元気があれば復興もできる!“燃える闘魂”アントニオ猪木・IGF会長(68)が5日、蝶野正洋(47)、鈴川真一(27)、澤田敦士(27)らIGF勢を引き連れて東日本大震災の被災地を慰問に訪れた。福島県いわき市と宮城県東松島市で4カ所の避難所を訪問した猪木は、想像を絶する津波の被害に衝撃を受けながらも被災者一人一人を励まし、元気を送り続けた。
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一行はいわき市の小名浜近くにある江名中学校の避難所に向かったが、海が見えてくると、誰もが言葉を失った。
つぶれ、傾いた家々。水につかった家財道具が無残に陽光を浴び、橋が落ち、川には転落した車が放置されている。墓石は倒れ、道路は陥没し、信号は消え、自衛隊員が交通を整理している。
蝶野が「市街地から突然、違う光景になった」と驚き、澤田が「映画の世界ですね」とつぶやく。今は陽光にきらめく穏やかな海面を見つめた宮戸優光GMは「静かな海なのに、想像もつかない」と絶句した。
東松島市の大曲浜地区での被害はさらに甚大だった。行けども行けども全壊した家や建物、ひっくり返った船舶や車、がれきが交ざり合い、海水もまだ引いていない。4日までに判明した同市の死者は848人で、案内した渥美巌県議は「東松島の人間は誰もが身内を亡くしている」という。
震災から25日目の光景に、猪木は「(被災者の)現実はもっと悲惨だろう。がれきの山を見たら言葉がなくなってしまった」とうめいた。
それでも、蝶野が「皆さん、次の行動を起こされている」と感じたように、被災者は明るく一行を歓迎した。
猪木が「きょうは『元気ですかーっ!?』って言っていいのか悪いのか」とためらうと「元気です!」と答え、猪木に「水戸黄門様のようです」と声をかける女性も。猪木も一人一人に声をかけ、被災者と車座になり、ビンタによる闘魂注入や「1、2、3、ダーッ!」を連発。サイン、写真撮影と惜しみなく被災者に応え続けた。
また、ミネラルウオーター3万リットル、タオル5000本、ダウンジャケット500着、女性用肌着、紙おむつ、トイレットペーパーなどの支援物資を運び、同行した医師が被災者の具合を訪ねて回った。
猪木は「皆さん元気なので逆に励まされた。今は自粛、自粛になっているが、復興にはお金も元気も必要。今どんなにつらく悲しくても、苦しみの中から立ち上がろう」と、古い自著のタイトルを引用して激励。現場を訪れて目の当たりにした現実は「軽はずみなことは言えない」厳しさだったが、それでも猪木は「元気があれば復興もできる!」と、被災者にメッセージを送った。
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