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きょうのコラム「時鐘」 2011年4月7日
毎日の震災報道に昨年話題になったサンデル教授の「これからの正義の話をしよう」を思い出している。教授の問い掛けは様々あった
例えば、多数を救うため少数が犠牲になってもいいのか。満員になった救命ボートに助けを求めてきた漂流者をどうするか。あるいは、現代人も過去の戦争の責任を負うか。破綻した大銀行を税金で救済するのは許されるか、等々 この震災でも問われている。原発から流れ出る高濃度の汚染水を抑えるため「低濃度」と呼ぶ汚染水を海中に流した。より大きな被害を防ぐために「少数の」漁民の暮らしを犠牲にしても、やむを得ないのか。次にはこんな問題も起きるだろう 巨額の賠償金が必要となる東京電力を税金で救うのは許されるか。あるいは、原子力発電を推進してきた政党や経済人、識者の責任は問われないのか。どれも正解はひとつではない。震災が突きつけた難問を真っ正面から受け止め、考え抜くのが「生きるための哲学」だ 今は、考えるより先に行動することが求められている。が、政治家任せにしないで国民が考えておかないと、真の復興はないと思う。 |