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東日本大震災:支えるメッセージを 精神科医が提言

避難所での生活の様子を尋ねる精神科医で関西学院大教授の野田正彰さん(右)=2011年3月25日、曽根田和久撮影
避難所での生活の様子を尋ねる精神科医で関西学院大教授の野田正彰さん(右)=2011年3月25日、曽根田和久撮影

 精神科医で関西学院大教授の野田正彰さん(66)が24、25両日、東日本大震災で津波被害に遭った岩手県沿岸部に入った。避難所で被災者と語り合った野田さんは社会全体に対し「『仕事や生活は支える。心配しなくていい』というメッセージをもっと被災者に伝えなければならない」と提言した。

 約30軒の住宅が津波で流された岩手県釜石市・尾崎白浜地区。野田さんは旧尾崎小学校体育館の避難所を訪れた。直前に余震があったばかり。被災した前川和子さん(61)は「おっかねえ。余震がすごくて眠れない。津波見てんだもん」。避難所の食事について尋ねられると「届けられた野菜などを使ってみんなで食事を作っている」と話した。野田さんは「ときどき家族だけで食事できる時間を作ったほうがいい」と集団生活のストレス緩和法をアドバイスした。

 約300人が過ごす大槌町立安渡(あんど)小学校の避難所では住民らが手分けして、計画的に物資を仕分けていた。「これから仕事があるのかどうか」と不安を口にする被災者もいた。野田さんはさまざまな災害の現場を歩き「災害救援」(岩波新書)などの著書がある。岩手の避難所について「阪神大震災の時、被災2週間の時期にここまでできていなかった。経験が生かされている」と評価したうえで「被災者の生きていこうという気力をそがない支援が必要だ」と話した。【曽根田和久】

毎日新聞 2011年3月26日 11時33分(最終更新 3月26日 12時12分)

 

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