雇用の安定は確保できません。
 ハローワークの求人票には、「一時的・臨時的」または、「常用雇用」としか明記されておらず、面接に行って始めて「常用雇用」が、有期契約であることがわかることが多いというのが現状です。「常用雇用」という表記は、労働者に幻想と混乱を与えるものでしかなく、この表記を見直し、「無期契約」か「有期契約で契約の更新があるか、ないか」と明確にすることが、労働現場の混乱を少なくすることになると思います。

 追記:「常時雇用」という新たな定義が国会資料で配布資料に入れられたことについて その定義の意味及び、なぜ常用を常時と変えたのか説明いただきたい。

3、参考資料
1)パナソニックの裁判原告要望書
2)スタッフサービスの退職同意書
3)インターネット掲示版に寄せられた声
4)派遣元会社で配布されている内部資料
5)介護・医療職場などの派遣の実態

2010-07-07 00:34 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 |
2010年06月29日(火)
気があわないから辞めてくれ?―-女性ユニオンの闘い


女性ユニオン東京というユニオンがあって、フェミニズム精神で女性による女性のための労働組合活動を重ねている。
僕が約17−18年ほど前からつきあっている人たちがすばらしい活動を積み重ねてきたところだ。
ひとりでも入れる地域の組合〔コミュニティユニオン〕というものが80年代に広がる中で、女性主体のユニオンとしては、関西の「おんな組合」と並ぶ、全国でも希少な関東の「女性ユニオン東京」だった。
(ちなみに「ユニオンぼちぼち」もそういう流れの中で5年前にできたユニオン)

そこの機関紙が、「ファイト!」というもので、いろんな争議事例などが載っている。6月15日発行の最新号(172号)に載っていた「解決しました!気があわないから辞めてくれ?」という争議報告文が、とくにいい感じだったので、このブログで紹介していいですかときいたら、気前よく「いいですよー」と言う返事が来た。
 ということで、今回紹介させていただきます。

このハナシには、様々な要素が詰まっているとおもう。

僕の会社なんだから僕が決めていいことになってるんです」というような、ひどい会社の典型例がわかる。そんななか、何も知らなかった普通の人がユニオンを見つけた、ってかんじがいい。これは多くの人に親近感をもって、そういう接近とか出会いがあるんだと思ってもらえるだろう。

「女性ユニオン東京」の結成宣言を読むうちに胸が熱くなったというのは、伝わる人には伝わるんだなあと嬉しくなる。(HPをみてください)

団交の様子も典型的だ。ダメな社長は法律などまったく知らないから最初はむちゃを言うが、弁護士などは、法律どおりに動くしかないので、ユニオンの言い分が通るようになっていく。

でも、団交ではいったんは勝ったのに、その後の会社で、なんとかやめさせようとイジメてきたり、あらを探してきたりと言うのも、リアルだし、勉強になる。

でもユニオンと、その協力者である弁護士などの力を併せれば、結局は団交で有利になっていく。大事なのは、自分の悔しい思いを思いっきり吐き出せること。それを支えてくれる仲間が居る事。僕はここが大事と思っている。
大きな「労働組合」が一人一人の悔しい思いを本人(当事者)が語る、というようなことをしてこなかった事と対照的だ。

この喜びを知ることができれば、人生は「OK」だ。
「仲間ができる」なんて言葉は、あふれているが、その実際を感じられる人生は、幸せだ。だって、本当に「誰も助けてくれない。どうせこの世は弱肉強食だ。他人なんて冷たい」と思いながら、表面ではそつなく大人を演じている人なんてたくさんいるんだから。

そして、「助けて欲しい。」と声に出せた、ってハナシもいい。

この日本では、100人に一人でさえもユニオンのことなど知ってはいない。
泣き寝入りしたり諦めたりしている。自分の職場のひどさをひどさとも思えず、こんなものと思っている。

そんな中、この短い体験談は、リアルな希望を教えてくれる。

と言うわけで、読んでみて下さい。

そしてよかったら友達や家族に転送してください。
そしてユニオンのことを知って、女性ユニオン東京に、あるいは地元のユニオンに行ってみてください。HPのぞいてみてください。

女性ユニオン東京のHP
http://www.f8.dion.ne.jp/~wtutokyo/index.htm

なお、このブログの最後に、「女性ユニオン東京の結成宣言」も載せておきます。

************************

「解決しました!気があわないから辞めてくれ?」

(『ファイト!』2010.06.15掲載)

2010年2月20日(土)14:30。私の戦いはこの時から始まった。
経営者Aから、「僕と気が合わないから辞めてくれ。」と言われたのである。私には辞めなければならないような落ち度はなく、納得がいかないと言うと「納得がいかないと言われても、僕の会社なんだから僕が決めていいことになってるんです。3/20まで働いたら4/20分までの給与を払う。それでいいことになってるんです。」

 「おかしい!会社ってもっと社会的なものなんじゃないの?」」というのが、その時の私の素朴な疑問であった。

私の勤務先は調剤薬局である。ひとたび店舗を構えれば、それは経営者だけのものではなく、お客様として利用する患者さんのものでもあり、健康情報の発信基地として地域の皆さんのものでもあり、近隣の医療機関との連携の場でもあり、私たち従業員の働く場でもある。それに何より、気が合わないという理由で人を辞めさせられるのだろうか?

対抗するのにどんな手立てがあるのか、ネットで情報を検索するうちに「女性ユニオン東京」のHPにたどり着いた。結成宣言を読むうちに胸が熱くなった。
「ファイト 女たち」

そうだ、負けてはいられない!
入社して以来、誠実に働いて来たではないか。私は、気が合わないから辞めてくれ等と言われていい存在ではないのだ。体の中から勇気が湧いてきた。

 相談案内の温かいピンクのページにも励まされながら、2/22(月)の昼休みに代々木の事務所にTELをした。
私が知りたいのは、今後の道筋(私自身が回復するために何が出来るのか)であった。Fさんは限られた時間の中で、余計なことは言わず必要なことは余すことなく、実に的確に助言をくれた。

請求した解雇理由証明書に書かれていた解雇理由は、事業縮小等当社の都合(継続的に経営が困難なため)とあり、「気が合わないから」とはなっていなかった(笑)。
1月の半ばに従業員の募集広告を出したばかりである。それこそ「事業縮小とは合わない理由」ではないか。

2/25(木)ユニオンに加入し、団体交渉の申し込みをした。Aの代理人の弁護士は使用者側の法律事務所では有名なD法律事務所に所属しているT弁護士であった。

3/19(金)団体交渉の席でT弁護士の第一声は「解雇は撤回。解雇なんか出来るわけないじゃん。こいつ(A)は何も分かってないんだよ。」だった。Aはその場に土下座した。呆気ないほどの解決である。

「さあ、又明日から思い切り働ける。」
この時の希望に満ちた気持ちは、今思い出すと本当に切ない。なぜならここからが本当の戦いだったからだ。

 3/20(土)から嫌がらせが始まった。いきなりパート2名を配転(水曜以外のすべての日のシフトに入っていたパートを他店に移動)し、一人ですべての処方せんを調剤しろ。薬剤師会は経費の無駄だから脱退する。(研修会に出られなくなるのは学習の機会を奪われることだし、認定薬剤師資格も持っている私には不利益である。)
医療費助成は中止する。白衣は自分で洗え等、一方的に言い渡された。又、3/21~のタイムカードは私の分だけ無く、子どもじみたやり方にはあきれはてた。
朝出勤すると、管理簿などが明らかにいつもと違う場所にあり、店舗の閉店時間を過ぎるとやって来ては、薬局内を家探ししている様子も見て取れた。
何としても私を辞めさせるために、何かないかと必死に探していたのだろう。挙句の果て、4/1(木)に的外れの薬剤師法違反で自宅待機を命じてきた。

 4/13(火)に2回目の団体交渉をするまでの、この2週間は謂われなき薬剤師法違反を覆すために資料を集めた。私に対して違反だと言ってきた事例こそ、薬局開設者であるAの薬事法違反そのものであるからである。
絶対の自信があったが、相手はD法律事務所所属の弁護士である。ここは労働弁護団のY先生の指示を仰いだ方がいいと言うFさんの冷静な判断でJ法律事務所に伺った。
ここでも、小気味いいくらいの的確な助言を頂き、自信を持って交渉に臨むことが出来た。

 この交渉の2日前の4/11にユニオンの定期大会で自身の事例を話す機会を与えられ、「助けて欲しい。」と声に出してみた。
私は常日頃、出来ることは自分でやり、出来ないことは助けて、と声に出すことが自立だと思っている。この日行動出来た(「助けて」と言えた)ことは、私の大きな力になった。

4/13は、6人で築地の法律事務所に乗り込んだ。2週間溜まりに溜まったものを吐き出した。方針は明確だった。
もう戻る気はない。
Aの矛盾を思い切り突くだけだ。

築地の事務所を出た時の爽快感は言葉では言い尽くせない。あの時吹いていた風と同行してくれたメンバーのことは生涯忘れることはない。もう十分だった。

皮肉なことだが、Aが愚かなことは、T弁護士が一番よく分かっているであろう。もう解決金の額は問題ではなかった。
私には、私と一緒に考え、行動してくれる仲間がいる。昨日まで知らなかった人が、私と共に、私のために動いてくれる。そのことに深く感動していた。

今、交渉の途中にいる人は、寝ても覚めても自身の事案から離れることが出来ず、悔しさではらわたが煮えくりかえる日々を過ごしておいでのことと思う。どうか、自分を大切にして心から回復されることを祈っている。

最後に、突然不機嫌になったりする不安定な私を温かい無関心で支えてくれた家族と、つらい時に食べて元気出して、とチョコを贈ってくれた友人のOさんに心からありがとう。
(Y.S)

************************

女性ユニオン結成宣言  1995年 (HPより)

長い間わたしたち女性は、職場で家庭で悶々と悩んできました。
ひたすらその悩みに耐えてきました。
しかし今日、現実は、さらに厳しくなってきました。
若い女性の就職難、中高年女性のリストラ、解雇、いやがらせ、セクシャルハラスメントなど
女性への差別が公然と行われています。
このように切捨てられ、差別されている私たち女性は、泣き寝入りしかしかたがないのでしょうか。
                    
イイエ、そうではありません。
今日、ここに私たちはこうして集まり、「女たちによる」「女たちの」「女たちのための」活動を始めようとしています。
女性自らが自立して運動を継続させていくことは、容易なことではありません。
充分な資金もありません。時間も限られています。
このような私たち女性がより集まって、この「女性ユニオン東京」を担っていこうとしているのです。
これは試練といえます。
この試練を乗り越え、私たちの働く権利を勝ち取らなくてはなりません。
そのためには、私たち一人一人の自立と連帯が必要です。
そして私たち「女性ユニオン東京」の存在を、あなたのすぐそばの女性にしらせていくことは、さらにこの活動を力強いものにしていくのです。
ぜひ私たち女性の力を結集しましょう!
ファイト、女たち
女たち、ファイト


2010-06-29 01:57 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 / 生き方 |
2010年06月28日(月)
家族単位発想ゆえの問題:退職勧奨年齢に男女差


飛騨市が一般行政職員に早期退職を勧める際、男性は58歳、女性は55歳と男女差を設けていることが分かりました。
市は、「女性職員の世帯は主に夫が生計を立てている場合が多く、退職も強制ではないため、一概に男女差別とは言えない」といっています。

そうでしょうね、これが家族単位発想です。
結婚していない人や離婚している事などを考慮しない。一般と言って、従来の性役割家族を前提としている。手当ても税金もみな、扶養関係を前提として設計されている。
そもそも賃金が家族を養う賃金です。
最低賃金や非正規の賃金が安いのは、養われるものの水準だからです。
「結婚して、養う/扶養される」=家族単位と言う発想自体を変えることが必要です。
結婚しているかしていないかがまったく関係ないような制度にする事、それをシングル単位社会と20年前からいっています。
この事の深い意味を理解しない人がまだまだほとんどです。

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「退職勧奨年齢に男女差 飛騨市、県が事情聴取へ」@中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20100625/CK2010062502000020.html
2010年6月25日

 飛騨市が一般行政職員に早期退職を勧める際、男性は58歳、女性は55歳と男女差を設けていることが分かった。市は、女性職員の世帯は主に夫が生計を立てている場合が多く、退職も強制ではないため、一概に男女差別とは言えないとしている。
 これに対し、県は、公序良俗に反する法律行為を無効とする民法や、性別による差別を禁じた地方公務員法などに照らし合わせ問題がないか市から事情を聴くことにしている。
 市総務課によると、明文規定はないものの、2004年2月の市合併以降、財政再建に向けた職員削減の一環として慣習的に行われている。退職勧奨で辞めた女性職員は現在までに、50〜55歳の9人と57歳の計10人。
 井上久則市長は取材に対し「(勧奨を)理解して(辞めて)いただいた人の立場もあるので、今のところはこのままでいきたい。しかし、もし法に触れるのであれば真摯(しんし)に受け止め、今後の対応をしっかりとっていきたい」と話している。
 (平野誠也)
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2010-06-28 12:58 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 |
パシフィックネットへの抗議活動

フリーター全般労組の方2人が関西に来ました。
中古パソコンショップ「PC NET」(株式会社パシフィックネット 上田満弘社長)で働いていたAさんが10年も働いていたのに今年3月解雇されたことに抗議するものです。

有期雇用ですが10年も働いていたので、簡単に切ってはいけないのですが、それをしてきて、さらに今団交も拒否しています。と言うのは、3回ほど団交したそうですが、ユニオン側の要求を拒否し、あろうことか逆に、Aさんに金を払うように労働審判をかけてきました。 
会社にすこし意見を言うようなAさんを排除した上で、組合に入って抵抗すると、裁判などで脅してくるのです。こうした事が許されてはぜったいになりません。

東京のほうで抗議活動を既に3回ほど行い、今回、難波の大阪のパソコンショップ「PC NET」にも、抗議活動を行ったわけです。

「ユニオンぼちぼち」をはじめとして、なにわユニオン、管理職ユニオン、あぱけん、泉州ユニオンなどの仲間が駆けつけ共同で抗議活動をしました。

抗議活動は続きます。経営者・社長などが、無駄な抵抗はやめたほうが経営的には合理的だとわかるようになればいいと思いますが、今はそのための戦いのときです。

フリーター全般労組や「ユニオンぼちぼち」は、あきらめずにしつこく闘います。弱いものを力で潰せるとおもったら大間違いですね。


帰り、難波で社民党の辻元さんや服部さんが大川さんの選挙応援で街頭演説していました。
保坂さんや福島さんや原和美さんなどが皆通ればいいのですが、みんなの党のようないい加減なもののほうが今は人気があり、選挙で躍進しそうです。愚かな事です。

「ユニオンぼちぼち」の組合員の友人のBさんが、自分の労働問題があるということで、フリーター全般労組に相談に行きました。これもひどい話なので、うまくいけばいいなと思いました。その職場では、ひどい社長に怒鳴られたり罰金を取られたり、やめさせられたりしていますが、皆仕事が欲しいので我慢しているそうです。でもその「Bさん」は、声をあげて動き始めています。

