越境大気汚染:西日本でかすみ 急増の微粒子、中国から

2011年2月18日 15時9分 更新:2月18日 18時8分

2月6日の別大マラソンも「もや」にかすんだ=大分市で、本社ヘリから山下恭二撮影
2月6日の別大マラソンも「もや」にかすんだ=大分市で、本社ヘリから山下恭二撮影

 九州を中心とした西日本一帯で今月上旬、「もや」状の大気のかすみが確認された。国立環境研究所などは中国からの大気汚染物質の流入が原因と分析している。中国からの越境大気汚染は10年ほど前から確認されはじめ、排出源が少ないはずの離島でも光化学スモッグが観測されるなど、その影響が目立ち始めている。

 九州大応用力学研究所(福岡県春日市)の竹村俊彦准教授によると、「かすみ」が見られたのは3~9日で、期間中の西日本各地の最低視程は▽長崎の福江島3キロ▽那覇4キロ▽福岡、広島、大阪5キロ--と、見通しの悪い状態が続いた。

 この間、普段は大気1リットル中に5万~20万個の微粒子を、約50万個計測。比較的粒子の大きい黄砂や火山灰などは観測されず、5マイクロメートル以下(1マイクロメートル=0.001ミリメートル)の微粒子が急増したという。竹村准教授は「中国の工場などから排出されたすすや硫酸塩などの大気汚染微粒子が原因と考えられる」と指摘。「越境大気汚染は、風向きが西寄りになる春と秋によく起こる」と説明する。

 これらの大気汚染微粒子は、非常に小さいため吸い込みやすく、呼吸器疾患などを引き起こす原因となる。国立病院機構・福岡病院(福岡市南区)の小田嶋博副院長は「特に6歳以下のぜんそく患者で重症化につながりやすい。食べ物などと一緒に体に取り込むと、アレルギーを引き起こすこともある。実際に今週は小児科で患者が増えているようだ」と注意を呼びかける。

 黄砂は気象庁が観測し黄砂情報を発表しているが、大気汚染微粒子については一般に対して注意を促す態勢が確立されていないため、予防が難しい。小田嶋副院長は「微粒子用マスクは効果がある。また、職場や学校などでもこまめに目や鼻を洗うといいでしょう」と話している。【徳野仁子】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド