検証・大震災

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検証・大震災:原発事故2日間(3)冷却系ダウン「悪夢じゃないのか」(1/4ページ)

 ◇11日16:36--異変

 大津波で状況は一変した。13台ある非常用ディーゼル発電機のうち、12台が使用不能に陥った。さらに官邸を震撼(しんかん)させる緊急事態が起きたのは地震発生から約2時間後の午後4時36分。「炉心溶融」を防ぐための冷却システムがダウンした。このままでは、核燃料の損傷や放射性物質の外部漏えいにつながる。

 東京・霞が関の経産省で原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が記者会見していた最中だった。「蒸気タービンで駆動する冷却系が働いている。バッテリー(蓄電池)は7、8時間は保持される」

 ◇血相変え「15条事態」

 会見を終えて中村審議官が席を立とうとした午後5時前。血相を変えた保安院職員が「東京電力から15条事態と判断したと連絡がありました」と会見室に飛び込んだ。「15条とは何だ」と騒然とする報道陣に「詳細は後ほど」と繰り返すばかりだった。

 原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく15条通報は、原子炉内に注水できず冷却機能を失うことに代表される重大な緊急事態の発生に適用される。1、2号機は注水が確認できなくなっていた。

 これに先立つ午後3時42分には、全交流電源が失われ、冷却機能の喪失につながりかねない事態になった。東電は15条の一つ手前のトラブルとして10条通報した。「10条でさえ通報が来るなんて考えもしなかったのに、より深刻な15条なんて。悪夢じゃないのか」。保安院幹部がうめいた。

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2011年4月4日

 

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