ニンテンドー3DSが発売されてから、早いもので1カ月が経過しました。メディアクリエイトによれば、発売初週の販売台数は約35万7000台。その後4週間で、果たして3DSの販売台数はどれくらい伸びたのでしょうか。今回は発売5週時点での3DS、DS、PSPの販売データをもとに、3DSの立ち上がりについて分析してみました。
上記グラフは、3DS、DS、PSPの発売5週間の販売数をそれぞれ表したもの。今回はハード販売台数、ソフト販売本数、装着率(ハード1台あたりに対するソフトの販売本数)の3つの視点から、3機種のローンチを比較しています。
注目すべきはやはり「ハード販売台数推移」でしょう。3DSのグラフを見ると、1〜2週目こそ好調ですが、DSやPSPに比べて、3週目以降で大きく失速していることが分かります。発売5週時点での累計販売台数もDSの約171万台、PSPの約91万台に対し、3DSは約80万台と3機種中最下位。一部ではすでに3DSの「失速感」も叫ばれていますが、確かに数字を見る限り、DSやPSPに比べて若干物足りないスタートとなったのは事実かもしれません。
一体、この差はどこでついたのか? 原因のひとつとして指摘されているのが、ローンチタイトルの弱さです。3DSの装着率を見ると、1週目時点で0.95本、5週目時点でもやっと1.01本と、これも3機種中最下位という結果に。ゲーム機はあくまで「箱」ですから、そこに入れる「ソフト」がなければ売れないのは当然のこと。今回、任天堂は「マリオ」や「ゼルダ」といったキラータイトルをローンチから外しましたが、そのあたりも本体の伸び悩みにつながっていると考えられます。
もちろん年末発売のDS・PSPと、2月発売の3DSを一概に比較することはできませんし、また3DSの場合は東日本大震災による落ち込みもありました。しかしグラフを見るかぎり、世間で言われているような「失速感」は決して気のせいとは言えなさそうです。
これについて、メディアクリエイト代表取締役・細川敦氏は次のように分析します。
「確かに、DSに比べて若干もたついている感はあります。しかし、これはDSが特殊な普及をしたと見るべきで、3DS自体の普及についてさほど心配はしていません」(細川氏)
細川氏によれば、DSは一種の「社会現象」を巻き起こし、それによって従来のゲーム機とは異なる、急激な立ち上がりに成功した。しかし通常、ゲーム機というのは緩やかにじわじわと販売台数を積み上げていくもので、おそらく3DSもそうした普及の仕方をしていくだろう――と細川氏は語ります。
「ただし、それでも3DSがDSのような社会現象を引き起こすのはやはり難しいでしょう。もちろん絶対にないとは言い切れませんが、通常、短期間に同じブームが2度繰り返されるというのは考えにくい。おそらく最終的な普及台数は、1600万台〜2300万台程度に落ち着くと予想します」(細川氏)
細川氏は、3DSとNGPの合計普及台数を約4200万台と予想しており、「どちらのハードも基礎票として1600〜1700万台は持っている」と分析します。残りの浮動票がどちらに入るかは、それこそソフトや戦略次第。いずれにしても、現在の「失速感」は当初の見込みとのズレによるところが大きく、現在の3DSの状況をもって「厳しい」と判断するには早いだろう――というのが細川氏の見方のようです。また現在の市場在庫のだぶつきについても、適正より少し多い程度であり、懸念するほどではないとしています。
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