2011年2月19日 21時3分 更新:2月20日 1時9分
【マナマ鵜塚健、カイロ和田浩明】中東と北アフリカ諸国での民主化要求デモは19日もさらに拡大し、犠牲者が増え続けた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチなどによると、リビアでは16日のデモ開始以来、治安当局による発砲で約85人が死亡。中東の衛星テレビ局アルジャジーラのリビア国内のウェブサイトや放送も遮断された。ペルシャ湾岸の島国バーレーンでは、ハマド国王が呼びかけた対話を野党勢力が拒否、デモ参加者も「王制打倒」を求めるなど混乱が収束する見通しはない。
ロイター通信によると、リビア第3の都市の東部アルベイダで18日夜、デモ隊と治安当局が衝突、14人が死亡。治安当局は19日、アルベイダから約200キロ離れたベンガジにかけて、ほぼ制圧したとしている。ベンガジの医療関係者は毎日新聞の取材に「ベンガジで少なくとも50人が死亡、600~700人が負傷した」と語った。AP通信によると、ベンガジでの犠牲者の葬儀の列に治安部隊が発砲、少なくとも1人が死亡、十数人が負傷した。
バーレーンでは、ハマド国王が軍副司令官のサルマン皇太子を通じ、全政治勢力との対話を要請。しかし、イスラム教シーア派の野党「イスラム国民統合協会」は19日、市街地からの軍の撤退、首相や国防相らの交代を求めて拒否。軍は国王の指示を受けてマナマの「真珠広場」から撤退したが、投入された警官隊が催涙弾を発射。その後、警官隊も撤退し、市民数千人が再び真珠広場を奪還した。
イエメンでは19日、警官隊の発砲でデモ隊1人が死亡。ヨルダンの首都アンマンでは8人が負傷した。アルジェリアでは19日、約200人が首都アルジェで警官隊と衝突。東アフリカ・ジブチの首都ジブチでは18日、ゲレ大統領の辞任を求める数千人のデモで市民ら2人が死んだ。クウェート東部ジャハラでは18日、遊牧民1000人以上がデモを起こし5人が負傷、数十人が拘束された模様だ。