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【社会】

安全委、「電源喪失は考慮不要」 原発対策遅れの原因か

2011年4月6日 10時46分

 3月24日、小型の無人飛行機が撮影した福島第1原発。右から建屋が残る2号機、3号機、4号機(エア・フォート・サービス提供)

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 東京電力福島第1原発では、地震後に外部電源が切れ非常用電源も起動しない状態が続いて事故が拡大したが、国の原子力安全委員会の指針で原発の設計の際に「長期間にわたる全電源喪失を考慮する必要はない」と規定されていることが6日、分かった。

 電力会社は国の指針に基づいて原発を設計、建設しており、この規定が設備の不備や対策の遅れにつながった可能性もある。

 今回の事故を受け、経済産業省は3月末に、津波による長期の電源喪失に備えて非常用電源を確保するよう電力会社などに指示したが、電力関係者からは「そもそも国の指針に不備があるのではないか」との声も出ている。

 指針は1990年に定めた「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」。

 59項目のうち、27番目の「電源喪失に対する設計上の考慮」で、外部電源などの全交流電源が短時間喪失した場合に、原子炉を安全に停止し、その後の冷却を確保できる設計であることを要求。

 その解説で、長期間の電源喪失は「送電線の復旧または非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない」としている。

 第1原発は地震で外部電源を喪失。復旧に10日程度かかり、非常用電源も一部しか機能しなかったため原子炉が冷却できず、核燃料の損傷や原子炉建屋の爆発が起きた。

 経産省の関係者は「指針は必要に応じて見直すべきではないか」としている。

(共同)
 

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