僕は、ひどいことをされているものが声をあげるってところに希望を感じます。
「PC NET」で解雇されたほかの人はユニオンに入って闘う道を選んでいません。しかしAさんは戦う道を選んでいます。3月からのはなしですが、抗議活動するその姿はとても頼もしく、素敵に見えました。
人は、何によって成長するかわかりません。

フリーター全般労組の2人のたたずまいも素敵でしたし、その活動に協力するために集まったみんなの思いも、いいもんだなあと感じました。
「人と人のつながり」とか「連帯意識」とか、「素敵な人の生き方」というのは、紙の上の言葉にのみあるのではなく、
私たちの目の前にあります。
ほとんどの人には見えていないけど、ほんとにある。

僕はそこに手ごたえを感じて、まあ幸せです。研究とか選挙も大事だけど、そういうのって空気を相手にパンチを繰り出してる感じが強いですが、解雇されたものが会社に抗議するって、確実にパンチを当てていると思います。

組合が弱いとか、みんな闘わなくなったと嘆くのは簡単ですが、まあ、やるだけです。

みなさんも団交とか抗議活動って面白いですから、いつかチャンスがあれば参加してみてくださいね。


2010-06-28 02:57 | 記事へ |
| 生き方 / 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年06月05日(土)
ベーシック・インカムについて

研究会「職場の人権」で今年1月に話したことが、テープ起こしされ、機関誌に載りました。

「ベーシック・インカムについて――生活保護制度の拡充型のベーシック・インカムへ」『職場の人権』2010年5月/第64号

BIのラジカルな気分には賛成しつつ、周辺化されたものたちの立場から、BI論議にいっちょかみし、学者の議論を批判しています。
ご参考までに。
2010-06-05 10:42 | 記事へ |
| 貧困/反貧困 / 労働 |
2010年05月30日(日)
大事なところで戦わない組合なんて

組合・ユニオンといってもいろいろ。

ひとりでも入れるかどうか。
一人の個人的な苦しみ、苦悩に寄り添うか。
個人の尊厳を取り戻す戦いを支援するか。
動員主義やスケジュールをこなすだけのものになっていないか、ワンパターンの、お仕着せの、非創造的なスローガンをいうだけのものになっていないか。
経営側にちゃんとモノをいっているか。

以下の北海道教組の新聞記事を読んで、詳しい状況はわからないが、記事の情報だけからは、なんてナサケナイ組合かと思う。
人(個人)でもそうだが、組織も、いざと言うときにどういう態度をとるかで本性が試される。

調査をする管理職も恥ずべき仕事をしているが、それに抵抗できない人も組織も、なさけない。みんなで抵抗するために、組合、作ってたんじゃないのか?

自分が、譲ってはならない一線を持っていない「教師」が、子ども達に、〈たましい〉ある生き方を“教え”られる(問いかける教育ができる)とは思えない。

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きょういく特報部:
教職員「物言えぬ雰囲気」 北教組事件 組合活動など調査『朝日新聞』2010年5月24日

 北海道教職員組合(北教組(ほっきょうそ))による違法献金事件をきっかけに、北海道内のすべての公立学校の教職員に組合活動の状況や政治的行為の有無をたずねる調査が実施された。道教育委員会は「実態を明らかにして学校教育への信頼を取り戻したい」としているが、他の教職員の行動についても知っていることを述べるよう求める内容も含まれており、「物言えぬ雰囲気を生み出す調査だ」という声も出ている。

■校長室で聞き取り
 「今日から道教委の調査を始めます」。道北地方の道立高校で4月中旬、校長が朝の打ち合わせの際にこう呼びかけた。教職員は全員、放課後などに1人ずつ校長室に呼ばれ、それぞれ10分程度、調査を受けた。
 「なぜこんなことまで聞かれるのか」。自分の組合活動だけでなく、他の教員の組合活動についても聞かれた30代の男性教員は、納得がいかない様子だ。「北教組の事件は問題だと思うが、こんな調査をしていたら学校でニュースのことも話しづらくなる」「これを機に、全般的に締め付けが厳しくなっていくのではないだろうか」。同僚には、異論を唱えて回答を拒む教員も数人いたという。
 調査は、文部科学省が道内の教職員の任命権者である道教委と札幌市教委に要請する形で始まった。教職員は、地方公務員法や教育公務員特例法で政治的に中立であることが求められており、違法行為がないか調べるのが目的だとしている。
 50以上に及ぶ調査項目は道教委が作成した。組合活動や政治的行為、学校運営の実態や職員団体との関係について、校長が教職員に直接聞き取るものと、市町村教委などが校長に聞き取るものがある。学校には80ページに及ぶ調査用紙が配られた。
 現場の教職員らへの聞き取りは今月14日に締め切られた。道教委への最終的な報告締め切りは24日とされており、結果は文科省にも報告される。

■「不当調査」と反発も
 調査を拒否した教職員には職務命令を発することも可能で、調査によって違法行為を認定した教職員は処分する方針だ。ただ、道教委の中にも異例の調査に戸惑いがあり、道内各地の出先機関からは、「不当労働行為だとして校長が教員らから訴えられたらどうするのか」「締め切りを延ばすことはできないか」といった質問が本庁に寄せられたという。
 調査に対し、労働団体や弁護士団体など、これまでに20以上の団体が「組合の弱体化を狙った不当な行為だ」「個人の思想・良心の自由を侵している」と中止を申し入れた。

 当事者の北教組は、ここまで事件の説明責任を一切果たしていない上、本来なら先頭に立って調査に異議を唱えるはずだが、「公判中でもあり、現時点では何も言えない」と沈黙したままだ。
 それでも、分会(学校)単位では反発もある。4月末、札幌市内で開かれた退職教員らによる集会。道東地方の小学校の女性教員は「組合の存在、北教組の運動方針をも否定する調査で頭にきている」と発言した。この教員が勤務する小学校では、校長から調査について説明されるとすぐに分会の会議を開き、「不当な調査には応じられない」との分会の方針を校長に突き返したという。

 こうした中、道教委は調査について「北教組事件で失われた道民の信頼を取り戻すためのものだ」という説明を続けてきた。「教職員の政治的中立を確保するためであり、先生たちの組合活動自体を否定するものではない。細心の注意を払っている」という。
 札幌市教委は、道教委に比べると調査をソフトに進めた。校長が直接聞き取るのではなく、教職員には文書で回答を求めるやり方にした。札幌市は規模が大きい学校が多数あり、「学校側の負担を小さくした」というのが市教委の説明だ。教職員が回答を拒否した場合の取り扱いについても「個人の判断であり、職務命令を出してまで回答させることではない」という構えだったが、結局市内の学校では組合側による拒否行動はなかったという。

 北海道大学の道幸哲也教授(労働法)は「社会問題化した事件とはいえ、個々の教職員への聞き取りは一人ひとりの考えを問うことにもなり、『物を言わない方がいい』ということになる。校長への調査結果をもとに北教組の執行部と話し合うなど、労使間でもう少し何とかできないのか」と話す。「一番の問題は、調査によって、政治を含めた話題を自由に議論する雰囲気が損なわれること。教師が政治的であるのと、政治を議論するのは違う」と話す。(小林舞子)
    ◇
 〈北教組の違法献金事件〉 
昨年夏の総選挙で、民主党の小林千代美衆院議員=北海道5区=陣営が、北教組から違法な選挙資金を受けたとされる事件。1600万円の違法な授受があったとして、北教組の委員長代理と団体としての北教組のほか、小林陣営の幹部が政治資金規正法の罪に問われた。いずれも起訴内容を認めており、6月中旬までに判決が言い渡される。北教組は道内の公立学校の教職員が加入する職員団体。加入者は約1万9千人、組織率は34.2%。
    ◇
【校長が教職員に聞き取った調査項目の例】
〈組合活動〉
・勤務時間中に校内で行われた職員団体の集会に出席したことがあるか
・教研集会に参加したことがあるか。必要な年休手続きは行ったか
・(FAX、コピー機、電話、パソコンなどを)職員団体用務のために使ったか
・上記について勤務時間中に使ったか
・上記について校長の承認を得たか
・上記について、使用しているのを見聞きしたことがあるか
〈政治的行為〉
・職員団体からカンパ要請を受けたことがあるか
・校内でカンパの集金、勧誘をしたことがあるか
・選挙運動の「指令書」と呼ばれる文書を知っているか
・選挙区ごとの「専従担当者」になったことがあるか
・「個別訪問」を行ったことがあるか
・「ビラ配り」などを行ったことがあるか
・「支持者カード」による支持者獲得を行ったことがあるか
・校内に特定政党や候補者のポスターを掲示したことがあるか
・上記の行為を見聞きしたことがあるか


2010-05-30 03:32 | 記事へ |
| スピリチュアリティ / 労働 / 政治、権力 |
2010年05月29日(土)
ユニオン活動の紹介


「ユニオンぼちぼち」と同類の「インディーズ系個人加盟型ユニオン」のフリーター全般労働組合のメルマガで、活動報告がなされています。
その一部を紹介しておきます。ユニオンってこういうことをしているんだ、ということがわかるので。ぼちぼちは、こんなにたくさん活動できてませんが、まぁ似たことやってます。
フリーター全般労働組合って、ユニオンって、すごいよねー。こういうことができるんだってのは、希望と思います。

それで、以下にもあるように、高円寺で営業していたキャバクラ「New Club Red Line(レッドライン)」および堅志良平代表に関する情報がある方は、以下のところに連絡してあげてくださいね。
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<キャバクラユニオン解決案件>
・赤羽のキャバクラにおけるボーイへの給料未払いに対し、当該が納得する条件で和解が成立しました。キャバクラユニオンにはキャストもボーイも加入でき、違法な店と団体交渉します。
・町田のキャバクラで上司によるパワハラとセクハラを受けた件等について、東京都労働委員会のあっせんにより和解が成立しました。

<F労解決案件>
・温水プール管理会社で上司から暴行などパワハラを受け中途解雇されそうになった件について、現職復帰、団体交渉での加害上司からの直接謝罪、当該が納得する条件での和解がすべて成立しました。

・清掃管理会社で突然「雇い止め」=不当解雇され、団体交渉によりいったん解雇が撤回されたものの、再度解雇予告通知が行われた件について、当該が納得する条件での和解が成立しました。2度にわたる解雇は不当ですが、会社側が行政から受託していた業務を他社がダンピングして奪っていたなどの背景もあり、「無駄な支出を削れ」との「大義名分」の下で構造的に民間非正規労働者にしわ寄せが来る構造を痛感させられました。

・フランチャイズのコーヒー店でレギュラー勤務から突然週1回のシフトに減らされた件について、団体交渉によりシフトを元に戻させることができました。
・この他、大手派遣会社によるパワハラ案件の和解も勝ち取りました。

<P団争議案件>

・高円寺で営業していたキャバクラ「New Club Red Line(レッドライン)」(東京都杉並区高円寺南4-27-15-303)および堅志良平代表に関する情報を求めています。
同店は2009年末に突然閉店しました。堅志良平代表は、店で働いていた従業員の給与を支払わないまま行方をくらましています。F労・キャバユニでは同店および堅志良平代表に関する情報を募っています。どんな小さな情報でも結構です。
ご存じのことがありましたら、ぜひご一報ください。
union@freeter-union.org

・ 中古パソコンショップPCNetを全国展開する株式会社パシフィックネット(本社
三田・店舗秋葉原他)は、有期雇用契約の延長で10年間雇用していたXさんを、更
新日10日前に突如として「雇い止め」にしました。判例上、このような雇用は実
質上無期雇用とみなされます。しかしパシフィックネットは従業員の「知識」不
足につけ込む形で、解雇理由の説明も十分に行わず、解雇予告手当すら支払わず、
「雇い止め」=解雇を強行してきました。
XさんはF労に加入し、会社側と団体交渉を持ちましたが、会社側は解雇を撤回せず。さらに中途より代理人弁護士が登場し、それまでの交渉の内容を堂々と翻すなどのきわめて不誠実な対応を行ってきました。P団は、このような社会的責任意識のかけらもないパシフィックネットに対し、鬼もびびってたじろぐ徹底的な争議を叩きつけていきます。

・クラブカルチャーシーンを最先頭で牽引してきた雑誌「remix」が「休刊」し編集部員の給与3か月分を未払いにしている問題で、雇用者アウトバーンの神山社長は東京都労働委員会からの呼び出しを無視し、調査を欠席しました。公的機関の呼び出しすら無視し逃亡しようとする神山社長を、P団は地獄の底まで追いかけます。

・党職員の不当解雇、未払い賃金について居直り続ける琉球独立党(現かりゆしクラブ)案件についてF労が都労委に申し立てている不当労働行為救済について、屋良朝助代表が久方ぶりに私たちの前に姿を見せました。屋良代表が都労委に提出した答弁書では、「当該組合員は有期雇用だった」などとまたもや事実に反する主張を行ってきましたが、当該組合員は調査に毅然とした態度で事実を答えました。

<その他活動報告>

・5月2〜4日の3日間、自由と生存のメーデー10 PRECARIAT-Z「逆襲の棄民 パンドラの箱が開く」が盛大に開催されました。とりわけ3日のサウンドデモは、新宿西口ロータリーを地下から地上へと文字通り渦巻く隊列が通る第1部、サウンドカー・シュプレヒコール隊・楽器隊の3梯団が夜の歌舞伎町を貫いた第2部の2部構成となり、メーデーを楽しみアピールしました。

・5月17日、麻生邸リアリティツアー事件国賠訴訟の初公判が東京地裁で開かれました。40席の傍聴席に座り切れない多数の支援者のみなさん、ありがとうございました。


2010-05-29 01:37 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年05月22日(土)
働くことについて



村上龍が『新 13歳のハローワーク』『13歳の進路』をだした。
自分探しではなく、外の社会を知り、英語などの勉強もして自分に向いた仕事があると思い続け、成功した経営者のようにがむしゃらに頑張ることだという。

違うね。この意見は、いまの変動社会に適応し勝っていくタイプの人間の哲学だ。
柔らかくいっているが、内向してグチグチいって、言い訳して逃げるな、ということであり、ポジティブ・シンキングの流れであり、自分でリスク管理せよ、自己責任論でいけ、につながる感覚だと思う。

だが、いま僕が求めているのは、そうした今の社会の秩序を根源的に批判するような生き方のリアルなノウハウだ。“むこう”とは違う生き方をやっちゃう、と言うことだ。

まったく探っているものが違う。
触れている人、見ている現実、が違うから。
付き合っている人、生きている環境が違うから。

どこにいて、だれに触れるか。誰の声を聞くか。
2010-05-22 01:48 | 記事へ |
| 貧困/反貧困 / 作品 / 労働 |
2010年05月12日(水)
交通費支給について


皆さんの職場で、交通費が給料と一緒に払われて、課税されている人はいませんか?
そういう場合、賃金部分と交通費はわけてもらって、交通費は非課税にしてもらうということができます。

