株主の皆さまには、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。 当社の2009年3月期(2008年4月1日から2009年3月31日まで)の事業概要をご報告申し上げるにあたり、代表取締役社長の田代正美より、業界を取り巻く環境や当社の取り組みについて、一問一答の形式でお話をさせていただきます。 |
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代表取締役社長 田代正美 |
Q.景気の後退をはじめ、当期(第52期)におけるさまざまな外部要因による事業への影響はいかがでしたか?
A. この1年間は、上半期における食品および原材料・燃料価格の高騰にはじまり、これに対応する新たな価格作りができないまま、9月以降の米国金融危機に端を発する世界同時不況の影響を受け、消費の低迷に見舞われるる状況となりました。また、その間も食品偽装など多くの問題が発生し、対処に追われました。言い換えれば、荒利益に関する計画が外部環境に振り回された1年であったと思います。
主力の流通事業について言えば、特に郊外の店舗が苦戦を強いられた状況です。客単価・買上点数の落ち込みに対し、客数がこれをカバーする伸びを見せず、消費者が生活防衛意識を一段と高め、不要不急の買い物を避けている傾向に直面しました。また、当期よりたな卸資産の評価基準を低価法に変更したことに伴い、在庫の回転期間が比較的長いホームセンターとドラッグストアにおいて評価損が発生したことも、利益面のマイナス要因となりました。
一方、スポーツクラブ事業については、同業他社との過当競争が続く中、会員の入会・退会比率が低迷し、さらにプール施設等の運営において燃料価格の高騰による利益圧迫を受け、収益が大幅に悪化しました。
こうした全般的な低調の中でも、スーパーマーケットにおいては、経費低減施策の奏功と、株式会社タチヤ、株式会社ユース、株式会社食鮮館タイヨーといったグループ各社の好調が寄与し、前年並みの利益を確保しました。
Q.当期のスーパーマーケット・ホームセンターの新規出店について、また今後の出店方針についてお聞かせください。
A. 当期は、スーパーマーケット14店舗とホームセンター4店舗を新規出店しました。これらの店舗数については、おおむね当初計画通りの実現となりました。新店はいずれも、次年度以降の収益化・利益貢献となりますが、今回オープンした4つのホームセンターは、それぞれ3,000〜4,000坪規模と大型であり、多額の創業費用を要したため、当期のホームセンター事業にとって非常に大きな負担となりました。
次期(第53期)の新規出店については、当期とほぼ同数を計画しております。今後の出店方針としては、郊外から市街地中心にシフトさせていく考えです。これは社会の高齢化に伴い、消費者の行動範囲が乗用車を必要としない地域に集中していく傾向にあるためです。
なお、平成21年4月23日に当社初のEDLP(エブリデー・ロープライス)型店舗としてバロー師勝店(愛知県北名古屋市)がオープンしました。EDLP型店舗はチラシ特売の廃止により経費を節減し、毎日お買い得な価格で商品を提供することで、消費者の低価格志向に対応していくものです。当社は同店を実験店舗として運営しつつ、EDLPのビジネスモデル構築に必要なノウハウを蓄積し、今後の事業戦略に活かしていく考えです。
Q.新会社の設立(Vソリューション、北欧倶楽部)についてご説明願います。
A. 平成20年6月30日、当社はPB(プライベートブランド)商品の開発と販売強化を目的とする株式会社Vソリューションを設立しました。当社のPB商品は現在約800アイテムにまで拡大し、当期はスーパーの売上高に占めるPB商品の割合が約17%となりました。PBの売上構成比は、当面20%までの拡大を目指しており、利益率向上へのさらなる寄与が期待されます。Vソリューションは、これまで各事業部が個別に行っていたPB商品の開発・販売を統括し、別会社化したものです。今後、グループの規模を活かしたPB商品の開発・供給を推進しつつ、グループ外への販売についても積極的に展開していきます。Vソリューションの営業体制は順調に整備が進んでおり、次期の売上高は約150億円を見込んでいます。
そしてもう1社、平成20年9月3日に株式会社北欧倶楽部を設立しました。当社では店内ベーカリーをスーパーマーケット106店舗で展開しており、美味しくて安価な焼きたてパンの提供により、消費者に大きな反響を呼んでいます。北欧倶楽部は、このベーク部門を「製造小売業」と位置付け、ベーカリー事業としての業容拡大を目指していく会社です。こちらも極めて好調な操業状況にあり、すでに需要への対応に追加投資を必要としている段階です。
Q.今後、バローが成長していくための方向性についてはどのようにお考えですか?
A. 小売業においては、そのビジネスモデルを展開させていく方向性として4つの軸があると考えています。すなわち、1番目に「仕入れ」、2番目に「売り方」、3番目に「サービス」、4番目に「立地」です。これらの4つの軸に沿って、どういうところで他社との違いを出していくか、という取り組みが求められており、先に申し上げました市街地への出店や、EDLP型店舗、PB商品やベーカリー事業など当社における新たな展開も、将来の成長に向けてこれを追求している試みです。
これからの流通業界では、販売だけで生き残っていくことは困難であり、単なる小売から脱皮した「製造小売業」としての新たなビジネスモデルを確立させることが必要となっています。当社は、モノが生産され、消費者に届くまでのあらゆるプロセスにおいてメリットが得られる仕組みを考え、その構築を目指しています。
Q.株主の皆さまへのメッセージをお願いします。
A. 当社は、株主の皆様からのご支援とご期待にお応えするべく、利益還元を重要な経営課題として認識し、安定的な配当の実施はもちろんのこと、可能な限り配当額の充実に努めております。こうした考えに基づき、当期の期末配当については、1株当たり10円(前期比1円の増配)を実施させていただきました。これにより当期の1株当たり年間配当額は、中間配当の10円(同1円の増配)と合わせて、20円(同2円の増配)となりました。また、平成20年12月より翌年1月にかけては、100万株の自社株買いを実施いたしました。
さらに当社は、上記のような施策に加え、特色あるPB商品をお届けする株主優待制度など、株主の皆様に満足していただける還元策を今後も継続してまいります。
当期につきましては、これまで以上に多くの投資家の皆様より当社株式を保有していただき、新たな株主様としてのご支援を賜りましたことにつき、深く感謝申し上げます。今後、当社が実現させていく「製造小売業としての飛躍」へのご注目とともに、将来の企業価値にご期待いただければ誠に幸いに存じます。引き続き当社への長期的なご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。