2011年2月18日 21時8分
消費者金融大手・武富士創業者の長男、武井俊樹元専務(45)への巨額の課税処分が取り消されたことを受け、同社に払いすぎた利息(過払い金)の返還を求めている借り手側の弁護士らが18日、記者会見で「元専務に返される約2000億円を借り手の救済に充てるべきだ」と訴えた。5月にも元専務ら旧経営陣を相手に損害賠償を求めて提訴する準備を進めているという。
会社更生手続き中の武富士の管財人に過払い金弁済を求めて届け出た借り手は、1月末現在で約33万人に上る。だが破綻した同業他社の場合、弁済額は過払い金の約3%にとどまったといい、全額が戻る可能性は極めて低いとみられている。
このため、弁護士らでつくる「武富士の責任を追及する全国会議」は、元専務らを相手取った「1万人規模」の集団提訴を呼び掛けている。判決後に会見した新里宏二代表は「我々よりも先に、管財人が元専務らの責任追及をすることを求めたい」と話した。
原告に加わる予定の東京都内の男性(70歳)は、武富士に計約120万円の過払い金がある。昨年11月から仕事が見つからず、月約15万円の年金だけを頼りに生活している。唯一の家族である長女(29)はうつ病で入退院を繰り返しており、医療費負担もあって「ぎりぎりの生活」を強いられているという。
2月末には6畳一間のアパートの契約更新が控えているが、約10万円の更新料を支払えるめどはたっていない。男性は「裁判は時間がかかる。元専務は納めた税金が戻ってくるなら、自主的にでも過払い金を返してほしい」と訴えている。