当社は2008年10月21日に釧路市、10月23日に室蘭市、10月30日に旭川市で 「「ほくでんエネルギー講演会」~プルサーマルの必要性と安全性~ 」を開催しました。
両日ともにトークゲストとして、フリーアナウンサーの松永 俊之氏、北海道大学大学院工学研究科教授の奈良林 直氏をお迎えし、限りあるウラン資源、その有効活用につながるプルサーマルについてお話をお伺いしました。
開催日時 | 2008年10月21日(火)15:00~17:10 |
開催場所 | 釧路全日空ホテル |
入場者数 | 150名 |
演題 |
【トークテーマ】 |
開催日時 | 2008年10月23日(木)15:00~17:00 |
開催場所 | 中嶋神社 |
入場者数 | 170名 |
演題 |
【トークテーマ】 |
開催日時 | 2008年10月30日(木)15:00~17:00 |
開催場所 | 旭川ターミナルホテル |
入場者数 | 141名 |
演題 |
【トークテーマ】 |
松永 俊之氏
フリーアナウンサー。
1969年 北海道放送入社。
ラジオ・テレビのスポーツ番組から奥様向けワイド番組まで幅広い分野で活躍。
1996年からはボランティア活動や福祉、医療、教育問題など多岐にわたる講演も行っている。
2007年(株)マツプロ松永事務所を設立。
現在は、HBCラジオ「松永 俊之マイライフ・マイミュージック」他を担当。
奈良林 直氏
北海道大学大学院工学研究科教授。
1991年 博士(工学)(東京工業大学・論文博士)
1999年 (株)東芝 電力・産業システム技術開発センター主幹(部長級)
2007年 北海道大学大学院工学研究科エネルギー環境システム専攻教授
松永 俊之氏「くらしの中のエネルギー」
「くらしの中のエネルギー」と題し、“心のエネルギー“についてお話をいただきました。
ご自身の幼少時代からアナウンサー採用試験の想い出までユーモアたっぷりに語られたほか、老化防止を含め心のエネルギーを満タンにする「一読、十笑、百吸、千字、万歩」という言葉を紹介されました。
そして、30歳から2本の杖をつく1人の障害者の立場からバリアフリーの重要性を訴え、ハンディキャップを持つ人達はエレベーターやエスカレーターなど電気なしでは今の世の中、日常生活をスムーズに送ることは困難であると福祉の面から電気の大切さを強調し、エネルギー自給率4%の日本において、世界的に限りある資源を考えれば、安全性に充分配慮した上で、現実的に原子力発電に頼らざるを得ないと述べられました。
また、ウランのリサイクルともいうべきプルサーマルについては大変興味深く、この後ご登場される奈良林先生のお話をお聞きしたいと話されていました。
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会場の様子(釧路)
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ユーモアたっぷりに語られた松永さん(釧路)
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会場の様子(室蘭)
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会場の様子(旭川)
奈良林 直氏「エネルギー・環境問題とプルサーマル」
「エネルギー・環境問題とプルサーマル」と題し、北海道大学大学院工学研究科教授の奈良林直さんからご講演をいただきました。
現在のエネルギー価格高騰の背景には、世界の人口の爆発的な増加と先進国の経済発展、エネルギー消費の増加があると話され、日本のエネルギー自給率はわずか4%と先進国の中では最低であることを説明し、深刻化する地球温暖化についても、異常気象や砂漠化など具体的な例を示しながらお話いただきました。また、水力発電とともに原子力発電を主な電源として選択し、先進国では最もCO2排出量が少ないスイスの取り組みや、美しい湖と森林を酸性雨から守るため原子力を推進しているフィンランドの例も紹介されました。
プルサーマルは世界中で5000体以上の実績があり安全上の問題は発生していないことを強調され、これからはリサイクル燃料の時代であり、エネルギーを将来にわたって安定して確保できる、地球環境にもやさしいプルサーマルは必要であると専門的な立場からご説明いただきました。
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専門的な立場でご説明された奈良林さん(釧路)
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会場の様子(釧路)
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会場の様子(室蘭)
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会場の様子(旭川)
(会場で寄せられたご質問と奈良林教授のご回答)
諸外国における高レベル放射性廃棄物処分の状況と、核融合に関する現状について意見を聞きたい。
フィンランドは原子力発電所の横に高レベル放射性廃棄物処分場の建設を予定しています。また、20世紀はじめには核融合が可能と言われていましたが現状では相当難しく、実現には今後100年から200年はかかると思います。その意味でも原子力発電、プルサーマルの着実な推進が必要です。
原子力発電は二酸化炭素を出しませんが、風力発電や太陽光発電も二酸化炭素を出しません。風力発電や太陽光発電で必要な電気をまかなうことはできないのでしょうか。
風力発電や太陽光発電のような新エネルギーを積極的に利用することは大切です。しかし、発電にあたっては、気象条件等の影響を大きく受けるため、出力が安定している火力発電や原子力発電に頼らざるを得ないのが現状です。
原子力発電はチェルノブイリのように事故を起こせば放射能による大きな被害が発生するため、進めるべきではないと考える。
また、泊発電所3号機はプルサーマル用の設計にはなっておらず、更に六ヶ所の再処理工場において故障が相次ぎ、止まっている現状では、プルサーマルを進めるべきではないと考えるが、どうか。
研究結果により、微量の放射線は体にいい影響を及ぼすことがわかっています。放射能を「怖い」と思う気持ちがあるかもしれませんが、正しい知識を持つことが大切です。
日本の原子力発電所は旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所と異なり、原子炉格納容器で守られているため、万一事故があったとしても外部環境に影響を及ぼすことはありません。
実際に、アメリカのスリーマイルアイランド原子力発電所におけるトラブルでは、原子炉格納容器があったため、外部へ影響を及ぼすことはありませんでした。
プルサーマルは、これまで世界で5000体以上の実績があり、安全上の問題は発生していません。泊発電所3号機におけるプルサーマルの実施についても、国による安全審査を経て、問題がないことを確認してから進めます。
青森県六ヶ所村にある、日本原燃(株)使用済燃料再処理工場については、いくつかのトラブルがありましたが、現在は最終段階の試験運転を着実に進めていると承知しています。