国民年金:救済策は「不公平」主婦ら3号切り替え漏れ

2011年2月16日 20時42分 更新:2月16日 22時35分

 サラリーマンの妻の専業主婦らが加入する国民年金第3号被保険者制度の切り替え漏れ問題で、救済策に異論が相次いでいる。制度を知らずに切り替え手続きをしなかった人が低年金や無年金に陥るのを防ぐため、条件を満たせば過去の未納分を納付したとみなす措置だが「まじめに払ってきた人からみれば不公平」との指摘が強まっているためだ。16日の総務省年金業務監視委員会でも見直しを求める声が続出した。

 3号被保険者は、扶養者である配偶者が退職して厚生、共済年金から抜けたり離婚するなどした場合、3号を脱退し国民年金第1号に加入する届けが必要。だが、知らなかったなどの理由で未届け出の人が数十万人に上るとみられる。厚生労働省は12月、加入者については過去2年以内の未納保険料を納めれば、それ以前の分も納めたとみなすことを通知。年金機構が1月から運用を始めた。

 16日の年金監視委では郷原信郎委員長らから「(納めた)実態のない人に国民の保険料から払うのはおかしい」「救済措置が始まる前に正直に届けた人は無年金や低年金のままで救済されないのに、届けなかった人が救済される」。内山晃総務政務官らも「こんな重要事項を法改正でなく課長通知でやるのは法律違反」とした。

 厚労省や機構は「記録を正しくすれば低年金や無年金になる人も生じ、窓口に苦情が殺到する。我々の周知不足も原因で本人だけに責任を求めるのは酷」としたが納得は得られず、監視委で関係者にヒアリングを続け、総務相に意見具申をするかの検討に入った。総務相は行政評価の観点で、各省庁の大臣に勧告を行える。この救済措置は恒久措置ではないとされるが、期限は決まっていない。首都圏の社会保険労務士は「窓口で故意か善意かは問わない。本当の加入期間は1年でも、受給資格を満たすまで海外に行ったり、あえて届け出ないケースも必ず出る」と指摘している。【野倉恵、山崎友記子】

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