シングル単位社民主義・増税論者の僕としては、税金が安くなればいいとか節税が無条件によいとはいえませんが、労働組合としては、労働者の権利として、情報提供はしたいと思います。

ひどい会社だと交通費を一律「何千円」ときめて、それ以上支払わないというようなことをしています。しかし、支給されている額が低すぎるなら、実費が支払われるように要求する必要があります。

交通費に関わる課税についてですが、一定の限度額までは非課税となっています。
たとえば、自宅から会社までが15キロメートル以上25キロメートル未満の場合、マイカー通勤の限度額は11,300円です。片道35km以上の場合は限度額は24,500円です。
そこまでは非課税になります。1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当を支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。

ひどい会社なら、交通費を実費分まで支払うと課税されるから損だよとか、課税されるところまで払うことはできないなどといいますが、それはウソです。


2010-05-12 01:01 | 記事へ |
| 労働 |
2010年05月07日(金)
派遣・専門26業務の見直しにむけてのまともな動き

女性ユニオンをやってきて、ACW2などもしている、伊藤みどりさんは、もっともまともな女性労働問題の活動家です。現場、実態を知っており、そこから現実を動かす試みを多様に編み出していく人だからです。

派遣労働について、専門26業種というようなくくりがおかしいというのは、私が前からいってきたことで、当然伊藤さんも言ってきました(私のHP参照)。しかし、ほとんどの労働運動団体は、その問題の優先度を低くしてきました。
派遣法改正でも、「日雇い派遣の例外の18業務」というのがあって、当然、大問題なのですが、専門26業種を問題としきれない流れの中で、専門という言葉で、ほとんどこの問題も、優先度が低く扱われています。

しかしこの問題は決定的といえるほど大きい問題です。
それで、以下のような動きがあります。厚生労働省の省令見直しで議論されるということですので、とても大事なことだと思います。

下記は、転送・転載可。
//////////////////////
みなさま

すでにご存じの方も多いと思いますが、
日本人材派遣協会の、理事長、副理事長は自らの
大手人材派遣会社が違法派遣をしていたことで、辞任されました。
厚生労働省は、専門26業務について、適正化プランとして行政指導を
今年2月に発表し3月、4月は、適正化の強化月間として全国の労働局に告発された企業に指導がはいりました。

しかし、派遣会社に対するペナルティが弱く、派遣労働者に対して
違法だから契約を打ち切ると、一方的に労働者の雇用を打ち切り
なんらの保障もしていません。これでは、なんのための適正化
か、わかりません。派遣切りが起きています。

例として独立行政法人などに多い「ヒューマンリソシアの登録派遣」では、「あなたは、違法だから別の派遣会社に登録するよう」に、言われてほとんどの人が切られたということです。

そこで、今国会審議に向けてロビーのために登録型禁止の例外とされた専門26業務の、実態調査をするべく、掲示板を作成しました。みなさまのご協力をお願いします。

また、与党の中で、士や医師、看護職などを専門26業務に
追加するべきなどと、とんでもない動きもあり(すでに日雇い看護師が登場している)
これでは、規制緩和ともいえる動きで目が離せません。
下記のように、派遣の専門26業務の実態調査をすべく、掲示板を作成しました。
────────────────────────────────────
【掲示板タイトル 】 緊急専門26業務実態調査
【URL 】 http://9302.teacup.com/26haken/bbs


☆下記は、26業務追加に対する資料です。

ACW2要望書
http://files.acw2.org/10428haken.doc

下記 週刊金曜日の介護現場の派遣に関する記事 
http://files.acw2.org/10430.pdf

「規制する・保護する」という名目の中で規制緩和が入らないように
注意が必要です。

衆議院厚生労働委員会ですが、野党自民党が審議拒否の中で
連休明けも日程がまだ、不確かとのことです。

☆下記 朝日新聞 4月27日の記事

http://files.acw2.org/100427asahi.pdf

ここまで


2010-05-07 00:56 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 |
2010年05月01日(土)
A君事件 第三回公判情報 
生活保護申請ビデオカメラ弾圧
第三回公判の傍聴支援のお願い


このブログで何度もお伝えしてきて多くの人から支援していただいた柏原市A君事件の第三回裁判のお知らせと、第二回裁判の一部紹介です。

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日時:5月7日(金)15時40分〜
(10分前には法廷前廊下に来て頂き、組合の担当者に必ず声をかけて頂く様お願いします。)
場所:大阪地裁 堺支部301号法廷(南海堺東駅徒歩10分)
内容:被告尋問

以前お知らせしました通り、昨年10月27日から身柄拘束されていたA君ですが、第二回公判直後の3月31日に保釈されました。
保釈条件の一つには、柏原福祉事務所への接触を一切禁じるという(弁護士を通じる場合を除く)、生活保護を受給しながら暮らしていた地域からの、司法を通じた信じがたい排除も付されました。
A君の今後の生活の建て直しも大きな課題ですが、同時に裁判闘争も続きます。第三回公判の日にちが迫ってまいりました。
皆様から頂いたカンパや知恵や声援で、何とかここまで辿り着きました。改めて、謝意を表すと共に引き続きのご支援とご注目をお願い致します。

関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼち
************************


以下、第二回公判(10年3月26日)の簡単な報告です。

まず、柏原市職員のS氏(以下、S)の尋問が検察側からあり、検察側の視点に立った状況説明がありました。検察尋問の最後に、検察側が「A氏に撮影されたり脅されて、いま、SさんがA被告にいいたいことは?」と聞いたことにたいして、S氏が次のように答えました。
「(A被告のことを)許すことができない、とおもっている。刑罰を望んでいる。法に基づいて厳正な処罰を求めます」

以下、検察側の尋問、および弁護人(木原弁護士)の尋問を通じて明らかになったことを、イダのメモに基づいて一部紹介しておきます。

○14日の再申請のときに「条件が同じならまた却下されると思いますよ」といっていたことや、18日に「既に14日に受理しているので、重ねてやる(二重申請)のはおかしい。供託金を生活費に使うように言ってたはずですが」というように、まったく困窮状態のAさんに、親切・援助的に接していなかったことがあきらかになった。
この8月18日時点でもいまだ、供託金の金を使うべきだという認識で、事実上、彼の生保の申請を、供託金を理由に拒否している。

18日の申請は無条件に受理すべきであるのに、そもそも申請を受理しなかったのがおかしい。前のままではダメかもとおもって生保の再申請をしたいというAさんの意志を一定はわかっていたことはS自身が認めている。Sは、(何をA氏は要求しているとおもったか、という問いに対し)「申請の日付の変更、再申請の提出、生活保護の開始、お金の支給を求めているとおもった。」といっているのであるから、なぜ日付の変更を求めるのか、なぜ14日に申請しているのにさらに申請したいのかをきき、Aさんの状況をよく聞いたうえで、こうしたら申請できますよと教えたらよかったのである。
しかしそれをしなかったことがあきらかになった。(木原弁護士がなぜ、14日に申請しているのに18日に再申請にきたとあなたは思うかと聞かれて、Sは、「特に意味のない行為と思う」と答えた。)

Sの言い分は「こちらから前の申請をいったん取り下げたうえで再申請を出せばいいのですよとはいえない。それは、Aさんが14日に出したものを否定するようなことで、それは申請権の侵害にあたるから」というもの。Aさんから自発的に書類が出されない限り、こちら(市役所)は何もしないと言うのが正当な対応と思っていると告白していた。
つまりSは、自発的に文書が出ないとダメという間違った認識を持っている。口頭でも意志を伝えていれば申請になるのにそれをしらず、かたくなに文書がでなかったことを問題にしていた。
取り下げという手続きがAのほうから自主的になされない限り何もできない、すべきでないとSは主張していたが、それは間違い。
「取り下げをしたら二重申請でなくなるので、申請を受理できますよ」と教えることは、申請件の侵害などではなく、逆に、本当に実質的な申請権を保障するために必要なこと。
Sは形式論を言って事実上申請をさせず、申請して早く生活保護を支給してほしいと願うAさんに対し、生保を受給できないように事実上妨害していたとみなすことができる。

○ Aさん名義の貯金があることがわかったのは、4月のはじめごろ。この時期、福祉事務所職員Sらは、Aさんと話をする中で、貯金が単純にAさんのものでないという事情を聞いていた。2009年2月の時点で母親との関係が断絶していることを把握していたことが、ケース記録にちゃんとかいてある。5月ごろには、供託金にされた事実や供託金にまでされた事情も聞いていた。
それなのに、Sは調書で「8月3日の申請の後、初めて貯金を見つけた」というようなことを書いている。ウソを書いている。
木原弁護士がその矛盾をつくと、貯金と供託金は別物であるかのような形式でいいわけをしようとしていたが、5月に貯金が供託金にされたことを知っていたのだから、このいいわけは意味を成さない。

○ Sは8月の時点でも「本人の金か母の金かわからないと思った」と証言したが、ここには、Aさんへの不信感があったことが示されている。金があるのに、不正に生保を取得しようとしている人物かも、という感覚をもっていたことが明らかにされた。Aさんの話をちゃんと聞いて信頼する、という態度とは正反対である。

○申請後に要保護の条件がでたらどうなるかという木原弁護士の問いにも、申請日の条件で判断するという、間違った応答をSはしていた。

○ 以上より、Sなど柏原福祉事務所は、全体として、生活保護法25条の「急迫した状況」にある者(Aさん)にたいして「職権による保護の開始」をすみやかにすべしという規定に反したことをしていたのである。

○ Sの証言全体で、Sという人が、実は心の奥底に、経済的に困窮していたり精神的にもしんどかったAさんを助けてあげよう(申請のやり方を教えてあげよう)という気持ではなく、腹の立つやつだから処罰して欲しい、という気持ちがあることがよくわかった。
逮捕させ、5ヶ月以上(3月末時点で156日)も拘置・勾留させたことを踏まえて、少しは温情的なことをいうかと思ったら、3月末時点でも確信犯的にAさんに処罰を求めるという態度の人物であった。
                                  以上
2010-05-01 16:54 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 / 政治、権力 |
2010年04月25日(日)
メーデー 写真 準備段階
写真の続きです。


























2010-04-25 19:05 | 記事へ |
| メディア / 労働 / 作品 |
4月29日メーデー 準備すすむ

「ユニオンぼちぼち」「ユニオンエクスタシー」「反戦生活」のメーデーについて、いくつか紹介してきましたが、昨日、今日、2日にわたって横断幕つくり、パペットつくり、プラカードつくりなどしました。疲れたけど楽しかったです。(今日は筋肉痛)

ある定型的なもの(商品)の消費ではなく、ほぼ無料の材料から作り出すことで、対抗的な「遊び」ができます。スポーツやゲームやショッピングや観劇・テレビ視聴といった与えられたスペクタクルの受動的消費ではないような、「状況」を積極的に作り出す、「漂流」的な活動です。

以下、少し写真で紹介します。
エクスタシーがおもしろいこと(?)も計画中です。実現しないかもですが。パペットは乞うご期待、ってとこかな。
4月29日、京都の四条河原町に反スペクタクルの異空間が出現します。来たら、ちょっと面白いかもよ。

メーデー関係の既出ブログ
「逃散や不服従」メーデー
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1364/
メーデービラ http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1371/
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1382/
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1381/http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1377/
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1366/

以下写真










2010-04-25 18:49 | 記事へ |
| 労働 / メディア / 作品 |
2010年04月23日(金)
大沢たかおさん、第三弾!

以下を聞いてみてください。
http://www.rodoku.jp/index.html?id=b9b806931cc879a629e8faaf91d4d384

大沢たかおさんが、共感を持って以下のようなことを読んでくれています。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
失業者や病気の人を追い詰めるなー。
「仕事を選り好みするな」とえらそうに言うなー。
生活保護を3年で打ち切るなー。
勝ち組の自己責任論はアン・クール。
働かない権利も認めよ。!
末端で傷つけあうのはやめよう! 
生きのびよう!みんなで生きのびよう。
自分と他者を肯定しよう
ユニオンに入って、潰されないぞと声をあげよう
最低賃金を今すぐ1500円にしろ。
あらゆる父親は育休をとろう。
家賃2万円の部屋を大量に作れ。
奨学金を貧乏人に返済させるなー。
駅前に無料の自転車のおき場所をつくれー。
すみかをよこせ!。
当たる宝くじを配給しろー!。
みんな過労死するな。
ネットカフェから追い出すな。
 戦争で儲けるのをやめよう。日の丸・君が代を押し付けるな。
アメリカに加担するな。沖縄に米軍基地を押し付けるな。
消費伝染病を治せ。
5年でくびは許さない。
世界の見方を変えよう。
********************

なお、
「元号を押し付けるな。」
「「従軍慰安婦」番組を改ざんするな。」
「沖縄に基地を押し付けてきた自民党が鳩山首相を責めるとは、笑止千万。」
という3つは、入れたら大沢君は読んでくれませんでした。

ふーむ。どういう基準だろう?

2010-04-23 00:57 | 記事へ |
| 作品 / 労働 |
2010年04月20日(火)
メーデーの言葉を大沢たかおさんが・・・

ぼくの友人の大沢たかおさんが、僕がメーデー用に集めたりつくった言葉を読んでくれました。少しヘンだけどね。
2つあります。
http://www.rodoku.jp/index.html?id=f43f5141293c6bb3d9f6b914c211b188

http://www.rodoku.jp/index.html?id=ff268029495046533277ccc5f8a24d07

大沢たかおさんがKUMASOを紹介しているのを教えてもらって、実は、上のもすぐに作りました。
http://www.rodoku.jp/index.html?id=7a51705f7f3ce39ba7c0b8702a769dcc

というわけで、残念ながら、大沢さんは組合員でもなければ、友人でもないです。

なお、「アマゾンにリンクなんかしてんじゃねーぞー」というのを入れると、大沢君は読んでくれませんでした。
狭量ですね、ネッスル君。
2010-04-20 02:28 | 記事へ |
| メディア / 労働 / 作品 |
2010年04月16日(金)
NHK「カンテツな女」を隠す?


