【ウィーン=藤田剛】国際原子力機関(IAEA)は4日夜(日本時間5日未明)、加盟各国を本部に集めて福島第1原子力発電所の事故に関する特別討議を開いた。事態の収拾に手間取る日本への視線は厳しく、一部の国からは再び核分裂反応が始まる「再臨界」を疑う声も上がった。日本は原発の現状と今後の対策について説明したが、各国の懸念を払拭するには至らなかった。
事故への関心の高さを映し、特別討議には全151の加盟国から約400人が参加し、会場席に座りきれずに立ち見が出た。
再臨界の可能性を指摘したのはドイツで、日本は核分裂反応に伴う中性子が出ていないことを理由に「再臨界の兆候はない」と完全否定した。
ロシアは日本が事前に予定していた緊急対応策と現実の動きについて技術的な説明を求めたが、日本は「計測機器の破損で細部が不明のため、事態が整理されてから回答したい」と述べるにとどまった。このほか、ハンガリーからは、作業員の被曝(ひばく)を避けるために遠隔操作ロボットを現場に投入すべきだとの意見が出たという。
一方、フランスは「福島の事故は日本だけの問題ではなく、我々はしっかり教訓を学んで新たな安全規範をつくるべきだ」と訴えた。
討議終了後に記者会見した日本の代表団は、外国の記者団から低レベルの汚染水を海に放出し始めた理由や環境への影響について質問攻めとなった。
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