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〈Q&A〉農産物「直ちに影響ない」根拠は?

2011年4月5日12時2分

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■対策必要だけど 検出数値わずか

 Q 農産物の出荷停止が解除されそうだ。制限中の段階でも、菅内閣の高官や専門家は「健康には直ちに影響ない」と言ってきた。

 A 行政として対策を取らなければいけないレベルと、実際に健康に影響が出始めるレベルには、大きな差がある。厚生労働省の審議会が4日に決めた暫定基準は、国際基準をもとに計算されたもの。放射性ヨウ素では、わずかながら健康に影響が出るとされるレベルの50分の1という数値から割り出したものなんだ。

 Q 具体的には。

 A 例えば3月19日には、茨城県高萩市のホウレンソウから暫定基準(1キロあたり2千ベクレル)の7.5倍の1万5020ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。これを100グラムずつ1年間食べ続けた場合を考えてみよう。100グラム分に含まれる放射性ヨウ素は約1500ベクレルで、365日間食べ続けると約54万8千ベクレルになる。

 放射性ヨウ素が体内で放射線を出す量は、成人なら1ベクレルあたり100万分の16の係数をかけて算出。約8.8ミリシーベルトになる。

 一方、わずかながら健康に影響が出始める被曝(ひばく)量は100ミリシーベルト(発がんリスクが5%増)とされる。1年間食べても「直ちに影響ない」という理由は、ここにあるんだ。

 Q 食べ物から被曝すると、体内にたまりそうだ。

 A 大気などから放射線を浴びる外部被曝より、内部被曝の方が怖いと考えがちになるけど、係数は体内での放射線の減り方やとどまり方を考慮した上で出した。だから、外部被曝の場合と同じように考えていい。

 Q 個人差はないの。

 A 体内で放射線を出す量を計算する係数は、若いほど高くなる。幼児なら成人の4.69倍、乳児なら8.75倍。たくさん野菜を食べる人や、放射線の影響を受けやすい人もいる。だから、基準を超えた一部の食品については出荷を止めて、流通しないように制限した。

 Q 体に入れる食品は野菜だけじゃないよね。

 A ほかに牛乳や水にも基準(いずれも1キロあたり300ベクレル)がある。食品全体からの被曝量に枠を設けて行政が対策を取ることで、健康への影響を食い止めている。肉や魚については放射性ヨウ素がたまりにくいとされ、基準はない。ただ、茨城産コウナゴから高い濃度の放射性ヨウ素が検出されたため、厚労省が基準づくりに乗り出す。

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