NHKで、2010年1月20日より毎週水曜 午前0時10分〜0時39分 (火曜深夜)に「カンテツな女」という番組が流された。
NHK自身、HPの番組案内として以下のような文章を載せていた。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
番組情報 (NHK HP)

深夜0時。多くの人が眠りに落ち、あるいはテレビの前でくつろいでいる時にも、懸命に働く女たちがいる。夜を徹して働き、朝を迎える女、名づけて「カンテツな女」。そんな働く女性の心のうちに迫るべく、時々刻々、ふと見せる表情や仕草、言葉をヒントに、ディレクターが次々と疑問をぶつけ、「カンテツな女」の心を裸にする番組が「カンテツな女」だ。

「なぜそこまで仕事に真剣なの?」「やりがいって何?」「仕事やめたい時ってない?」「結婚とか、どう考えているの?」・・・。
ロケは一夜限りのぶっつけ本番。ディレクターも女性。働く女性の素顔に迫る、新しいタイプのインタビュードキュメント番組だ。

クリスマスの夜に銀座のディスプレイーを飾る女性、24時間営業の美容室で指名NO.1の美容師、夜中にたくさんのお年寄りの家庭をまわり世話をする介護福祉士・・・
ご期待ください!
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これに対して、労働関係者などから抗議が寄せられた。レイバーネットのMLでも批判が相次いでいた。新聞にも以下の記事が載った。


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NHK「カンテツな女」改善を 過労死遺族が抗議
http://www.asahi.com/national/update/0227/OSK201002260207.html
@『朝日新聞』2月27日

 徹夜で働く女性の姿を追うNHKのドキュメンタリー番組「カンテツな女」について、過労死遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」(東京)などが、長時間の深夜労働を礼賛するような内容だとしてNHKに改善を求める申入書を23日付で送った。
 番組では、美容師やトラック運転手ら夜を徹して働く女性の仕事ぶりや生き方を紹介。1月20日から毎週水曜の午前0時10分から放映され、来月3日が最終回の予定。
 今月17日の放送分では、30代の居酒屋チェーン店長が1日17時間近く働き、週平均5日の徹夜勤務をこなしているとされ、本人の「今はすごい幸せです」という言葉も伝えられた。

申入書は「力強い生き方には感動するが、常軌を逸した長時間の働き方に無批判な番組づくりは疑問」として、過労死の危険性も踏まえた番組制作を求めている。
 連名で申し入れた過労死弁護団全国連絡会議(東京)の代表幹事を務める松丸正弁護士(大阪)は「連日の徹夜勤務が過労死や過労自殺を招くことはこれまでの裁判でも明らか。心身の限界まで働くことを美談とするべきではない」と話す。 
NHK広報局は「法令などを考慮しながら番組制作を進めており、内容に問題はないと考えています。様々なご意見に謙虚に耳を傾け、番組づくりを進めていきます」との談話を出した。

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僕はこの番組を見ていなかったので、再放送を探したら、ちょうどやる前だったので、第1回から4回までの分は見れた。
だが抗議が寄せられた回の放送分は、最初の再放送予定日には、急遽オリンピックのスケート番組になっており、再放送が3月29日に延びましたとHPにのっていました。まぁ、しかたないかなとおもって3月29日前後の番組を見ると再放送がないんです。
そしてHPをみたら、この番組に関するものはすべて閉じられていました。観れなくなっているのです。NHKは、隠したのじゃないでしょうか?(ひょっとしたら僕の誤解かもしれませんが)

ETV2000の従軍慰安婦番組を隠し続けているNHKですから、今回も隠しているのかもと疑っています。

実は、僕は再放送を見れた前半4回分を観た感想は、なかなかよい番組だったというものです。

朝の9時20分まで徹夜で働く美容師。幸せになりたい。そのために、お金を溜めたい。一生懸命働いて。お金ができてゆとりができると、幸せと感じれるかな。
価値観や、労働条件としては問題があるとも思いますが、それでも若い女性ががんばっているなーと共感的に見れました。介護やディスプレーなどその他の回のみなさんも、皆がんばっていました。僕が一番 感動したのは、「雪を作る女性」の回。スキー場で深夜に人工雪を降らせていました。めっちゃ体力がいる仕事です。
がんばってるなー、えらいなー、がんばれー、ってすなおにおもえましたよ。ジェンダーフリー的で応援したい気持になりましたし自分も頑張ろうと思えました。

でも、長時間労働がおかしいんじゃないのといわれた、居酒屋やトラック運転手の分を、NHKは再放送しなかったのです。隠蔽体質はよくないですね。賛否両論あるものは、ちゃんと見せて議論を重ねればいいんだから。もし意図的に隠したなら大問題ですね。

問題になった女性トラック運転手の状況は、「千葉-大阪-三重間を往復、週6日は、トラックで寝泊まりをする。」「仕事中の骨折やけがもある。」「家に帰るのは土曜日の夜だけ。ご飯もほとんどがコンビニです。毎日眠るのは数時間」だそうです。また30代の居酒屋チェーン店長の話では、1日17時間近く働き、週平均5日の徹夜勤務をこなしている状況だそうです。

この番組を作った女性ディレクター達も、頑張りという点ではわかるけれども、自分も業界に染まって(染まらされて)長時間労働をあたりまえにしているので、労働問題や人権としては視点が曇っている人が多かったのかもしれません。
でもだからこそ、批判を受けて検証番組を作ればよかったのです。メディア内の労働組合が不十分ということも影響していますね。

この番組では、製作したディレクター自身が製作した後に感想コメントを書くようなブログもありました。「ここまで懸けられる何かを見つけている彼女にうらやましさを感じました」と書いていました。
(後ろに資料として添付してあります)


「働き甲斐」や「生き甲斐」がある中で時にはがんばって働くことはあります。しかし、うつ病などの精神的な病気、腰痛などの身体病気、過労死、事故等などが多発していて、長時間労働は絶対によくないというのは現実です。過労が原因なのに、労災否定、労災隠しもあります。

長時間労働、無権利状態に鈍感すぎる風土!

本人は自分で喜んでやっていると思っているかもしれませんが、前提の条件や思い込みというものがあります。
たとえば、夜中にトラックを走らせないとダメという場合でも、深夜の1時から5時までは仮眠の時間を強制するようなことは出来ます。でも、人手が足りない、経費をかけられない、相手先からの条件が厳しいなどという現在のひどい状況を前提に社長が怒鳴っているような会社では、事実上、こういう働き方を強いられているといえます。NOを言えないし、言う発想さえ持たされていない。

たとえば、カンテツしないといけない場合でも、徹夜のあとは必ず翌日は1日24時間の休みを取らねばならないというように、労働組合が労働時間にかんする協定を結べばいいのです。法律で規制してもいいです。でもそういうことがない。そういうなかで、みながんばっているのです。

法律にのっとって、「労働時間」「休憩時間」「深夜手当」「残業代」「拘束時間」「有給休暇」「社会保険」「労災」「仮眠室、休養室の整備」等がちゃんと補償されているか、それを支えるユニオンがちゃんと監視・交渉しているかどうか見ていくことが必要ですが、そういう視点がないまま、皆が、「頑張っている」のです。NHK番組はそこに無自覚だったということでしょう。

メディアは、批判を恐れず、賛否両論を公開して検証番組を作る責任があります。過労死や労働条件の問題として、まともな組合の活動なども放送すればいいのです。テレビでは本当にまともな組合が出てきませんからねー。逃げて隠蔽するというところに、メディアの責任と使命が分かっていないということがあらわれています。

MLである人が述べていましたが、NHKのこの番組は、「社会人たる者このように働け!」と「刷り込み教育」をしている面があると、僕も思います。メディア情報を批判的に見る目をもつことは現代ではとても大切です。

昨日始まったテレビドラマ『素直になれなくて』という80年代っぽいタイトルの番組でも、上司にパワハラやセクハラされるむちゃくちゃな職場シーンが出てきましたが、あんなの、ユニオンに相談して交渉すれば一発の問題なのに、まったくそういうことがないのが日本社会、日本のテレビ状況なのです。

みんなもっともっと、「少し働く、のんびり生きる」というスタイルになれていこうよ、いつまで高度成長の時代の感覚で生きてんだ!、そしてなにかあればちゃんとユニオンに入って交渉していこうよ という声を大きくしていく必要がありますねー。



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以下、NHKのHPの情報(今は消されてしまってみれません)

2009年放送 第0夜 テレビ通販会社 コールセンター長 水野緑

第0夜
2009年9月29日(火) 午前0時10分
[再] 2010年1月16日(土) 午前1時25分(金曜深夜 近畿・徳島は休止) ☆ テレビ通販会社のコールセンター長・水野緑さん(37歳)。24時間お客からの注文を受けるオペレーター400人の頂点に立つ。限られた時間の中で、できるだけ多くの注文をこなせるようオペレーターたちを指揮するのが彼女に与えられた使命だ。
アルバイトとして働き始め、派遣、契約、正社員、そして管理職とのぼりつめた彼女。
午後9時スーツに身を包み、コールセンターの「司令塔」に登場。
午前0時〜1時最も忙しい時間帯、たくさんの問い合わせにどう対応するか瞬時に判断し、一本でも多くの電話をとれるよう、オペレーターたちを指導する。
午前2時、休憩室でインスタントのパスタを食べる、午前5時、夜明け。
早朝の繁忙時間をこなし、午前9時勤務終了。
「なぜそこまで仕事に真剣なの?」「結婚とか、しないの?」・・・ディレクターはどこまで彼女の心の底に迫れるのか。
主人公とディレクターが真剣勝負!


第1夜 美容師 蛭田恵子
第1夜
2010年1月20日(水) 午前0時10分 (火曜深夜)
[再] 2010年2月11日(木・祝) 午後2時30分 [再] 2010年3月2日(火) 午前1時40分 (月曜深夜) ☆ 第1夜は、池袋・北口が舞台。飲み屋やホストクラブ、キャバクラが集中する通りの外れにある小さな美容室。ここで指名No.1の美容師、蛭田(ひるた)恵子さん(29歳)は、ひと晩で十数人の男女を美しく変身させる。
華やかであっても孤独な都会の夜、蛭田さんの存在は、この街で夜を徹して働く人々の癒しとなり、だからこそ常にNo.1の指名を誇っている。だが、しゃべり続けの一晩を終えた朝、ふと孤独が襲ってくることがあるという。一夜、あざやかにハサミをさばき、男も女も美しく変身させるカンテツ美容師、蛭田恵子さん。20代を若さと勢いで突っ走ってきた“30歳目前女”の心の揺れを描ききる。
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第2夜 ディスプレーデザイナー 持木慎子

第2夜
2010年1月27日(水) 午前0時10分 (火曜深夜) [再] 2010年3月2日(火) 午前2時10分 (月曜深夜) ☆ 第2夜は、銀座の街の装いが、一変する12月25日クリスマスの夜が舞台。
ディスプレーデザイナーの持木慎子(もちき・ちかこ)さん (39歳)は毎年この日カンテツ。老舗天ぷら屋の店頭にある季節感あふれるディスプレーを15年に渡り担当している。
22時の閉店後、誰もいなくなった店内で作業開始。細かい作業を一人で黙々と続ける。完成デザイン画はあるが、現場でアイディアが閃けばどんどん変更していく。
目の前は銀座通り。飲み会帰りのサラリーマンの喧噪、カップルの修羅場、水商売の女性たちの出退勤…今年の12月25日は金曜日。例年以上に賑わう銀座を舞台に、「母親としての自分」と「働く女としての自分」の両立をめざす持木さんの一晩を追う。
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第3夜 介護福祉士 落合水紀惠

第3夜
2010年2月3日(水) 午前0時10分 (火曜深夜) [再] 2010年3月2日(火) 午前2時39分 (月曜深夜) ☆ 第3夜は、夜間介助を必要とする人に、定期的な巡回サービスを行う介護福祉士。横浜市の落合水紀恵(みきえ)さん(36歳)は、通常の日勤のほか、週2回ほど徹夜で働く。
午後3時、夫の夕食を作り終えて出勤。午後5時から十数件の高齢者宅をまわり始める。温タオルで体を拭き、オムツを交換、着替え、体位交換をしておよそ30分。その間、「お顔をふきますね」「今度はこっち向きますよ」と声をかけ、その反応から体調なども探る。
様々な家庭が垣間見えてくる。仮眠時間はあるものの、業務が立て込めば休息のとれない時もある。疲労の増す早朝のモーニングサービス時間がいちばん忙しい。
都会を中心に増加する、高齢者の一人暮らし、介護を必要とする人々...。ほんのわずかでも助けようと落合さんは急ぐ。“人とのふれあいと安心”を届けようとするひと晩を追う。
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第4夜 雪を降らせる人 鈴木清美

第4夜
2010年2月10日(水) 午前0時10分(火曜深夜) [再] 2010年3月2日(火) 午前3時09分(月曜深夜) ☆ 第4夜は、真夜中のスキー場が舞台。鈴木清美さん(35)は、パウダースノーのゲレンデに人工雪を降らせる。8人チームのなかでたった1人の女性だ。鈴木さんが働く滋賀県の琵琶湖西岸のスキー場は積雪が少ないため、氷点下の夜には常に人工雪を降らせ、ゲレンデを整える。風や気温の変化によって降雪機の位置や配合する水の量を変えるなど、ひと晩中の監視が必要だ。

鈴木さんは、日本を代表するウェイクボード(水上版スノーボード)のプロ選手だった。オフシーズンの冬、仲間の誘いで始めた現在の仕事は今年で4年目。3年前に競技生活を引退したものの、「夏は水辺、冬は雪山」という琵琶湖中心の生活を今もやめられずにいる。

しかし35歳。いつまでも好きなことをして生きていられるのか。
7時前、降雪機の撤収が終わるころ、空が明るくなる。鈴木さんが励みにしているのは朝焼けの琵琶湖。鈴木さんの一番好きな時間だ。
「寒い、きつい、しんどい。でも、それが楽しい」という鈴木さん。真っ白なゲレンデを仕上げるひと晩に密着する。
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第5夜 居酒屋店長 中山智映子

第5夜
2010年2月17日(水) 午前0時10分 (火曜深夜) [再] 2010年3月7日(日) 午前2時10分(土曜深夜) ☆ 第5夜は、兵庫県尼崎市の居酒屋チェーン店店長・中山智映子(ちえこ)さん(34歳)。「36歳までに独立し、理想の居酒屋を開きたい」とほぼ毎日カンテツしている。小柄でアニメのような可愛らしい声が印象的だが、2人の子どもを持つシングルマザーだ。
子どもとの時間を犠牲にしてまで働くのはなぜか。中山さんの脳裏に浮かぶのは一代で呉服屋を築いた父。56歳で急死した。「いつ何があるかわかならい。早く“生きた証”を作りたい」。それが中山の口癖だ。

週末は17時から朝5時まで。およそ10人のバイトスタッフを統率しながら、お客に料理と酒を出し続ける。料理の品質をチェックし、見栄えが悪いとキッチンに突き返す。宴会予約をとりつけるため営業に走り回ったり、テーブルに手書きのメッセージを添えて客を迎えるなど、アイディアも豊富だ。
激戦が続く居酒屋の世界に飛び込み、「忙しく働く時が一番幸せ」という中山さんのカンテツを追う。
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第6夜 トラック運転手 門馬千草

第6夜
2010年2月24日(水) 午前0時10分 (火曜深夜) [再] 2010年3月7日(日) 午前2時39分(土曜深夜) ☆ 第6夜は、長距離トラックの運転手、門馬千草(ちぐさ)さん(36歳)。大型13トンを転がし、千葉-大阪-三重間を往復、週6日は、トラックで寝泊まりをする。
男でも音を上げる40キロを超える荷物を軽々と運び、自ら仕事をとる営業もこなす。

仕事中の骨折やけがもある。プライベートの時間も極端に少ない。「なぜそこまでハードに働くの?」「どうしてトラックなの?」「結婚はしないの?」「支えは何?」
午後1時の荷積みから、翌朝7時まで彼女のカンテツにディレクターがトラックに同乗。どこまで彼女の本音に迫れるのか。一晩限りの真剣勝負が始まる・・・。
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この回の製作ディレクターの感想

