2011年2月20日 21時13分 更新:2月21日 0時29分
【マナマ鵜塚健】大規模なデモが続くペルシャ湾の小国バーレーン。軍が撤収した首都マナマの「真珠広場」は再び反政府を訴える住民に占拠された。参加者のほとんどはイスラム教シーア派住民。熱気はエジプト・タハリール広場と同じだが、真珠広場の特徴は、同スンニ派住民との理不尽な格差への不満が充満していることだ。
豪華なヨットハーバーが近く、カモメが舞う真珠広場。真珠の養殖が盛んなことから名付けられた。周辺には50階近いリゾートマンションやショッピングセンターもあるが、集まった人たちは、そうした世界とは縁が薄い。リゾートや高価な買い物は主にスンニ派住民のものなのだ。
同広場には泊まり込んだ人々に加え20日午前、市民数千人が続々と集まり、「政権の崩壊を」と繰り返した。
同国はイスラム教シーア派が人口の約6割と多数派だが、支配層は王族を中心としたスンニ派で占められている。シーア派の中学校教師のアリ・サルマンさん(35)は経営学で修士号を取得。政府機関や大企業に100通以上の履歴書を送ったが回答はなかった。
サルマンさんは10年前にようやく教師の職を得たが、同じように働いてもスンニ派の同僚との評価、収入の差は広がるばかり。「就職はできても宗派の差別が残る」と憤り、「子供たちのためにもスンニ派と同じ権利がほしい」と広場に通う。
政府はここ数年、「スンニ派化」政策を進めている。サウジアラビアやヨルダン、シリアなどスンニ派諸国から多くの労働者を呼び込み市民権を与え、スンニ派の人口比を高めようとしている。
シーア派住民を抑圧してきたため支配層にはシーア派への警戒感が強く、軍や警察はスンニ派の職業になっている。
同広場から50メートル離れた路上には、18日に銃弾に倒れた男性の血痕が残っていた。建設会社に勤めるジハド・ドキさん(27)は「シーア派の兵士がほとんどいない軍は、我々を何とも思っていない。チュニジア、エジプトに続くのは私たちだ」と語気を強めた。