気象・地震

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東日本大震災:福島・天栄村の牛肉、放射性物質検出されず 再検査で判明

 厚生労働省は1日、3月31日に「福島県天栄(てんえい)村産の牛肉から食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムを検出した」と発表した件について、再検査を実施した結果、放射性物質は検出されなかったことを明らかにした。

 厚労省は、この牛肉は放射性物質に汚染されていなかったとの認識を示し「2回の検査でなぜ異なる結果が出たのか、検査過程に問題がなかったかどうかを含めて調査したい」と説明した。

 同省によると、この牛は3月15日に食肉処理され、国と県が30日にもも肉1検体を検査したところ、放射性セシウムが、暫定規制値を10ベクレル超える1キログラム当たり510ベクレルが検出された。しかし、同県内の他の地域の牛肉などからは検出されなかったため、改めて同じ牛のもも肉と背中の肉の計2検体を検査したところ、今度は放射性物質は検出されなかった。【佐々木洋】

 ◇村長「ひどい扱い」 抗議文提出へ

 天栄村の兼子司(まもる)村長(64)は取材に対し「最初の検出の時も今回も、村には何の連絡もなく取材を受けて初めて知った。当事者なのにあまりにひどい扱いだ。数字が独り歩きしてしまうので、国は再検査が終わるまで公表すべきではなかった」と話した。風評被害を招いたとして、近く国や県に抗議文を提出するという。

 ◇専門家「慎重に広報を」

 日本動物高度医療センターの夏堀雅宏放射線科長(獣医放射線学)は「そもそも3月15日に処理された肉ならば、牛が体内に取り込み肉が汚染されたとは考えにくく、食肉処理場で浮遊していたものが表面に付いた可能性などを考えるべきではなかったか。食品の放射性物質の検査結果を巡っては風評被害が広がったり自殺者が出るなど、人命にかかわる状況になっている。もう少し慎重に計測し広報すべきだ」と話す。

毎日新聞 2011年4月2日 東京朝刊

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