枝野幸男官房長官は4日午後の記者会見で、気象庁に対し、作製している福島第1原発からの広範囲にわたる放射性物質の拡散予測を速やかに公表するよう指示したことを明らかにした。
枝野氏は、予測は一定量の放射性物質が漏れたと仮定し、原発周辺の気象情報に基づく拡散状況を100キロ四方ごとに計算しているとし、国際原子力機関(IAEA)が世界各国への影響を把握するために作製を要請したと説明。「隠す必要がない情報であれば、誤解がないよう十分な説明を付けて公表すべきだ」と述べた。
気象庁は「一定の仮定に基づいた参考資料にすぎない」として、公表していなかった。
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気象庁はこの予測について、地震直後から1日1~2回、IAEAに報告しているとしたうえで、「予測に使う入力データは実測値ではなく、IAEAが示す仮定の数字。気象庁としては根拠を説明できず、国内の防災対応に利用するのは適切ではないと考えている」と説明。ただ、「特に隠すものではないので、要望があれば(あくまで仮定という)説明を加えた上で公表したい」と話している。【飯田和樹】
毎日新聞 2011年4月5日 東京朝刊