2011年2月19日 21時5分 更新:2月20日 0時22分
就職を目指す大学生が、特定非営利活動法人(NPO)に関心を向け始めた。東京都千代田区で19日に開かれたNPO限定の合同説明会には、転職希望者も含めて約300人が集まった。これまで民間企業や公務員に目を向けがちだった学生たちが、認知度の高まりや就職難を背景に選択肢を広げつつあるようだ。
会場となった法政大学のホールには、国際貢献や福祉など24のNPOや非政府組織(NGO)のブースが並び、説明を聞く学生らが列を作った。麻布大3年の広石由美さん(21)は環境や教育に関心があり、民間企業とNPO両方の採用試験を受験するという。「就職難と言われるが、やりたいことも譲りたくない。そのために可能性を広げたい」。民間金融機関志望の国士舘大3年、田中涼大(りょうた)さん(21)も「非営利で純粋に社会貢献しているのが魅力」と話した。
説明会を主催したNPO法人「NPOサポートセンター」(中央区)によると、近年の就職難の影響で、安定した職種への志向を強める学生がいる半面、終身雇用が崩れて将来が保障されないなら、やりたいことに挑戦したいという学生も増えているという。ある出展団体の担当者は「就職活動がうまくいっていない学生が、関心の幅を広げようと問い合わせてくるケースも増えている」と話す。
内閣府によると、国内のNPO法人数は昨年末現在で約4万1600。約3200だった10年前の13倍と、飛躍的に増えている。説明会に出展したアフリカ支援のNPO法人「ミレニアム・プロミス・ジャパン」の杉江真理子さん(33)は「以前と比べてNPOが知られるようになり、民間企業でもすぐに内定をもらえそうな高学歴の学生の応募も増えてきた。民間並みの給与を出せるかどうかが課題」と語った。【安高晋】