2011年2月17日 2時34分
【カイロ和田浩明】エジプトの軍最高評議会が設置した憲法改正委員会(改憲委)が審議する6条項が明らかになった。改憲委委員のソブヒ・サレハ氏(57)が15日、毎日新聞との単独会見で明らかにした。長期独裁の温床だった大統領選挙の立候補要件や大統領の任期など国民の反感が強い条項を改正する本格作業に16日着手、10日以内に改正草案をまとめる。
サレハ氏によると、軍最高評議会のアナン参謀総長は改憲委に対し「我々は軍人であり、権力を求めていない」と明言したという。
軍部側が「国民の要求」として提示した改正対象は▽大統領選の立候補要件(76条)▽大統領の任期(77条)▽議会選挙の監視(88条)▽人民議会(国会)議員の罷免手続き(93条)▽改憲手続き(189条)の5条。テロ対策で基本的人権の制限を認める179条は削除対象になっている。
現行憲法は与党国民民主党の事実上の一党支配を長期化させたとの批判が根強い。憲法改正は、ムバラク前大統領を辞職に追い込んだ抗議デモでの主要要求事項の一つだった。
サレハ氏は穏健派イスラム原理主義組織で最大野党勢力「ムスリム同胞団」の幹部も務める。ムバラク前政権下で非合法化されていた同胞団関係者が改憲委という重要組織に任命されたことについて、同氏は「多様な国民の意見を反映させようとする軍部の意識の表れだ」と評価した。
サレハ氏によると、8人の改憲委メンバーは15日、国防省でタンタウィ国防相、アナン参謀総長らと初会合。国家元首に就任したタンタウィ氏は憲法改正や議会・大統領選挙を早期に実施して民政移行を加速したい考えを表明した。