2011年2月18日 11時11分 更新:2月18日 12時24分
沖縄返還に伴う日本側の財政負担について、米側が一括処理するため、積算根拠のない6億5000万ドル(当時のレートで約2340億円)を要求していたことが18日公開の外交文書から判明した。米側が沖縄の施設や財産を個別に評価するのは煩雑で、一括の方が処理しやすいと判断したためだった。
最終的に沖縄返還協定に明記された日本側の支払総額は3億2000万ドルだった。だが、実際にはそれ以上の負担を強いられ、米側が制約を受けずに使える金を捻出するのに密約が結ばれた可能性が濃厚となった。
72年沖縄返還で合意した69年11月の佐藤栄作首相(当時)とニクソン米大統領(同)の日米首脳会談を約1カ月後に控えた同10月22日付の下田武三駐米大使(同)の極秘電文から明らかになった。
それによると、バーネット米国務次官補代理(同)が吉野文六駐米公使(同)に、米政府内で一括処理の金額について合意し、直ちに日本側に申し入れるように指示があった旨を説明し、「極秘含みで6億5000万ドル」と告げた。
吉野公使は、一括処理が沖縄に「値札」を付けることになり、額の内訳を巡り、国会で野党質問への説明に苦労することに懸念を示した。これに対し米側は「内訳をある程度出せば納得が得られる」とし、「内訳について、日本側が数字をどう処理しても米側は拒否せず、その根拠作りに協力してもいい」と申し出た。バーネット代理は「(首脳会談までに解決できなければ)日米関係を害することはなはだしく、深く憂慮する」と指摘した。【内藤陽】