2011年2月17日 10時39分 更新:2月17日 14時38分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日、宇宙飛行士の若田光一さん(47)が13年末から国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在し、コマンダー(船長)として指揮を執ることが決まったと発表した。日本人がコマンダーに任命されるのは初めて。来月末から長期滞在に向けた訓練に入る。
コマンダーは、各国から派遣されたISS搭乗員6人が長期滞在する間、心身の健康管理やISSの安全確保に全責任を負う。日常的な仕事の割り振りや地上との連絡業務を担うほか、非常時の対応に関する判断なども任される。JAXAによると、米露以外のコマンダーは、09年のベルギー人、現在訓練中のカナダ人に続く3人目。軍人でない民間人出身者は、07~08年の米国人科学者に次いで2人目という。
若田さんが宇宙へ行くのは96年の初飛行以来4回目。09年には、日本人初のISS長期滞在に臨み、4カ月間滞在して日本実験棟「きぼう」を完成させた。10年3月からは米航空宇宙局(NASA)のISS運用部門の責任者を務めるなど、軍人出身者が多い宇宙飛行士の中でも抜群の指導力を発揮し、参加各国の信頼が厚い。
今回の任務は、ISSの第38次、第39次の長期滞在搭乗員。ロシアのソユーズ宇宙船で往復する。第38次(最初の4カ月)ではISSの各施設の運用に加えて科学実験などを担当し、コマンダーは第39次(残りの2カ月)で務める。
若田さんは現在、訓練のため米テキサス州ヒューストンに滞在中。17日午前、現地と東京・丸の内のJAXA東京事務所をテレビ会議システムで結んで会見し、「学んできたことを全部出し切るつもりで臨みたい」と抱負を語った。
日本人宇宙飛行士では、今年5月末から古川聡さん(46)、来年6月ごろから星出彰彦さん(42)がそれぞれ約半年間、ISSに滞在する。【山田大輔】
高度約400キロで地球を周回している有人宇宙実験施設。日本、米国、ロシア、カナダ、欧州の計15カ国が協力して98年から建設が始まり、今年完成する。太陽電池パネルを含めサッカー場ほどの大きさがあり、最大6人の宇宙飛行士が滞在可能。00年から宇宙飛行士の滞在が始まり、材料科学や生命科学などの実験を行っている。日本は実験棟「きぼう」の開発、無人補給機「こうのとり」での物資補給などで貢献している。
1963年埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ。九州大大学院工学研究科修士課程修了後、89年に日本航空に入社し、エンジニアとして勤務した。92年、宇宙飛行士候補に選ばれた。96年1月、日本人初の搭乗運用技術者としてスペースシャトル「エンデバー」に搭乗した。00年10月にはディスカバリーに搭乗。09年3月から4カ月半、日本人初の長期滞在搭乗員としてISSに滞在した。3回の宇宙総滞在時間は159日10時間46分で、野口聡一飛行士に次ぐ長さ。10年3月から今年2月1日までNASAのISS運用ブランチ・チーフ、10年4月からJAXA宇宙飛行士グループ長。