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東電、仮払金100万円で調整 周辺住民1世帯当たり

2011年4月5日 23時27分

 東京電力は5日、福島第1原発事故の被害者救済に向けた賠償金問題で、周辺の住民に支払う仮払金を1世帯当たり100万円とすることを軸に調整に入った。月内にも実施する方向だ。

 津波の被害者に対し、被災者生活再建支援法に基づいて、支援金の一部を前倒しで1世帯100万円払うことを参考にした。海江田万里経済産業相は5日の記者会見で「これはもう可及的速やかに、できるところから支給したい」と述べ、早期の支払いに意欲をみせた。

 政府は原発事故の損害調査などを行う紛争審査会を早期に立ち上げ、賠償額の算定を始めたい考えだ。

 一方、補償総額について、被害が広範なこともあり、原子力事故では前例の「(茨城県東海村の)ジェー・シー・オー(JCO)臨界事故並みの、手厚い補償は難しい」(政府関係者)との見方も広がっている。

 1999年9月のJCO臨界事故では、現場から約350メートル圏内の住民が避難。仮払金は約2700件で約53億円が支払われた。

 周辺住民への見舞金や、企業や農業への風評被害などもあり補償総額は約6900件、約150億円となった。

 一方で今回の事故では、原発の周辺地域が放射性物質で汚染されたことに加え、避難対象が半径20キロに拡大。避難対象者も約8万人に上り「JCOとはけた違い」(経済官庁幹部)のレベルだ。JCOの基準をそのまま当てはめれば住民や農家、企業などへの補償は数兆円レベルに跳ね上がる。

 東電は今後、国と具体的な協議を始めるが、補償内容はJCOの時より引き下げられる可能性がある。支払い手続きに時間がかかれば、企業や住民、農家の負担は一層重くなるだけに、被害者の早期救済に向けた政府、東電の対応が急がれる。

(共同)
 

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