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宮城県栗原市出身の脚本家・宮藤官九郎(40)が5日、東日本大震災について触れ、「いずれ(震災を)何らかの形にしたい」と震災で傷ついた故郷をドラマなどの作品にする考えを明らかにした。ドラマや映画にもなった「木更津キャッツアイ」シリーズなどで知られる宮藤はこの日、ドラマ「うぬぼれ刑事」(TBS系)の脚本で第29回向田邦子賞を受賞し、都内で行われた会見で率直な思いを述べた。現実になれば、被災地を勇気づける明るい光になりそうだ。
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故郷・宮城へ未曽有の被害を与えた地震と津波。宮藤は「大変な状況なので、今すぐには無理ですけど…」と慎重に言葉を選びながらも「実話をドラマで扱うのには時間がかかりますが、何らかの形にしたい」と作品として地震の記憶を残す構想を明らかにした。
宮藤の実家がある宮城県栗原市は市中心部が沿岸から30〜40キロ離れているが、地震発生当日は最大で震度7を記録。幸いにも死者・行方不明者は出ていないものの、大きく揺れた。
母親と姉夫婦が暮らしており発生後1週間は連絡がとれなかったが、その後無事を確認できた。「時間があったら実家に帰りたい」と話すが、まだ帰れていない。
宮城に帰ったらぜひとも訪れたいのが石巻市の沿岸地域だという。津波に襲われ、多くの犠牲者が出た。宮藤は子ども時代に海水浴でよく訪れた街が被災したことに深く傷つき、「自分の目で見て伝えることがあったら伝えたい」と静かに話した。
偶然にも向田賞を受賞した「うぬぼれ刑事」は、主人公が被災地である福島県出身という設定。主人公の父親役の西田敏行(63)も福島出身。宮藤は受賞を一番に西田へ報告すると話し「福島県の方に、この受賞を報告したい」と激励のメッセージを送った。
破天荒なコメディー調が“クドカン脚本”の持ち味。「色々な応援の方法があっていいと思う。作風は変わらない」とパワーあふれる“クドカンスタイル”で、被災地に笑顔を届けることを誓っていた。
(デイリースポーツ提供)
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