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2号機の高濃度汚染水、流出止まる

汚染水の漏えいが止まったことを確認した東京電力福島第1原発2号機の取水口付近=同原発で2011年4月6日、東電提供
汚染水の漏えいが止まったことを確認した東京電力福島第1原発2号機の取水口付近=同原発で2011年4月6日、東電提供
汚染水の流出が確認されていた取水口付近=東京電力福島第1原発2号機で2011年4月2日、東電提供
汚染水の流出が確認されていた取水口付近=東京電力福島第1原発2号機で2011年4月2日、東電提供

 東京電力福島第1原発2号機の取水口近くのピット(立て坑)付近から高濃度の放射性物質を含む汚染水が海に流出していた問題で、東電は6日早朝、止水材の投入で汚染水の流出が止まったと発表した。2日に流出が確認されて以降、コンクリート注入など試行錯誤を繰り返し、ようやく成功した。ただし、微量に流出している可能性があり、6日中の完了を目指す。また、新たな流出場所がないか確認を急いでいる。

 汚染水は、ピット付近の亀裂(縦約20センチ)から流出した。ピット内部で、表面線量が1時間当たり1000ミリシーベルトを超える高い放射線量の汚染水が確認された。すでに汚染水が見つかっているタービン建屋やトレンチ(トンネル)、電源トレンチ(横穴)とつながっていることも判明した。

 東電は、コンクリートや水を吸収して膨張する特殊樹脂「ポリマー」、おがくず、新聞紙を投入したが、止水に失敗した。5日午後には、乳白色の追跡物質(トレーサー)を流し、漏えい経路の一つを砕石層(厚さ約30センチ)と特定。横穴の一部が地震で損傷し、深さ2メートルにある砕石層に漏れだしたとみている。そこで、砕石層に届く計9本の穴(直径10センチ)をピットやその周辺に順次掘り、粘り気の強い「水ガラス」などを含む止水材を投入した。

 その結果、ピット底のコンクリート板を貫く9本目の穴に止水材を投入していた6日午前5時38分に汚染水の流出が止まったのが確認された。用意した止水材約1万2000リットルのうち、半分を使ったという。

海中に流出している高レベル汚染水の防止策
海中に流出している高レベル汚染水の防止策

 一方、汚染水は2号機の原子炉内からタービン建屋などを経て流出したとされ、止水によって行き場を失うことになる。今のところ、これ以外の汚染水の流出は確認されていないが、東電は「砕石層以外にも流出経路はある」とみている。また、汚染水は原発内のタンクを次々に空にして移す「玉突き作戦」で応急処理する方針だが、汚染水自体の移送はできていない。

 このため、東電は今後、亀裂部分を鉄板で修復するなど止水を確実にする作業を進めるほか、新たな流出がないか確認作業を進める。玉突き作戦の実施も急ぐ。【江口一、酒造唯】

毎日新聞 2011年4月6日 6時56分(最終更新 4月6日 12時57分)

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