バーレーン:抗議デモ激化 米国務省が「深い憂慮」を表明

2011年2月16日 20時50分 更新:2月16日 23時3分

バーレーンの首都マナマで、殺害されたデモ参加者の葬儀に集まった人々=2011年2月16日、ロイター
バーレーンの首都マナマで、殺害されたデモ参加者の葬儀に集まった人々=2011年2月16日、ロイター

 【カイロ鵜塚健】イスラム教シーア派住民による抗議デモが激化しているバーレーン情勢に米国務省は15日、「深い憂慮」を表明した。米国が人口74万人の小国に関心を寄せるのは、米海軍第5艦隊司令部があり、湾岸危機(90年)以来、米国の中東への軍事展開を支える要だからだ。バーレーンの政権は同国では少数のスンニ派だが、スンニ派のサウジアラビア住民に市民権を認めるなどサウジと関係は深い。また、背後にはシーア派の大国イランが影響力行使を狙う。バーレーンの動向は周辺諸国へ大きな影響を及ぼしかねない。

 「すべての参加者が暴力を控えるべきだ」。クローリー米国務次官補は15日、早期の事態解決を求めた。

 バーレーンは人口の6~7割がシーア派ながら、少数派のスンニ派住民が権力を握る。

 湾岸諸国で初めて石油が発見されたが、埋蔵量は限られ、早くから金融や観光など積極的な多角化を展開。外資を導入して経済発展したがシーア派住民への恩恵は少なかった。

 「スンニ、シーアは関係ない。我々はバーレーン国民だ」。デモのスローガンに住民の不満がにじむ。周辺諸国に比べて外国人の占める比率が小さく、自国民も低賃金労働に就いているのが特徴だ。

 政権はこれまで、サウジなど周辺国のスンニ派住民に市民権を与えて、スンニ、シーア派の人口比逆転をもくろんできた。またサウジ東部にはシーア派住民もいて、デモが飛び火する可能性もある。

 バーレーンは02年から立憲君主制に移行。国民議会ではシーア派野党が40議席中18議席を占める。手探りで民主化を進める中でデモに火が付いた。

 一方、イランの関心も高い。イランはバーレーンを自国側に引き寄せ、デモを支援し「革命の輸出」を願う。

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