スーパーゴールに勝利を打ち砕かれた。後半16分、30メートルのミドルシュートは楢崎のセーブも及ばず、ゴール左スミに吸い込まれた。まさかの同点に静まり返るスタジアム。防ぎようのないゴールで勝ち点2を落としたが、Jリーグ王者のプライドは、やむを得ない結果とは受け止めなかった。
「リードされたソウルが前に出てくるのは分かり切ったこと。何でそこで頑張れないのか。2点目を取るチャンスなのに」。闘莉王は脱力感をにじませながら「だから、あんなゴールが決まっちゃう」と勝負どころを抑えられなかった代償と受け止めた。
永井を生かすため、優勝した昨年からの定番だった4−3−3システムを4−4−2に変更してスタート。永井が先制し、ボランチが1人から2人に増えて守備面も安定して、理想的な展開だった。しかし後半、勢いを増したソウルを跳ね返せなかった。「いきなりシステムが変わっても能力の高い選手がいるから対応できていたが、相手がプレッシャーを掛けてきたときに、かいくぐれるほどの成熟度はなかった」と小川は唇をかんだ。
昨年は厳しい試合をことごとく勝利に結びつけてリーグ優勝。「まだ分かってないのかね。去年だって簡単な試合はなかった。何とか勝つ。この何とかが大事。オレが悪いのかもしれない」と闘莉王は首をひねった。怒りや嘆きは、自分たちのポテンシャルを信じているからこそ。険しい道のりとなったが、まだチャンスは十分、残っている。 (木本邦彦)
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