大型トラックってほんとに大きいんです。
長さでいうと12メートル。乗用車の3倍です!
高さ3.7メートル、幅2.4メートル。
荷台も人が住めそうなくらい広いんです。
この大きな車で一発バック停車なんてキメられると
思わず「ほうっ」とため息が出てしまいます。
ずっとトラックの後ろを追いかけていたベテランのロケ車ドライバーさんに言わせると、
門馬さんは運転がうまく、周りを「よく見ている」そうです。
確かに常に目が様々な場所を追っていました。
一般道の歩行者、自転車、大型車量とのすれ違い、追い抜き・・・。
これだけの車を動かすのはやはりとても神経を使う仕事なんですね。
門馬さんは週6日、このトラックの中で過ごし、家に帰るのは土曜日の夜だけ。
ご飯もほとんどがコンビニです。

毎日眠るのは数時間、冬の夜間の洗車、重い荷物を持ち上げて・・・と、
隣で見ているだけでしんどくなってきそうな重労働。
しかし、門馬さんの口癖は「楽しい」「うれしい」。
トラックを運転できて楽しい。
トラックがきれいになってうれしい。
愚痴がひとつもないんです。

ロケの間、何度も聞きました。
「どうしてこんなにつらい仕事できるの?」
「普通の生活がしたくないの?」

答えはいつも
「トラックが好きだから」
正直、最初は「何かあるだろう」と思っていました。
でも、何度も聞いていくうちに、
「なんていうか、ほんとにトラックが好きなんだなぁ・・・」
と彼女の気持ちが心に落ちていきました。
同時にここまで懸けられる何かを見つけている彼女にうらやましさを感じました。
「私からトラックをとったら何も残らない」
そう言い切る彼女の目には悲壮感ではなく、
自信が溢れていました。
この門馬さんの思いが伝わるか。
少しでも伝わってくれればうれしいなと思います。
是非ご覧頂き、皆様のご感想お聞かせください。

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第7夜 貨物船船長 寺田美夏
第7夜
2010年3月3日(水) 午前0時10分 (火曜深夜) [再] 2010年3月7日(日) 午前3時08分(土曜深夜) ☆ 第7夜は、瀬戸内海をゆく貨物船「翔洋丸(しょうようまる)」船長の寺田美夏(みか)さん(28歳)。広島・神戸間を往復し自動車部品のコンテナを運ぶ。国内航路のコンテナ船では初の女性船長。男社会に飛び込んだ、ガッツのある女性だ。

一回の航海は約15時間。午後4時に神戸港を出発。見張り兼操縦を、航海士2人と交代で務める。寺田さんは世界でも稀な難所・来島(くるしま)海峡通過を含む、深夜2時から朝7時までを担当。狭い水路を、双眼鏡やレーダー、海図、潮の流れなどのデータを駆使し、果敢に舵を切る。高価な積み荷と4人の船員の命を一身に担う重責。「だからこそやりがいがあります」と明るい。

私生活では2年前に結婚。「3か月続けて乗船し、1か月休暇に帰る」寺田さんを、サラリーマンの夫が川崎の自宅で待つという型破りな夫婦だ。
寺田さんの一晩の航海に同乗、ひたむきに自らの生き方を切り開こうと模索する姿を描く

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2010-04-16 12:04 | 記事へ |
| 労働 / メディア / 作品 |
労働なき富


自民党の丸川珠代議員が、国会で鳩山首相を批判した。ガンジーが社会的大罪とした「労働なき富」の概念を使って「母親からの資金提供は、お母様からの『児童手当』であり、労働なき富そのものだ」と批判しはった。

あたいは、「労働なき富」を批判したガンジーは、大金持ちが、人を搾取したり、遺産や利子や人に任せて株などの投機的なやり方で大もうけすることを批判していると思うよ。
「7つの大罪」全体を見れば、スピリチュアリティな感覚の言葉だよ。

でも、児童手当とか、生活保護とか、社会保障における給付金は、生きていくための権利の実現のカタチであって、働かなくても住居や食事や衣服が保障されるのは、いると思うよ。

丸川さんは、金持ち支援の自民党にいてよく言うよと思うが、保守の中には、自己責任論的に、「働らかざるもの食うべからず。努力して儲けるのはよいことだ」みたいな考えのひとはいて、そういう人は、「労働なき富」という概念をガンジーとは違った意味で使うんだろうなあ。
2010-04-16 10:50 | 記事へ |
| スピリチュアリティ / 生き方 / 労働 |
2010年04月14日(水)
生活保護の期間制限化・反対集会

大阪市の平松市長が、「働ける人が大阪市で生活保護を受ける場合は市の仕事をやってもらう」といって3−5年で生保支給を打ち切る期間制限化(有期化)を考えていることを受けて、大阪で反対種会「生活保護を3年で打ち切りって、ホンマでっか!? 」がひらかれた。
(呼びかけ: 生活保護問題対策全国会議、反貧困ネットワーク大阪実行委員会、生活保護切り下げ反対実行委員会、他)


基調報告の吉永さん(花園大教員、元生活保護ケースワーカー)の話は網羅的かつ具体的でよかった。
とくに、僕がリアルで問題点をついていてよかったと感じたのは、派遣切りにあった後、生活保護を利用したり、生活支援旧を受けながらの職業訓練をしている人の話。
ケースワーカーから「職業訓練校で9月入校の簿記とパソコンの初級講座が在るから受講してみないか」と勧められ、自分はクレーン資格などを取るコースにしたかったが、ケースワーカーから、「パソコンは使えたほうがいいでしょ」、「腰を痛めているから長く働くには事務職に行くしかない」「この講座を逃したら期間が開く。うちものんべんだらりと生活保護費を出すわけには行かない」などといわれて指示通り受けたという。
しかし、実際は簿記もパソコンも自分の能力や適性にあっておらず、仕事に結びつく感じがしないという。他の受講生も、生活支援給付があるということで、とりあえずきているような人も多く、ハローワークに無理やり押し込まれている場合があるという。
そして職業訓練は、3段階構成になっていて、第二段階ではパソコンでプログラムを作る講座になっていてむつかしすぎる、さらに第三段では実践的ということで前よりも難しいものしかなく自分の能力にあったものは受けられないという。
実は自分はトラック運転手ならできると思うのだが、免許がなくなっており、自動車の免許取得のコースなど、受講生のニーズや能力実態にあったものがあればいいという話だった。職業訓練は1日体験もなく、すすめられるままに受けてみるしかなく、実際に役立つものになっていないというのだ。
ハローワーク職員の話でも、いまの制度は無理やり人を受講させており、予備校救済的で、実情にあっていないと話していた。

そのほか、はなしとしては、ドイツなどの生活支援を調べてきた『朝日新聞』記者・清川さんの話がまとまっていてよかった。
「福祉から雇用へ」といってとにかく働けと説教するだけではなく、ドイツなどのように、ハローワークなどの職員が、相談者の抱えている状況(依存症、病気、借金、DV・虐待被害など)を解決・支援する手段を持っていて、そこと連携して対応していくことがいるという話だった。生保の捕捉率も日本は低く、働くのが実際に困難な人が多い。欧州では、もっとみんなが福祉を利用しやすく、当然、生保のようなものを使いやすく説明するパンフも在る。日本には、生活保護を使いましょうというパンフをおいているところはほとんどない。
そして、財政状況が厳しいことはわかるが、コストを大きく全体的に捉えるべきだという話。つまり、狭く生保の費用だけで言えば、水際作戦とか、生保有期化で、支給が減るので財政的にはよいように見えるが、それは社会全体での貧困や自殺や病気や虐待をむしろ増やしその対策にコストがかかるということであった。

まあ、とにかく、3年で生活保護打ち切りという脅しで、皆が働くようになる(働く場所が見つかる)というのは浅はかな考えである。


などと述べ、働ける受給者に仕事を提供する一方、一定期間内に市の仕事も就職活動もしない場合は保護を打ち切る「有期保護」の導入を検討していることを報道陣に明らかにした。

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資料

全国市町村最多の生活保護受給者がいる大阪市の平松邦夫市長は2 5 日、「働ける人が大阪市で生活保護を受ける場合は市の仕事をやってもらう」などと述べ、働ける受給者に仕事を提供する一方、一定期間内に市の仕事も就職活動もしない場合は保護を打ち切る「有期保護」の導入を検討していることを報道陣に明らかにした。
一定期間は3 〜5 年程度を検討しているが、打ち切るには生活保護法の改正が必要なため、専門家と協議して年内に市案を国に提出する。自立を促すための有期保護制
度は2 0 0 6 年、全国知事会と全国市長会が提案しているが、生活保護は「最後のセーフティーネット」だけに、今後論議を呼びそうだ。
市によると、働けない事情がなく、仕事が見つからない2 0 〜 5 0 代の受給者に放置自転車撤去などの仕事を提供する。現行法では、賃金の額に応じて受給者の保護費が減
額されるが、賃金の一部は本人の実収入になる。
また、業者が保護費の大半を家賃などとして吸い上げる「貧困ビジネス」に対抗するため、保護費として家賃分の住宅扶助を出す代わりに市営住宅の空室を提供することも検
討しているという。
大阪市では一昨年末ごろから生活保護の申請が急増。昨年1 1 月現在の受給者は1 3 万5 5 0 7 人で、市民の2 0 人に1 人の計算。保護費は1 0 年度当初予算で過去最高の2 8 8 8 億円( うち市負担分7 2 2 億円) となり、一般会計の歳出の1 7 % を占める見通しだ。
平松市長は「(働けるのに) たばこを吸いながら『この仕事は僕に合わないから』みたいな人は、大阪市から出て行ってくれ」と語った上で、「雇用創出は市の負担になる難しさがあるが、手をこまねいている時ではない。提案を次々突きつけないと、国が本当に生活保護行政を変える気にならない」と述べた。(2010年1月26日朝日新聞)

2010-04-14 14:34 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年04月12日(月)
「思想なんていらない」といわれて、すっきりした押井さん

『朝日新聞』(4月4日)に、『機動警察パトレイバー』の映画監督の押井守さんが、売れることが自分が自由に表現するには必要、というよくある意見を述べている。
いいわけの典型と僕は思いますが、皆さんはどう思いますか?

押井守は、プロヂューサーに「君の思想にはなんの興味もない。映画というのは口に入れたときにおいしい味がして最後まで飽きないことが大切なんだ」といわれて、すっきりしたという。
先ず世の中の期待に応えないとだめ。味わってもらう技術がいる。楽しんでもらい、売れる技術がいる。観客を喜ばせて結果を出せば、次の仕事がくる、次の「闘いが出来る」。
そう納得して楽になったと話しています。

これは金儲けとか、売れる仕事に追われることを正当化する、ずっと言われてきた浅い理屈です。その程度のことを述べられるという無邪気さに、いまの日本を感じました。

そして、この記事は仕事を奨めるコーナーですから、カレは最後に、次のようにいます。「だから来た仕事は何でも一生懸命やればいい。仕事を通じて学べる。仕事を通じて友人もできる。だから早く働こう」、というようなことを。

ある一面は正しいと思いますが、
働きたくても働けない、チャンスがなかなか与えられないというところをわかっていない人の話です。
2010-04-12 14:04 | 記事へ |
| 生き方 / 貧困/反貧困 / 労働 |
「男女間賃金格差に関する研究会報告書」について

厚生労働省が、「変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会報告書の公表について」を発表しました。(以下、報告書の部分は青色で示す)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000057do.html

 労働者が性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することは重要な課題であり、男女雇用機会均等法の施行により男女均等取扱いの法的枠組みは整備されてきたところです。法整備の進展に伴い、企業においても女性の職域が拡大し、管理職に占める女性の割合も上昇傾向にあるなど女性の活躍が進んでいます。
 しかし、このような進展にもかかわらず、労働者全体を平均して見た時の男女間賃金格差は依然として存在しており(平成21年において女性が男性の69.8%(正社員に限ると72.6%)(※))、先進諸外国と比較すると、その格差は依然として大きい状況です。
 このため、平成20年6月より、「変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会(座長:今野浩一郎学習院大学教授)」において、近年の男女間賃金格差の状況を把握するとともに、企業における賃金・雇用管理制度やその運用が格差に与える影響について分析し、現在の賃金・雇用管理において、男女間賃金格差縮小に向け、労使が自主的に見直しに取り組むことを促進するための現実的な対応方策を示すことを目的とし検討が行われてきたところですが、今般、別添のとおり同研究会の報告書が取りまとめられましたので公表します。
 厚生労働省としてはこの報告を受け、今後、男女間賃金格差の縮小に向けて、労使が自主的に取り組むための賃金・雇用管理の見直しの視点や支援ツールを盛り込んだガイドラインを作成し、その普及等男女間賃金格差縮小に向けた取組を進めることとしています。

※一般労働者の平均所定内給与で比較


それで、以下の「報告書のポイント」に一言ずつツッコミを入れておきます。

◆報告書のポイント◆

1 男女間賃金格差の要因について統計分析を行ったところ、
(1) 女性は男性に比べて年齢とともに賃金が上昇しないこと
(2) 男女の平均勤続年数や管理職比率の差異
が主要な要因であった。


→ イダ・ツッコミ (1)は要因ではなく、現象の一側面であり、なぜそうなっているかが大事で、それが要因である。以下に記されているので、以下の分析が正しいかどうかがポイント。またこのレベルの大きな要素としては、(3)として雇用形態の差異にも言及すべきである。


2  1をもたらす要因について、企業の賃金・雇用管理の実態を調査分析したところ、以下の点が指摘できる。
(1) 制度設計の段階では性の要素は入っていないが、基準等が曖昧であるため性別役割分担意識をもって運用されることが必ずしも排除されない制度、家庭責任を持つ労働者にとって困難な働き方を前提とした制度が採用・配置等の面での男女差を生んでいる。


→ イダ 「制度設計の段階では性の要素は入っていない」というのは、歪んだ認識。大きくみれば、以下に述べるような長時間の働き方や雇用形態差別、根本はカップル単位の思想を組みこんだシステム設計になっているのだから、最初から性ジェンダーの要素が入っているといえる。

(2) 賃金・雇用管理の運用の段階で、採用、配置や仕事配分、育成方法の決定、人事評価や業務評価などの側面で、男女労働者間に偏りが生じていると、それらが男女間の経験や能力差に、さらには管理職比率の男女差につながっている。

イダ→ 「運用の段階」という言い方で制度設計と区別しているが、なぜ運用で差異があるかというと、そのようになる制度であるからといえる。また採用、配置や仕事配分、育成方法の決定、人事評価や業務評価などでなぜ、偏り=格差、正確にいえば差別があるのかを分析しないといけないのに、とまっている。差別の要因は、意識もあるが、意識だけではなく、システムがカップル単位になっているからであるが、そうした方向に分析が深まるかどうかが分かれ目。


3 賃金・雇用管理における男女間賃金格差の要因の検討結果を踏まえると、男女間賃金格差の縮小に向けた対応方策としては、以下の三つの視点から取り組むことが求められる。

