愛知県が10年11月、同県一宮市の公共施設を忘年会会場として予約した相手が暴力団であるとの情報を県警などから得ながら、そのまま貸し出していたことが分かった。施設を所管する県労働福祉課は「暴力団と断定できず、直ちに暴力団の利益につながるとの判断に至らなかった」と釈明している。
県によると、この施設は尾西勤労青少年福祉センター(尾西グリーンプラザ)。09年12月に県外を住所地とする企業名で、多目的ホールの利用申し込みがあった。利用名目は忘年会開催だったという。
開催日の直前に同センターに「この企業は暴力団だ」との匿名の電話があり、県警からも同種の情報提供があった。県警は施設側に予約の取り消しを打診。しかし、施設側から相談を受けた県労働福祉課は「開催日まで時間が少ない」などと判断して予約を取り消さず、忘年会は予定通り開かれたという。
今月1日に施行された県暴力団排除条例は、公共施設の利用を暴力団に許可しないことができると規定。さらに県は県警と3月に公共施設からの暴力団排除について合意している。【加藤潔】
毎日新聞 2011年4月5日 13時57分