建屋のシート遮蔽は9月以降 放射線量高く着工早くて6月政府が東京電力福島第1原発事故で実行方針を固めた原子炉建屋の特殊シートによる遮蔽は着工が早くても6月以降、完成は最短でも9月となる見通しであることが5日、分かった。建屋周辺の放射線量が高く、当面は作業が困難と判断した。複数の政府関係者が明らかにした。事故対処の長期化は必至だ。 原子力専門家からは遮蔽について、放射性物質の拡散抑制効果が限定的だとして、疑問視する声が上がっている。着工が早くても2カ月近く先になることに加え、シートなど資材の調達や作業員の確保に手間取る可能性があり、政府内で消極論が強まる展開も否定できない。 政府と東電の事故対策統合本部に属する放射性物質漏えい防止チームの4日の会合で、検討を要請された大手ゼネコンが工期の見通しを報告した。その際、米原子力規制委員会(NRC)の専門家は、遮蔽シートが地震や台風で倒壊した場合でも、内部の使用済み燃料プールを破損しない構造とするよう求めた。 政府内の原子力専門家が指摘していた内部の放射線量上昇や再爆発のリスクに関しては、放射性物質を吸着する素材をシート内側に張ったり、フィルター付きの換気口を設置して水素だけ外部に逃がす対策が検討されている。 建屋周辺の放射性物質対策では、ちりやほこりの飛散を防ぐため東電が粘着性合成樹脂の散布試験を実施。ただ樹脂に放射線を遮る効果はないため、政府は遮蔽工事の着手には線量の低下を待つ必要があると判断した。 特殊シートは建屋の周囲に骨組みを建てて張り巡らせる構想。1~4号機の全てで実行した場合、費用は約800億円と見積もられている。政府が東電に可否を検討するよう指示していた。 【共同通信】
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