イダ→ 急にここで対応策に至るということは、分析は以上で終っているということであり、なんとも表面的な、従来の枠を超えない分析でしかない。まったく新しさも知性もない。すくなくとも、川口章『ジェンダー経済格差――なぜ格差が生まれるのか、克服の手がかりはどこにあるのか』(勁草書房2008年)程度の分析の入り口には立つべきであろう。そして私としては、それを批判的に論じた、拙稿「書評:川口章『ジェンダー経済格差』の積極性と限界性」のような、もっと深く本質的にカップル単位システムの分析に至るべきだとなっていく。


(1) 公正・明確かつ客観的な賃金・雇用管理制度の設計とその透明性の確保

イダ→ 設計をどうするのかを具体的に言わないとダメ。雇用形態差別に触れるべき問題も、スルーしている。

(2) 配置や仕事配分、人材育成等の賃金・雇用管理の運用面における取扱いの見直し、改善

イダ→運用をどうすればいいのか具体的に言わないとダメ。

(3) 過去の性差別的な雇用管理や職場に根強く残る固定的な男女の役割分担意識により事実上生じている格差を解消するための取組(ポジティブ・アクション(※))

イダ→ いつもながら同じフレーズ、同じ対策。過去、これで何も変わってこなかった。

4 全体の男女間賃金格差の縮小は、個々の企業の改善により達成されるものであり、個々の企業が自らの男女間賃金格差の現状を把握し、生成要因を分析し、背景にある賃金・雇用管理を見直していくPDCAのプロセスが必要である。  
 しかしながら、男女間賃金格差に関する労使の問題意識が低下し、また、各企業において男女間賃金格差に関する実態を把握していない状況であり、男女間賃金格差解消に向けた労使の自主的な取組のための方策を示した平成15年のガイドラインの浸透は十分でない。


イダ→ 「個々の企業の改善」問題にしているが、法律や制度を変えない政府の責任を免除している。
 
 企業、労使の取組に際して、まずは男女別統計資料の整備、実態把握を行い、具体的な見直しの議論につなげていく必要がある。このため、企業における実態把握に資すると考えられる男女間賃金格差に関連する賃金・雇用管理に係る指標を参考例として示す。国においては、これを簡便に利用できるツールを提供し、労使の取組を支援すべきである。

イダ→ はい、2010年において、「まずは男女別統計資料の整備、実態把握が必要」といっている。ダメな学者がいつも言うこと。50年前の文書にも、30年前の文書にも、10年前の文書にも出てくるというようなこと。
たとえば、パート法、有期雇用法、派遣法、請負法などをちゃんと作れば、大きくことは改善する。しかしそれを言わない。
変えるべきことをせず、現行秩序を維持するほうに加担する学者達の典型。

添付資料

(資料1)報告書概要(PDF:431KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000057do-img/2r985200000057f6.pdf

(資料2)報告書(PDF:1894KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000057do-img/2r985200000059h4.pdf

(資料3)参集者名簿(PDF:69KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000057do-img/2r98520000005j4r.pdf
2010-04-12 10:19 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年04月09日(金)
「逃散や不服従」メーデー

「ユニオンぼちぼち」「反戦と生活のための表現解放行動」「Union Extasy」から、2010年の京都でのメーデーの呼びかけです。
紹介させていただきます。
転送歓迎です。よろしく。

関西の方、ぶらっと来てみてください。

*************

「逃散や不服従」メーデー

2010年4月29日(木)
13:00 仏光寺公園(四条河原町交差点を二本南に行った仏光寺河原町を東)
14:30〜 デモ

デモコース
仏光寺公園スタート 仏光寺公園解散
☆デモの後、交流会あり


むかし農民は、厳しい年貢の取り立てにガマンできなくなったとき、「逃散(ちょうさん)」と言って、みんなでよそに逃亡したり、家にこもって働かなかったりして抵抗したらしい。

どんな条件でも文句を言わず働け、金を稼いで自立しろ、それでお金を使いまくれ。
貧乏ヒマなしは今も昔もかわらない。
その「ちゃんと働いてひとりで生活する」っていうのが、どうにもうまくいかない。例えば、女性だからということだけで、誰かに養われろといわんばかりに低賃金で働かされるし、その上簡単にクビにされる。

経営者たちは、平気で私たちを「役立たず!」と罵ってくる。また、権力者たちは平気で私たちに切りつけてくる。私たちも自分自身を「役立たず」だと責めてしまうことはよくあるし、生きのびるために、だれかを傷つけたり、差別したりしている。
おかしいな、イヤだなと思っても、なんか、世間は不安や不満や不信感だらけで、お互いが見張りあって、息が苦しくなっている。ささいな違いを突っつき合って、はみだすことを恐れ、息を殺して生きている。

私たちは、こんな社会から逃げ出したいと思うし、「逃げてもいい」と呼かける。
「もうたくさんだ」と言って、勝ち組のつくったシステムから逃げ出そう。
そして、「逃げてもいい」と呼びかけると同時に、服従しないこと、「闘うのもあり」だということも呼びかけたい。

4月29日のメーデーは路上に出て、働け、働けと人を追いつめ、生きる権利すらも奪うような人たちに、不服従の姿勢を見せつけよう。
要領よく生きられなくても、はみ出してもいいじゃないか。自分たちどおしで傷つけあいたくない。生きのびよう。みんなで生きのびよう。

世間の〈はみ出しもの〉たちよ、集まろう。
ようこそ、「逃散や不服従」メーデーへ!

主催:関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼち
   http://unionbotiboti.blog26.fc2.com
   反戦と生活のための表現解放行動
   http://d.hatena.ne.jp/posada
   京都大学時間雇用職員組合 Union Extasy
   http://extasy07.exblog.jp

2010-04-09 23:47 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年04月05日(月)
労働問題のみえかた

『朝日新聞』の春闘記事で、東京都内のゴミ収集会社「春江」が、正社員の賃金を下げて、契約社員の賃金を上げる試みをしていることを紹介。正規と非正規の労働条件を10年かけて統一したからだ。

雨宮処凛は、文芸誌『すばる』に、「ユニオン・キリギリス」というのを書いていて、<ニート・ひきこもり大歓迎!><日本初、やる気のない人たちの労働組合>を肯定的に描いているという。

現実はいろいろあって応用問題の連続だが、時々、現実を変えているのは事実。
雨宮処凛さんは、今の「いいもの」をうまく描いて広報する力がある。

 なお、紹介記事の中で、「運動が認知されたことで、次は具体的な政策提言を迫られる時期に来た。雨宮さん自身も、今や厚生労働省のナショナルミニマム研究会の委員を務める。」というのには、私はあまり期待していない。
政策提言のほうが上、政策を作り実現していくことが大事、というのは間違いだ。
ぼくのことばでいうと、そんな観点はおもしろくない。

こばやしよしのりが、むかし、エイズ薬害運動で盛り上がった若者達に、ここからは官僚や専門家に任せるべきだと、途中から若者の無秩序な運動に怒ったのと同じ。
よく陥る陥穽だ。

僕は先に学者っぽく行こうかなという方向から見ていたので、ここにはこだわりがある。
次は本で、生き方論としてそのあたりをまとめたい。学者としてとか、政策審議会に入って影響して現実を変えているつもりで実は、代わりのきく歯車になっているということがある。
僕は自分が納得できる「現実を少し変える」に関わりたいと思うようになった。

* **
長時間勤務による過労で倒れて寝たきりになったとして、鹿児島県鹿屋市の元ファミリーレストラン支配人の松元洋人さん(35)と両親が、店を経営する鹿児島市の康正産業(肥田木康正社長)に損害賠償を求めて勝訴した裁判で、原告、被告双方が訴訟外で和解金は約2億4000万円で和解したというのが少し前にあった。解決額としては過去最高らしい。同社が松元さんと両親に心から陳謝するとの一言も和解条項に含まれているという。
倒れる直前の半年間の時間外労働は月平均約202時間で、「発症1か月前の約100時間」とする労災認定基準の2倍以上だった。

また日本マクドナルドに勤務していた長男(当時25歳)が急性心機能不全で死亡したのは過重な業務が原因として、母親が、遺族補償給付などを支給しない処分を取り消すよう国に求めた訴訟の判決で、東京地裁は、「業務の過重な負担により病気を発症し死亡した」と述べて労災を認定し、不支給処分を取り消した。病気を発症するまでの6か月間で、自宅でのパソコン作業も含め時間外労働が80時間を超えた月が相当あったと認定した。

過労で倒れたり死んだり。いくら金を取れても、謝罪されても、悲しい。・・・。ひどい。
早めに離れよう。
過労で倒れる前に、ぼちぼち生きていく〈スピ・シン主義〉に乗り換える人が増えればいいなと思う。
 
2010-04-05 13:26 | 記事へ |
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2010年04月01日(木)
『遠まわりの雨』

山田太一脚本の『遠まわりの雨』をみた。
ひっかからずに、すなおにみれた。いい時間。

『朝日新聞』のテレビ欄に「試写室」という題でこの『遠まわりの雨』の番組紹介がなされていた。だが、まったくトンチンカンなものだった。この欄を書いている人(男女二人?この人たちは記者?)は、だめだなあ、人間が浅すぎるなあ、悪い意味で軽薄で俗っぽくて、僕の好かんタイプの人だなあといつも感じる。何かしら作品を論じるようなタイプの人たちではないと思う。だからテレビにちょうどというのかもしれないが、テレビでも、いい作品はたまにある。読者代表?としては程度が低すぎる。

話を戻してこの「試写室」という欄では、この『遠まわりの雨』を「消せない恋をあつかいかねる男女を描いている作品」、「二人の心はひたすら過去に向かっていて、未来に向かう強さがない」、「今の生活を壊すパワーもなく、それは日本の中年の疲労感を象徴しているような気がして、苦しくて重い感触が残った」というようなことを書いている。

いやー、まったく僕の印象と違う。

先ずこの作品の中心は、町工場で手仕事のすばらしい技能を持っている人たちを描き、しかしそれがコンピューター・機械に負けるというある種の悲哀を共感を持って描いているということ。それを、一生懸命生きてきた中年の、現代の少しの生きづらさへの共感としてとても明るく描いていたので、苦しくて重い感触などではまったくなかった。

つぎにもう一つの主題といえる、夏川結衣と渡辺謙の恋心、夏川の夫である岸谷五朗の気持などだが、「ひたすら過去に向かっている」とか「日本の中年の疲労感を象徴」しているようなものではなく、いろいろなものをつみかさねてきた中年の大人が、安易ではなく、バランスを持って、仕事とか友情とか、関係性を大事にしていることと、恋愛のような感情を大事に味わうことの両方を追求している、とても前向きなものだと思った。
渡辺の妻や子どもとの関係性も大事に描かれていて、そこでも、同じく前向きに感じた。重い感じじゃない。

これしかないでしょ、という感じ。二人はとても恋愛関係を楽しめていたじゃない。それは少しの勇気をもってちゃんと関わったからでしょ。でもそれが、あまりに安易に、岸谷のこと(妻、田中、子ども)を横に置けないよな、というのもわかる。だから「今だけ」と位置づけて、味わうこと。そのプロセスで、「爆発・最後まで」行かなくても、十分、心は躍動し潤い、つながっていたじゃないか。
そこがあることが希望だし、まともな人がそこを味わえていたから嬉しい話だったんだ。

僕らは、大事にする、傷つけない、と言うことを捨てられない。同時に、枯れることもできない。思い出す。あう。潤う。微笑みあう。聴きあう。その一つのあり方を、時代においやられる町工場を背景に、山田太一は描いた。
とても希望を描いていた。現実に存在する、〈たましい〉が少し震える瞬間を描いた。

少し深いレベルの、〈思い〉、はある。そこを大事にできない、失うのは辛いことだ。
夏川も、渡辺も、一生、抱えて生きていくだろう。それは希望だ。


2010-04-01 03:00 | 記事へ |
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2010年03月22日(月)
田中哲朗 『田中さんはラジオ体操をしない』


京都での、ドキュメンタリー映画『田中さんはラジオ体操をしない』上映&田中哲朗さんトーク・ライブ にいってきた。
 
田中哲朗さんは沖電気で解雇され、25年間、会社の前でその不当性を訴えて闘ってきた人だ。
田中哲朗さんウェブサイト
http://www.din.or.jp/~okidentt/

国労の「冬物語・人らしく生きる」のビデオでも歌を歌っていて、そのことは確かこのブログでも昔書いたと思う。あるいは、経大論集の〈スピ・シン主義〉的に生きる人の紹介でだったかもしれない。
田中さんのことは昔から知っていて、何かで手に入れた彼の作ったビラを大学の授業で配ったこともある。こんな生き方をしている人がいるんだよと。
彼の歌がはいったCD を昔買ったこともあった。

その彼の生き様をオーストラリア人であるマリー・デロフスキーがドキュメント映画にした。
田中さん本人は、もっと会社のひどさをわかりやすくちゃんと描いてほしかった、歌による訴えも大事で効果的なので、自分の歌をもっと取り上げてほしかったなど、この映画への「不満」も口にしていたが、しかし、田中さんの人生、個性がかなりわかっておもしろかった。

映画では示されなかったが、トークライブで話されたことで面白いことがいくつかあったのでその情報を含めて感想をここでかいておく。

○いじめとして、会社で行われたこと。(HP情報も含めた)

仕事を与えられない。挨拶されない。歩き回れなくされる。旅行のお土産などが、自分には配布されない。作業服を支給しない。昇給、昇格させない。
売れている半導体の設計をしていた者が全然売れない物の設計をあてがわれた。机が一番端に置かれる。 一人一台ずつ与えられるパソコンが与えられない。
香典を返される。ミーティングや会議の時間を知らせない。ミーティングの中で発言の順番を飛ばし発言させない。親睦会から除名される。机の上に不要な段ボール箱などが置かれ、物置状態になっている。陸上部の者が「お前がいるとクラブ全体が悪く言われる」と退部を迫られる。 剣道部で一番高段者だったが、練習などの連絡をせず試合に参加させなくなった。・・・

あるよねえ。そういうの。

最近は、いやらしい「ちいさな、証拠が残りにくいジメ」もあるという。たとえば、いじめ対象の人の耳元で、1日に何人もの人が咳払いをしていくという。気にしすぎ、おもいすごし、自意識過剰、被害妄想といいかねられない。しかし、確実にそうしたものはある。

(以下の話しは不正確なところもあるので、正確には田中さんのHP藻見てください。)

人員整理で1300名の大量解雇が昔行われ、その反対運動が行われたが、御用組合となっていた会社組合は、解雇に反対しなかった。反対運動をしていた人が会社に行く人にビラを配っていて、最初は、従業員達も受取っていたが、会社がビデオを設置して、ビラを受取ったものは、会社にたてつく側についたとみなすということで、チェックされるようになった。その結果、皆がビラを受取らないようになっていった。ビラを小さくたたんで受取ったかどうかわかりにくくする工夫もなされたが、ビラを受取る人はほとんどいなくなった。

