■ 水素爆発防止、1号機に窒素ガス注入へ
放射能で汚染された水が海に漏れ出していた福島第一原発では、徹夜の作業によって、ひとまず水の流出は止まりました。しかし、一方で「水素爆発」という新たなリスクが浮上し、これを防ぐための手が打たれることになりました。
6日朝の福島第一原発。2号機の「ピット」から高濃度の放射性物質を含む水が垂れ流されていましたが、発見から4日ぶりに改善が見られました。 「これまで流れていた状態は止めることがようやくできた」(原子力安全・保安院の会見) ピットの下にある砂利の層に「水ガラス」を注入する作戦が夜を徹して行われ、これが功を奏したのです。6日朝の様子の写真、水漏れが止まっているのがわかります。 「完全に止まっているかどうか、ここが止まっているからといって他の所はどうか、しっかりと調査点検をしている」(枝野幸男官房長官) ひとまず収まった水漏れ。しかし、1号機では新たな心配が出てきました。 「水素爆発のリスクを下げるため、窒素を格納容器の中に入れる」(東京電力・福島事務所の会見) 「水素爆発のリスク」。1号機の格納容器の中に水素がたまっている可能性が高いというのです。水素は、ある空間内で一定以上たまると、空気中の酸素と一気に反応し、爆発を起こす性質があります。これが「水素爆発」です。福島第一原発では、地震発生の翌日に1号機が、さらに、その2日後には3号機が水素爆発を起こし、コンクリート製の建屋は無残に破壊されました。今、なぜ、再び水素爆発の危険性が取り沙汰されているのでしょうか。 1号機の原子炉内では、燃料が露出し、高熱になったため、燃料棒を覆う金属が溶けて水と反応し、水素が発生したとみられます。また、原子炉内では強い放射線の働きで水が水素と酸素に分解される反応が進んでいて、このまま放置すると水素が増え続けることになります。 「爆発するには、全体の体積の中で水素が4%以上、酸素が5%以上必要。格納容器の中に窒素を入れることにより、相対的に水素と酸素の割合を減らして水素爆発の可能性を下げる」(東京電力・福島事務所の会見) 東京電力では、6日夕方にも1号機の格納容器に化学反応の起きにくい窒素ガスを入れる作業を始める予定です。6000立方メートルを数日かけて入れる予定で、入れ始める際は念のため、周辺の作業員を退避させるということです。また今後、2号機や3号機への窒素の注入も検討することにしています。(06日16:42)
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