岩手のニュース

かもめの玉子 製造工場が再稼働 「大船渡の銘菓」守る

再稼働した工場であんを練る作業を行う従業員

 銘菓「かもめの玉子(たまご)」で知られる「さいとう製菓」(岩手県大船渡市)が4日、震災でストップしていた大船渡市内の工場を再稼働させた。「かもめの玉子」の生みの親で、大船渡名物に育てた先代社長の遺志を継ぎ、従業員約250人が動きだした。
 同社は震災で港に面した本社が全壊。気仙沼、陸前高田両市などにある五つの直営店も津波に流された。しかし、従業員は全員無事で、大船渡市郊外の高台にあった製造工場もほぼ無傷だった。
 斉藤俊明社長(69)は「工場まで流されていたら、会社は再起不能だった」と語る。工場の機器類の補修、点検を終え、材料の調達のめどもようやく立った。
 20日前後の本格稼働を目指し、4、5の両日で約1トンのあんを練り上げ、6、7日に製造ラインを試運転する予定。
 「かもめの玉子」は、1995年に亡くなった先代社長の斉藤俊雄氏が52年、大船渡港を飛び交うカモメをモチーフにして開発した。当時では珍しく、卵の黄身をイメージさせるあんをカステラで包む和洋折衷の菓子は人気を集め、震災前は1日約15万個を製造し、全国に販路を広げていた。
 俊明社長は「『かもめの玉子』が先陣を切って操業を始めることで、後に続く企業の呼び水になればいい。地元を愛した先代も、きっと同じ思いのはず」と語る。受け継いだ街のシンボルを守り抜く決意だ。(原口靖志)


2011年04月05日火曜日


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