沖電気の八王子支部での、組合執行部の選挙で、解雇騒動にいやけがさしたメンバーが全員執行部を辞めたために、新たな選挙が行われ、会社は会社側の息のかかったメンバーを執行部にするようにして選挙を進めた。田中さんたちは、共産党系や新左翼系など一部の者達といっしょになって、御用組合にしようとするものたちに対抗して選挙に立候補したが、すさまじい会社ぐるみの選挙戦となった。

あからさまに、会社側の立候補者を支援するように、社員が動員され、それに協力するか拒否をするか、踏み絵を踏まされた。
立会演説会では、多くの従業員が集まる大集会となり、会社側の立候補者が話す時には大歓声が上がったが、対抗馬の田中さんが話し始めると皆がいっせいに広場から出て行ったという。残ったのは数名だった。(田中さんのHPに写真あり「沖電気指名解雇事件、その後の職場の変化」の中の写真を参照のこと)
会社は、そこに残るものがだれかを監視していたのである。

会社は、徐々に、管理的になり、会社に従順であるかどうかを調べるために、ラジオ体操が使われるようにもなった。
仕事開始前に集まってラジオ体操をすることが強制され、仕事開始前に強制されるのはおかしいといった田中さんやそのほか数人のものは、それに参加せず座っていた。会社側は、ひつこく、ラジオ体操に参加するように求めてきた。
田中さんを支持していたある男性もついに、ラジオ体操をするようになっていった。
もう耐えられないと。

密告が横行する会社になっていった。
会社に反対する側についた者はいじめられた。罵られた。

その他、結婚式に「反対派」を呼ぶと会社がつながっているのかとみるので、その人を呼べないと、結婚式の前に謝りにきた同僚がいた。
テニスをするときに、「反対派」のサーブは打ち返さないといういじめがあった。
仕事で作った試作品がゴミ箱に捨てられていた話。
田中さんが部長をしていたマンドリンクラブは、会社から目をつけられていて、そこに参加するなという圧力がかけられ、参加していたメンバーも引き抜かれていった。

そういう状況を田中さんはいくつかの歌にして、伝えている。(HPにも事例あり)

そんな会社になって、そのうち、政治的に会社にたてつくものだけでなく、ただ途中入社だとか、パートだというようなことで、気に入らないものをいじめるような風土になっていったという。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  
田中さんの主張に同調するのでなく、田中さんを排除・いじめる側にたつことが強制される。それに従がう多くの社員達。
日の丸君が代の強制はおかしいという根津さんたちの戦い。しかし多くは、唯々諾々と従がい、根津さん達の逆に行く。

僕はそうした話を聞いていて、現代における大量のCMのシャワーを浴び続けていること、それに無批判的であることを思った。同じだなって。
ある大量の、力による、強制的な押し付け、洗脳的なこと。それに無批判的であること。
どこにでもある風景。


何かに同調しない自由。強制に反抗する自由。
そういうものが見えない人、大事にしようと思えない人が大量に生み出されている。
そこはゆずれないという人が、あまり多くない。

田中さんが会社の門の前に25年間、立っているのに、それをみないこと、考えないことにして、働きつづける人々。

そこに、「自分の生き方が問われている」と受信する人はいなかったのか?自分の心の泉に意識を向ける人はいなかったのか?

景気がいいほうがいいという洗脳。
CMがあふれる事に違和感を感じなくさせられている人。テレビのお決まりの論調、コメント、風潮、付和雷同、非政治性などに、どんあkんいなって、簡単に影響されるという鈍磨。
テレビのつまらぬ情報や空気に、違和感を感じなくなっている麻痺。
日本の大手マスコミも、田中さんの戦いを無視する。という麻痺。
裁判所や警察も、かたよっていることは明らかだが、そう思えないという空気。

米国では、第二次大戦中、国旗に敬礼しなかったということで大量の学生が退学させられたという歴史もあるが、その後の裁判闘争で、国旗への強制はダメという判決を勝ち取ってもいる。

田中さんの戦いの成果は?
少なくとも、一部のひとには通じている。
25年、存在し、負けずに生き抜いているということ。
勝つというより、負けないというあり方。

そして、株主総会で文句を言うことで、会社も、あからさまなことができなくなっていくという成果。
☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 
 
闘うか、やめるか

後、僕の感想として、ビラを受取るかどうかやラジオ体操でチェックされるというような会社に残るという「恥」をどう思うのかなと思った。
僕ならそんな会社を辞める。
(田中さんにはあまり通じなかったが、)ぼくは、「闘うのは積極的な態度で、やめるというのは消極的な態度」というようなものではないと思っている。やめるという選択は、自分がどう生きるかという観点でとても重要な選択肢の一つと思う。

もちろん闘うというスタイルもいい。でも、田中さんを目の前にするとか、会社から踏み絵を踏まされるというような決定的な瞬間がある。そのときに、踏み絵を踏まないということの重要性を言いたい。
それはとても大切なスタイルで、闘うということと同じ意味を持つということを思った。

人は生きている中で、大切な瞬間を大切とも思わずに(気付かずに)手放していくことがある。そうして鈍磨していき、濁っていき、鈍感になっていき、毒されていき、腐っていく。自分がずり落ちていっていることに気付かなくなって、いつか、田中さんを遠くに見ることになる。

若いときに少しいい事を言っていたり理想を持っていても、30歳以降に変わっていくような人は多い。若い院生・学者が徐々につまらぬ人になっていくことは多い。
反体制だった人が体制派になっていくことは多い。
組織の論理にとらわれ柔軟性を失っていく人は多い。
お金の力にとらわれ、収入にしがみつく、利権に目をつぶるようになっていく人は多い。

そういうひとにとって、テレビのCMの洪水が普通になり、日の丸君が代が普通になり、愛国心を口走ることが普通になり、ラジオ体操をすることが普通になり、ビラを受取らないことが普通になり、田中さんを変人と見て思考停止すること、が普通になる。

わたし達の前には、いつも、踏み絵が突きつけられている。
踏み絵とも気付かぬようにされながら。

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以下、この映画の情報

映画の解説

 田中哲郎さんは、解雇された会社の前で25年間に渡って抗議活動を続けている。彼のウェブサイトを見て興味を持ったオーストラリア人監督・デロフスキーは、シドニーから東京へ会いに行く。自分自身に誠実であり続けるために日本社会で闘い続ける、ユーモアたっぷりの田中ワールドが繰り広げられる。

· カナダ国際労働者映画祭ベストインフェスティバル賞受賞
オーストラリア/2008年/日本語、英語/カラー/ビデオ/75分
監督、撮影、ナレーター、制作 マリー・デロフスキー

マリー・デロフスキー監督のことば

 一人の男性の粘り強い、ローカルな活動が起こした波及効果が、この映画を導いた。私にとって、田中さんの四半世紀にも及ぶ抗議活動と、何年も前に拒否したラジオ体操は、印象的な隠喩だ。「どうすれば、倫理的に生きられるのか?」「自分に正直に生きることには、どのような代償があるのか?」といった多くの問いが、そこから生まれた。
 私は、日本と田中さんの人生においてアウトサイダーであるため、映画の中では私たちの間に、時おりユーモラスともいえる誤解が確かにある。これらの誤解が誠実さによって「壁」をなくす、何かしらの方法を示せればと思っている。壁をなくすことは、田中さんの哲学、音楽、頑固な闘いにとって、重要なことのようだから。

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2010-03-22 03:03 | 記事へ |
| 映画 / 労働 / 生き方 |
2010年03月19日(金)
派遣法の数字

派遣法が改正される。
ひどいザル法、骨抜き法である。

『朝日新聞』2月17日に、わかりすい図表がある。昨年からまともな運動側の言ってきたことを、竹信さんらがわかりやすく記事にした。

この図表は今後あちこちの学習会で使われるだろう。こういう仕事には意味がある。

内容は、今度の改正派遣法では、常用雇用は、規制を免れることが多くなる。となると、派遣202万人のうち、半分以上の115万人が対象外。次に、常用以外(登録型)の87万人のうち、専門26業務も対象外だから43万人が対象外となる。つまり残り44万人だけが今度の法律で日雇い派遣などの禁止対象となる。
あまりに対象外が多すぎる。
そして今後、「常用」が増えるだろうが、それは名目だけ。専門26業務という形での専門ではない派遣、違法派遣も残り続ける。

つまり、この図表、数字以上に、実際に規制対象は減る。
とにかく、200万人のうち、今度の法律で44万人だけが禁止対象、という数字は覚えておこう。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

追記:
労働者派遣法改正案の閣議決定について、連合が事務局長談話を発表しているが、これが最低最悪にひどい内容である。事前面接禁止をなくすなどというふざけたことを維持すべきだったというのである。なにが、「公労使三者が厳しい議論を尽くした審議会の答申」だろう。多くの底辺の労働者を裏切った「連合の代表」の妥協を反省するどころか、居直って足を引っ張っている。ナサケナイやつらである。

連合 労働者派遣法改正法案の閣議決定に関する談話
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2010/20100319_1268978287.html

なお、全労連のほうの事務局長談話は、連合に比べればずっとマシである。

2010-03-19 15:34 | 記事へ |
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2010年03月17日(水)
『朝日新聞』に釜が崎記事 「ユニオンぼちぼち」も関係
『朝日新聞』の夕刊の連載記事で釜が崎のことが連日取り上げられています。(『人脈記 釜が崎有情』)

釜が崎に関わったまともな人たちがたくさんでてきています。

3月9日は、「ユニオンぼちぼち」の大阪事務所をおかせていただいている医療連(大谷さん)のことがのっています。

今、野宿者が生活保護ですぐに民間アパートに入れるようになったのは、佐藤裁判のおかげだという話です。佐藤裁判のことはきいていましたが、それを担った弁護士が小久保さんだったと始めて知りました。

3月16日には、西成高校の肥下先生のことがのっています。肥下さんとは、この間、私個人としても「ユニオンぼちぼち」としても交流していて、「ユニオンぼちぼち」と一緒に本作りをしたりしています。
そして肥下先生の教え子がアルバイト先で急に解雇されたことに対し、闘う力を学校で学んで実践したという話も載っています。

ぜひ読んでみて下さい。
2010-03-17 17:30 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 / メディア |
ひどい派遣法が通る見通し


派遣法が、「事前面接解禁」だけを取引材料に、通る見通しです。

それ以前の関連記事を少し以下に貼り付けます。
以下の記事にあるように、派遣法は法案をそのまま通すのが雇用の現場を知った正論で、与党内で社民、国民新党が、事前面接がおかしいとか、改正法施行までの猶予期間が長すぎるとか「常用型」の定義のおかしさとかを問題としているのは、つまらぬ細事にこだわった意見だという感じです。

そして今回の改正案は「公労使合意を踏まえた」のだから尊重せよというのがよくでてきます。

これは、現場や労働問題を何も知らない人が素人的に言える意見だらけです。
政治家やメディアのほとんどはその程度です。

法案は、10箇所以上を抜本的に書き換える必要があり(私の以前のブログ、大阪労働弁護団の意見書参照〕、事前面接問題はその一つにすぎません。
それさえとおらないということでしたが、今回、事前面接問題だけ、社民党のいうことを受け入れ、そうした一部見直しだけでとおることになったという話です。
他の点は、たぶん、法案どおりでしょう。最低といっていいほどひどい内容です。
専門業務を見直さないという大問題、常用雇用といえば、何でもありという大問題など、大事な点はまったく改正されません。派遣の現状はほとんど今のまま続くでしょう。

また「公労使合意」といいますが、その公労使のメンバーを選んだのは前政権であり、ひどいメンバーであり、本質的には真の公労使合意などなされていません。

ですから、結論的には、今回の法案は廃案にして再度、メンバーを入れ替えて法案を作り直すべきです。それが一番いい

しかし、多分それは現実の状況の中では難しい。だから通ってしまったひどい法律に基づいて運動をしていきつつ、今回の法律が、骨抜き実抜きの最低のザル法で、ほんの少ししか役立たないものでダメだと宣伝していき、早急に法律のいっそうの抜本改正を求め続けるというしかない、ということになります。

それでもいったん法改正がおこなわれると、次の改正が少し遠のきます。だから今回の法案は通さないほうがいいくらいだと今から新法に大批判・大反対していくのがいいと思います。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

「社説 派遣法案先送り 公労使合意を尊重せよ」@東京・中日新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2010031302000075.html

2010年3月13日

 労働者派遣法の改正をめぐり連立与党内の調整が難航している。
まだ課題が残っているためだが基本方向を見失っていないか。派遣
労働者の保護の原点に立ち戻り、今国会での改正案成立を急げ。
 「働きたいときに働く」「正社員と同じような待遇」との触れ込
みで一九八五年に制定された労働者派遣法。若い女性を中心に人気
を集めたが、現実には契約期間中でも解雇される不安定雇用の象徴
的存在だ。
 労働力調査によると昨年平均の非正規雇用労働者は前年比三十九
万人減の千七百二十一万人。このうち派遣は三十二万人も減って百
八万人となった。派遣切りが吹き荒れたことを裏付けている。
 また労働者を禁止業務へ送り込んだり専門職と偽って長期間働か
せるなど、派遣会社の違法行為が後を絶たないありさまだ。
 鳩山新政権の下、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は昨
年末に派遣制度の見直しを答申した。先月下旬には改正案要綱も答
申され、今国会に改正案が提出される段取りになっていた。
 柱は(1)雇用期間が二カ月以内の日雇い派遣(2)長期間の雇
用契約を結ぶ常用型を除いた製造業務派遣(3)専門二十六業務や
高齢者などを除いた登録型派遣−をそれぞれ原則禁止とする厳しい
ものだ。
 派遣法は過去ずっと緩和され続けてきただけに、今回は「原則自
由化された一九九九年以前の状態」に戻る派遣制度の大転換だ。
 ところが社民、国民新両党は派遣受け入れ企業の事前面接解禁に
強く反発。登録型派遣禁止の猶予期間の長さなども問題視した。
 事前面接は現行制度では禁止されている。前政権の改正案に盛り
込まれ、今回も引き継がれた。派遣法を規制強化する一方で企業側
に規制を緩和するのはおかしい−との指摘はそのとおりだ。できれ
ば解消すべきだろう。
 だが今回の改正の基本は派遣労働者全体の保護強化である。
 労働・雇用政策は働く現場で徹底されなければ意味がない。労政
審は公益、労働、使用者の三者構成の組織で、政策決定までにはい
つも労使の激しいせめぎ合いがある。今回の改正案も使用者側と
やっと折り合いがついた。
 与党関係者はもう一度、雇用の現場を直視してほしい。派遣労働
者が職場と住居を同時に失うような状況をなくすには、一刻も早く
現行制度を変えなくてはならない。公労使合意を踏まえた改正案を
閣議決定すべきである。


「与党足並み乱れ 派遣法改正」@東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010031502000064.html

