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日仏首脳会談:サルコジ大統領、訪日に思惑も 自国の原発安全性アピール

サルコジ仏大統領(左)と日仏首脳会談に臨む菅直人首相=首相官邸で2011年3月31日午後5時1分、石井諭撮影
サルコジ仏大統領(左)と日仏首脳会談に臨む菅直人首相=首相官邸で2011年3月31日午後5時1分、石井諭撮影

 【パリ福原直樹】フランスのサルコジ大統領の訪日は、主要8カ国(G8)会合や主要20カ国・地域(G20)会合の議長国として、「震災に見舞われた日本との連帯感を表明したい」との意向の表れだ。だが、突然の訪問は「国内向けの政治的な演技」と受け止められる可能性もある。

 英フィナンシャル・タイムズ紙は先週末、「サルコジの高慢な野望」との論説を掲載。リビア攻撃に極めて積極的だった大統領に対し、「フランス国内での支持率挽回をはかった可能性」を指摘した。

 大統領は過去、ロシアのグルジア侵攻(08年)などの問題で国際的な指導力を発揮、高く評価されており、国内の支持率が30%以下と低迷する大統領が、リビア問題を機に「賭け」(同紙)に出たとの見方だ。大統領はこれまで日本側の訪日要請に消極的だっただけに、今回の急な訪日は同様の見方を招きかねない。

 ただ、日本の福島第1原発事故への危機感という側面も否定できない。フランスは電力の約8割を原子力発電に依存しており、事故後も大統領はフランス原発の安全性を強調してきた。大統領は31日、原発の安全性に関するG20会合開催を提唱した。訪日で、フランスなどが開発する次世代原発の安全性を強調したかったのは間違いない。

毎日新聞 2011年4月1日 東京朝刊

 

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