ストイコビッチ監督(手前背中)の指導を受ける永井=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(木本邦彦撮影)
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名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(46)が4日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターでの練習で、FW永井謙佑(22)にムチを入れた。6日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ、FCソウル戦(瑞穂陸)の先発が濃厚なルーキーに、前線での動き方を指導。初ゴールの期待を込めた。
攻撃のパターン練習を見守っていたストイコビッチ監督が、業を煮やしたように動き出した。向かった先は前線の永井。ボールを受けたらすぐに次の動きに移るように、手本を見せながら、指導した。
右ひざ打撲の玉田は、この日も治療に専念。永井の公式戦初先発が決定的になった。黒星スタートとなったACL1次リーグ第2戦。ホームでは勝ち点「3」を譲れない状況だけに、永井に対するストイコビッチ監督の熱意が伝わってきた。
続けて指揮官が左サイドに入った直後に、場が凍り付いた。永井に求めたパスが大きく外れると「ここだろ」と不服そうに両手を広げた。
でも永井は動じていなかった。練習後に、その場面を聞かれると「あれはパスミスじゃなくて、(隣の)田口がプレーすると思ってたから」と萎縮した素振りもない。
初先発の気配に「どうなんでしょうか」と、とぼけていたが「チームに慣れてきた感じはありますね」と、自信を深めている。3月5日の誕生日に迎えたJ1開幕戦(対横浜M)では、驚異的なスピードでPKを獲得して引き分けに貢献。2日の広島との練習試合でも、快足を飛ばして何度も好機をつくった。
周囲も、永井の特長を感じてプレーしている。広島戦でタイミングのよいパスを繰り出した藤本は「顔を上げると、もう走り出しているのでタイミングはつかみやすい。あれだけ速いんだから、スペースに(パスを)出すのが一番でしょう」と生かし方をつかんでいる。
淡々と練習をこなし闘志が表に出るタイプではないが試合になるとキバを向くスピードスター。「サイドアタッカーでも、ゴールが遠く感じることはない。やり方しだいですから」と、いつも獲物を狙っている。 (木本邦彦)
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