2010年3月15日 朝刊
(記事前半 略)
・・・  ただ、改正内容は労使双方の代表が参加する労働政策審議会(厚
労相の諮問機関)で決めたものだ。日雇い派遣の原則禁止など「ギ
リギリの合意内容」(長妻氏)で、民主党の支持母体である連合も
原案通り早期成立を政府に要請している。
 鳩山首相は十二日の参院予算委員会で「(改正案は)難しい議論
の中でまとまった。そこを変えるのは極めて難しいという判断だ」
と述べ、修正に消極的な姿勢を見せた。
 長妻氏も「労使の積み上げによる合意の経緯を説明し、(両党
に)理解してもらいたい」と繰り返すだけで、調整に手間取っている。


【読売新聞】政治 - 2010.03.04
派遣法「常用型」で与党に溝、共産は独自案
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100304-OYT1T00082.htm

 政府が作成中の労働者派遣法改正案を巡り、社民、国民新両党が
厚生労働相の諮問機関「労働政策審議会」(労政審)が答申した要
綱を修正した改正案にするよう求めている問題で、共産党は3日、
独自の修正案を示し、与党に揺さぶりをかけている。
 労政審が答申した要綱には、製造業派遣や、仕事がなければ派遣
会社から給料を得られない「登録型派遣」の原則禁止などが盛り込
まれた。ただ、製造業派遣は、仕事がない時でも派遣会社から給料
が支払われる「常用型」には例外的に認めている。しかし、社民党
や国民新党は改正法施行までの猶予期間や「常用型」の定義などで
民主党側と溝がある。国民新党代表の亀井金融相は3日の議員総会
で「労政審の答申を、そのままやらないといけないことではない」
と強調した。
 これに関し、共産党の志位委員長は3日の記者会見で、常用型の
例外規定の撤廃などを盛り込んだ独自案を発表、各党に連携を呼び
掛けた。

【日本経済新聞】政治 - 2010.03.03
共産が派遣法の修正案、より厳しい規制求める
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100303ATFS0302103032010.html

 共産党の志位和夫委員長は3日、政府が今国会に提出する労働者
派遣法改正案への修正提案を発表した。製造業派遣の禁止に関して、
派遣会社と常に雇用契約を結ぶ「常用型雇用」も対象に含めるなど、
より厳しい規制を求める内容。「公布から3年以内」の経過期間も
設けず、早期施行を求める。(03日 22:55)

2010-03-17 11:58 | 記事へ |
| 政治、権力 / 労働 / ジェンダー |
2010年03月07日(日)
有期雇用の官製ワーキングプア

 「新婦人しんぶん」2010年3月4日号に、脇田滋さんの文章が載りました。
紹介しておきます。
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脇田滋さん(龍谷大学法学部教授)の
新 女性の働く権利Q&A 11〈最終回〉

"官製ワーキングプア"どうしたら? 春、更新できるか不安(有期雇用・大学職員)

 Q 1年契約で更新を繰り返しながら、大学で働いている有期雇用労働者です。同僚(有期雇用労働者)の多くが、この3月末に雇い止め(=解雇)されるのではないかと心配しています。最近は大学や学校、病院、福祉施設だけでなく、公務の職場にまで非正規の労働者が増えていますが、この問題をどう考えたらよいのでしょうか。(J子)

 A これらは「日本型有期雇用」と言えるもので、@不安定雇用(数カ月から1年の契約期間が設定され、それを反復更新する形式)、A差別的低劣待遇(補助的業務を理由に、1000円程度の時給または1万円前後の日給)が特徴です。

 EUでは、例外的・臨時的仕事に厳しく規制

 EU諸国では、有期雇用は[1]解雇制限を定めた法律に反しないように例外的な臨時的事由があって初めて利用できます。また、[2]常用労働者との均等待遇保障など特別な保護を定めることになっています。ところが、日本では、[1]の規制はなく、[2]についても雇用不安定のうえに待遇まで低く、差別的雇用という性格が際立っています。

 民間企業と公務員とでは違うルール

 民間企業では、契約更新を繰り返し働いてきた有期雇用労働者の突然の雇い止めがあれば、解雇権の濫用(らんよう)だと判断し、雇用継続を認めるのが裁判所の考え方です(東芝柳町工場事件・最高裁1974年7月22日判決)。ただ、公務員は公務員法に基づく違うルール(「任用」形式)となっているため、裁判所は民間とは違って、有期雇用の非正規公務員について、その雇用継続を認めない考え方をとり、大きな問題となっていました。

 最近になって東京高裁は、非正規保育士の更新を濫用的に拒否した事案で、雇用継続は認めませんでしたが、前例にない高額賠償を区に命じました(中野区保育士事件・2007年11月28日判決)。
 ところが、こうした判例動向を意識してか、より巧妙で脱法的な有期雇用利用が広がっています。"裁判に訴えられても負けない程度に"1年契約の更新を2〜4回反復し、最大で3年から5年を上限とする形式です。例えば、規模の大小にかかわらず、ほとんどの私立大学では1990年代から学部事務、研究補助、図書館などの多様な業務で3〜5年上限の有期雇用が広がりました。その8割から9割が女性です。

 国立大学の「法人化」で民間企業と同じ扱いに

 国立大学では、従来、20年を超える長期間、1年契約を反復更新する非正規雇用がありました。ただ、公務員であるので「任用」の壁があって、裁判所は民間企業のような雇用継続を認めていませんでした。その国立大学が2004年に「法人化」され、職員は「非公務員」となって民間企業と同様の法的状況になりました。すると、各国立大学は従来の方式を改めて、3〜5年の上限を定め、期限がくれば一律に契約更新をしないとする方式を打ち出したのです。2004年採用の人は、この3月末でちょうど上限の5年になるのです。

 恒常的業務に一律に年限を定めるのはおかしい

 担当しているのは、教育・研究に不可欠な恒常的業務です。一律に年限を定めることには「業務上の合理性」がありません。むしろ、短期に労働者を入れ替えることで「契約更新の期待権」が生じるのを予防しようとする脱法行為と言えます。こうした有期雇用の脱法的濫用は、使用者の労働者に対する保護や能力養成という使用者の責務に反するものです。また、労働者を常に雇用不安状態におくことで、有給休暇や育児休業取得など最低基準の権利行使さえ困難にしています。まさに、人間らしく働くことを否定するものです。

 根本的には厳しい規制と撤廃こそ

 現在、派遣法改正が論議されていますが、仮に派遣先に直接雇用されても、無権利な有期雇用であれば解決になりません。民間と公務の非正規雇用、有期雇用と派遣労働は「雇用不安定」と「差別待遇」という点が共通しています。これらを切り離さず、「日本型非正規雇用」全体の問題として、その撤廃をめざすことが重要です。

2010-03-07 04:15 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年02月28日(日)
大学非正規労働者の雇い止めを許さない集会
2月27日に「なんで有期雇用なん!? 大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」が100名以上の人が集まって開催されました。

京大・ユニオンエクスタシー、関西学院大学、大阪大学、立命館大学、京都精華大学、龍谷大学、などでの非正規不安定労働者当事者による報告がなされたのが、まずよかったし、
基調講演をした脇田滋さん(龍谷大学・労働法)が、ヒートアップして、いいことを言っていました。

僕が印象に残ったのは、脇田さんの以下のような趣旨の発言でした。(主旨を私なりにまとめているので正確ではないです。文責は私にあります)
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有期雇用は、事実上「解雇付きの雇用」であり、原則はあってはならないもの(例外扱いすべきもの)である。入り口として、原則禁止、特定の有期の仕事だけに認めるようにし、出口として、一定条件を超えると自動的に無期雇用になるようにすべきである。

有期雇用の雇止めは、現在、学会学説としても判例としても、法的にも、正当化されてしまっているが、だからといってあきらめてはならない。労働法学会(学者)主流が、厚生労働省の顧問となって有期雇用のひどい状態を追認することに手を貸してきた。有期雇用雇止めは合法OKという学説が、裁判にも影響してきた。労働法学者が自己責任論の価値観にのって、いまの状況の蔓延に手を貸してきたのだ。

しかし、そもそも労働に関する法律、その中の労働者の権利は、古い法体系の中で違法とされてきたことを行い刑事事件として弾圧されながらも労働者が闘って、勝ち取ってきたものである。ストや政治で闘い、法律を破って変えてきたのである。だから、合法主義では限界があることを知るべきである。今日の状況を変えていくのも、こんな状況はおかしいという当事者の叫び、闘い、労働運動によってである。こんなのはおかしいという正義の感情が法律を動かしていくのである。
契約や法律にこう書いてあるからダメだとあきらめていては、現状は変わらない。契約や法律を破って、突破していく集団的な運動の中で、旧法を超えていく新しい法律ができていくのである。悪い意味の合法主義を打ち破っていくことが必要だ。

労働契約法16条は、解雇は合理的な理由がないなら無効というものであるが、これをつかって、有期雇用の雇止めに対抗していくことができる。というのは、これは強行規定であって、労働契約法に抵触する合意等は、いくら労使当事者が合意したとしても、その効力が認められないものだからである。
有期契約で雇止めの合意があったといっても、そもそもその合意が違法なのである。なぜなら十分な理由がないと「解雇」をしてはならないからである。まだこの考えは少数だが、学会でも主張されている意見であり、堂々とそれを主張していくべきである。

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なお、<レイバーネット日本>に集会報告記事が出ています。
 → http://www.labornetjp.org/news/2010/jk05
その記者がまとめた、脇田さんの主張の一部は以下です。

「正社員の組合は、事実上組合とはいえない。はっきり言って歴史的役割は終わった、というのが現実ではないかと思う。実際、多くの組合は闘っていない。例えば、約30年間ストライキがない。会社を相手に裁判を起こす、というのは昔は当然だったのだが、そんな組合は少なくなってしまった。過去5年間に裁判をしない、会社相手にストライキをしない組合は、自主性のない組合だ、ということまで私は考えている。そんな組合に、あまり大きな期待はできない。やはり、非正規労働者自身が団結・連帯することが重要だ。有期雇用のひどさを実感している労働者自身が声をあげて、連帯を実現しなければいけないのではないか」と話した。

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いや、脇田さん、いいねぇー。まともな人です。労働者の〈たましい〉で語っていました。
ユニオンエクスタシーも、いつもながらよかです。

で、大学(教員、理事、職員、組織)の主流は、今日の集会で発せられた、こうした〈たましい〉や声を理解できないでしょう。大学や学者や学会に期待はできないというのが僕の「意見」です。

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以下新聞記事


「雇い止めやめて」 関西の大学非常勤職員らが集会
アサヒ.COM 2010年2月28日

 雇用期限切れによって、今年3月末にも「雇い止め」になる関西の大学の非常勤職員ら約100人が27日、大阪市内で集会を開き、撤回を求めるアピールを採択した。

 旧国公立大学の多くは、2004年の法人化後に採用した非常勤職員の雇用期間について、最長3〜6年とする規則を定めている。これら旧国公立大は法人化以降、交付金削減によって人件費に余裕がなくなっているのが実情だ。

 大阪大学では、今年3月末に雇用期限を迎える非常勤職員が約40人いる。大学は1月、法人化以前から雇用されていた非常勤職員も、正職員への転換試験に受からなければ、5年で契約を打ち切る方針を打ち出した。対象となる370人のうちの一人で、勤続17年の吉田由美さん(47)は「細切れ雇用は、職員の使い捨てに等しい」と訴えた。

 京都大学も非常勤職員の雇用期間が最長5年。3月末に雇用期限を迎える05年4月1日採用者は約50人いる。大学側は昨年12月、期限を迎えた非常勤職員の一部を新規採用者として再雇用できる案をまとめた。だが、昨年、学内でストライキをうって解雇された元非常勤職員の小川恭平さん(40)は先週来、「契約を更新しないといわれた」と電話が入り始めているという。小川さんは「抜本的解決には遠い。5年条項を撤廃してほしい」と指摘した。

 立命館、龍谷、京都精華大など私立大学の非常勤職員も多くが有期雇用だ。関西学院大学で、障害のある学生をサポートする非常勤職員の大椿裕子さん(36)も3月末に4年の期限を迎え、「雇い止め」になる。労働組合に入って大学側と団交を持ったが、1月に後任2人の採用が決まり、継続雇用の芽はなくなった。「専門性の高い仕事なのに、有期雇用では経験が積み上がらない。大学は、常に新しい知識と技術を持った人を入れていくというが、たった4年で人は枯渇するのか、問い続けたい」と話した
2010-02-28 03:04 | 記事へ |
| 教育 / 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年02月22日(月)
コナカ「名ばかり店長」裁判で勝利和解


東部労組からの情報です。

全国一般東京東部労組コナカ支部の組合員である2人の店長が「店長というのは名ばかりなのに残業代が払われないまま長時間労働させられた」として、株式会社コナカを相手取って店長時代の未払い残業代を請求していた「名ばかり店長」裁判が2月8日、横浜地裁であり、会社側が2人に解決金を支払う内容で和解が成立しました。

解決金の金額のみについては守秘義務があるため額を公表することはできませんが、原告である2人の店長と当労組は「十分に納得のいく額」と考えており、勝利和解です。

本裁判の最大の争点は、コナカの店長が労働時間規制や残業代支払いから除外してもいい「管理監督者」(労働基準法41条の2)に該当するか否かでした。
今回の和解は、会社側が2人に対して実質的に未払い残業代にあたる解決金を支払うことで、「店長は名ばかり管理職」だったことを会社側に事実上認めさせたという点に意義があります。

くわしくはブログ「労働相談センター・スタッフ日記」をご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/384cbf3b53264124d6fd655ef2b3eee7

2010-02-22 02:16 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 |
2010年02月09日(火)
派遣法の抜本改正キャンペーンブログ


フリーター労組や派遣ユニオンで活動している清水直子さんからの情報です。
ブログには写真などもあります。

【以下、転送・転載歓迎】

派遣切りはもうごめん!派遣法の抜本改正キャンペーンブログを開設しました!
http://d.hatena.ne.jp/hakenhoukaisei/

派遣労働者のニーズがある、派遣をなくしたら失業が増える、女性が働けなくなる――ってホント?

「派遣法改正TV」では、派遣の生の声を伝える「派遣100人の声」などの動画を公開。

例えば――。
【派遣法改正TV】派遣がなくなると失業が増えるというのはウソ【派遣100人の声・6】
http://www.youtube.com/watch?v=jck4KfKYA7U
【派遣法改正TV】産前産後・育児休業を取得した後、仕事の紹介がない【派遣100人の声・7】
http://www.youtube.com/watch?v=bEzbWyulPto

派遣法の抜本改正を求める該当パフォーマンスの様子も写真入りで紹介しています(次回ハケンギリチョコアクションのご案内も)。

もちろん、政治主導で真の法改正が実現するか、官僚主導で見せかけだけの法改正に終わるか、注目の派遣法改正案のポイントも分かりやすく解説中。
ぜひ、ご注目、ご紹介をお願いします!
「派遣切りはもうごめん!派遣法の抜本改正キャンペーンブログ」は、「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」
http://mutokyo.blog57.fc2.com/のキャンペーンブログです。

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2010-02-09 16:14 | 記事へ |
| ジェンダー / 労働 / 政治、権力 |
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