東京電力福島第一原子力発電所で、「ピット」と呼ばれる施設から高濃度の放射性物質に汚染された水が海に流出し続けている問題で、汚染水が流れ込んでいる2号機の取水口付近で、採取した海水から国の基準の750万倍という極めて高い濃度の放射性のヨウ素131が検出されたことが分かりました。専門家は「原子炉から出た高濃度の放射性物質が海に流れ込んでいることがはっきりした」として、一刻も早く海への流出を止めることが必要だと指摘しています。
福島第一原発では、2号機の海沿いにあるピットと呼ばれる電線ケーブルを納めた施設から、今月2日、高濃度の放射性物質に汚染された水が海に流出しているのが見つかりました。このため東京電力は、流出を止めるための対策を行う一方、汚染水が流れ込んでいる2号機の取水口付近の海水を採取して放射性物質の種類や濃度などを詳しく調べていました。その結果、4月2日午前11時50分に採取された水から、ヨウ素131が1cc当たり30万ベクレルと、国の基準の750万倍という極めて高い濃度で検出され、4日午前9時に採取された水からも1cc当たり20万ベクレルと、国の基準の500万倍の濃度で検出されました。また4日、同じ2号機の取水口付近で採取された海水からは、放射性物質の量が半分になる半減期が30年と長い放射性のセシウム137も、国の基準の110万倍の濃度で検出されました。2号機では、先月27日、タービン建屋の地下にたまっていた水から、1cc当たり1300万ベクレルのヨウ素131が検出され、先月30日にはタービン建屋の外にある「トレンチ」と呼ばれるトンネルにも水がたまっているのが見つかり、水の表面で1時間当たり1000ミリシーベルト以上の強い放射線が計測されています。これらの水について、経済産業省の原子力安全・保安院は、原子炉で損傷した核燃料から水に漏れ出た放射性物質が流れ出てきたものとみています。東京大学大学院の岡本孝司教授は、海に流出している汚染水はタービン建屋の地下などにたまっている水などが何らかのルートで流出したものだとしたうえで、「原子炉から出た高濃度の放射性物質が海に流れ込んでいることがはっきりした」として、一刻も早く海への流出を止めることが必要だと指摘しています。