「隠し立てすると、貴方様の為になりませんわよ?」
「本当なんだ、俺達は3日前に加わったばかりなんで詳しい事は知らないんだよ!」
紅虎の鞭を撓らせた忍び寄る業火・ラサティ(c02695)に、両手両足を縛られた盗賊が懇願する。
「羽振りがいい奴らが居るって話は少し前から聞いてたんだ。蛇の道は蛇って言うだろ、酒場で盛り上がってる連中見た時、こいつらだって思ったね。一緒に来るか? って言われた時には、大きな仕事が出来ると胸躍らせたもんだ。小銭をくすめる人生ともオサラバだってな。それが初仕事で捕えられてこの様だ。まったく俺達の人生もツイてないぜ」
虎髭の男が言うのに他の盗賊達がうんうんと頷く。入って日が浅い故か盗賊達は饒舌で、命を助けてくれるならなんでも話すとまで言っている。
「お前達の頭は誰なんだ?」
腕を組んだ狼剣の守護者・ヴォルク(c05393)が問うと、
「ホフマイヤー、いやホスマイスターだったかな? 口髭の偉丈夫だったぜ。まだちらっとしか会ってねーんだよ。誘われて仲間になってアジトに行った時に今から一稼ぎに行くか? って言われてこの様だ。レイピア持ってた2人とあと2人古株が居たが」
そう言って盗賊達は自分達を見回し、
「ここには居ねぇみたいだしな」
「ホフマイスターてのは、あのホフマイスターなのかな?」
アクスヘイムの城塞騎士・クゥーリオ(c04438)が尋ねると、
「あのって言うと?」
盗賊が聞き返し、アックス家の騎士団長と説明するが、
「そもそも、その男を知らねーからわかんねーな」
「しかし、あのレイピアの男が最後に名前を呟いてますし、自決する程の結束を考えると、当人である可能性が高くないですか?」
小隊長・リース(c15378)が口を挿み、他のエンドブレイカー達が頷く。
「人数は全部で何人ぐらい居るのか?」
天津甕星から素足を覗かせながら星渡りの舞踏・セリオ(c12185)が問うと、
「街や村に入って情報を集めたりする奴や、別の事をやっている奴もいるから全員がアジトに居る訳じゃねーが、仲間は100人ぐらいと聞いてるぜ」
多いな。という呟きがエンドブレイカー達から漏れる。
「デハ、そのアジトはドコにあるのデスカ?」
「遺跡だ」
「遺跡?」
それは残像だ・ダガー(c04738)の問いに、盗賊は即答し、エンドブレイカー達は問い返す。
「なんでも何処かの領主様が管轄していた遺跡らしい。侵入者に対する罠も生きてるって話だ。奥にも住めるスペースやぶんどってきた食糧とかを溜め込んでるらしいが、俺達はそこまで入ってねぇ、遺跡の前に皆居やがったからよ」
「当然、場所は教えてくれるのよね?」
エアシューズのスカイランナー・ヴァレンティーナ(c14837)が、水の入ったコップを渡しながら言うと、盗賊は有難そうにその水を飲み、
「ああ、かまわねーが行くのは簡便だ、裏切り者として死にたくないからな。この辺りに洞窟みたいな入り口があって、その奥が遺跡になっている」
地図の一点を指し示した。
「この地図少しお借りしてもいいでしょうか? 手掛かりが得られるかもしれません」
弦奏卿・ハインリヒ(c02642)は皆の同意を得ると、地図を丸めて懐に納める。
「お頭以外に強い奴は居るのか?」
急病で出れなかった事を皆に詫びた、どこにでもいる一般的アフロ・キヨカズール(c01091)が紫のアフロを揺らしながら問うと、
「元騎士様ってのが10人ぐらい居るな。正規の訓練を受けたとかで段違いに強かったぜ、もっとも、その内の2人を倒したあんたらの方が上なんだろうけどな。あ、副頭目格が2人居る。俺達に声を掛けてくれたワイアットと、他にバーナードってのが居ると聞いたが、こっちは会った事ねぇ」
盗賊達からの情報に、エンドブレイカー達は腕を組んで考えるのであった。
「たいへんですぅ」
そこに恋を嘯き死を屠る・ソウシ(c02860)が飛び込んで来る。盗賊達をちらりと見たソウシは、仲間達を別室に移動させる。
「盗賊の遺体が1体足らないですぅ。逃げられたのかもしれません……」
村の混乱が収まり、村人達と盗賊達の遺体を纏めて埋葬しようとしたソウシは、遺体の数と生きている盗賊の数の合計が、襲撃して来た盗賊の数より1人少ない事に気付いたのである。
「待ち構えられているかもな……」
ヴォルクの声が部屋とエンドブレイカー達の心に響いた。
ハインリヒが仕える大貴族に確認したところ、その遺跡はアックス家が管理していた事が分かる。エンドブレイカー達は、確かな資料では無いがと前置きされた上で、大貴族からハインリヒに託された遺跡の図面を見ながら、どう動くか考えるのであった。
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