2011年2月16日 21時4分 更新:2月17日 1時26分
【カイロ和田浩明、鵜塚健】最高指導者カダフィ大佐が41年にわたり強権支配を続けるリビアの東部ベンガジで15日夜から16日未明にかけ、数百人規模の反政府デモが発生、警察や政府支持派住民と衝突した。リビアの報道関係者は毎日新聞に「15人が負傷、2人が死亡」と語った。AFP通信は38人が負傷したと伝えた。エジプトなどの民衆蜂起に刺激された可能性がある。
ベンガジの新聞「クリナ」(電子版)によると、デモは政治犯の家族を支援する人道活動家の拘束に怒った若者らが地元の治安機関前で始め、警官や政府支持派との衝突に発展した。デモ隊は反政府的なスローガンが書かれたプラカードを掲げて投石し、警察側は放水で鎮圧を図った。
一方、人権団体によると当局は16日、拘束中だったイスラム過激派グループのメンバーとされる110人を釈放する意向を示した。
政府によるメディアや野党勢力への規制がアラブ圏でも際立って厳しいリビアで、反政府デモが発生するのは極めてまれ。インターネットの動画投稿サイトには15日、「カダフィはアラー(神)の敵」と叫んだり、発砲音に逃げ惑う人々や出血した若い男性などが映った映像が投稿されたが真偽は不明だ。
イスラム教シーア派住民によるデモが続いているバーレーンでは、首都マナマ中心部の「真珠広場」をデモ隊が占拠、15日夜から約2000人が泊まり込み、16日には衝突での死者の葬儀に数千人が参加した。ハマド国王はテレビ演説で犠牲者に追悼の意を表明したが、デモが収束する気配はみられない。
デモが断続的に続くイエメンの各地で数千人規模のデモ隊と治安部隊が衝突。AFP通信によると南部アデンで2人が頭を撃たれ死亡した。サヌアでも学生数千人が警官隊やサレハ大統領の支持者と対立している。
イランの首都テヘランで16日、14日以降のデモで死亡した学生の葬儀に数千人が集まり、一部が政府支持派の市民らと衝突した。改革派のムサビ元首相らがデモを呼びかけている。