2011年2月18日 21時28分
【ワシントン古本陽荘】米国防総省は、今後10年間の米軍の宇宙戦略の指針となる国家安全保障宇宙戦略(NSSS)を発表した。公表された概要版には潜在的な敵国の名前は挙げられていないが、中国が07年に行った人工衛星破壊兵器による実験が3000個以上の宇宙ゴミを生みだし、宇宙空間の過密の原因の一つになっていると指摘。戦略全体が中国を意識したものであることを示唆している。
「宇宙戦略」は、宇宙空間における国際的な規範の確立に向け各国に協力を呼びかけている。
敵対国家による攻撃に対処するため情報収集活動を強化する方針や、抑止が失敗した場合は自衛権行使により断固たる措置に踏み切る決意も強調している。
国内の情報機関との連携強化が不可欠だとして、今回初めて国防長官と国家情報長官の連名で発表した。
また、国防総省は宇宙空間で稼働中の人工衛星1100個を含む約2万2000個の人工物の動きを常時監視しているという。
これ以外にも、人工衛星にダメージを与える可能性はあるが小さくて監視できない宇宙ゴミが数十万単位で存在するとしている。