東京電力福島第1原子力発電所内に高濃度の放射性物質に汚染された水が6万トン程度あることが、5日、わかった。移送先として既存施設だけでは約1万トンが排出できず、東京電力は仮設タンクの設置や船などの活用を準備している。原子炉を冷やすだけでも毎日500トン以上の水を注水しており、汚染水の流出経路の全体像が把握できていないなか、さらに増えて再び意図的な海への排出を迫られる可能性もある。
汚染水の量は経済産業省原子力安全・保安院などが推計した。1~3号機の坑道には3千~6千トン、タービン建屋地下の水の量は正確ではないが、水深1~2メートル程度がたまっていることから概算し、坑道と合わせて各号機に2万トンあるとした。
■電源復旧の妨げ
この汚染水を取り除かなければタービン建屋地下に入れず、水を循環させながら原子炉を冷やすポンプなどの電源を復旧できない。特に優先度が高いのは、海への流出が続く2号機の高濃度汚染水だ。
当初、東電が考えたのは汚染水をタービン建屋内の復水器に入れる案だった。復水器にあった水を他のタンクに玉突き排水していたところ、海への流出が発覚。コンクリートや吸水性樹脂では流出が止まらず、2号機の汚染水除去を急ぐ必要に迫られた。
窮余の策として、集中廃棄物処理施設にあった1万トン、5~6号機の立て坑内の1500トンの低濃度汚染水を4日から海に放出した。これらの水に比べ、2号機から流れ出ている高濃度汚染水は100万倍の放射性物質を含む。2号機の水を約10リットル流すと、今回海に意図的に流した低濃度汚染水の放射性物質の量を上回る。
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