ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


総力特集 東京都知事選挙

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」〜連動型大地震発生リスクを無視してきた東京電力

木走日記

木走正水(きばしりまさみず)

 宮城県仙台市を基点とする国道45号(こくどう45ごう)は、太平洋沿岸を経て青森県青森市へ至る長い国道ですが、仙台から石巻にいたるこの国道の部分は、数多くの危険箇所がありましたが、地質屋さんがボーリング調査した柱状図を見せて教えてくれたのですが、この辺りの扇状地は堆積層がもろく「地盤がゆるい」とのことでした。

 柱状図には他の地層と明らかに異なる黒っぽい薄い層が何本かありましたが、「これは過去の津波堆積物、こっちのは火山噴火による火山灰」と教えてくれました、当然ながら下にいくほど古い時代の地層ですから一本の柱状図でその地点で過去どのような災害が発生したかがおおよそわかるのでした。

 今にして思えば、私はそのとき柱状図で貞観津波の痕跡を見たはずなのですが、当時はそのような知識も当然ながら私にはなく、ただずいぶん海から離れた内陸部まで津波がおしよせているんだな、素人ながら過去の津波の規模の大きさに驚いたのでした。

 ・・・

 今回の地震は、太平洋プレートが東北地方を乗せた北米プレートの下に潜り込むことによって起こる「海溝型地震」であります。

 政府の地震調査委員会では、宮城県沖、三陸沖南部、福島県沖で起こる海溝型地震については、マグニチュード(M)7・5規模を想定していましたが、しかし、今回の地震の規模はM9.0と想定を大きく上回ったのであります。

 1707年の宝永地震(M8・6)の4倍規模であり、国内ではもちろん最大級、プレート境界面が、気象庁によれば、地震によって、岩手県から茨城県に至る南北400キロ、東西200キロの断層帯が破壊された可能性が高いとみています。

 震源域が広域にわたる連動型大地震であります。

 しかしながらこの連動型大地震を「想定外」としていた政府・東京電力の、特に津波対策に今批判があつまっています。

 ここに活断層研究センターと東京大学地震研究所による、1100年前の連動型大地震である貞観地震による津波規模を、津波堆積物の分布状況をもとにコンピュータで精密に数値シミュレーションした3年前(2008年)の研究報告があります。
 「石巻・仙台平野における869年貞観津波の数値シミュレーション」

http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/seika/h19seika/pdf/03.satake.pdf
 このレポートで、貞観津波の規模が海岸線から内陸部に場所によっては3km以上の距離まで津波堆積物がある非常に大規模なものであることと、地質調査からこの規模の大地震が約1000年規模で繰り返し発生している事実が明らかになります。
 浸水距離は仙台平野では当時の海岸線から1〜3km、石巻平野では3km以上であった。また貞観津波の下部にも数枚の津波堆積物が発見され、その繰り返し感覚は600から1300年程度と推定されている。
 彼らはシミュレーション結果から貞観地震が震源域が広域にわたる連動型大地震であると特定します。
6.まとめ

 貞観津波による石巻平野と仙台平野における津波堆積物の分布といくつかの断層モデルからのシミュレーション結果とを比較した。プレート内正断層、津波地震、仙台湾内の断層によるモデルでは両平野の津波堆積物の分布を再現することはできない。プレート間地震の幅が100km、すべりが7m以上の場合には、浸水域が大きくなり、津波堆積物の分布をほぼ完全に再現できた。

 本研究では、断層の長さは3例を除いて200kmと固定したが、断層の南北方向の広がり(長さ)を調べるためには、仙台湾より北の岩手県あるいは南の福島県や茨城県での調査が必要である。
 しかも、この研究では「断層の長さは3例を除いて200kmと固定した」が、実際はもっと長い可能性があるとして「仙台湾より北の岩手県あるいは南の福島県や茨城県での調査が必要」とまとめています。
12345

このニュースを共有

コメント / 簡単コメント | みんなのコメントを見る(122)

特集

» 特集一覧

BLOGOS on

BLOGOSをスマホで見よう

スマートフォン版
アプリ版BLOGOSをダウンロード(無料)
ケータイ版
QRコード
携帯サイトのQRコードはこちら
http://n.m.livedoor.com/blogos/

ネットマガジン

close なぞり検索

検索リスト

この機能をOFFにする